いろいろな騒動があったものの紆余曲折を経てアスタと麗王たちは友好関係を築くことができた
アスタを学園に迎えてから早翌日を迎えていた
今、そのアスタは麗王たちと共に朝食に興じていた
「…さて、大分話しが脱線してしまいましたね…アスタさん。そろそろ教えていただけますでしょうか。あなたがこの星に来た目的を」
「――っ」
食事をひと段落させた麗王がアスタにこの地球にやってきた理由を尋ねる
「……そうだね、麗王たちには世話になったしいろいろ迷惑もかけちゃったからね、話すよ」
麗王からの問いに対して少し考えたメイは意を決して麗王たちに話す意を示す
「そうですか。ではお願いします」
「うん……そもそも自分がこの星に来たのは厳密には”偶然が重なったから”なんだ」
「偶然が…どういうことだ?」
話しの最中にアスタが気になるワードを言ってきたことに気づいた紅葉がそれについて尋ねる
「自分はとある任務を受けてある「危険な物」の護送を行っていた。けれどその道中に小型の隕石に衝突してしまったんだ」
「隕石に?」
「あぁ、しかも間の悪いことに隕石にぶつかった際にワープドライブ機能が誤作動を起こしてしまったために宇宙船がワープしちゃって、それで時空の壁を抜けた際に墜落してしまったのがこの星だったということなんだ」
アスタは自分がこの星に来た経緯を麗王たちに告げた
「そうだったんですね。だとしたらアスタさんが無事だったことは不幸中の幸いでしたわ」
「確かに助かった。特に麗王たちのおかげもあって十分に手当て設けられたし、久方ぶりにほっぺが落ちそうなくらい美味しいごはんも食べれたし」
助けられたことや食事をくれたことにアスタが感謝の意を告げ、麗王たちもいいことをしたという思いになった
「…けれど、事態はそううかうかしていられないことになってしまっているのも事実なんだ」
急に思いつめたような顔を浮かべるアスタに麗王たちは困惑する
「うかうかしていられない?どういうことですかアスタさん?」
「さっき「危険な物」について話したよね?どうやらこの星に落下した際にそれが逃げてしまったんだ」
「「「「「――っ!?」」」」」
「な、なんですって!?」
危険な物が逃げたという危ないワードを口にされ、麗王たちは驚愕する
「できる限り早くあれを見つけなければ、でないと……大変なことになる」
切羽詰まったような顔が麗王たちに更なる不安感を与えるのだった
時刻は昼の少し前にまで流れた
「んしょ…――っ」ガチャガチャ
森の中に墜落したままの宇宙船の中が何やら騒がしかった
音の原因はアスタが宇宙船の修理を行っているからだ
せっせっとレンチやドライバーを手にアスタは宇宙船の修理に専念していた
「…よし、ここはOKだな」
アスタは今修理を行っていた個所が終わって寝そべっていた身を起こした
「メモリー、状況はどうなっている?」
半身を起こすとアスタは一緒に宇宙船の修理を行っている端末のメモリーに確認を取る
<『はい、マスター。現在、宇宙船の修理状況は約20%ほどと行ったところです』>
「20%か…まだまだだな」
メモリーから現在を聞かされてアスタは少々がっかりした様子を見せていた
しかしながらこれまでの経緯を考えるとそれも当然であると理解もしているため
何も言えないというのが悔しいところであった
「もし、アスタさーん?」
「んっ?」
するとそんな最中のこと、落ち込んでいる自分を呼ぶ声が聞こえてきたことにアスタは気づいた
声は宇宙船の外からだった
「調子はどうだ?」
「あぁ、紅葉に玉響か。見ての通りまだまだかかるようなんだ」
「まぁ、それは大変ですね?」
「そうなんだよね…一応、いち早く認識阻害の機能は復旧させたから大きな事態にはならずに済んでるからそこだけは不幸中の幸いってところかな」
進捗状況を聞いてきた紅葉と玉響にアスタはまだまだかかることに頭を抱えている様子だった
しかしながら麗王たちの協力に加えて、認識阻害の機能だけはいち早く回復させたことにより
今現時点で彼女たち以外で宇宙船の存在は漏れてはいなかった
「ところで2人ともどうしたんだい?」
「おっと忘れるところだった」
「そろそろお昼ですので昼食を持って参りました。まだかかるかなと思っていましたが持ってきて正解でしたね」パカッ
「おぉ、ありがたい。丁度小腹が減っていた頃だったんだ」キラン!
