閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第三十章 自分たちも同じだったかもしれない可能性

月閃女学館との決戦に望むべく絶・秘伝忍法を習得せんとする佐介たち

 

 

しかし仲間たちが次々と秘伝忍法を習得する中、光牙と対峙している佐介は習得しようにもできずにいた

 

 

その焦りの影響か佐介はいつものような動きができず、光牙にやられっぱなしの状況に追いやられた

 

 

だが、そんな佐介を見かねた光牙の一喝が佐介に見失いかけていた自分の本当の気持ちを思い出させ

 

 

それにより見事絶・秘伝忍法を習得し、ここに半蔵学院の全員が習得を完了させたのであった

 

 

 

 

 

 

 

これは月閃との決戦日が間近に迫った日の夜のこと

 

 

光牙たちとの修行も順調に進み

 

 

「ふぅ〜…洗い物終わりっと」パッパッ

 

 

いつものように夕食を終えて光牙たちの分もふくめた台所に溜まった皿を洗い終えた佐介は時間も時間なのでエプロンを脱ぎ、部屋に戻ろうと廊下を歩いていた

 

 

そんな時だった

 

 

「っ?」

 

 

ふと前方に目を向けるとそこには庭の戸を開け、座りながら空を見上げる飛鳥がいた

 

 

何を見てるのだろうと気になった佐介は彼女に声をかけることにした

 

 

「…飛鳥ちゃん」

 

 

「あっ、…佐介くん」

 

 

「こんな時間にどうしたの?」

 

 

「あぁうん…ちょっと月を眺めてたの」

 

 

飛鳥の言うとおり空を見上げるとそこには見事な満月が輝いていた

 

 

「たしかに綺麗な月…」ボソッ

 

 

それを見た佐介もまた月の美しさに心奪われた

 

 

「ねぇ佐介くん。となり座らない?」

 

 

「えっ?」

 

 

「少し話しがしたいの…だめ?」

 

 

少し不安そうな顔を浮かべながら飛鳥がお願いしてくる

 

 

「う、ううん。いいよ」

 

 

特にこのあとすることもないので佐介的に断る理由はなかった

 

 

「少し待ってて、今温かい飲みもの持ってきてあげる。何がいい?」

 

 

「じゃあホットココアで」

 

 

「うんわかった」

 

 

そういうと佐介は再び台所へと向かった

 

 

 

 

数分後

 

 

 

 

「はい、飛鳥ちゃん。ホットココアだよ」

 

 

「ありがとう佐介くん」

 

 

佐介の持ってきたホットココアを受け取り、飛鳥はそれを一口啜った

 

 

「はふ〜♪」

 

 

冬の夜の寒い風に当たる体にホットココアの温かさが全身に染み渡っていくかのようだった

 

 

そんな飛鳥の喜ぶ顔を見て小さく笑みを浮かべながら佐介も自分の入れたホットココアを一口啜る

 

 

「とうとうここまで来たんだね」

 

 

「っ?」

 

 

「あの日、雪泉ちゃんたちが攻めて来た時、私たちやられっぱなしだった」

 

 

「……」

 

 

言われてみれば確かにそうだ

 

 

自分も紫苑と戦い、全力を尽くした

 

 

…だが、結果は実質的な敗北

 

 

挙句、紫苑たちの気まぐれによって生きながらえた

 

 

「私、悔しかった…今までの努力が無意味だったの?って思うほど歯がたたなった」

 

 

飛鳥はそのことを思い出すたびにカップを持つ手に力がこもる

 

 

そんな飛鳥を見て佐介は慰めるかのように頭を撫でて上げると

 

 

少し気が落ち着いたように力んでいた力が弱まり

 

 

肩の力も抜けた飛鳥は流れのままに身体を佐介に預けた

 

 

佐介は自分に寄りかかる飛鳥の頭を再度撫でてあげた

 

 

飛鳥も佐介に頭を撫でてもらえてとても心地よい思いだった

 

 

「飛鳥ちゃんの気持ち、僕もよくわかるよ」

 

 

自分も紫苑に勝つことができなかったことが悔しかった

 

