雪不帰たちと戦うことになってしまった紫苑たちの元に飛鳥、さらには佐介まで現れるという事態が起こり
場は混乱状態となっていた
「…っ」
そんな紆余曲折を経て参加することを勝ち取った佐介が戦いに望もうと一歩前に前進する
「待ってください佐介くん」
「っ?」
だがそんな彼を呼び止めたのは紫苑だった
「私たちも戦います」
さらには雪泉も加わって自分たちも戦いに望むことを告げる
「言ったはずです。あの人たちの相手は僕がする。紫苑さんたちは飛鳥ちゃんを連れて離れててくださいと」
佐介は紫苑と雪泉の願いを拒絶する
あくまでも自分一人で戦うのだと譲ろうとしなかった
「佐介くん、お願いだよ私たちも一緒に戦わせて、佐介くんだけで4人を相手にするのは無謀だよ!」
そこに飛鳥も割って入り、自分たちも戦わせて欲しいことを願い出る
「ダメだって言ってるでしょ!僕はもうみんなが傷つく姿を見たくはないんだ」
飛鳥の必死の願いでも佐介ははいと承諾してはくれない
仲間たちをやられてしまった事、それに対して何もできなかったことが佐介の心に暗い影を落としているようだった
「…佐介くん。君は学炎祭の時、偏った正義に凝り固まった僕を必死に止めてくれたよね?」
するとそんな中、紫苑がおもむろに語りだした
かつて敵同士として学炎祭で雌雄を決する戦いに身を投じた時のことを
「あの時の僕は雪泉たちの言葉にすら耳を貸さず、悪はすべて消し去らなければならないという考えに染まり切っていた。だけどそんな僕を変えてくれたのが君だ佐介くん」
学炎祭最後の日、信念をかけた戦いを繰り広げ、最終的に佐介の想いが紫苑を凝り固まった正義という呪縛から解放した
「君のおかげで僕は本当の正義とは何かを知ることができた。そうして今こうして光牙さんたちや相馬くんたちとも善と悪の境界を超えて友人になることができました」
光牙たちも相馬たちも同じく学炎祭で出会い、ぶつかり合い、最後には友になった
「彼らと出会い、全ての悪がそうでないことを知った。君が訴えかけてくれたことでそのことを知れた。今の僕たちがあるんだ。刀と盾にはちゃんと意味がある。もし違うというなら今度は僕がそれを全力で証明して見せるよ」
自分たちがこうして友になれたのは佐介のおかげなのだと紫苑は語り、今度は自分の番であることを告げる
「……好きにすればいいよ」
「そうさせてもらいます」
紫苑の説得が効いたのかあれだけ拒んでいた佐介から許しを得た
それだけ言うと佐介は紫苑たちを置いて先にステージに向かって歩き出した
「夜桜、みんなのことを頼んだよ。後は僕らに任せて休んでいて」
「はい、すみません紫苑、雪泉。こんな時にお役に立てなくて」
「そんなことありませんよ夜桜さん…あとを頼みます」
夜桜に他の皆を預ける
「行こう雪泉、飛鳥さん」
「はい」
「うん」
「「「忍、転身!!」」」
紫苑と雪泉、そして飛鳥が忍装束を纏うと先を行く佐介の後についていくようにステージの方へ向かっていった
「来ましたか」
前方には彼らよりも先に降りている雪不帰たちが到着を待ちかねていた
そうして紫苑たちと雪不帰たちが並び立つ
「決勝戦のルールはどういったものになるのですか?」
「ルールは至ってシンプルです。相手チームを全滅させた方の勝利ということです」
戦いを始める前に紫苑がルールについてを問うと雪不帰はこの決勝戦は総力戦であることを説明する
どちらかが相手側を倒し切った時に勝敗は決まるのだと
「時に佐介さん。もう一度だけ問います。本当に私と戦うというのですか?”全てを知った上で”私と戦うと?」
「…えぇ、それでも僕は戦います」
「そうですか」
雪不帰が先ほどと同じ質問を佐介に投げかけ、尚も戦うことを決めたというその答えにそれ以上の口を挟むことはなかった
「佐介くん、全てって何の話しなの?」
飛鳥が2人の会話の中にちょくちょく出てくるその言葉の意味を尋ねる
「……この戦いが終わったら話すよ」
「っ…」
何か思い出したようなそぶりを見せると勝敗が決した後にそれを話すことを約束する
「雪不帰様はお下がりください」
「ここは我々が相手をします」
月光と閃光が雪不帰に後方に控えるよう申してきた
「それじゃ数的にこっちが分が悪くなるんじゃねぇか?」
そんな2人に対してアピスが問いかけてくる
「ふん、こんな奴ら雪不帰様の手を煩わせるまでもない」
「そうです。我々だけで片付けてしまえばいい話しです」
「不安だというのならお前も下がってたらどうだ?」
アピスの問いに2人は自分たちなら問題はないと自信満々な様子で答え
さらにはアピスにもそのような態度をとっていた
「言ってくれるじゃねぇか小娘ども。だったらお手並み拝見と行こうかね」
しかしそんな2人に対してアピスのほうは特に意に返してない様子であるばかりか、言われた通りに後ろで雪不帰とともに見物することにした
「余裕をかましおって」
「閃光、落ち着いて、私たちで彼らを倒してアピスさんの鼻を明かしてやりましょう」
「あぁ、そうだな。よし行くぞ月光!」
「「忍、転身!!」」
自分たちの力を知らしめる為にも全力で潰すという意思の元、2人が転身し、忍装束を纏った
「さぁ、どこからでもかかってこい!」
「私たちが相手です!」
転身を完了させた月光と閃光が戦闘態勢をとる
「…っ」
「よしっ」
それを見て佐介と紫苑が彼女たちと戦おうと一歩を踏み出そうとする
「待って佐介くん!」
「紫苑もお待ちください!」
「雪泉、飛鳥さんどうしたの?」
すると突然雪泉たち2人が紫苑たちの前に立ち進行を妨げた
「月光ちゃんと閃光ちゃんとの相手は私たちがするよ」
「その通りです。ですのでお二人は下がっていてください」
「…っ?」
「えっ?」
雪泉たちは佐介と紫苑に月光と閃光の相手を任せてほしいと懇願してきた
いきなりのことで2人は驚いた様子を見せる
「…言ったはずだよ。彼女たちの相手は僕がすると、それに無理やりついてきたくせに今度は任せろだなんて」
この申し出に対して佐介は憤慨しているようだった
「佐介くんの気持ちは分かる。だけどお願い、ここは私たちに任せてほしい、私だって斑鳩さんたちの借りもあるし、雪泉ちゃんにとっても2人との戦いは意味のあるものだから」
「飛鳥さん…飛鳥さんのいう通りです。ですからどうかお願いします」
飛鳥とそれに続くように雪泉が再度お願いをしてきた
「…佐介くん、ここは2人の顔を立ててあげよう」
紫苑が2人の意を組んで佐介を説得する
「……っ」クルッ
2人と紫苑の説得が効いたのか佐介は何も言わないが反転して距離を取った
それを見て3人は分かってくれたのだと解釈した
「じゃあ雪泉、飛鳥さん。ここは任せる。気を付けてね」
「はい、お任せください」
「全力で行きます」
軽く言葉を交わし、紫苑に見送られながら雪泉と飛鳥は月光と閃光の方へと視線を向けるのだった