朝起きた佐介が支度の前に顔を洗いに出ようと部屋をでるや
ドアの先に見知らぬ少年が立っており、それにより寮内は一種のパニック状態に発展した
駆け付けた飛鳥たちによって少年は説得も抵抗もむなしく拘束されてしまった
突然現れたこと、人の形をしているも人ならざる容姿による怪しさによって警戒心を抱く皆に少年は信用を得られずにいた
しかし、そんな中で少年は葛城と柳生が自身が仲間たちと激しく辛くとも戦いぬいた仲間たちとの日々を出まかせでかたずけられることに激高した
これを見た佐介は彼が本心から仲間たちのことを思っているのだと悟り、皆を説得してひとまずは収まりを見せる
その後、アムという名の少年と今後のことについてどうしたものかと悩ませている最中
飛鳥のスマホから着信が入り、焔たちから急遽集会を開く形となった
電話をうけた半蔵学院組はアムを連れ、一路学院に到着した
「…ふぅむ」ジ~
「…」ソワソワ
「俄かには信じがたいがこうして実物を見てしまったからには信じるほかあるまいな」
「ありがとうございます先生」
到着早々に佐介たちは霧夜にここまでの出来事の詳細を話して聞かせた
話しを聞いた霧夜も半信半疑ではあったが実際に触れて確かめてみたら信じるほかないという結論に至る
「ふぅ~…緊張した~」
「お疲れ様ですねアムくん」
「あぁ、少しドキドキしたが信じてもらえて何よりだ」
「職業柄、僕らもどうしてもこうしないといけませんから」
疑り深くてすまないと佐介がアムに謝罪の言葉を述べる
「大丈夫だ。特に気にしてはいない。…それよりまだ来ないのか君たちの知人たちは?」
「落ち着いてくださいアムくん、急ぐ気持ちもわかりますけど急かしたところで来なければはなしが話しは進みませんから」
「そう…だな。すまない」
学院に到着して以降、仲間たちと会えるかもしれないという気持ちと焦りがアムを奮い立たせており
ソワソワしている様子の彼を落ち着かせるかのように佐介が言い聞かせる
そんなこんなで皆が到着するまで待つこと数十分が経過した
「あっ、来た!」
いち早く気が付いたひばりが指さした先に皆が視線を向けると
こちらに向かって歩いてくる複数の人影が
「待たせたな」
「光牙くん、それに焔さんたちも」
「よぉ」
やってきたのは光牙たち焔紅蓮竜隊の面々だった
「他の奴らはまだ来てないようだな?」
「はい、今のところはまだ来てないですね」
「そうか」
辺りを見回し、まだここに来たのが自分たちだけだということを知った
「…そいつか?」
「あっ、はい。アムくんです」
光牙は視線を変え、佐介の隣にいるアムを見る
アムも緊張した様子で光牙を見ていた
「ふん、なかなかいい目をしてるな」
「っ…」
初対面早々に賞賛の言葉を光牙が言ってきたのでアムも少し驚きを見せる
「アム…くん?」
「「「っ?」」」
するとそこに会話を裂くように別の声が
声のする方に振り向いてみるとそこにはアムと同じくらいの桃色の髪をした女の子が立っていた
「梨璃、梨璃!」
「…アムくん!」
「うわっ!」
アムが少女を梨璃と呼び、彼女もまた彼を見るなり嬉しそうに抱き着いた
「よかった。あむぐぅ~ん」シクシク
「梨璃、あぁ、僕もよかったよ梨璃にあえて」
心細かったのかアムに抱き着くなり嬉しさと緊張感の途切れからか涙を流すほどに喜んでいた
「どうやら知りあいだったようだな?」
「えぇ、よかった。再会できたみたいで」
再会できたことをうれしく思いながら佐介と光牙は2人を見た
「…しかしこうなるとだ」
「はい、おおよそ察しがつきそうですね」
光牙たちが連れてきた梨璃がアムの知りあいであったことが判明したということは
同じようにこちらに向かっている残り二組もまた彼らの知りあいを連れている可能性がでたと推察する
「おぉ、光牙、それに焔たちも、先についていたのだな」
「あっ、雅緋さん」
「姉さん」
すると今度は蛇女子学園の面々が到着し、佐介たちと光牙たちに声をかけてきた
「光牙、あの2人は誰だ?」
最中、雅緋がアムと梨璃の存在に気づいた様子で光牙に尋ねる
「少女のほうは梨璃というらしい、皆でバイトしている時、街中をうろうろしていたのを成り行きで連れてきた。男のほうはアムというらしい、佐介たちの寮内に突然現れたんだと」
「ほう、奇遇だな。私たちも似たり寄ったりだな」
思わせぶりな台詞をつぶやいたと同時に雅緋が不意にこの場を離れ、蛇女子メンバーのもとに戻る
しかして数分もたたない内に戻ってきた
1人の少女を連れて
「お前が探していたというのはあいつらか?」
再度佐介たちの元に戻った雅緋が連れてきた少女に尋ねる
「…えぇ、間違いありません」
「そうか、ならばいい」
「…すみませんが」
「あぁ、行ってこい」
少女は視線の先に映るアムと梨璃を見るなり胸をなでおろすかのように笑みを浮かべる
そして雅緋に断りをいれ、少女は2人のもとに
