シノビマスターズ最後の試合、雪不帰たちとの対決を前に紫苑と雪泉は乱入してきた佐介と飛鳥とともにこれに望む
開始直前に月光と閃光が自分たちが迎え撃つという意思を見せ、雪不帰と便乗する形でディラが下がり
紫苑たちのほうも雪泉と飛鳥の希望を受け、月光と閃光を2人に任せる形となり、今試合が始まろうとしていた
プォォオオオオ~♪
試合の開始を告げる法螺貝の音色が場内に響き渡る
「「「「――っ!!」」」」バッ!
次の瞬間、その音とともに雪泉と飛鳥、月光と閃光の両組が一斉に飛び出した
「はあっ!」
「ふっ!」
先陣を切ったのは飛鳥と閃光だった
両者ぶつかり合い、一瞬の鍔迫り合いを演じるも即座に互いに距離を取る
2人が距離を取った直後、その背後から今度は雪泉と月光が戦闘に入る
「黒影様の孫であられるというのに嘆かわしい!!」
「何がですか!」
「善と悪があるから戦いが始まり、争いから憎しみが生まれるのです!雪泉先輩、あなたは愚かにも黒影様の信念を捨てた。あなたは黒影様を裏切ったんです!」
「――っ!?」
攻撃を仕掛けながら月光が雪泉を裏切り者と称した
「あなたに…いえ、”あなたと紫苑先輩たち”に正義を語る死角なんてない、白も黒もない、”善”だけの世界、皆が笑って暮らせる世界は私たちで作り上げます!」
月光が雪泉に、引いては彼女と同じ考えを持つ紫苑たちに憎しみと憎悪を向け、それを見せつけるかのように怒涛の連撃を繰り出していく
「あなた方は誤解しております。黒影おじい様のことを!」
「何を言っているのですか、あなたは!!」
雪泉は月光に必死に訴えようとするもそれが逆に火に油を注ぐことになり余計に敵意を増大させてしまった
「黒影様を裏切っておいてその言いぐさ、もう容認できません!”ジュジュ”!!」
さらにその直後、月光が名を呼ぶように唱えると地面より発生した特殊な穴の中から巨大な藁人形が出現した
「こ、これは」アセアセ
「行きなさいジュジュ!!」
藁人形が月光の言葉に反応し、眼光を光らせ、動き出すや雪泉に襲い掛かっていくのだった
「はあぁぁあああ!!」
「――っ!?」
ドドォォォォン!!
一方その頃、飛鳥のほうは閃光との戦いに身を投じていた
徒手空拳を振るい、飛鳥を攻め込んでいく
「せやぁああああ!!」
負けじと飛鳥をも反撃を仕掛ける
「あまい!」
「えっ!?」
「はあっ!!」ドォン!
「きゃぁああああ!?」
しかしそれを閃光は寸前で躱すとともに下から勢いよくアッパーカットを繰り出した
その一撃が飛鳥の腹部を直撃し、勢いのままに彼女を後方まで吹き飛ばした
「(な、なんて重い一撃なの!?)」
地面に叩きつけられた飛鳥は直後に襲ってきた腹部の痛みを感じながら閃光の拳の一撃がいかにやばいのかを感じ取っていた
「――っ!!」スタタタタタタ!
だが、これで終わるような閃光ではなかった
吹き飛ばした飛鳥に向かって突っ込んできた
狙いはもちろん追撃を仕掛けるためだ
「くっ、はあっ!」
閃光が迫りくる中、飛鳥は土遁の術を使い、地面から岩石を発生させ盾にして身を守ろうとする
「――はああっ!!」
バキボォォォオオオン!!
「なっ!?」
だがその岩壁が閃光の気を込めた拳の一発によってあっけなく砕け散ってしまった
「どうだ。手も足も出まい!この信念と拳を持って、悪忍はもちろん妖魔だって滅ぼして見せる!!」
「妖魔を!?」
力の差を見せつけるかのように連撃を仕掛けながら閃光もまた自身の想いを言い放つ
「…っ」ピクッ
「佐介くん?どうしたんですか?」
「…いえ」
離れたところから試合を目にしていた佐介が閃光の言葉に反応を示す
佐介の様子に気づいた紫苑がどうしたのかを問うも、一言つぶやくだけで何も答えてはくれなかった
そうして佐介は視線を戦う飛鳥や雪泉たちから逸らし、その向こう側で自分たち同様に試合を観戦している雪不帰二向ける
視線に気づいたのか雪不帰が不敵な笑みを零す
「(…そう言うことか)」
彼女のその顔を見て何か納得したと言った顔を浮かべながら佐介は再び視線を飛鳥たちのほうに戻した
「てやぁぁぁぁぁ!!」
「ぐぅぅぅ!?」
閃光の繰り出した拳を飛鳥が刀を盾にして防ぐ
なんとかしのぎ切ったものの、それにより飛鳥は大幅によろけてしまった
「これでとどめを刺してやる!」
隙を見せた飛鳥を閃光が仕留めようと手に力を込め、勢いよく地面を蹴った
迫りくる閃光を前に飛鳥が危機を感じ取った
その時だった
シュン!!
「――っ!?」ザザァァ!
「…っ?」
拳を繰り出そうとした瞬間、明後日の方向から飛んできた苦無を目にし、思わずブレーキをかけた閃光が寸前で攻撃を中断する
恐る恐る目を開けた飛鳥も目の前の事態に困惑しつつも閃光が向ける視線のほうに目を向ける
この事態を起こした犯人、それは試合を観戦している佐介だった
「貴様、不意打ちとは卑怯な真似を!」
あと一歩で飛鳥を仕留められたのを阻止されたことに閃光は憤慨して佐介を睨みつけていた
「さ、佐介くん。何を?」アセアセ
横にいた紫苑も佐介のまさかの行動にひどく驚いていた
「…こうしなければ話しができないと思ったものでしてね」
「話しだと?」
そんな閃光に対し佐介が話しをしたいと持ち掛けた
このタイミングで何の話しをするのだと閃光はもちろん、飛鳥も紫苑も気が気でない
「閃光さん、あなたと月光さんは”騙されていますよ”」
紫苑たちの視線に晒される中、口を開いた佐介から語られたのはこれまた思いもよらぬ言葉だった
「私たちが騙されているだと、誰に?」
「……っ」チラッ
閃光は自分が誰に騙されているのだと佐介に問う
すると佐介は目線を別のほうに向ける
「……っ――ふざけたことを言うな!!」
佐介が逸らした視線の先から誰が自分を騙しているかを悟った瞬間、そんなことはあり得ないと激怒しながら怒りに満ちた声を荒げる
「貴様、優に事欠いてたわけたことを抜かしおって!奴ならともかくあの方が我々を謀ることなどありえない!…許さん、許さんぞぉぉぉぉ!!」
激昂した閃光が佐介に向かって飛びかかろうとする
「――っ!!」カキィィィン!
「なっ!?」
「くぅぅ!」
「飛鳥さん!?」
しかし寸前のところで飛鳥が割って入り、閃光の行動を阻止した
「邪魔だ、どけ!!」
「どかない!」
「――っ!!」
阻まれたことにより閃光がいったん距離を取る
「余計な真似を、だったら仕方がない。お前を速攻で片付けて、無礼者に天誅を下してやる!」
先に邪魔をする飛鳥を仕留めることを決めた閃光が再び身構えるのだった