閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

672 / 835
弱者から強者へと ★

巨大猪(そうりん)が猛威を振るう中、夕焼たちを守りたいというユウの思いが思わぬ力を生み出した

 

 

【「ブルァアアアアアア!!」】

 

 

風により生み出された巻物を使い、変身を果たしたユウの姿に巨大猪(そうりん)が今までに感じたことない感覚を感じ

 

 

一瞬たじろいでしまうものの、危険と判断したユウを排除するべく攻撃を仕掛ける

 

 

 

ヒュゥウ…ビュゥウウウウン!

 

 

 

だが、それに反応するかのように発生した風に動きを止められ、さらには標的だったユウが自分の後ろに立っていた

 

 

【「グッ…グォオオオオオオオ!!」】

 

 

屈辱に表情を歪ませる巨大猪(そうりん)が再度攻撃を仕掛けようとする

 

 

「…無駄だ」

 

 

しかし、そんな巨大猪(そうりん)にユウがぼそりと呟くように言葉を発した

 

 

 

ブチッ…ブシャァアアアアアア!!

 

 

 

【「ブガァアアアアアアアッツ!?」】

 

 

次の瞬間、一瞬にして巨大猪(そうりん)の身体に無数の傷が刻まれ、そこからおびただしい鮮血が流れた

 

 

巨大猪(そうりん)はたまらず、その巨体は地面に倒れてしまうのだった

 

 

「……っ?」汗

 

 

ここまでの一部始終を見ていた夜叉は未だ状況が飲み込めず、困惑していた

 

 

そんな中、彼女は不意に自分の近くで屈めていた体を起こすユウに目線を向ける

 

 

「…ふん、なんだ?粋って突っ込んで来たわりにこのザマか、頗る拍子抜けだな?」

 

 

すると今まで無言でいたユウがようやく口を開いた

 

 

しかしその声と言葉づかいは明らかに今までの幼子だった者の声には到底思えないほど野太く、それでいて大人びていた

 

 

「大丈夫か夜叉?怪我はないか?」

 

 

「えっ?あっ、あぁ…」

 

 

呆気に取られているとユウと思われる半獣が声をかけていたので咄嗟に夜叉は返事をしていた

 

 

「そうか、怪我は内容だな」

 

 

無事なことを確認するやユウと思われる半獣は嬉しそうに口角を上げる

 

 

「おっ、お前…ユウ、なのか?」

 

 

「んっ、何を言っているんだ夜叉。”オレが分からないのか”?」

 

 

状況を確認するべく恐る恐る夜叉が問いかけるとユウと思われる半獣は

 

 

あたり前のようなことをどうして聞くのだろうかというかのようにキョトンとしている

 

 

夜叉はそれを見てひとまず半獣がユウなのは理解した

 

 

だが、雰囲気と言葉遣いから見てもやはり先ほどの幼子のような彼とは似つかぬような感じに理解が追い付かなかった

 

 

するとその最中のこと、突如として大きな影が2人を包みこんだ

 

 

何事かと急ぎ2人が視線を向けてみる

 

 

【「ブゥッ…ブゥッ……ブルルルゥウウウウ!!」】

 

 

なんとそこには倒したと思っていた巨大猪(そうりん)がこちらの方を恨みの籠った目で睨みつけていた

 

 

「…まだ生きていたか?」

 

 

【「ブルァアアアアアア!!」】バッ!

 

 

傷つけられたことと、今の呆れたものを見るかのような発言を恥辱と捉えた巨大猪(そうりん)は

 

 

怒りに打ち震えるとともに今度は夜叉諸共ユウに襲い掛かる

 

 

「お、おい来るぞ!?」

 

 

「懲りん奴だ…――っ!!」

 

 

再度仕掛けてくる巨大猪(そうりん)を見てやれやれと言った顔を浮かべながらユウは手鎌の刀身を光らせ

 

 

それを斬撃波へと変え、撃ち放つ

 

 

【「――ッツ!!」】ペキュン!

 

 

「――っ!?」

 

 

「き、効いてない!?」

 

 

しかし巨大猪(そうりん)はユウの放った斬撃波を食らっても尚、痛みを諸共せず向かってくる

 

 

「く、来る!?」

 

 

「ちぃ!?――っ!!」バッ!

 

 

「ユウ!?」

 

 

迫りくる巨大猪(そうりん)を前に夜叉が焦りを見せ、ユウがすかさず飛び出す

 

 

前方に飛んだと同時にユウが身構える

 

 

 

ドシィイイイイイン!!

