シノビマスターズが開催され、大会に集まった紫苑たちがいよいよ試合に臨もうとしていた
「では皆さん。これより第一試合を始めます!」
「種目はこれだ!」
するとモニターが表示され、スロットの画面のようにウィンドーがスライドしていった
「「
そして三面がスライドを止め、現れた文字を月光と閃光が読み上げる
「な、なんですかその種目名!?」
紫苑は告げられた種目の名を聞いて驚いた
「おぉ、ドッチボールか!」
「楽しそうっすね!」
「「ぜんら」ってついて無ければね。はい論破」
逆に巫神楽三姉妹の蓮華と華毘はドッチボールと聞いてワクワクしており
唯一華風流はあまりよろしくないような顔を浮かべる
「そうか?むしろ最高じゃねぇ~の?こりゃ楽しくなりそうな予感がしてきやがったぜ」
「何スケベなこと考えてんのよこのバカ疾風!」ゲシゲシ
「ちょ、ちょっとちょっと、やめろって華風流ちゃんよ。地味に痛ぇんだけど!?暴力反対!?」
「うるさいわね、犯罪まがいなことしようとしてるんだからこれくらいで許されてむしろ感謝しなさいよ。はい論破」
これから始まる試合のことを考える疾風が嫌らしく鼻の下を伸ばしていた
そんな疾風に華風流が制裁と言わんばかりに足を踏まれてしまっていた
ちなみに蛇女のほうも同じく同じような理由で相馬が雅緋と忌夢に制裁を加えられていた
一方、その頃。観客席に座す飛鳥は皆の様子をそこから見守っていた
種目も発表され、皆が今か今かとその時を待ち侘びる中、当然飛鳥もそれをドギマギしながら待っていた
「いよいよ始まるんだシノビマスターズが…」
「そうだぜ。いよいよ始まるんだ」
「うん。だよね……ん?…えっ?」
飛鳥がボソリと呟いた一言に対して返答が返ってきた
一瞬はその返答に頷く飛鳥だったが、すぐに我に帰ると同時に声のする方に顔を向ける
するとそこにはいつの間にか自分の隣に座っているディラがいたのだ
「きゃ、きゃぁぁぁぁああああああ!!??」
「この声は飛鳥さん!?」
「どうした飛鳥!?」
会場に響いた飛鳥の声により全員が彼女とその隣にいるディラが座る観客席の方に向く
「おいおい誰だよあいつ?」
面識のない相馬たちや叢たちは突如として飛鳥の隣に現れたディラを見て小首を傾げる
「っ……あの男は、あの日クリスマスの時に」
「あの男はいつぞやの!」
それとは対照的にアピスと面識のある紫苑たちは彼がこの場所にいることに驚きを隠せない様子だった
「(あなた……そこで何をなさっているのです?)」ギロリ
アピスを目にした途端雪不帰の目つきがまるで絶対零度の如き冷たさと刃のような鋭い眼光を向ける
雪不帰は続けざまに脳内にて直接会話をし始めた
「(おいおい、やめてくれよそんな怖い顔しなさんなって、せっかくの舞台だから俺も精一杯盛り上げてやろうと思ってな)」
「(そんなもの必要ありません。それにあなたがここにいては)」
「(大丈夫だって、”俺一人がいなくたって問題はない”…だろ?)」
「(……っ)」
この場から追い返そうとする雪不帰に対し、ディラが意味深な言葉を呟く
「はっ!」バッ!
「――っ!?」
脳内での会話が一区切りしたところでアピスは驚く飛鳥を尻目に観客席からステージに向かって飛び出した
「さてと、てなわけで月光、閃光。ここからの説明は俺が務めてやるぜ――っ!」バッ!
ステージ中央に着地したアピスが勢いよくコートを脱ぎ捨てる
「イェーイ!」
コートを脱いだその下の姿は番組などで司会進行役を務める人が着ているようなスーツ姿だった
着こなしたスーツを見せびらかすようなポージングを取り、全員にアピールをしていた
「「「「「「っ……」」」」」」
「おいおい、ノリが悪いなお前ら~?」
「いや、誰とも知らない相手がいきなり現れてんだからそれどころじゃねえだろ普通」
せっかくカッコよく登場したのにシーンと静まり返る紫苑たちを見てガックリと肩を落とすアピスに対して相馬が皆の気持ちを代弁するかのようにツッコミを入れる
「おぉ、確かにそらそうだ。じゃあまずは自己紹介といこうか。よぅシノビマスターズに揃いし少年少女たちよ〜。俺の名はアピス、今から俺がこの大会の解説と実況を勤めるぜ。てなわけで月光、閃光お前らはアシスタント頼むぞ」
ついさっきまでガッカリしていたのに即座に気持ちを切り替えて自己紹介を始めた
さらにはそのままのノリで自分が実況と解説をすると宣言する
「ちょ、ちょっと何を言っているんですか!?」
「それは我々の仕事だ。勝手なことをするな!」
アピスのこの発言を聞いた月光と閃光が彼に対して猛抗議する
「黙らっしゃい――っ!」パチン
ウィィン――ガチャン!
月光と閃光の抗議を一蹴したディラが指を鳴らすと床の一部がスライドし、その中から一個のボールが現れた
「さて、改めてお前らに第一試合「
「って、それじゃどうやってボールを掴んだり投げたりすりゃいいんだよ?」
出てきたボールの概要をアピスが紫苑たちに伝える
素で触れば危険なものをどうするんだと相馬が尋ねる
「ふふん。それは~…月光、閃光出番だぜ!」
「「「「「「「「「ズゴォッ!?」」」」」」」」」」
ここでまさかの丸投げの展開を前に紫苑たちは愚か雪不帰を除く全員がずっこけてしまった
「おい何が、”俺がやる”だ!あんなに大口叩いていたくせ!に」
「言って早々に私たちに振るんですからもう!」
月光と閃光が怒りと呆れを含んだ顔を浮かべており、雪不帰に至っては頭を抱えてしまっていた
「まぁまぁそう言うなって俺1人で何もかもやっちまったらお前らの出番が減っちまうだろ?これは言うなれば俺からの配慮さ♪」
と言うことを述べているアピスだったが正直月光と閃光にとってはありがた迷惑もいいところだった
「はぁ~なんだか釈然としませんが…こほん、えっと。では気を取り直してそのボールをどうやって扱うかについてですが、それはですね…この専用のグローブでキャッチするのです」
そう言いながら月光が見せたのは大きな猫の手をしたグローブだった
「このグローブでキャッチすればその爆弾は爆発しません」
「相手の大将にボールをぶつけて爆発させれば勝ちとなる」
「そう、これこそが第一の種目」
「「「
さっきとは打って変わり、示し合わせたかのように3人がこの試合がどういうものなのかを皆に告げるのだった