閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第二十六章 思いつめが起こした2人の亀裂

次なる戦いに備え、修行に明け暮れる佐介たちは

 

 

突如現れた襲撃者に襲われた

 

 

しかしその正体は佐介が修行時代の頃に友達になったチェルシーとレイナだった

 

 

まさか再会を果たした佐介はさらに2人が半蔵学院に留学してきたことをしる

 

 

思わぬ展開で学校生活を送ることになった佐介たち

 

 

新たな仲間を得た彼らの1日が今日も始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も今日とて修行場にて

 

 

「……」

 

 

佐介は1人、滝に打たれる修行をしていた

 

 

「(…どうしてなんだろう?)」

 

 

そして集中をしていながらも、頭の中でとあることを考えていた

 

 

「(どうしてこれほど修行してるのに、一向にあの力を使えないんだろう?)」

 

 

あの日、サベージ妖魔に襲われ、危機を迎えた時に発現したあの力を再び使おうとして未だそれができずにいた

 

 

「(今のままじゃダメ…もっともっと強くならなきゃ…でないと僕は、みんなを守れないっ!)」

 

 

ここに至るまで佐介は…

 

 

紫苑との戦いでは情けをかけられたおかげで命拾いをし

 

 

蒼馬との戦いでは光牙が助けに来てくれなければ今頃自分は…

 

 

そう思うと佐介の表情は徐々に険しくなっていった

 

 

「(もっと強く…もっと強くっ!…)」

 

 

強くなりたいと佐介が心の奥で呟いていると

 

 

「佐介くん」

 

 

「っ!?」

 

 

突然の声に驚きながらも佐介は声のする方を見るとそこにはタオルを持った飛鳥の姿があった

 

 

「飛鳥…ちゃん?」

 

 

「そろそろ休憩した方がいいよ。そんなに滝に打たれ続けてたら風邪ひいちゃうよ」

 

 

「………うん」

 

 

自分の身を気遣うように飛鳥はそう囁いた

 

 

佐介は少し間を置きながらも弱々しい声で答えた

 

 

 

 

 

修行を終えた佐介は飛鳥から渡されたタオルで濡れた頭や体を拭く

 

 

その後、休憩がてらに飛鳥が持って来てくれたお昼の『半蔵特製太巻き』を食していた

 

 

しかし、嬉しそうに食べる飛鳥とは裏腹に、佐介は先ほどから太巻きに一口も手をつけてなかった

 

 

「佐介くん…どうしたの?食欲ないの?」

 

 

「えっ?」

 

 

「いつもなら一緒に喜んで食べるのに…それになんだかいつもの元気がないように見えるよ?」

 

 

飛鳥が心配そうな目で自分を見つめるのを見て、佐介は飛鳥に目を合わせづらくなってしまった

 

 

「何か悩みがあるの?…もし私で力になれるのならなんでも協力するよ?」

 

 

そう自分に言ってくれる飛鳥の気持ちが

 

 

佐介には泣きたくなるくらいに嬉しく、それと同時に今の自分の弱さ不甲斐なさに苛立ちを感じた

 

 

「ごめんね飛鳥ちゃん…でも心配しないで、大丈夫だから」

 

 

「……」

 

 

飛鳥をこれ以上心配させまいと気持ちに嘘をつき

 

 

作り笑顔でそう言うも、飛鳥には分かっていた

 

 

佐介が自分に心配させまいと無理してそういった顔を作っているのだと

 

 

しかし、自分のこの行為が予期せぬ結果になることをすぐに思い知ることになった

 

 

「……バカ」

 

 

「っ?」

 

 

「佐介くんのバカ!」

 

 

「!?」

 

 

いきなり怒鳴られたこと、飛鳥がなぜそんな顔をするのか、佐介には理解ができなかった

 

 

「佐介くんはいつもそう!いつも悩んでいても一人でなんとかしようとして私たちになんの相談もしてはくれない…そんなに私たちは頼りないの!?力になれないの!?」

 

 

「っ!」ビクッ

 

 

涙ぐんだ目で怒鳴りつける飛鳥の顔を見た佐介はその勢いに押されて言葉が出なかった

 

 

「私だって…私だって強くなろうと頑張ってきたんだよ!佐介くんと一緒に歩いていけるように、力になれるようになろうと必死に努力したの!…でも佐介くんが強くなればなるほど差は広がるばかり。私じゃあ追いつけないのかと思うくらいに…」

 

 

「あすか…ちゃん」アタフタ

 

 

自分が今までに感じていた想いをぶちまけた飛鳥に佐介はただただおろおろするだけだった

 

 

すると飛鳥は急に立ち上がり、背を向ける

 

 

「飛鳥ちゃん…」

 

 

「やっぱり、私がそばで佐介くんの力になって支えていこうなんて考えおこがましかったんだ…いつだって足を引っ張ってばかりだから…所詮私は、佐介くんやお兄ちゃんみたいに強くなれないんだから」トボトボ

 

 

「あ、飛鳥ちゃん!まって!」アタフタ

 

 

佐介の静止も聞かずに飛鳥はそのままトボトボと行ってしまった

 

 

「僕は…ただ…」グヌヌ

 

 

取り残された佐介は彼女を傷つけてしまったことで持っていた太巻きを握りつぶしながらその場にふさぎ込んでしまった

 

 

深く、深くと…自責の念に囚われながら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何を落ち込んでいる?それでも俺を倒した男か?」

 

 

「っ!?」

 

 

突然の呼びかけに顔を上げてみるとそこには

 

 

「こ、光牙…くん?」

 

 

「あぁ」

 

 

佐介にとって最大のライバルである光牙がいた

 

 

