雪不帰たちが妖魔についてを説く中、それを遮るようにして佐介が突っ込んできた
「はあぁぁああああああ!!」
一直線に狙いを定めた雪不帰たちめがけて飛んでいく
佐介の接近に備え、羅刹が前に立ち、雪不帰は
「てゃああああ!」
双方ともに間合いに入ったその時だった
ガキィィイイイン!
「なっ!?」
「残念、惜しかったな。――っ!!」ザシュィン!
「うわっ!?」
そこに割り込むような形でアピスが乱入し、佐介の攻撃を受け止めると
ナイフによる斬撃で佐介を後方に斬り飛ばす
「どういう風の吹き回しですか?」
羅刹がアピスに自分たちを守るような行動をしてきたことに不信感を募らせたような視線を向けながら訪ねる
「別に~。ただあまりに話しが長くて退屈だったんでな。ちょうどいい機会だったから動かさせてもらったってだけの話しさ」
アピスはそんな羅刹の問いに対してただ自分が退屈だったから動いただけだと主張していたが、羅刹はそれを聞いても尚、不信感をぬぐえなかった
「それよりもいいのかいつまでもここで油を売っておいて?どうやらそろそろ潮時みたいだぜ?」
おもむろに意味深な言葉を告げながらアピスはある一点を見据える
彼が見据えているのは雪不帰…の後ろだった
ハッとしたように雪不帰が後ろに視線を向けてみる
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
「せ、
するとそこには顔色を悪くし、苦しそうに息をする
「
「お、お
弱弱しいながらも自分を呼ぶ声を聞いて雪不帰は
「…羅刹、アピス。撤退だ。宣戦布告という目的は達したし、何より
「わかりました。そうしましょう」
「まぁ、そうなるわな。了解っと」
羅刹とアピスも特にその決定に異論はないようで雪不帰のその決定に従う
「まっ、待て、逃がさな…っ」
「さ、佐介くん!?しっかりして佐介くん!?」
立ち去ろうとする雪不帰たちを呼び止めようとするも先のアピスの一撃によって限界を迎えた佐介は力尽きて気を失ってしまった
「雪不帰様、
「待ってくれ!」
直後、月光と閃光が雪不帰たちの元に駆け寄ろうとする
「ーーっ!!」
「「っ!?」」
しかしあと少しの距離まで近づいた瞬間、羅刹が2人の足元の地面めがけて牽制するように攻撃を放つ
それにより地面に大きな傷跡のような裂け目ができていた
驚愕しながらも月光と閃光が視線を向けるとそこにはこちらを冷たい視線で見つめる雪不帰の姿があった
彼女の視線を前に2人は言葉が出なかった
たじろぐ月光と閃光を一瞥し終えると雪不帰は再び歩いて行ってしまった
「「…っ」」
2人はそれを見て呆然となり、月光に至ってはショックのあまりその場に跪いていた
「お~お~、どうしたどうしたそんな悲しい顔して~?」
「…あっ、アピス」
「アピス…さん?」
するとそんな2人に近づいてきたのはアピスだった
「そう落ち込むな、お前らは俺たちのためによく働いてくれた。感謝しているぜ、ただ、これからの計画を進めるためには今のお前たちでは役不足ッてこった」
「役……不足……」
フォローしているようでその実、月光が閃光が秘密を明かした自分たちにとってはいても邪魔なだけであることをハッキリと告げる
「さてと、グズグズしていたらおいていかれちまうからな。ここいらでお暇するとしますかね」
先に行ってしまっている雪不帰たちを追いかけようとその場を後にしようとする
「まちな」
「ん~?」
その時、呼び止める声を聞いたアピスがくるりと振り返る
シャリリリリリリリ!!
「っ――!?」カキィィン!
刹那、自分めがけてチェーンが飛んできた
咄嗟にナイフでそれを弾き帰した
視線の先には自分を見据える疾風とかぐらがいた
「おいおい、危ねえじゃねぇかよ、なんだ俺に何か用でもあるのか?」
「うん。あるよ」
自分に対して攻撃してきた2人を見てアピスが問うとかぐらが応える
「どうにもテメェからはあの嬢ちゃんたちとは別のきな臭さを感じるんでな、ちょっとちょっかいをかけさせてもらった」
「君はいったい何者なのかな?”何を企んでいる”のかな?」
かぐらもまたアピスに質問を投げかける
彼が羅刹同様に人語を返す妖魔であることは分かっている
だが、かぐらと疾風はアピスに対して今まで会ったどの妖魔ともどこか異なるものを直感的に感じていた
「そんな質問に素直に答えるような奴に見えるか俺が?」
「ふぅん。そんなこと言われなくても分かってる。鳴かぬなら…鳴かせて見せようホトトギスってな!」
シャリリリリリリリ!!
疾風がそう言い放つと同時にチェーンを繰り出し、ディラに攻撃を繰り出した
「――っ!!」シュィン!
「っ!?」
しかしチェーンが届く直前にアピスが消えた
≪「残念だが今日はもうここまでだ。続きはまた今度にしようぜ。じゃあなcheerio~♪」≫
その声を最後にアピスの気配はこの場から消え去ってしまうのだった
「っち」
「あらら、逃げられちゃったね?」
「みたいだな。すまねぇかぐら」
「ううん、気にしないでいよ」
捉えようとしたが逃げられてしまった事に申し訳なさを感じる疾風にかぐらは問題ないとフォローを入れた
思わぬ形でシノビマスターズが終わりを迎えてしばらくのことだった
「ん…んん…?」
「目が覚めた、かつ姉?」
「飛鳥、それに佐介も…」
葛城が意識を取り戻した
「すみませんかつ姉さん。助けに来るのが遅くなってしまって」
「へへへ、まったくだ。こんなんじゃセクハラもできないしな」
「うふふ、もうかつ姉ったらw」
いつもの調子を見せる葛城を見て佐介と飛鳥、さらには彼女より先に助け出されていた斑鳩たちもホッとしている様子だった
「飛鳥さんと佐介さんは大丈夫ですか?特に佐介さんのほうはさっきまで意識を失っていたと聞きましたが?」
「これくらい大丈夫です。皆さんが無事なら」
斑鳩が心配そうに尋ねてきたのでそれに対して佐介は心配いらないと言っていた
「でも本当によかったよ。みんなが攫われたって知って私…」
「…な~にしょぼくれてんだよ♪」モニュ
「きゃあっ!?ちょ、かつ姉//!?」
しょぼんとした顔を浮かべている飛鳥に葛城がセクハラをしてきた
「ん~、暗い顔してるくせにおっぱいの調子は相変わらずだな~♪」
「何言ってるの///!?」
「ちょ、ちょちょ、ちょか、かつ、かつ姉さん何をして、そそそそ、そんなの見せられたら僕…――ブゥゥゥゥゥっ///!?」
「きゃぁぁぁ!大変!佐介くんが鼻血吹いて倒れた!?」
セクハラされている飛鳥を見て羞恥心で顔を真っ赤にした佐介が鼻血を出して倒れるのだった
「まったく、あいつらときたら」
「しゃあねぇって、いつものことだしな」
「でも、よかったですね。佐介くんも飛鳥さんも」
半蔵学院の面々のいつものやり取りを光牙たちは近くで見守っているのだった