閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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SHINOVI VERSUS編の佐介編ストーリー最終回です





第三十五章 戦いの果てに得た絆 

飛鳥たちが佐介たちを看護しているのと同時頃

 

 

「紫苑!」

 

 

『紫苑(ちん)(ちゃん)!』

 

 

ふと目を向けるとそこには敗れた紫苑のもとに駆け寄る雪泉たちが

 

 

「紫苑、しっかりしてください!」

 

 

「……うっ、うう……ゆ、雪泉…みんな…」

 

 

ようやく目が覚めたと安堵した表情を浮かべる

 

 

「しょ、しょうぶは…?」

 

 

「……私たちの、負けです」

 

 

「そ、……そんな……」

 

 

雪泉は口惜しそうにそう呟いた。自分たちは敗北したのだと

 

 

愕然とする中、紫苑は向かい側にいる佐介を見た

 

 

「…っ!!」バッ

 

 

「し、紫苑なにを?」

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…、さ、佐介くん!」

 

 

「っ?」

 

 

すると紫苑がおぼつかない足取りで佐介の方へと歩み寄る

 

 

「まだだ…まだ僕は負けてない!さぁ、かかってきなさい!」

 

 

「紫苑さん…」

 

 

必死に立ち上がっている紫苑の姿は見ていて痛々しいものを感じさせる

 

 

「どうした!なぜ来ない!もう一度、僕と……ぁっ!」

 

 

しかしやはり身体はまともに動ける状態ではない、紫苑はその場に膝まづいて倒れ込む

 

 

「ダメですよ紫苑!そんな体で動いては!」

 

 

「僕のことなんてどうでもいい!……黒影さまのために…あの人が望んだ理想郷を見せてあげるまで倒れるわけには行かない…さぁ、僕と戦え!」

 

 

そう言うと紫苑は佐介に向かっていく

 

 

「っ!!」グラッ

 

 

「紫苑さん!」ダキッ

 

 

勢いも虚しく前のめりに倒れそうになった紫苑を佐介が支える

 

 

「どうして……どうしてそこまでするんですか?」

 

 

なぜ紫苑がここまでするのか疑問を抱いた佐介に雪泉が答える

 

 

「…おじい様は重い病気を患っていまして…医師から余命わずかと言われ、春までもつかどうかもわからない身体なんです」

 

 

そう言うと雪泉は唇を噛み締め、他のメンバーたちも同様だった

 

 

「…今年に、入ってから…病は悪化の一方を辿り、ついには寝たきりの状態に……だからこそ、僕たちは見せてあげなければならないんだ…黒影さまが憧れていた理想の世界を…」

 

 

すると紫苑がそれに続いて話しを続けた。黒影が今どういう状況に置かれているのかを

 

 

話しを聞いて佐介もまた思う所があった。もし自分も彼らと同じ立場ならそうしてたかもしれないと

 

 

「っ!」ドン!

 

 

「うわっ!」

 

 

「僕は戦う…黒影様のために!!」ギュオォォォォォォ!

 

 

その時、紫苑が佐介を突き出し、直ぐ様術を発動させようとする

 

 

「やめてください紫苑!これ以上やったらあなたの体は!」

 

 

「構わない!宿願を果たすことが出来るならぼくは!!」

 

 

そう言うとますます力をあげる

 

 

このままではと思っていた時

 

 

「やめろ紫苑!」

 

 

『っ!?』

 

 

突如、この場の全員の耳に年いった男性の声が聞こえ振り向いた先には

 

 

「おじい様!?」

 

 

「じっちゃん、それにチェルシーちゃんにレイナちゃんも!?」

 

 

半蔵とチェルシーとレイナに支えられながらこちらに向かってくる黒影がいた

 

 

「おじい様、なぜここに?」

 

 

「雪泉…すまないが俺を紫苑のところへ」

 

 

「はっ、はい」

 

 

チェルシーとレイナから雪泉に代わってもらい、紫苑のもとに歩み寄る

 

 

「く、黒影…さま」

 

 

「紫苑……俺はお前を見損なったぞ」

 

 

「っ!?」

 

 

突然黒影から告げられたその言葉に紫苑は驚く

 

 

「お、おじい様!なにをおっしゃるのですか!紫苑は、紫苑は私たち同様におじい様のために!」

 

 

「雪泉よ勘違いするな。お前たちは俺のために尽くしてくれた。こんなになってまでな。そのことに関しては感謝の言葉しかない」

 

 

「で、では何故?」

 

 

どうしてそんなことを言うのかと再度問うてみると黒影はじっと紫苑を見つめ

 

 

紫苑のほうはなぜか黒影を見る目が泳いでいた

 

 

「紫苑、お前が霊石を持っていったことには特にいうことはない…だが、もう一つのことに関しては別だ」

 

 

「あっ…あぁ」アセアセ

 

 

「な、なんなんですかおじい様?さっきから私たちには意味がわからないのですが?」

 

