楽しい買い物の途中でアスタたちは宇宙船から逃げ出した寄生生命体「PX」と交戦する
しかしあと一歩のところで取り逃がしてしまい、やむなく学校へと帰還することにしたのだった
そうして今、3人は麗王たちに街であったことの顛末を説明していた
「…なるほど、それは災難でしたね?」
「あぁ、まったくだ」
「よもや買い物に行った先であのようなことになるとは思いもよりませんでした」
事情を聴いた麗王が3人に労いの言葉をかけ、それに対して紅葉と玉響がそれぞれの思いを口にした
「それにしてもまさかアスタさんの宇宙船から逃げ出した怪物が街に現れるだなんて」
「しかも人に寄生して人を襲ったんでしょ?どこぞのSF映画みたいなことが実際に起こるとはね~?」
話しを聞いていた銀嶺と黒母衣は街に危険な生物が人に寄生して暴れたということを知り驚愕する
「…――っ!」
「「「「――っ!?」」」」
するとその直後、唐突にアスタが部屋から出ようとする
「お、お待ちなさいアスタさん!」
「―っ」ピクッ
出口に後わずかなところまで来たタイミングで麗王が急いで声をかけた
「どこに行かれるというのですか?よもや1人で行こうとしている訳ではありませんよね?」
麗王は冷静に且つ確信を突くようにアスタに問いかける
「…みんなには申し訳ないと思っている。もとはと言えばこうなった原因を作ったのは自分だ。あの時自分が不注意さえ起こさなければ宇宙船が墜落することもなく、奴も逃げ出すこともなく、この星に迷惑をかけることもなかったんだ」
自分が不甲斐ないと後悔の念に駆られながら拳を握りしめるアスタの姿に皆はどう言葉をかければいいのかと判断に困っていた
「…これ以上の被害を出さないためにも一刻も早くあいつを捕獲、または抹殺しなければいけない。だからここからは自分が1人で行う」
「「「「「「――っ!?」」」」」」
アスタが麗王たちに自分一人でPXを追いかけると言ってきた
予想した通りの回答が帰ってきたことに皆が驚きに包まれる
「やはりそう来ますか…ですがそれは聞き入れられませんね」
「なぜだ?本来ならばこれはみんなには関係ないことだ。自分はこれ以上みんなに迷惑をかけたくないんだよ!」
これ以上自分のごたごたに世話になったみんなを巻き込みたくないのだと主張するアスタだったが
それを麗王たちは頑なに拒むので分かってくれない皆にアスタは困り果ててしまう
「…アスタ」
「紅葉?」
するとその最中、沈黙を破るかのようにアスタに声をかけたのは紅葉だった
「確かに本当ならこれはアスタの問題で私たちが口を挟むのは筋違いなのかもしれない…けれど思い詰めた人を放っておけるほど私は辛抱強くないんだ。それにこうして知り合えて仲良くなった仲なんだ。困っているなら力になりたい」
「…っ」
紅葉はアスタに自分一人で抱えてほしくないこと、困っているのであれば力を貸させてほしいと懇願してきた
「そうですね、その通りです。私も紅葉さんの意見に賛同します」
「タマ?」
「玉響」
さらに紅葉に続くようにして玉響が会話に入ってきた
「アスタさんと出会って早数日、一緒に過ごしていろんな話を聞かせてもらったり、お出かけをした仲です。だからこそ私たちはそんな友人であるアスタさんの力になりたいと思うのです」
玉響もまたこの数日間であったアスタとの出来事を思い返し、友となった彼に力を貸したいと告げる
「だからどうか自分の問題だから私たちに関係ないだなんて寂しいことを言わないでください」
自分だけで思い詰めないでほしいと玉響はアスタの手を取り、優しく語りかけるのだった
「――っ」
2人からの懇願に未だ戸惑いを見せるアスタだったが、不意に麗王たちのほうに視線を向けると
彼女たちもまた2人と同じ想いだと言わんばかりに自分に対して笑みを浮かべてくれていた
「…わかった。なら自分からも改めて言わせてほしい……どうか自分にみんなの力を貸してほしい!」ペコリ
アスタは皆の優しさを噛み締めながら自分からも協力を要請する
頭を下げて懇願するアスタと麗王たちの間に数秒が経過した
「…アスタさん、顔をあげてください」
「…っ?」
麗王から声をかけられたアスタが下げていた頭を上げる
するとそこには自分に優しく微笑む麗王たちが目に映る
「私たちを信じてくれてありがとうございます。一緒にこの事態を切り抜けましょう」
「麗王…」
互いに協力し合おうという麗王の言葉にアスタは感謝の念を抱く
「頑張ろうアスタ」
「わたくしたちも頑張りますね」
「紅葉、玉響……ありがとう」
さらに紅葉と玉響も一緒に頑張ると言ってくれたことにアスタは心の底からお礼を述べた
アスタたちと麗王たちによる合同作戦が締結してしばらくの時間が経過した
場所は変わりアスタたちはゾディアック星導会の忍部屋にあるサーバールーム
「――っ!」カタカタカタカタ
「「――っ!」」カタカタカタカタッ
その部屋にて銀嶺と彼女と同じく麗王の元で働くメイド2名とともにキーボードを操作していた
銀嶺とメイド2人はキーボードを操作しつつ、モニターをくまなくチェックしていた
「どうですかギン?対象は発見できそうですか?」
「あぁ、麗王さま。いえそれが…結果は御覧の有様です。街中の監視カメラを駆使してくまなく探してはいるのですが」
対象物であるPXが見つからないことに銀嶺は頭を抱えて困ったような様子を見せていた
「無理もないよ。やつは液体生物だ。伸縮する体を駆使してあちらこちらに逃げ回っているんだと思う」
「…困りましたね、どうしたものでしょう?」
しらみつぶしに探しているのに手がかりが掴めないこの事態を受け、皆困り果ててしまっていた
「…――麗王さまっ!」
「どうかしたのですか?」
すると突然、銀嶺とともに情報を探っていた2人のメイドの内の1人が麗王に声をかけてきた
「こちらをご覧ください」
そういうとメイドの1人がキーボードを操作し、モニターに映像を映す
モニターに映ったのはとある監視カメラの映像
どこかのとある場所を映しているようでそこにはホームレスらしき人物が外で眠っている様子だった
注意深くアスタたちが目を向けていた時だった
「――これはっ!?」
「「――っ!?」」
不意にアスタたちは映像に映るものを見て驚いた
映っていたのは標的と思われる物体がホームレスの寝込みを襲い
抵抗をさせる暇もなくホームレスの身体を乗っ取り、そのままカメラの範囲外に消えてしまった様子だった
「まずい。奴め、また人間に寄生を!?」
「このままではいけません、わたくしたちも行動に移りましょう」
「あぁ――っ!」
PXが再び動き出したことを知り、アスタたちもまた動き出すのだった