些細な一悶着を何事もなく終わらせた2組は路地裏の闇の中に消えた後
路地裏を抜け、人気のない場所を転々と移動していた
道を歩く
【「ドウシタ?オレノ顔ニ何カツイテイルノカ?」】
自分に笑みを浮かべている
「いいえ、ただ今日もご主人様は凛々しくて素敵と思っただけでございます」
【「…何ダソレハ?」】
「絡まられていたわたくしを救ってくださった「ご主人様」の勇士に改めて心を奪われてしまいそうになっただけでございますわ」ニッコリ
【「…ヨク分カランナ」】
自分に対してそう告げてくる彼女にご主人様と呼ばれる存在は少々こそばゆい感情を抱いていた
そんな他愛ないやり取りをしながらも道を歩いていた
するとその最中だった
【「……ッ?」】ピクッ
「ご主人様?」
不意にどこからか気配を感じたのか歩みを止める
ローブに隠れた眼だけを動かし、周囲を索敵していく
しかし、その時だった
シュンシュンシュンシュン!!
「――っ!?」
【「……ッ」】
わずか一瞬の間に突如として出現した黒い影が
「あっ、あなたたちは!?」
「「「「「忍結界!!」」」」」
ズゥゥゥゥゥゥゥン!!!
「こ、これは!?」
【「ッ…?」】
隙も生じさせぬ速度で手早く黒い影たちは忍結界を発動させ
その中に
「忍結界?しかもこれは複数の忍が同時に発動させることによって強固なる物とする「多重結界の術」?」
結界の中に閉じ込められてしまった際に
【「……ッ?」】
直後、「ご主人様」が存在が気配を察知した
ポンポンポンポン!!
同時に周囲から煙が発生し、中からは忍たちが出現し、自分たちを取り囲んだ
取り囲んだ忍たちが一斉に武器を手に迫ってくる
「――っ!?」アセアセ
【「…」】スッ
多勢に無勢の勢いに震えを覚えている彼女の前にご主人様と呼ばれる存在が立ち尽くす
「…ご主人様?」
【「俺ノ後ロニイロ」】
「ご主人様…はい」
怯える
「…――っ!!」バッ!
「「「「「――っ!!」」」」」シュシュシュシュン!
そうして沈黙を破り、一人が「ご主人様」に飛びかかると同時に他の者たちも一斉に飛びかかってきた
【「多勢デ攻メル戦法ハ悪クハナイガ…踏ミ込ミガ甘イ!!」】
迫りくる忍たちに向かってローブの下から飛び出したのは巨大な戦斧だった
戦斧を一振りしただけで襲い掛かってきた忍たちを瞬く間に返り討ちにしてしまった
「「――っ!!」」シュシュシュ!
後方に控えていた忍が手にしている手裏剣や苦無などを投げつける
【「――ッツ!」】スッ…キンキンキンッ!
「「――っ!?」」
しかし投げつけられた苦無や手裏剣は「ご主人様」の手の鎧のような籠手型の甲殻によって刃も通らぬまま砕け散った
【「煩ワシイ…フゥン!!」】
ジャキン!!
「「――っ!?」」…ブシャァッ!
まるでうっとおしいコバエを払うかのように「ご主人様」の放った斬撃波が命中すると同時にその忍たちは動体を真っ二つに切り裂かれてしまった
【「…――ッツ!」】
襲い掛かる刺客を切り捨てた「ご主人様」は即座に他の忍たちに向かって行った
「……っ」
そんな「ご主人様」を
真っ二つにされ、肉塊となったそれに思うところがあったのか
「…ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ…」
だが、そんな自身を落ち着かせるように
「(落ち着いて…落ち着きなさい!何を今更怖気づいているの私、
何度も何度も心の中で自分に発破をかけて
「…ご主人様」
そうしてようやく心を落ち着かせた
一方、
「「――っ!!」」シュルルルル!ガシッ!
【「――ッツ?」】グヌヌ
しかし忍側も負けてはおらず鍵付きロープを投げつけ、手に巻き付かせる
ロープを引っかけた忍たちが一斉に引き寄せ、拘束による動きの制限をかけようとしていた
【「無駄ナ足掻キダ……ッツ!!」】グィッ!
「「――っ!?」」グィィーン!
だが、そんなもので動きを封じることはできず、逆に力負けして拘束しているロープごと自分たちが引き寄せられてしまっていた
【「フゥン!!」】
ザシュン!!
「「――っ!?」」ブシャァァァァ!!
そうして引き寄せられた勢いのままに射程内に入ってしまったがゆえに
この忍たちは戦斧によって首を跳ねられてしまい、その残骸は「ご主人様」を追い抜いて
左右後方のそれぞれの地べたに落下し、その周囲の地を真っ赤に染め上げていた
【「他愛ナイナ…サテ」】ギロリ
「「「――っ!?」」」ビクッ
【「…次ハ誰ガ相手ダ?」】ギロリ
自分に挑もうとする相手が誰かとローブ越しの眼光をひからせながら「ご主人様」が忍たちに問いかける
だが、ここまでの戦闘状況を目の当たりにした他の忍たちの腰はすっかり抜けていた
【「…ツマラヌナ」】
この程度で怖気空いている連中を見てつまらなそうに吐息を吐く
「下がれお前ら!」
「「「「「――っ!?」」」」」
【「……ッ?」】
するとその最中、戦闘中のこの場に新たに現れる者の影が近づいていることに気付いた
「そいつはお前らが束になって勝てるような相手じゃねぇよ」
忍の兵という群衆をかき分けるかのようにして何者かが近づいてきた
「よう、旦那。随分な暴れっぷりじゃねぇのこいつら相手にさぞ退屈しただろう?」
徐々にその声は群衆の中を進む度に大きくなっていく
やがて、群衆の中から2人の前に現れたのは口に顎髭を生やした一人の男が現れた
「詫びっていうほどじゃねぇが、次は俺と”遊んじゃくれねぇかな”?」
男は気さくな雰囲気で語りかけると「ご主人様」に勝負を申し出るのだった