アピスの毒に苦しめられている光牙と紫苑を助ける術を見いだせず、絶望感に打ちひしがれている
かぐらの助力によってどうにか危機を免れることができた
「かぐら、恩に着るぞ」
「私たちだけではとても2人を助けられなかったわ」
「ふっふ~ん。すごいでしょ♪もっと敬ってくれてもいいんだからね」
「こいつ調子に乗ってやがる」
光牙と紫苑を助けてもらったことに皆から感謝の言葉を送られ、かぐらはの気分は有頂天になっていた
「ほ~、俺の毒を無力化するとはな、流石はかぐらと言ったところかね?」
するとその時、一部始終を見ていたアピスが語り掛けてきた
「それほどでもあるかな~♪」
敵からも褒められて照れくさそうな顔を浮かべていた
「…っと、冗談はさておいて、確かアピスって言ったけ?ちょっと確認したいことがあるんだ」
「なんだ?」
「君は二回、戦闘に毒を使った。その毒から私は微かな臭いを嗅いだんだ。その時に私はあることに気づいた。あれからは毒そのものの臭いだけじゃなくて”妖魔の臭い”も混じってたってことにね」
「妖魔の臭い…どういうことですかかぐらちゃん?」
かぐらがなにを言っているのかと佐介たちは不思議に思っていた
「あの臭いを嗅いだ瞬間、私がかねてから思っていた疑問が確信に変わったよ。君もまたそこにいる子と同じ”妖魔”だってことがね?」
「「「「「――っ!?」」」」」
しかしその直後のかぐらの爆弾発言に佐介たちは驚愕することとなった
「おやおや、気づいたか、あぁそうさ、お前の読み通り俺もまた
アピスもまた自身が妖魔だということを認めたことでかぐらの指摘が真実であることを知る
「(そうか、あの男もまた妖魔だったのか。どおりであんなにも強かったわけか)」
一連の話しを聞いた鈴音はアピスの異様な強さと不気味さが彼が妖魔であるからだと知り、妙に納得してしまった
「お前たちの強さは十二分に理解した。だが、だとしてもお前たちだけで忍を滅ぼせるとは思えんがな」
鈴音が雪不帰たちに先の宣戦布告の件について戦力が足りないのではないかと指摘する
しかしそんな鈴音の言葉に雪不帰たちは特に気にしていない様子を見せている
「(なんだこいつらの表な落ち着き用は?いったいなぜ…)」
彼女たちのその態度がどうにも腑に落ちない鈴音はその理由がなんなのかを考察する
そんな時、鈴音はあることを思い出した
「…鬼界の妖魔か」
「異界の扉が開く兆候を私が察知したことが全ての始まりなのです」
試しに鈴音が話題を振ると羅刹が異界の扉というワードを口にした
「(なるほど、こいつらの落ち着いた様子はそれが原因か)」
こちらが戦力差の話しを振ってももの動じる様子がなかった訳を悟り、鈴音は納得した顔を浮かべる
「善忍と悪忍、お前たちは敵対している身でありながら妖魔を倒すことにおいてだけは共闘している…なぜだ?」
今度は雪不帰のほうから佐介たちに対して質問を投げかける
敵対しあっている派閥にもかかわらず妖魔と戦う時においては今日としていることについてを
「それは…」
「そんなものは決まっている!妖魔は全ての人間に害をもたらす存在だからだ!」
雪不帰の質問に戸惑いながらも口を開こうとした佐介を差し置いて雅緋がその答えを述べる
かつて妖魔との事件によって母を失い
自分や光牙の人生にも大きな影響と傷を残された雅緋にとって妖魔は憎むべき対象であるが故に
「害か…なぜそう言い切れる?」
「なぜって…それは忍のえらい人が」
雅緋の回答に対して雪不帰が更なる質問を投げかけ、両備が受け答えをする
「ならば忍の幹部どもが言っていることはすべて真実なのか?」
「えっ?」
だが、雪不帰の一言に両備は言葉を詰まらせる
「もういい、お前たちの戯言など聞く耳もたん!うぉぉおおおおおおお!」
これ以上の問答は無意味だと雅緋が雪不帰に攻撃を仕掛けてきた
「――っ!」ガシッ
「なっ!?」
しかしその刃は雪不帰に届くことなく、その直前に羅刹の腕に掴まれてしまった
「私たち家族は妖魔によって人生を狂わされた!それだけで害と言うには十分だ!」
「なら忍に殺された妖魔がいたとしたらお前はどうする?」
「なんだと!?」
「妖魔は確かに人を襲うと言う、しかしながら先に攻撃を仕掛けてきたのは忍の方だとしたら?」
怒りをぶつける雅緋に雪不帰が思いがけないことを告げた
「私たちは自分たちの身を守るために忍たちと戦ってきたに過ぎません」
雪不帰に続くように羅刹もまた自分たちがあくまでも正当防衛のために戦っているのだということを主張する
「ふざけるな!お前たちの言うことなど誰が信じるものか!!」
だが雅緋とていきなりそんな話しをされてはいそうですかと納得できるわけでもなく雪不帰たちの言うことに異議を唱えた
「――っ」ググググ!
「ぐっ、ぬぅぅぅぅ!?」
そんな雅緋の言い分にムッとなったのか刀を握りしめる羅刹が力を強め、雅緋のほうに刃を押し戻していく
「証拠があるとしたら?」
「なにっ!?」
「――っ!!」ブォン!
「なあっ!?」
最中、雪不帰が更なる主張をし、その内容を聞いた雅緋を再び驚愕させる
直後、羅刹が勢いよく投げ飛ばしをしてきたことによって雅緋は遠くへ吹き飛ばされる
「信じられないと言うのなら見せてやろう。証拠を」
「そこまでです!」
「…っ?」
疑いの目を向ける雅緋に雪不帰が証拠を見せることを提案しようとした時だった
それを遮るように声を上げたのは佐介だった
「皆さん、耳を貸す必要はありません!これ以上、あなたたちの与太話に付き合うつもりはありません!」
佐介は雪不帰の語ることを与太話と称し、これまでの語らいを断ち切った
「あなたたちが何を言おうとも、僕がやるべきことは一つ、ここであなたたちを倒すことだけです!」
直後、佐介の身体から凄まじい力の奔流が溢れ出る
「これは驚きました。まだあれほどの力を残しているとは…雪不帰」
「えぇ、
「は、はいお
この様子を見て危険を感じた雪不帰と羅刹が巻き込ませないために
「ここで絶対に、あなたたちを仕留める。そして全部終わりにします!はぁぁああああああ!!」
身構えると同時に佐介は雪不帰たちのほうにまるで弾丸のように一直線に突っ込んで行くのだった