閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第三十二章 修行の成果

光牙たちとの修行の末に無事、絶・秘伝忍法を習得した佐介たちは

 

 

学院を訪れた半蔵から月閃女学館、もとい紫苑たちと黒影との関係について語った

 

 

そして彼らがかつて黒影が目指した悪のない世界を作るという理想を叶えるために戦ってきたことを知る

 

 

紫苑たちの過去を知り、佐介たちは彼らに師である黒影と同じ道を歩ませないために

 

 

この戦いに勝利しその行いを止めることを誓う

 

 

学館に到着とともに自分たちを待ち受ける月閃の選抜メンバーたちのもとへ向かい

 

 

佐介もまた自分を待ち受けていた紫苑との決戦へと身を投じるのだった

 

 

 

 

 

 

 

夜の静けさも相まって月閃女学館近くの広場にて紫苑と相対する佐介は身構えるとともに沈黙し、それは紫苑も同じだった

 

 

 

「…行きます!!」

 

 

「っ!」

 

 

先に動いたのは佐介だった

 

 

勢いをつけて飛び出すとともにまっすぐに紫苑に向かっていく

 

 

「はぁぁ!烈風のソナタ!!」

 

 

 

ビュォォォォォォ!

 

 

 

迎え撃つべく紫苑は強風を発生させそれを佐介に向けて放った

 

 

「はっ!!」シュン!

 

 

しかし佐介はそれをジャンプしながらかわす

 

 

そしてそのまま紫苑の頭上まで来ると急降下

 

 

引き絞った拳を勢いよく突きだす

 

 

「クリア・ウォール!!」

 

 

 

ヴゥゥゥゥン!!

 

 

バキィィン!ジジジジジ!

 

 

 

「っ!!」

 

 

だが、その攻撃は紫苑のクリア・ウォールで防がれてしまった

 

 

「くぅっ、やはり硬い!」

 

 

「次はこちらの番です!聖火の夜想曲(ノクターン)!!」

 

 

 

ボォォォォォ!!!

 

 

 

凄まじい炎の渦が佐介を飲み込む

 

 

「……だぁぁぁ!!!」ブォォ!

 

 

しかし、佐介は渦に飲まれた瞬間、全身から気の衝撃はを放ち、それをかき消した

 

 

「ほう、なかなかやりますね。少しは腕を上げたと見えます」

 

 

「褒めてもらえて正直嬉しいです!」

 

 

「……じゃあ、次はどうですかね!水伯の前奏曲(プレリュード)!!」

 

 

次なるは水の攻撃だった。放たれる水はまるで獲物を狙う蛇のごとく佐介を襲う

 

 

「風、火ときて次は水ですか。ですがそれも僕には通じません!!」

 

 

 

シュン!バッシャン!

 

 

 

佐介はこれも同様に迎え撃ち、水柱の先端を吹き飛ばす

 

 

「確かに"さっきまでのは"ね。でも、"次から"はどうかな?」ニヤ

 

 

「っ?」

 

 

紫苑の言ってる意味が分からず、佐介はキョトンとする

 

 

しかし直後、先ほど吹き飛ばした水柱に異変が起こる先端がまるで頭を切ればそこからさらに2本の頭を生やす空想上の生き物『ヒュドラ』のように生えてきた

 

 

「こ、これは!?」

 

 

「ふふっ、これはかつて僕が見た本の話しをヒントに強化させた技。水伯の前奏曲(プレリュード)第二楽章。海蛇(ミドラ)!!」

 

 

先端がまるで頭を切ればそこからさらに2本の頭を生やす空想上の生き物『ヒュドラ』のように生えてきた

 

 

そして双頭となった水柱が再び佐介に向かって襲いかかる

 

 

「ぐっ!!」

 

 

バシュン!バシャァン!

 

 

ギュニュニュニュ~

 

 

「ぬうっ!?」

 

 

襲いかかる上に下手な攻撃では頭を増やしてしまい、ますます不利になることはどこからどう見ても明らかだった

 

 

「さぁどうしました?手も足もでませんか?」

 

 

水柱に苦戦する佐介を高みの見物をするように紫苑は見ていた

 

 

「こうなれば、はぁぁぁぁ!忍・超・(ソウル)転身!」

 

 

拉致があかないと悟った佐介はすかさず極限魂(オーバーソウル)へと転身した

 

 

そんな佐介の変化におかまいなしにと3つの頭となった水柱が迫り来る

 

 

「ふぁぁぁぁぁっ!……たあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

シュンシュンシュシュシュシュン! ババババババババ!!

 

 

 

佐介は極限魂(オーバーソウル)の機動力を生かした怒濤の攻撃を仕掛ける

 

 

再生する暇も与えず攻撃をし続けた結果、ついに水柱は崩壊し、ただの水溜りに変わり果てた

 

 

「…っ!?」

 

 

「はあっ!!」

 

 

そのすぐ後に仕掛けてきた紫苑の攻撃を間一髪のところでよける

 

 

だが、それをよんでいたのか紫苑は瞬時に構えをとり、無数の弾幕を発射する

 

 

「たぁああああ!!!」

 

 

「はあぁぁぁぁ!!!」

 

 

佐介は拳を、紫苑は弾幕を打ち続け互いに一歩も譲らない

 

 

「ぬぅぅ…ぬぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

しかし、徐々に徐々にと佐介のラッシュが紫苑の弾幕を突き抜けていく

 

 

「ぐっ!?」

 

 

「たぁりゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

バシュン!

