驚異的な力を見せるユウに恥辱と怒りを孕んだ咆哮をあげるとともに
【「ブルァアアアアアア!!」】
全ての力を注ぎ込んだ
だが、ユウは臆することなく堂々たる態度で手鎌を構える
「斬り裂け…【
ヒュゥウ…ジャキィイイイイイイイイイイン!!
唱えるようにユウが囁いた次の瞬間、突風が巻き起こり、周囲を木々を巻き込むようにして風の斬撃が円状に吹き荒れた
「うぅううっ!?」
風圧に煽られ身動きが取れずにいた夜叉だったが、やがてその風も収まり静けさが場を包みこんだ
「…――っ!?」
そしてその直後に夜叉はその目に捉えた
「――っ!!」
【「――ッツ!?」】
ユウの必殺の一撃を食らった
シュタッ!ドドオオオオン!!
降り立つユウに続くようにして斬り裂かれた
唖然とその光景を見ていた夜叉は
「…――っ!」スッ、ビチャチャ!
刀身についていた血が地面に付着するのだった
「…ふぅ」
強敵
突如、勢いはあるがどこか優しげな風が吹き荒れユウの身を包み込んだ
いきなりのことで夜叉が困惑していると途端に風が止んだ
そして風が止むとともに夜叉が再度視線を向けてみるとそこには元の幼子の姿に戻ったユウの姿があった
「おいユウ」
「あっ、夜叉さん?」
恐る恐る声をかけてみるとやはり雰囲気といい口調といい、元のユウに戻っていた
「お前、さっきの力はなんだ?どうしてあんな力が?」
「ご、ごめんなさい。正直ボクにもよくわからないんだ。あの時は夕焼ねぇねが食べられそうになるのを見て助けたいって無我夢中だったから」
「そっ、そうなのか」
先ほどの力についてを夜叉が問うも、ユウ自身は咄嗟だったが故に自分でもあまりよくわかっていないという感じだった
「でもあの時、ボクの頭に
「…な、なるほど?」
少し解せない不可解な要素があるのは否めないものの、それを知る術がないので夜叉はひとまずそれで納得することにした
「それよりも夜叉さん、早くねぇねたちのところに行こう」
「あぁ、そうだな」
戦い終わって早々にユウは夕焼たちのことが心配だと訴えかけ、夜叉もそれに同意し、共に様子を見に行くことにした
ユウは夜叉と一緒に夕焼たちの元に向かい、気を失った彼女たちを集め、その目ざめを舞っていた
それから数分が経過した頃のことだった
「う…うぅん…」
気をしなっていた夕焼たちがうんうんと唸り声を上げ始めたのにユウと夜叉が気づいた
「…あ、あれ?」
やがて唸っていた夕焼がゆっくりと目を開ける
さらにそれに続くようにして他の4人も意識を取り戻す
「気がついたねねぇねたち!」
「ユウくん、それに夜叉さん…?」
意識を取り戻すとそこにはユウと夜叉が心配そうに自分達を見ているので夕焼たちは少し困惑していた
「ねぇねたち、具合の方はどう?」
「えっ、えぇ…まだ少し体が痛むけどそれ以外は特にこれといった不調は感じられないわ」
「よかった〜」
状態を尋ねると特に目立った外傷もなく、ほぼ無事であることがわかり、ユウも夜叉も安堵する
「…って、そうだ!?あいつは、あいつはどうなったんだ!?」
するとここで九魅が
「…えっ?」
その直後、九魅と彼女と同じ方向に視線を向けた夕焼たちが言葉を失う
九魅たちの視界に入ったのは真っ二つに切り裂かれた
「おいおい、こいつはいったいどう言うことだ!?」汗
意識を取り戻すやそこには
自分たちが気絶をしている間に状況が一転していることに皆の理解が追いつかなかった
「いったい誰が?」
皆が束になっても倒せなかった
「…ユウだよ」
「えっ?」
するとその時、その疑問に答えるかのように夜叉が口を開く
「…あっ、あの夜叉さん、今なんて?」
「この
「「「「ええっ!?」」」」
「ゆっ、ユウくんが!?」
聞き間違いかと思い再度問うも夜叉からの答えは一緒だった
何度聞いてもユウがこの事態を収めたのだと信じたくても信じられないと言った様子だった
「落ち着けお前ら、オレはこの目でしっかりと見たんだ。誰がなんと言おうとも事実は変わらない」
困惑している夕焼たちに夜叉は自分の目でしかと真実を見たと断固たる姿勢で証言する
彼女の目は一般の曇りもなく、自分が語ったことが真実であると嘘偽りないことを現している
「ねぇね?」
「…っ?」
するとその最中、抱きしめているユウから声をかけられ彼に視線を向ける
夕焼はまじまじとユウの瞳を見る
その目は夜叉と同様に嘘偽りなく、濁りのないものだった
「…ユウくんが、私たちを、里を助けてくれたのね?」
2人の嘘偽りない瞳を見て夕焼はこれが事実であることを認識し、ユウに語りかけるように声をかける
「うん。ボク、ねぇねたちを守りたいって思いで必死になって頑張って…そしたら師匠が力の使い方を示してくれて、それでボクは」
「…うんうん、そっか」
何があったかを一生懸命に語るユウの話しを聞きながら夕焼は彼の頭をそっと撫でてあげた
「ぬぅ~…はぁ…にしても今日は一段と苦労させられたもんだぜ」
「お疲れさまでした夜叉さん」
するとそこに伸びをしながら夜叉が会話に入ってきた
夕焼はそんな夜叉に労いの言葉をかける
「さ~てと、事態も落ち着いたし、オレの今回は暴れまくって疲れちまった。しばらくまたお前の中で休ませてもらうぜ」
「はい、ゆっくり休んでください」
「へへっ…――っ』しゅぅ~
そう会話を交わすと夜叉の身体が煙となって夕焼に吸収された
「…さぁユウくん。私たちも行こう」
「うん」
一件落着し、ユウは夕焼と手をつなぎながら他の仲間たちと共に里に戻っていくのだった
※後日、夕焼たちからの説明と弁解、そして那智の配慮によってユウは正式に里の住人となり、生活を送ることになるのだった