力《スピリチュア》を自分の物にしたアスタだが乱心し、力でねじ伏せようとするPXに襲われる
「「「――っ!?」」」
【「グァアアアア!!」】
片や力で、片や搦め手でPXが3人を苦しめる
「秘伝忍法、【ZDグラデーション】!!」バッ!
シュン!シャキキキキキン!…ズシュゥウッ!!
【「――ッツ!?」】
しかしその最中、唯一難を逃れていた麗王が連続の斬りで触手たちを切り捨て紅葉と玉響を救う
「次です!今度はわたくしがアスタさんをお助けする番です!」
紅葉と玉響を助けるや麗王が続けて秘伝忍法を発動させる
「秘伝忍法【ライトニングブレード】!!」
獅子座の輝きを纏った剣を麗王が勢いよく振り下ろした
シュィン!ブシャァアアアアアア!!
【「ギュアアアアアアアアアッ!?」】
次の瞬間、麗王の振り下ろした斬撃がアスタを襲うPXの両腕を一刀両断した
腕を斬り裂かれ、そこから溢れ出る液状の物はまるで鮮血の如き勢いで吹き出てきた
「まだです。はぁああああ!!」
ザシュシュシュシュシュシュ!!
【「グギャァアアアアアアア!?」】
さらに麗王はダメ押しと言わんばかりに追撃の連撃を繰り出し、PXに更なる傷をつけた
「今ですアスタさん。今なら奴を倒せるはずです!」
「…――っ!」
PXにダメージを与えると麗王が呼びかけ、その声に反応したアスタが即座に身構える
「ふぅううううん!!」ギュゥウウン!
全身に力を込めながらアスタが力を集中させ、それを自身が手に持つセイバーに集約させる
するとそれに好悪するかのように展開されている光刃の刀身が太く、そして高威力なものになっていった
「…はぁああっ!!」バッ!
光刃を構え、アスタが勢いよく飛び込んでいく
「たぁああああ!!」
【「――ッツ!?」】
そして間合いを詰めると同時にアスタが光刃を先ほどの麗王と同様に目にもとまらぬ速さで振るい、PXの身体を斬り裂いていく
「これで、終わりだ!【セイバー・オブ・ドライブ】!!」
ズシュシュシュシュシュシュシュシュ!!ビュォオオオオオオオオオオオ!!
何数回にも及ぶ斬りつけを行うとともに最後に切り下ろす斬撃に刀身に溜め込んでいた力《スピリチュア》を直線状に波動として発生させる
【「グ、ググ、グゥウオオオオオオオオオオオオオ!?」】
斬撃と波動による怒涛の攻撃がPXに炸裂する
【「グググググッ!グゥウウウウ!!」】シュルルル!プシュゥウウウウ!!
アスタの攻撃が炸裂する最中のこと、消滅寸前まで陥っていくPXは最後の力を振り絞り一本の触手を生成するとそれを飛ばしてきた
バリィイイイン!ズシャァア!
「――っ!?」
その触手による一撃によりアスタが右耳部分を掠め、そこから鮮血が溢れ出る
「う、うぉおおおおおおおおおおお!!」
だが、アスタはそんなことで怯むことはなかった
痛みを感じつつも最後のこの一撃に全てを賭け、己の持つ全てをぶつける
【「ギュ、ギュアァアアアアアアアア!?」】
アスタの思いに好悪するかのように直線状に放たれた波動が輝きと威力を増し、PXはその勢いに飲み込まれる
キュピン!ドドオオオオオオオオオオオン!!
刹那、波動に飲み込まれたPXが爆発四散し、アスタもまたそれに飲み込まれてしまった
「「「アスタ(さん)!?」」」
爆発に巻き込まれるアスタを目にした麗王たちが慌てて近くまで駆けつける
メラメラと立ち込める火柱の熱気を浴びながらも麗王たちはこの中に飲み込まれているであろうアスタを必死に探した
「あっ、お二人とも見てください!」
「「っ?」」
するとその時、何かに気づいた玉響が見つけた先を指差す
彼女が指差した先を目を凝らして見ていた時だった
火柱の中から抜け出てくる人影があった
その全貌を目にした途端、3人は喜びに満ちた顔を浮かべる
「「「アスタ(さん)!!」」」
「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…」
紛れもなくその人影は傷つき、ボロボロにならながらも両足でしっかりと地を踏み締めているアスタの姿だったのだ
麗王たちは急ぎアスタの元に駆けつける
「やったなアスタ!」
「お見事でしたよ!」
辿り着くや紅葉と玉響が称賛の言葉を送るとアスタも辛そうな顔を浮かべつつも彼女たちに笑みを向ける
「ナンミ、ヨタッヤ」
「「えっ?」」
「…ッ!?」
「あ、アスタさん?」
アスタが言葉をかけるも、その直後に全員が異変に気づいた
その言葉は麗王たちの知る言葉ではなく、出会った当初の頃のアスタの種族の言語になっていたからだ
いったいどうして戻ってしまったのかと皆が困惑する
「……あっ、あぁぁっ!!」
「どうしました紅葉さん?」
すると今度は紅葉が何かに気づいた様子でアスタの方を指差す
「あ、アスタお前翻訳機が!?」
「「「っ!?」」」
紅葉の指摘にアスタと麗王たちが急ぎ確認してみると確かに右耳につけていた翻訳機が壊れてしまっていた
「こっ、これは…いったいどうして?」
なぜ翻訳機が壊れてしまったのかと疑問を浮かべる
「…ダキトノア」
アスタはその話しを聞いて思い当たる節があった
それは最後の一撃を繰り出した際のこと
渾身の一撃を放つ中、最後の抵抗を試みたPXの触手による攻撃が自身の耳を掠めたことをアスタが思い出す
あの攻撃によって翻訳機も破壊されてしまったのだと状況を把握する
「そ、そうだったんですか」
「せっかく勝ったというのに」
PXを倒して皆で喜べると思った矢先、こんな事態になってしまった
麗王たちではアスタの言葉が理解できないため、喜び合おうにも喜べないと言ったなんとも煮え切らない状況に陥る
「……ミ、ミン…ナ」
「「「…っ?」」」
するとその時、片言ではあるものの自分たちの知る言葉を聞き
驚きつつも麗王たちはその言葉を発したアスタに一斉に視線を向ける
「…ア、アリガ…トウ…」
「「「……っ!?」」」
その時、麗王たちは言葉を失う
アスタは片言ながらに自分たちの知る感謝の言葉を送ってくれた
「アスタ…その言葉は」
紅葉と玉響はアスタの放った言葉にハッとする
彼の発した言葉はどれも自分たちが教えたものだったのだ
片言で辿々しいながらもアスタはこの星で覚えた言葉で麗王たちに感謝を伝えたのだ
「…ふっ、ふふふっ。私たちはなんて浅はかなんだろうな?」
「えぇ、そうです。そうですよね」
「喜びを分かち合うのに言語の壁なんて必要はない、ただ笑い合えばいいだけだと言うことを忘れてました」
紅葉たちはアスタの言葉で自分たちが愚かしいことをしてしまっていたと悔い改める
「そうと決まれば仕切り直しだ!私たちはとうとう奴を倒すことが出来たんだ!」
「はい、わたくしたちの勝利ですね!」
改めて紅葉と玉響を中心にアスタたちはこの勝利を皆で分かち合うのだった