 

 

 

「はあっ!」ドン!

 

 

「あまい、クリアウォール!!」

 

 

ヴゥゥゥゥン

 

 

間合いに入った佐介に対して紫苑は今までの中でも最高硬度を誇るほどの頑丈なクリアウォールを生成した

 

 

 

バキィィィィィン!ジジジジジ!

 

 

 

「ふふふ、お忘れですか?君は以前、その極限魂(オーバーソウル)を使っても尚僕のクリアウォールを破ることが出来なかったことを!」

 

 

「忘れてなんかいません!…でも、それがなんだって言うんですか!!」

 

 

 

バキバキバキバキバキバキバキ!!ジジジジジ!

 

 

 

佐介は怯むことなく次々と透明で強固な壁にパンチを連打していく

 

 

「何をしようと無駄なあがきです!」

 

 

「たあぁぁぁぁぁぁぁりゃあぁぁぁぁ!!!」

 

 

腕に血がにじむことも厭わず、佐介はただただ一点に全力を注ぐ

 

 

 

 

ピキッ…ピキキキキキ!

 

 

 

「な、なに!?」

 

 

そのかいあってか紫苑のクリアウォールに亀裂が生じていき、それはどんどんと広がる

 

 

「っ、ここだあぁぁぁぁぁ!!」

 

 

この機を逃すまいと佐介は次に放つべく引き絞っていた拳に全神経を集中させ、それを打ち付けた

 

 

 

バリィィィィン!

 

 

 

「ば、馬鹿な!こんなことが!?」

 

 

「チェストォォォォォォ!!!!」バキィィィィィン!

 

 

「っ~~~ぶぁっ!?があぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

行く手を阻む壁を突き破り、佐介の渾身の一発が見事紫苑に命中し、直撃とともに紫苑は口から血を吐き出し大きく後方へと吹き飛ばされ

 

 

その先にあった柱にその身を強く打ち付け、さらにその衝撃で柱が崩れ紫苑はそれに巻き込まれ、煙が晴れるとそこには瓦礫の山だけしか見えなかった

 

 

「ふぅ~…はぁぁ~」

 

 

佐介は勝利を確信し、そのまま一息ついた

 

 

 

 

 

…だが

 

 

 

 

バコォォォォォォォン! ゴロロロロロ

 

 

 

瓦礫の山が消滅するとともにそこには膝まづく紫苑の姿が

 

 

「……ふふ、見事、見事ですよ佐介くん」

 

 

一部始終を見ていた紫苑が佐介に賞賛の声を送る

 

 

「まさか君がここまで強くなっていたとは僕も想定外でしたよ。特に最後の一発は正直やばかったですよ」

 

 

「それを言うなら紫苑さんだって…僕の攻撃が当たる直前に後ろに飛んでパンチの威力を流すとは」

 

 

互いに想像以上の奮闘を見せる両者

 

 

「さて、そろそろ茶番は終わりとしましょう…僕たちにはなさねばならない悲願がある。こんなとこで躓くわけにはいかないのだから!」ゴォォォォ

 

 

「っ!?」

 

 

紫苑の身を包む気配が変わったことを佐介は全身で感じ取った

 

 

そして紫苑は懐から何かを取り出した

 

 

見てみるとそれは何かの宝石のようだった

 

 

「それは?」

 

 

「これは霊石マテリア。この力を使い僕は理想を実現してみせる!」

 

 

「(あの石、凄まじい力を感じる!?)」

 

 

「霊石マテリアよ!その大いなる力を我が理想を叶えるために貸し与えよ!!」

 

 

紫苑が石を天にかざした瞬間、マテリアが光を放つとともに紫苑の身体に入ってしまった

 

 

「ううっ…うぅぅ…うあぁぁぁぁ!!」ギュイィィン!

 

 

そして直後、紫苑が苦しみだした

 

 

「し、紫苑さん!?」

 

 

よく見ると紫苑の身体に文様が浮かび上がっていた

 

 

「く、くる…しい」グヌヌ

 

 

見るからに苦痛にもがき苦しむ姿に佐介はいてもたってもいられなかった

 

 

「紫苑さん!」

 

 

慌てて紫苑のもとに向かうも

 

 

「うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

叫び声を上げるとともに紫苑の体が宙を舞う

 

 

そしてそれに好悪するかのように天候にも異変が起こる

 

 

「これは!?」

 

 

「……ぐうぅ、ぐううぅぅぅぅぅぅ!!!!」

 

 

先ほどよりも日差しが強くなるとともに、あたり一面に雨も降り出し、風が舞い、地震も起こる

 

 

「紫苑さんの身に…いったいなにが?」

 

 

「…っ!!」ギロッ!

 

 

泣き止むとともに俯いていた紫苑が突如佐介を睨み据え、恐ろしい表情を彼に向けるのだった

 

 


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