急用によって動けない半蔵の代わりに頼まれた使いに来た佐介たちは薬品に必要な材料を入手すべくごく一部の忍たちが場所を知ってるという忍達の隠れ里に向かった
しかし佐介達はそこで多数の敵に襲われる少女達と敵を従える首領の争いを目撃した
少女達の危機を救うべく目くらましによって見事少女達を助け出すことに成功するのだった
◆
山の中は首領の命を受け、少女達を見つけ出そうとする兵士達があちらこちらにいた
【】キョロキョロキョロキョロ
し~ん……
【】スタタタタタタタ
兵士はあたりを見渡し、捜索対象が見当たらないとわかるやスタコラとその場を去っていってしまった
「……大丈夫、行ったみたいですね」
その様子を佐介たちは偶然発見した洞穴にカモフラージュの布を被せた即席の隠れ蓑を作っていた
忍ならば簡単に暴かれてしまうかもしれないような単純なものだがどうやら兵士は数こそ厄介なものだが知能などは無いようでこんな単純な偽装にも気づかないようであり、佐介達にはかえって好都合だった
「しばらくはここで身を隠しておきましょう。今は体力を回復させるのが最優先ですからね」
佐介は安全を確認すると視線を少女達に向けた
「飛鳥ちゃん、彼女たちの傷はどう?」
「うん、披露はしてるみたいだけど傷はそれほどじゃないみたい、安静にしてれば大丈夫みたい」
「そう……よかった」
たいした怪我を負ってないとしり佐介は安堵の表情を浮かべた
「く、くそぉ。あのでくのぼうどもめ!…ぐぅっ」
「あ、あんたと意見が合うなんて珍しいわね。でも確かに同感…痛つつ」
「こらこら、まだ動いてはいけません。応急処置をしたとはいえまだ安静にしてないと」
悔しさにイライラを募らせる九魅たちを佐介が言い留める
「で、でもよう」
「ダメですよ。大丈夫。あなたたちが動けるようになるまで僕たちが守ります。安心して休んでてください」
「お…おぅ///」
「わ、わかったわよ///」
佐介が優しく囁きながら頭をなでなですると九魅たちは渋々横になった
「ふぇ~」じ~
「ん?どうしました?」
「…うーちゃんにもして」
「えっ?」
するとその様子を見ていた牛丸がなでなでを要求する
「…ダメ?」ウルウル
「い、いえダメじゃないですよ…で、では」
上目使いの視線を向けられた佐介は折れるように牛丸の頭を撫でた
「ふぁ~♪気持ちいい♪」
「そ、そうですか?」
「…うん。お兄さん優しい」
「いえいえ、そんなことはありませんよ…ともかく、まずは身体をゆっくりと休ませなければいけませんよ」
そういうと佐介は布のかわりにここへ来るまでに調達した大きめの葉っぱを覆い被せてあげた
しばらくして三人は披露もあってかすぅっと寝静まった
「あの」
「はい?」
「見ず知らずの私たちを助けてなんとお礼を申し上げたらいいか」
すると佐介のもとに首領が那智と呼んでいた少女が話しかけ自分たちを助けてくれたことに感謝の言葉を送る
「いえいえお気になさらないでください」
「そういうわけにもいきません。ともかく今はこれしか持ち合わせがありませんがどうかこれをお収めください」
「別に大丈…ぶ!?」
「ふぇっ!?」
佐介と飛鳥が驚くのも無理はない、那智が差し出したカバンには目を疑う程の大金がぎっしりと詰まっていた
「本当ならもう少し渡したいところですけど、今はこんな状況ですので」
「いやいやいやいや!大丈夫!本当に大丈夫ですからこんな大金いただけませんよ!?」
「そうですよ!」
「あら?お気になさらなくてもその程度なら差し上げますのに」
此れ程までの大金でその程度呼ばわりする那智の発言に佐介と飛鳥は耳を疑った
「えと、えっと…お、驚かせてしまってすみません、那智さんは領主と言うこともあって里で随一のお金持ちなもので金銭感覚が少しずれてて」
「そ、そうなんだ…ってあれ?」
「っ?ど、どうしました?」
呆気に取られていた佐介達に話しかけてきたのは夕焼だったが
ここで佐介はふと違和感を感じていた
「えっ、えっと一つお尋ねしますけど、あなた先ほど二刀流を使ってた方ですか?」
「あ~……は、はい」
「ず、随分とさっきと雰囲気が違うんだね」