「ど、どうして光牙くんがここに?」

 

 

「なに、ちょいと霧夜に呼び出されてな」

 

 

「霧夜先生に?」

 

 

光牙がなぜここにいるのか気になった佐介が尋ねたところ

 

 

霧夜に呼ばれたと光牙はそう答えた

 

 

「今ごろ忍部屋の方で焔たちと話しているころだろう。さぁいくぞ、ぐずぐずするな」

 

 

「えっ?ちょ、待ってください光牙くん!?」アタフタ

 

 

急かすだけ急かして先に行く光牙の後を慌てておう佐介だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅蓮竜隊のみんな。要請に応じてくれたこと皆を代表して礼を言わせてもらうぞ」

 

 

「べつに礼をいわれる程でもない、たまたま今回、互の理念が一致しただけのことだ」

 

 

「私たちは新生した蛇女子学園との、お前たちは月閃との…今度の戦いは歯列を極めるだろう。そのためにも私たちは強くなりたいからな」

 

 

「だとしても、俺たちにとってはありがたいことだ」

 

 

礼は不要だという光牙たちに、協力してくれる経緯が大事だという感じに再度紅蓮竜隊の面々に礼を言った

 

 

「ねぇねぇ霧夜先生」

 

 

「なんだひばり?」

 

 

「そろそろ教えて欲しいんですけど。どうして春花さんたちがここに来たのかを?」

 

 

なぜここに紅蓮竜隊の面々がいるのか聴かされてなかった佐介たち

 

 

それを代表してひばりが自分たちで話しを進める霧夜たちに問いただす

 

 

「あぁすまない。…みんな聞け、これまでの戦いでお前たちは月閃や新生した蛇女子学園との戦いを当し、そのレベルを知ったはずだ」

 

 

『!!?』ビクッ

 

 

霧夜に言われるまでもなく、佐介たちは彼らと直に戦い、その実力を身に染みて感じていた

 

 

彼らは恐ろしく強い、ただそれ以外の言葉が思いつかなくなるほどに

 

 

「蛇女の方は光牙たちが受け持つことになったが…互いに学校を攻めあって決着をつけられなかったため、最後は決戦場で雌雄を決することになる。つまり文字通り…」

 

 

「…決着をつける時。ということですね」

 

 

「そうだ」

 

 

霧夜の話しを聞いていた佐介がそうつぶやいたとともに霧夜も正解だと答えた

 

 

「ですが…正直にいってわたくしたちの実力では…」

 

 

「だからこそ、わざわざ光牙たちに来てもらったのだ」

 

 

「どういうことですか?」

 

 

月閃との戦いのために光牙たちを招集したのだという霧夜に佐介たちは質問した

 

 

「……これよりお前たちに『絶・秘伝忍法』を習得してもらう」

 

 

『絶・秘伝忍法?』

 

 

「秘伝忍法よりも上位の究極の秘伝忍法…それが絶・秘伝忍法だ。己の中に眠る潜在能力を極限まで高める技だ。お前たちが月閃に勝つにはこれが必要不可欠なのだ」

 

 

霧夜が月閃との戦いの切り札として提案したのが秘伝忍法の中でも究極の技と言われる絶・秘伝忍法だった

 

 

「う~ん。でもさ、その忍法を習得するのとそこの人たちが呼ばれたのってなんか関係あるの?」

 

 

ふと話しを聞いていたチェルシーが尋ねる

 

 

「絶・秘伝忍法は普通の修行では習得することはできない」

 

 

すると霧夜はチェルシーの問いにそう答えた

 

 

「えっ?じゃあどうやって?」

 

 

「まだわからないのか?鈍いやつだな」

 

 

「むっ!なんか今の言い方腹立つ~」イラ

 

 

「チェルシー、落ち着いて」アタフタ

 

 

霧夜の言ったことが今一理解できないチェルシーを光牙が小馬鹿にし

 

 

それにムッときたチェルシーを慌ててレイナがなだめた

 

 

「絶・秘伝忍法を習得する方法はただ一つ。善と悪、相対する力が激突した時、始めて会得することができる……だからこそ霧夜は俺たちを呼んだんだ」

 

 

「そうか!…僕たちが光牙くんたちと戦うことで絶・秘伝忍法を習得することができる」

 

 

「その通りだ」

 

 

霧夜や光牙の発言から佐介は答えにたどり着いた

 

 

「これより、お前たちに特別修行を課す。内容はただ一つ。お前たちと光牙たち、一体一の真剣勝負を行い、絶・秘伝忍法を習得すること…以上、なにか質問は?」

 

 

『ありません!』

 

 

「よし、では修行を開始せよ!」

 

 

こうして霧夜の号令の元、絶・秘伝忍法を習得する修行が幕を開けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よろしくお願いしますね斑鳩さん」

 

 

「こちらこそよろしくお願いしますね詠さん」

 

 

「日影、お互いに頑張ろうな♪」

 

 

「お手柔らかにな~」

 

 

みんながそれぞれ相手を決め、修行場へと向かっていく

 

 

「佐介、俺たちもいくぞ」

 

 

「う、うん」

 

 

同じく佐介も光牙とともに修行場に行こうとした時

 

 

ふと、飛鳥のほうに目を向けた

 

 

飛鳥は焔とおしゃべりをしていたが、次の瞬間、佐介のほうを見た

 

 

互いに沈黙しながら互を見ていたが、飛鳥のほうがすぐに目をそらし、焔とともに修行場に行ってしまった

 

 

「…」ショボーン

 

 

まだ怒っているんだと佐介は暗い顔を浮かべた

 

 

「……」

 

 

そんな彼を無言でじっと光牙が見つめているのだった

 

 

 


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