玉響が手に持っていたバスケットを差し出し、中を開くとそこにはこの場にいる全員分あるだろうサンドイッチが入っていた
中に入っている様々な具材のサンドイッチを目にしたアスタは目を輝かせ、食欲を沸き立たせていた
「さぁ、ひとまず食事にしよう」
「うん!そうだね!」
紅葉に促されるようにアスタは宇宙船の修理を一時中断して2人と一緒に持ってきてもらったサンドイッチを頂くことにしたのだった
それから数分後…
「ふぅ~…食べた食べた。ごちそうさまだよ」
「うむ、確かにすごく美味かったな」
「うふふ、お粗末様です」
サンドイッチを食べ終えた3人はお腹を満たした幸福感に包まれていた
「ところでアスタ、この後の予定はあるのか?」
「この後?いや、とりあえずは修理のほうは後で再開するけど今のところはこれと言っては」
紅葉がアスタにこれからの予定を尋ねると特にないことを告げる
「でしたら良ければ私たちとこれから街に赴きませんか?」
「街に?」
「はい」
「せっかくだし地球の街とかがどんな感じなのかを見せてやろうと思ってな」
予定がないと知って紅葉と玉響がアスタを街に誘う
「地球の街か…確かに興味はあるね、よし分かった。ぜひ連れてってくれ」
地球の街がどんなものか気になったアスタが2人の提案を受け入れる
「よし、決まりだ。じゃあ準備してくるからそれが終わったら一緒に行こう」
「アスタさんに地球の良さを存分に見せて差し上げますわ♪」
「2人とも…ふふっ、ありがとう」
自分と一緒にお出かけすることをこんなにも喜んでいる紅葉と玉響の様子にアスタはなんだか嬉しさを感じるのだった
こうして3人で出かけることになアスタたちはその後、準備を整えた紅葉と玉響とともに街に繰り出していた
「うわ~、すごいな?地球人がいっぱいだ!」
「それはそうだろう、ここは街なんだから」
街について早々にアスタはびっくり仰天と言った顔を浮かべた
「では早速参りましょう。アスタさん、ついてきてくださいな」
「うん。わかったよ」
紅葉と玉響にエスコートされながらアスタは街に赴いた
アスタは紅葉と玉響の案内を受けながらいろんなところを見回っていった
ファミレスやゲームセンターなどに訪れ、うまいものを食べ、娯楽を満喫していった
しばらくして街を回っていった3人が次に訪れたのはとあるデパートにきていた
ッサァアアア!
そこにある洋服店のカーテンがスライドする
「「おー!!」」
直後、紅葉と玉響の驚きの声が響く
「ど、どうかな2人とも?」
カーテンが開き、そこから現れたのはお洒落なファッションに身を包んだアスタの姿だった
「素敵ですよアスタさん、とても似合っております」
「そ、そうかな?なんか照れるな///」
率直に自身の恰好を褒めてくれる玉響にアスタは照れくさそうな顔を浮かべる
「うん、馬子にも衣裳と言ったところかな!」
「ちょ、紅葉さん!?」
紅葉の失礼だと玉響が咎めるなど3人は楽しい一時を満喫していった
「あ~む…むぅ!うわ~、なんだこれ、甘くておいしい!!」
「そうか。それは何よりだ」
デパートを後にした3人は近くにあったアイスクリーム店に赴いてそれを食していた
初めて食べるアイスにアスタもご満悦のようだった
「次どこ行こうか?」
「う~ん、そうですね?アスタさんはどこか行きたいところとかございます?」
「2人が連れてってくれるならどこでもいいよ♪」
「いやそれ一番困るやつだから!?」
他愛ない話しで盛り上がり、3人は街を謳歌していた
そんな時だった
「おや?」
「どうしたタマ?」
「お二人ともあれを見てください」
「「――っ?」」
何かに気づいた玉響が指を刺した方を見ると何やら人だかりができているようだった
気になった3人が人だかりのほうに向かう
「もし、一体何があったんですか?」
「なんでも突然人が倒れたみたいよ?」
「まぁ~?」
「それは大変だな?」
近くにいた人から話を聞いてみるとどうやら人が倒れているとの話しだった
「うわぁああああ!?」
「「「「きゃぁああああ!?」」」」
「「――っ!?」」
「な、なんだ!?」
するとその直後、人混みから悲鳴がこだました
さらにそれからすぐに人混みが逆走し、激流の如く逃げる人の波が発生する
アスタたちは巻き込まれながらもなんとか踏みとどまり
やがて人混みの波の勢いが収まり、アスタたちの視界にその先の光景が映りこむ
「「「――っ!?」」」
そうしてアスタたちがそこで驚愕の光景だった
「やめろ!離せ「ガブッツ!!」ぎゃぁあああ!?」
彼らの視界に映ったのは男の人がもう一人の男に襲われている場面だったのだ