「私、刀を抜いてしまうと人格が変わってしまうみたいで…刀を手にしている間、私にはその記憶がなくて」
何やら恥ずかしそうに説明をする夕焼を見て偉いギャップ差だなと思う佐介と飛鳥だった
◆
「さて、そろそろ本題に入らせてもらってもいいでしょうか?こちらとしても状況があまり把握できてませんのでよければ説明をしていただけると助かります」
「わかりました。ではこれまでの経緯から説明させていただきます。まず私たちはこの里の中の学校で忍を学んでいます。私も夕焼さんたちも里を守れるような立派な忍になることを目標とし、日々修行に励んでいるのです」
「なるほど。そうなんですか」
「那智ちゃんたちも私達と同じように忍を極めているんだね」
那智の説明を聞いた佐介と飛鳥は彼女達に親近感を抱いた
「……ですが、平和な日々を送っていた里でよもやこんなことが起こるなんて」
「さっきのあの二人組と従えていた兵士たちのことですね」
言わずもがな、この現状を作り上げているのは外でもない彼らなのだから
「あの二人は何者なんですか?聞いていた限りではあの司令塔らしき人を「おじい様」と呼んでいたみたいですけど?」
「はい。あの人の名は平太夫と言い里の先代当主、つまりわたくしのお父様の弟に当たる人なんです。そしてその隣にいたもう1人はおじい様の側近である田吾作さん。お二人共元々はこの里の人間なのです」
「でも那智ちゃんのおじさんがなんで故郷である里を?」
確かにそうだ。生まれ育った里をなぜ平太夫は襲っているのか理解できないという顔を浮かべる
「元々人当たりががよくて誰からも慕われていた穏健派のお父様と何に対しても力で全てを解決させようとする武闘派のおじ様、正反対な正確を持った二人だったため、兄弟仲はあまり良いとは言えず、いつも対立していました。そんな中、次代領主を決める事となり、里のもの達のたくさんの指示によってお父様が選ばれました。ですがそれを不服に思ったのかおじ様は里を去っていってしまい行方知れずになってしまいました」
「じゃあそのおじさんが里を襲ったのって?」
「おそらく、お父様がお亡くなりになったことを知り、私から領主の座を貰い受けようとしているのでしょう」
「なるほど、それでこんなことを」
里を襲った平太夫の目的、所々は推察だが、これまでのやり取りを考えるに十分に辻褄が合いそうなものだった
そんな中、那智は徐ろに顔を横に向け奥のほうに寝そべる九魅達に視線を向けた
応急処置によって体には包帯やシップなどが施されていた
「…私は愚か者ですね」
「那智さん?」
「領主の身でありながら里のみんなを見捨てて逃げ、挙句の果てに夕焼さんたちに傷を負わせてしまいました。領主失格ですね」
傷ついた友人たちや今尚里に監禁されているであろう民達のことを思うと那智は心が折れそうになった
「な、そんなことないですよ那智さん!私たちは那智さんが里のためにいろんなことをしてくれてることを知ってます。いつもいつも那智さんには助けてもらってるんです。だからこそみんな一眼に那智さんを守ろうと必死になるんです。だからそんなこと言わないで」
「夕焼さん」
「那智さん。僕たちは貴方々をよく存じません。でも夕焼さんのこの訴えを聞くだけであなたが里の人たちに心から慕われてると感じられます。それなのにそんなあなたが不安な顔をしていては夕焼さん達も不安になってしまうでしょう」
「佐介さん」
夕焼の訴え、そして佐介のフォローが不安に押しつぶされそうな那智の心を癒すのだった
「ではそろそろこれからどうすればいいかを決めましょう」
「とは言え、このままってわけにもいられないよね?」
「はい。里のみんなが人質になっている以上、逃げることは出来ません」
「なんとかうまくしてみんなを助けられないかな?」
逃げ回っていたところで意味はないが、術を考えようにもなかなか思いつかない
「……そうか、うん、この方法なら」
「佐介くん、何か思いついたの?」
しばらく考えを回らせていた佐介が何か閃いたようだった
「……那智さん、夕焼さん。僕に考えがあります。協力していただけますか?」
「考えですか?」
「僕にまかせて下さい。必ず里のお仲間を助けてみせます」