時は紅葉の呼びかけを受けた麗王と玉響がPXと交戦を始めだした時に遡る
その時、アスタは精神を集中させ、己の持つ力を引き出そうとしていた
「――っ」
瞑想による精神統一によって少しずつ力が高まり始めていく
「(いいぞ。もっと、もっとだ。もっと精神を集中させなければ!)」
身体の底から沸き上がり始める力を感じ、それを今以上にあげようとする
しかしそう思っていたのも束の間、最初こそ順調に思えていた力の高まりが徐々に鈍くなっていった
「(く、くそっ…まだ、まだこんな程度じゃダメだっていうのに!?)」
序盤こそ上手くいっていたがだけに鈍り始める力の高まりに業を煮やし始める
「(早く、早くしないと、このままじゃみんなが!?)」アセアセ
さらには麗王たちがPXと戦っていることも相まってアスタの心に徐々に焦りが見え始める
《『そんなに焦っていては成そうとしていることも満足にできはしないよ?』》
「――っ!?」ピクッ
その最中、アスタの心に声が響く
「(この声は…まさか!?)」
聞き覚えのある声に反応した瞬間、いつの間にかアスタの意識は精神空間に入っていた
何もない真っ暗な空間を見回していた時のことだった
《『アスタ』》
「――っ!」
背後から自分の名を呼ぶ声と共に真っ暗な空間に一筋の光が差し込む
眩き輝きを放つ光が徐々に形を織り成し、やがてそれは1人の人物に変わる
「
その人物の姿を見るやアスタはマスターと呼ぶと共に駆け出し、彼の前に跪く
《『ずいぶんと
すると
『も、申し訳ありません、自分も分かっているつもりなのですが…』
《『…よほどあの子たちのことを助けたいんだね』》
『――っ!』ピクッ
図星を突かれてしょぼんとするアスタに
《『君にとって彼女たちはそれほど守りたい存在なのかい?』》
この星に来て紅葉と玉響との出会いから始まり、麗王たちと知り合い、彼女たちと楽しい日々を送ることができた
『……はい、そうです。まだ出会って間もない関係ではありますが、自分にとってはあなた以来の大切に思える存在と自負しております。だからこそ失いたくない、もう"あなたを失った時"のような悲劇を繰り返したくはないんです!』
アスタは自分の思いを包み隠さず自分の思いを伝える
《『迷いのない澄んだ瞳だね。その思いがあればきっと大丈夫だ。自分を信じなさい、そして
『あっ、
光の向こうに消えようとする
「――っ!?」バッ!
次の瞬間、我に帰ったアスタが目を見開くとそこはもう精神世界ではなかった
既にアスタの意識は現実世界に戻ってきていた
未だ思考がぼーっとしかけている時だった
ドスゥウウウウウウウン!!
直後、少し離れた場所の方から轟音と振動が起こる
「「「――っ!?」」」
振動の発生源は麗王たちが吹き飛ばされ、地面に倒れる音だった
「みんな!?」
麗王たちのやられる姿にアスタも驚きを隠せない
【「グルルルルルッ!」】ドスン、ドスン!
さらに向かい側の土煙の中からPXが風格を見せるかの如く現れる
3人は既にかなりボロボロで満身創痍な状態だった
【「…――ッツ!!」】シュルル!シャキン!!
するとその直後、PXは自身の身体を脈動させるとともに背中から触手を発生させる
そして触手の先端を鋭利な形に尖らせる
【「――ッツ!」】プシュシュシュシュシュシュ!!
間髪入れず、PXが先を尖らせた触手の先端を銃弾のように飛ばし、麗王たちを攻撃してきた
「うううっ!?」
「ぬぅううう!?」
「いやぁああっ!?」
飛んできた触手の先端たちが麗王たちの身を傷つけていく
「みんな!?」
このままではまずいとアスタの心がざわつく
「(
麗王たちを助けたいと言う思いを抱き、アスタが手を伸ばし、念を込めた
その時だった
ピタッ
「「「…っ?」」」
【「ッツ!?」】
突如として麗王たちを襲っていた針の動きが止まる
どうしたことかと麗王たちが視線を向けてみた
「っ!!」
「あっ」
「「アスタさん!?」」
するとそこには必死の形相で手をかざすアスタの姿があった
【「グルッ!?」】
麗王たちの視線を辿り、PXも視線をアスタに向け、動揺している様子を見せていた
「…ふん!」
その直後のこと、アスタがかざしていた手をPXに向けて薙ぎ払うようように振るった瞬間だった
先ほどまでぴくりと止まって動かなかった針たちがあろうかとかそれを放ったPXに向かっていく
【「ッツ!?」】
自らが放った技にPXが苦しめられて行った
「麗王、紅葉、玉響!」
「アスタ!」
未だ状況が飲み込めていない麗王たちの元にアスタか駆けつけてきた
「みんな無事?」
「それはこっちのセリフだ。そっちこそ大丈夫なのか?私を庇ったせいでPXにやられたと思ってたのに」
安否を尋ねると逆に紅葉のほうに心配をされてしまう
自分を庇ったせいで痛い思いをさせてしまったと紅葉はとても申し訳なさそうな顔を浮かべていた
「紅葉、そんな顔をしないで。自分はこの通りだから、ねっ?」
「…アスタ」
落ち込む紅葉にアスタは優しい言葉を送り、彼女を励ました
「それにみんなには感謝しているんだ。おかげで自分は力を手にすることができた。今ならなんとかできそうな気がするんだ」
みんなを助けたいという思いが力となっていると告げ、感謝の意を示す
そうしてアスタはくるりと身を反転させるとともに前方にいるPXを見据える
【「グルルルルルルル!」】
PXのほうも自分のことを睨みつけている
「待たせたなPX。でももうそれもここまでだ。今日こそお前との因縁を断ち切る!」
アスタはブレードを突きつけながらこの戦いで全てを終わらせることを宣言するのだった