月光と閃光を発見し、屋上へとやってきた雪泉と夜桜だったが
既に尾行に気づいていた2人に逆に待ち伏せに会い、そこから戦闘に勃発する
瞬く間に追い込まれ、劣勢に陥った2人の元に颯爽と紫苑が駆けつけ、場の流れが変わった
「……っ」
「「――っ」」
戦いの場に現れた紫苑が月光と閃光を睨みつけ、その眼力に2人は武者震いをしていた
「ぐぅ…し、紫苑。どうしてここに?」
別行動中だった自分たちの元にいきなり紫苑が現れたことに夜桜は驚いていた
「夜桜ちゃーん!」
「…っ?」
するとその最中、声のする方に目を向けるとそこには紫苑と同じく別行動をとっていた美野里たちが自分たちの元に駆け付ける様子だった
「大丈夫、夜桜ちん!」
「無事か!」
「は、はい。少しやられてしまったくらいです。他は何ともありません」
3人は夜桜の元にたどり着くと心配そうな顔を浮かべていた
そんな3人に対して夜桜は心配はないと語りかけた
一方で紫苑と月光と閃光の姉妹は未だ睨み合いを続けていた
「……っ」
雪泉はそんな彼ら見て緊張感からか息を呑んでいた
「……雪泉、離れてて」
「えっ?…あっ」
すると紫苑はボソリと雪泉に一言告げるとゆっくりと彼女を自身の後ろ側に立つように下ろした
「これ以上の戦闘は無意味だ。それになによりこんなところで互いに本気でやるとなれば
紫苑は月光と閃光に対してこれ以上の戦闘継続は不要であると告げる
中等部で暴れれば生徒たちに被害が及ぶ可能性が高くなる
自分たちのいざこざに関係ない者たちを巻き込むのはお門違いだとそう主張したのだ
「それがお前の言う”正義”ということか?」
「うんざりするような綺麗ごとですね?」
しかしそんな紫苑の主張を月光と閃光は一蹴する
「綺麗ごとだというのならそれでもいい、だけど他者を想い、守る術を持たない力だけの正義など正しい正義ではない」
「それこそ詭弁だ。力ある者こそが”正義”に決まっている」
「利己的な考えだね。力のない、弱き者には正義はないと?」
「えぇ、そうです。弱い者に正義を語る資格はありませんから」
互いに意見を述べ合う紫苑と月光、閃光の姉妹
だが、そのどれもが双方ともにかみ合うことはなかった
「…どうやら君たちの掲げる正義と僕たちの掲げる正義はまったく違うようだね。悲しい限りだ」
同じ月閃の忍でありながら正義のあり方が違うがためにこうして対立してしまっている
紫苑はこの現実に心を撃たれる想いだった
「(…紫苑、今の紫苑の背中を見ていると悲しみが伝わってくるようです)」
離れた位置から様子を見ていた雪泉は紫苑の背中から悲しみが伝わって見えた様な気がした
「話にならないな。”黒影様に引き取られて”おきながらあの素晴らしい教えを捨てるだなどと」
「特に雪泉先輩、あなたは黒影様の実の孫だというのにその体たらくとは不快の極みでしかありませんね」
「――っ」
2人の口から雪泉の祖父にして紫苑たちにとっても育ての親も同然の存在たる黒影の名が出たことに驚いている中
続けて黒影によって孫である雪泉が不甲斐ないと告げる
「今となっては黒影様の存在はタブーとなっている」
「だから私たちがその教えを引き継ぐのです」
そして月光と閃光は自分たちは力こそ正義であるという黒影の教えと豪語するそれを引き継ぐと宣言した
「……勝手なことを」
「「…っ?」」
「…ほざくな」
ゴォォオオオオオオ!!
「「――っ!?」」ビクッ
刹那、紫苑の怒気を孕んだ声と直後にそれにより漏れた気の圧が場を一気に張りつめさせた
紫苑から放たれる強烈な圧に月光と閃光はおろか仲間である雪泉たちですら怯むほどだった
「黒影様の教えを引き継ぐ?雪泉が体たらく?…”何も知らない”お前たちが知った風な口を叩くな!」
静かなる怒りを込めた言葉とともに圧がさらに勢いを増していく
「な、なんという気迫なの!?」
「凄まじいプレッシャーだ!?」
その威力は絶大で数秒前まで優勢に振舞っていた月光と閃光が身を震わせるほどだった
数秒後、圧が消え、場は静まり返る
しかし、紫苑のその怒りを含んだ眼光は未だ月光と閃光を捉えていた
「流石は紫苑先輩と言ったところですね」アセアセ
「あの方が”特記戦力”の1人に入れているだけはある」アセアセ
「ですが、先輩たちが何と言おうとも私たちの考えは変わりません」
「私たちは私たちの正義を成す、お前たちの言う正義など真の正義の前にはまやかしに過ぎない」
月光と閃光は紫苑から発せられる圧に一瞬怯みを見せるもすぐに冷静を取り戻す
あくまでも自分たちの信じるものが本当の正義であり、黒影が目指したものなのなのだと主張し続ける
「もし先輩たちが自分たちの正義を肯定し、私たちの言う正義を否定したいとおっしゃるのなら」
「シノビマスターズで勝ち抜いてそれを証明して見せることだな」
そして月光と閃光はどちらの掲げる正義が本当に正しいのか、それを決めるためにも紫苑たちに
シノビマスターズに出て勝ち続けることを要求してきた
「では先輩方、次に会う時はシノビマスターズの開幕の時に」
「楽しみに待っているぞ」
最後に一言そう告げると月光と閃光は一瞬にしてこの場から消え去って行ってしまった
「…気配が消えた。もう
紫苑が2人が消えた直後に気配を感知する
しかし感知に反応がないため、月光と閃光は学館から去っていったようだった
「夜桜、大丈夫?」
「え、えぇ。わしは問題ありません」
「そっか、それは良かったよ」
敵が消えたことで紫苑は臨戦態勢を解き、皆の元に歩み寄っていった
他の皆が無事であることを確認でき、紫苑はほっとした様子を見せた
「(月光と閃光…彼女たちはいったい何者なんだ?)」
これまでの2人の言動を振り返りながら紫苑は彼女たちが何を想い、何を考えているのかを考察する
「(おそらくその答えはシノビマスターズに出ることで明らかになるはずだ。彼女たちの真意や半蔵学院のみんなを助けるためにも負けられない)」
月光と閃光との接触をきっかけに紫苑は改めてシノビマスターズに参加することの心意気を強めるのだった