 

 

 

「ぐぅううううううう!?」

 

 

次の瞬間、巨大猪(そうりん)がユウに激突した

 

 

だが、ユウは巨大猪(そうりん)の鼻と牙を掴み、力の限り止めようとする

 

 

突進の勢いは凄まじく、ユウは抑え込もうとしたまま夜叉のいる後方に向かってずりずりと押し込まれていく

 

 

このままでは夜叉を巻き込んでしまうと感じたユウは手にさらに力を込めて踏ん張りを見せる

 

 

すると夜叉にぶつかるまで目前まで来たところでようやく巨大猪(そうりん)を抑え込むことに成功する

 

 

【「ブッ、ブッルルルルルウウウウ!!」】

 

 

止められたことに衝撃を受けながらもそれでももうひと踏ん張りと夜叉と共にユウを叩き潰そうとする

 

 

「ま、負けられるか!こんなところでお前なんかに、ぐぅおおおおおおおお!!」

 

 

【「ブガッ!?ブァッ!?」】

 

 

全身から力を籠めると徐々に巨大猪(そうりん)の身体が地面から離れ、浮かび上がる

 

 

「ぬぅうううう!うぉおおおおおおおおおおっ!!」

 

 

 

ドスゥウウウウン!!

 

 

 

【「ブガァッツ!?」】

 

 

渾身の勢いで抱え上げた巨大猪(そうりん)をユウはあらんばかりの力で地面に叩きつけた

 

 

勢いよく叩きつけら、巨大猪(そうりん)は白目をむき、口からは血反吐を吐いていた

 

 

「(あっ、あんな巨体を投げ飛ばすとはなんて力なんだ?)」汗

 

 

夜叉はユウが自分たちの何十倍もの大きさを誇る巨大猪(そうりん)を投げ飛ばした様子に目を疑った

 

 

先ほど奴を斬ったスピードもさることながらそれに引けを取らないほどの力で今のような芸当を見せるユウに次々と度肝を抜かされた

 

 

【「グッ…ブ、ブルウウ!?」】

 

 

その時、叩きつけられ、地面に倒れていた巨大猪(そうりん)が再び起き上がろうとしていた

 

 

「あ、あいつまだ立つのか!?」

 

 

傷つき、ボロボロになりながらも巨大猪(そうりん)は立ち上がる

 

 

「…哀れだな」

 

 

「えっ?」

 

 

「見ろ、奴の目を」

 

 

ユウに言われるがままに夜叉は巨大猪(そうりん)の方に目を向ける

 

 

立ち上がる巨大猪(そうりん)、その目にはとめどないほどの憎しみが宿っているように見えた

 

 

この世の全てが憎い、恨めしい、壊したい、潰したい

 

 

そう言った負の感情が巨大猪(そうりん)の目からは感じ取ることができた

 

 

「あいつには感情なんてない、ただ蹂躙し、破壊し、貪り快楽におぼれる。それしか考えられないんだ。あいつは生かしてはいけない存在だ……だから」

 

 

するとそれを見たユウが身構える

 

 

「――っ!!」ビュゥウウウウウウウ!!

 

 

「うっ、ぐぅうっ!?」

 

 

次の瞬間、ユウを取り巻くように風が突風と鳴りて湧き上がる

 

 

「狩らせてもらうぞ、お前の命を…っ!」

 

 

鎌を構えながらユウは巨大猪(そうりん)に布告する

 

 

【「ブルァアアアアアア!!」】

 

 

その言葉に怒りを露わにした巨大猪(そうりん)が全身全霊の突進を仕掛ける

 

 

「――っ!!」ビュゥウウウウン!

 

 

直後、ユウもそれに合わせるかのように神速のスピードで向かって行く

 

 

ユウと巨大猪(そうりん)、互いの間合いが詰まる

 

 

【「ブルァアアアアアア!!」】

 

 

咆哮をあげると同時に全ての力を注ぎ込んだ突進がユウの目前まで迫る

 

 

「斬り裂け…【提馬風(だいばかぜ)】」

 

 

唱えるようにユウが囁いた

 

 

 

 

ヒュゥウ…ジャキィイイイイイイイイイイン!!

 

 

 

 

一凛の風が吹いた瞬間、凄まじい斬撃が繰り出される

 

 

「――っ!?」

 

 

傍から見ていた夜叉はその目を疑った

 

 

彼女の目に映った光景

 

 

それは鎌を薙ぎ払ったように宙を舞うソウと首を狩っ斬られた巨大猪(そうりん)の姿があったからだった

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。