月閃と蛇女が戦いを繰り広げる
見事、紫苑たちはシノビマスターズを勝ち抜いたのだった
紫苑たちが勝利を収めた一方のその頃、偶然にも鈴音と遭遇した光牙たちは彼女とともに
バックヤードから半蔵学院の面々を捜索していた
「どうだ?そっちにはいそうか?」
「いいえダメです。こちらの方にはいませんわ」
「こっちも同じですね」
「あたしのほうもダメ」
現在、この広い施設の中から半蔵の面々を捜索するため、二手に別れて行動しており
今この付近を捜索しているのは焔を筆頭に詠、未来、愛花の4人で構成されたフォーマンセルだった
「もしもし、こちら焔、今のところ半蔵の奴らはまだ見つかってない」
《『もしもし聞こえる焔ちゃん、春花よ。なるほどそうなのね。実のところこっちの方も同じかしらね、ひばりたちは依然見つからないわ』》
「そうか…」
二手に別れる際に春花から通信端末を渡されていた焔たちはそれを使って光牙たちのほうのパーティに自分たちの現状を伝える
端末からは春花が応答をしてくれたが、話を聞く限りは彼女たちのほうもこちらと同じ状況だという
《『春花、少し借りるぞ…焔、そう気を落とすな』》
「…光牙?」
すると直後に端末越しに聞こえる春花からそれを借りて光牙が焔に話しかけてきた
「まだすべてを探し切ったわけじゃない。あいつらはこの施設のどこかに必ずいる。諦めず探しだすぞ」
《『…あぁ、そうだな。光牙の言う通りだ!』》
《「ししょー任せてください!半蔵のお姉さんたちは絶対に見つけてみせます!」》
「あぁ、その意気だ愛花。お互いに頑張ろう」
光牙が皆を鼓舞する言葉をかけると通信機越しから皆が元気を取り戻したようにやる気に満ちた声が聞こえていた
「焔たちも頑張ってる。俺たちも気を引き締めて行かないとな…なぁお前たち」
「えぇ、そうね」
「せやな、わしらも気合い入れて葛城たち探さなな」
通信を終えた光牙が自分たちも捜索に打ち込まないといけない事を投げかけると春花と日影も同意していた
「(…みな、成長したな。特に光牙は蛇女にいた時よりも皆をまとめるのが上手くなっている。抜忍となり共に生きてきたこれまでの日々が彼らの絆をより強固なものにしたんだな)」
焔たちを勇気づけるその様子を隣から見ていた鈴音はかつての教え子たちが成長したことに感銘を受けていた
そうして再び捜索を再開した光牙たちが次なる場所へ向かう
「次はここか…ん、んん―っ!!ダメだ。鍵がかかってて開かないな」
やってきた先で次なる扉を見つけた光牙たちだったが、鍵がかかっているため開かないようだった
「でも鍵をかけているってことは入られたくない場所ってことよね?」
「つまりはここに半蔵の皆が閉じ込められている可能性があると言うことだな?」
「そう言うことやね…せやけどどないするんや?さっき見た感じ力づくで開けるのは骨が折れそうやで?」
目の前にあるのは先ほど焔が強引に開けようとしても開かなかった扉
これを開けるにはどうしたらいいのだろうかと全員が困ったような顔を浮かべる
「仕方ない。気づかれる危険性はあるが背に腹は代えられないからな」
待っていても埒が明かないと判断した光牙が強硬手段を取ろうとする
「待って光牙くん。気持ちは分かるけどやはりここは気づかれることは避けた方がいいと思うわ」
だがその直前に春花が光牙に物申し、その行動を収めさせた
「しかし、ではどうするって言うんだ?」
「ここは私に任せて、こう言うのは私の出番よ」
自分たちに任せろと告げる春花が声をかける
元々紅蓮竜隊の中でも機器の扱いに長けているが故に自分が引き受けると言ってきたのだ
「分かった。頼んだぞ春花」
「任せてちょうだい♪」
春花はその言葉を聞きいれ、光牙たちは春花たちにドアのロック解除を任せることにしたのだった
一方、光牙たちが裏でそんなことをしているとは知らぬ紫苑たちはというと
「僕たちは優勝しました。さぁ、半蔵のみなさんを返してください」
巫神楽、蛇女を下したことで自分たちが大会を優勝したので囚われた半蔵の面々を解放するように紫苑が要求する
「優勝しただって?ふ、ふははははは!」
「…っ?」
しかしそれを聞いたアピスが急に笑い出し、紫苑たちを困惑させる
「何を勘違いしてんだお前らw?まさかこれでシノビマスターズが終わったとでも思ってんのか?」
「そ、それはどういう意味ですか?」
アピスの意味深な言葉に雪泉がその意味を問いただす
「お前たちはこれで優勝したと思ってるみたいだが残念だったな。これまでの試合はあくまで予選に過ぎない」
「よ、予選ですって!?」
「そうだ。そして予選を勝ち抜いたお前たちにはもう一回、試合が残っている」
驚くことにこれまで紫苑たちが戦っていたのは予選であり、次に行われる試合の前座でしかなかったのだ
「最後のもう一試合。その対戦相手は…俺たちだ」
「「「「「「――っ!?」」」」」」
手にしたマイクを投げ捨てながらアピスが最後の対戦相手が自分たちであることを告げる
「まっ待ってください!ここまでの戦いでみんな疲弊してます。そんな状態で次の試合だなんて!?」
当然納得いかない紫苑が抗議をする
「言ったはずです。五体満足で帰れる保証はないと」
しかしそんな訴えを雪不帰が冷たく遇らう
「その軟弱ぶり、実に嘆かわしいな」
「知っていますか?黒影様が現役時代に座右の銘としていたもの、それは「やられたらやり返せ」と」
「不屈の闘志なくして正義を貫けるとでも思っているのか?」
閃光たちも雪不帰に続くように話しかけ、さらには月光の口から黒影の名が出たことで紫苑たちは反応を示す
「腑に落ちません。どうしてあなたたちは黒影様のことを?」
たびたび月光と閃光は自分たちの恩師で育ての親である黒影の名を口にしている
紫苑たちはそれがどうしてなのかが気がかり出仕方なかった
「我々は黒影様の信奉者だ」
「今となってはあなたたち以上に黒影様を理解していると自負しているつもりです。そう、黒影様の実の孫である雪泉先輩、あなたよりも…ね」
月光と閃光は得意気にそう語る
自分たちこそが黒影のことを真に理解している存在なのだと
それを紫苑たちに、引いては彼の孫である雪泉に対して自信満々にそう宣言するのだった