 

彼の前では自分の攻撃は全く通らなかった

 

 

さらにこの戦いで傷ついた飛鳥たちを守らんとして傷ついた身体に鞭を打ち月閃に挑んだ時も

 

 

紫苑との戦いのダメージが残っていたとは言え月閃の他のメンバーにも苦戦を余儀なくされ

 

 

挙句の果てには大ピンチにまで追い込まれ、飛鳥たちが助けに来てくれなければ今頃自分はここにはいなかっただろう

 

 

「でも、もう僕たちはあの時とは違う。みんな努力してより強くなれた。そして僕たちを高みに導いてくれた光牙くんたちの思いを無駄にしない為にも次こそは負けない」

 

 

「うん。私も頑張るよ佐介くん!」

 

 

佐介たちの弛まぬ努力と光牙たちの協力のおかげで絶・秘伝忍法を習得することができた

 

 

もしこれで負けてしまえば自分たちの名誉と光牙たちの顔に泥を塗ることになる

 

 

だからこそこの戦いは決して負けられないのだと佐介たちは改めてそれを肝に命じるのたった

 

 

 

 

 

そして少しの間2人は会話を一旦やめて夜空の月を眺め続けていた

 

 

「ねぇ、佐介くん」

 

 

「なにかな?」

 

 

すると、飛鳥が再び佐介に声をかける

 

 

「佐介くんはどう思う月閃の人たちのこと?」

 

「……正直、まだ僕にもわからないんだ」

 

 

今度の問いは月閃のメンバーたちについてだった

 

 

そのことに関してはやはり佐介も思うところはあった

 

 

紫苑たち月閃のメンバーたちはやり方こそ過激ではあるものの

 

 

正義を信じ、人々が平和で暮らせる世界を作りたいという彼らの思いもまた真実

 

 

考え方の違いがこれほどの対立を生んでいる、それを考えるとやはり複雑な気持ちにならざる終えなかった

 

 

「私ね、思うんだ…私たちも今がなかったら、私たちも雪泉ちゃんたちと同じことを考えてたんじゃないかなって」

 

 

「えっ?」

 

 

昔の自分たちと月閃のメンバーたちが似ているという飛鳥の私的に思わず声を上げる

 

 

「焔ちゃんたちに出会うまでは私も悪忍のことをただ敵としか見てなかった…でも焔ちゃんたちと言葉をかわし、刃を交えることで少しずつ焔ちゃんたちのことを知れた」

 

 

「……」

 

 

飛鳥の言うことに佐介は共感した

 

 

自分とて最初は光牙のことをただ敵としか見てなかった

 

 

しかし、全力でぶつかり、関わりを持つたびにそれまでの悪忍に対するイメージは変わっていったのだから

 

 

仮に出会い、拳を交えた悪忍が光牙たちのような人たちでなければ

 

 

自分たちもまた今の月閃のように悪をこの世界から消し去ろうと言う強行に走りかねなかっただろうと今ならそう思えた

 

 

「だから私、雪泉ちゃんたちに伝えたい、悪忍だからって理由だけで倒そうとするなんて間違ってるって!」

 

 

「うんそうだね…その通りだよ飛鳥ちゃん!悪忍にだって分かり合える人がいるってことを教えてあげないとね」

 

 

かつては敵として合間見えた光牙や焔たちとも思いをぶつけあうことで分かり合えた

 

 

今では良きライバルであり、良き友であり、良き理解者になれた

 

 

彼らと向き合い、彼らのことを知ったからこそこの繋がりは生まれたのだから

 

 

「だからこそ僕たちが今すべきはこの戦いを通して紫苑さんたちに伝えること」

 

 

「うん」

 

 

「頑張ろう飛鳥ちゃん。僕たちの力で紫苑さんたちに語りかけるんだ。何があっても諦めずに」

 

 

「大丈夫、私たちならきっとできるよ!」

 

 

月閃を間違った道から救い出すために、この世界の誰もが笑顔でいられるように佐介たちは紫苑たちとの決戦に望むことを誓い合うのだった

 

 

 

 

 

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