「梨璃さん、アムさん!」
「あっ!夢結さま!」
「夢結!」
アムと梨璃が声に気づき、少女、夢結を迎え入れる
「2人とも無事のようね?」
「はい、おかげさまで」
「僕らは平気だ。夢結のほうこそ無事でよかった」
夢結と再会できて2人もとても喜んでいる様子だった
「よかったですね」
「あぁ、そうだな」
またも知人と再会できたことで舞い上がっている3人の微笑ましい姿に和むのだった
そんな中、団欒をひと段落させた夢結がアムと梨璃を連れて佐介たちの元に
「雅緋さん、それにみなさんありがとうございます。おかげで2人と再会できました」
「いやいや、そんなかしこまらないでくださいよ」
「そうだぞ、俺たちはただ成り行きでそうしたに過ぎないんだからな」
「だとしても私たちにとっては感謝してもしきれないほどのことですから」
代表してお礼を述べる夢結に必要はないと言い聞かせるも彼女は熱心にお礼を述べるのだった
「…あれ?」
「ん?どうした佐介?」
「そういえば相馬くんは?」
ふとここで佐介がまだ相馬の姿を見てないことに気づきキョロキョロと見回す
「呼んだか~?」
「「うわっ!?」」ビクッ
まるで背後霊のように現れた相馬に2人は驚く
「驚かすな!心臓に悪い!」
「へん、そんなこったしらねぇ~よ」
驚かしてきたことに文句を垂れる光牙に対して相馬は悪びれる様子を見せなかった
「ってあれ?相馬くん…その頬の腫れ、どうしたんですか?」
「あっ、あぁ…ちょっとな」アセアセ
よく見ると相馬の頬には誰かにはたかれたような腫れが出来ていた
「また性懲りもなく女風呂でも覗こうとしたのか?」
「違う!今回は断じて違うぞ!」
「(いつもはやってるんですか)」アセアセ
「今回は」という相馬の台詞にツッコミを入れる佐介だった
「じゃあなんだ?」
「なんだも何ももとはといえばこいつが!」
そう言うと相馬が夢結を指さす
「許可もらって浴場で入浴してたらいきなりこいつが現れて俺がすっぽんぽんだったのを見てビンタ食らわせてきたんだ!」
「えっ?そうだったんですか?」
「ちが…います。その、目の前に突然現れたのがこの人だったので新手の変態かと思って」モジモジ
「不可抗力だっての!?」
必死に相馬が無罪を主張する
「でも!女子高に男の人がいるなんてそんな人以外考えられないじゃないですか普通!」
「俺は特例で許されてんだよ!」
相馬と夢結が口論を始める
「まぁ、それも仕方あるまいて、なにせ普段の行いが行いだけにな」
「ちょ!?」
「えぇ、相馬くんは少しそういったところを直すべきですね」
「確かに」
だが、そんな中、他の3人が夢結を味方するような発言をしだす
「おいおいお前ら!言いすぎだろ!…なぁ、アオもなんとか言ってくれよ?」
『悪いがソウ、俺も同意見なんでな』
「う、裏切りものー!!」
相方である蒼馬すら見方をしてくれない
「くそ、俺には見方はいないのかよ~」
「大丈夫だよ相馬くん落ち込まないで」
「りょ、両奈」
そんな相馬に声をかけたのは両奈だった
「たとえ相馬くんがどんな変態でも両奈ちゃんはバッチ来いだよ♪」
「うわ~~!!!止め指しやがったーー!!!」
フォローがフォローにすらなっていなかった
茶番が繰り広げられる中、光牙たちは話し合いを続けた
「姉さんのところにもあいつの知り合いがいたとすればこれはもう」
「えぇ、そうでしょうね」
半蔵学院、紅蓮竜隊、蛇女子学園。この三つにそれぞれの者たちが現れたとなれば残るは…
「お待たせしました」
「「っ!」」
噂をすればなんとやらと佐介たちの元に現れたのは残りの一角である月閃女学館のメンバーだった
そうして雪泉が飛鳥と共に佐介たちのところに
「雪泉ちゃん、やっと来たね」
「はい。遅くなりました…っ?」
ついて早々に雪泉がアムたちに気づく
「…やはり」
「っ…その口調からしてお前たちのほうにも?」
「はい、そうです。…そうなのですが…」
「「「「っ?」」」」
含みのある物言いに佐介たちはキョトンとなり、彼女の見るほうを見る
「「「「「…えっ?」」」」」」
すると彼らの目に信じられない光景が
「うふふ、紫苑様~♪」
「う、うぅ…か、楓さん?離れてくれませんか?」
「あら、そんなさみしいこと言わないでくださいませ、わたくし軽い女ではありませんし梨璃さんという大事な方もいらっしゃいますが、雪泉さんたちはもちろんのこと、見ず知らずのわたくしを心配をして、面倒見てくださった紫苑さまと深く深~く関係を築きたいんですのよ…それこそベットの上ででも」ウフフ
「っ!?」ビクッ
紫苑の腕をがっちりと掴み、剰え甘い言葉で誘惑をかけてくる少女に困惑の顔がぬぐえなかった
「楓!」
「楓さん!」
「やはり来ていたのね?」
「あら?…まぁ、梨璃さん、夢結さま、それにアムさんも!探しておりましたわ!」
彼女に気づいたアムたちと同じく3人に気づいた楓が互いを呼び合うのだった