 

二人だけにしかわからない会話を聞いてどういうことか尋ねる

 

 

「…紫苑は禁術を使おうとしておるのだ」

 

 

「き、禁術?」

 

 

物騒な丹後が出たことに佐介も驚く

 

 

「おじい様。その禁術とは?」

 

 

「…おのれの生命エネルギーを他者に分け与えることでどんな病も…いや、下手をすれば死者すら蘇らせることができる術だ」

 

 

「し、死者すら?」

 

 

「……術者の命と引き換えにな」

 

 

黒影の言った言葉に全員が驚愕する

 

 

「っまさか!?」

 

 

「気づいたようだな。さすがは紫苑を倒しただけある」

 

 

この場の全員よりもいち早く気づいた佐介に黒影は感心する

 

 

そして佐介はすぐに紫苑のほうを向いた

 

 

「紫苑さん。あなたまさか黒影さんが死んだらその術を使おうとしてるんじゃ」

 

 

『っ!』

 

 

佐介のその言葉で全員も理解した。紫苑のしようとしていることを

 

 

「し、紫苑…本当なのですか?」

 

 

「……そうだよ。君の言うとおりさ、黒影さまの寿命が春まで到底持たないことはわかっている。でも、それでも僕は黒影さまの願いを叶えてあげたかった。そんな時見つけたのがこの術だよ。理想の世界を作り上げた暁にはその禁術でこの身と引き換えに黒影さまを生き返らせ、その世界で雪泉たちと幸せに生きてもらう、…これが僕の最終目的だ」

 

 

『っ!?』

 

 

ずばり佐介の予想は的中し、紫苑は黒影の命を永らえさせるためにその身を犠牲にしようとしていた

 

 

「どうして!どうしてそんなことを!」

 

 

仲間たちに黒影を任せ、雪泉が紫苑に突っかかる

 

 

「みんなには幸せに生きてほしい…そのためなら僕は喜んでこの身を捧げても構わない」

 

 

「バカ!」パシッ!

 

 

「っ…?」ヒリヒリ

 

 

一瞬、何が起こったかわからない紫苑だったが、すぐにことを理解した

 

 

自分が雪泉から平手打ちを食らったのと、それにより赤く染まった頬の痛みを

 

 

「紫苑のバカ!バカバカ!そんなことしておじい様が生き長らえたとしても、あなたが欠けてしまったら意味なんてありません!紫苑は私にとって…いえ、私たちにとっておじい様と同じくらい大事な家族なんですから!」

 

 

紫苑に縋り付き、胸元をポカポカと叩く

 

 

「紫苑よ。お前はまだ死ぬには早い。死に急ぐな。…俺と違ってお前には未来があるのだからな」

 

 

「黒影さま…でも」アタフタ

 

 

黒影の説得にもまだ思うところがあるのか素直になれない紫苑を見て、黒影は続けた

 

 

「ならば紫苑、俺からの最後の願いを聞いてくれるか?」

 

 

「最後の…願い?」

 

 

「俺の亡き後も雪泉たちを導き、共に歩んでやってほしい、…そして俺に見せてくれ、俺に縛られて歩む道ではない、自分たちの決めた道を歩むお前たちの姿を、頼まれてくれるか?」

 

 

「黒影さま…」

 

 

雪泉たちや自分の未来を見据えた黒影の残りの生涯をかけた願いを聞き、紫苑は言葉を失う

 

 

「信じているぞ。お前もまた俺が誇りに思う立派な忍なのだからな」ナデナデ

 

 

「くろかげ、さま…うっ、うぅ…うわあぁぁーーん!」

 

 

優しく頭を撫でられ、黒影の最後の願いを聞いた瞬間、普段はあまり泣くことのなかった紫苑が溢れんばかりの涙を流し、その場に泣き崩れ、そんな彼を囲むように雪泉や叢たちが優しく抱きしめるのだった

 

 

その様子を少し離れた場所から見ていた半蔵はとても清々しい思いに包まれていた

 

 

「黒影よ。どうやら賭けはお前の勝ちのようじゃな。善だけの世界は確かにあった。お前の腕の中に」

 

 

「そうかもしれませんね……ううん、きっとそうでしょう」

 

 

半蔵の呟いたその言葉に佐介も共感した

 

 

「…さて、半蔵学院の諸君。君たちは見事学炎祭に勝利した。さぁ、俺たちに構わず学炎祭のルールに従え」

 

 

学炎祭のルールに従う。それはつまりここを燃やすということ、そのことを黒影が申し出るも佐介たちは全員首を横にふる

 

 

「僕たちはここを燃やしません。だって、ここには紫苑さんや雪泉さん。黒影さんやみなさんの思い出がたくさん詰まってます。そんな大切な場所を奪うことはする気もありませんから」

 

 

「しかし、それでは…」

 

 

「そこで考えました。これから学炎祭の終了を祝ってみんなでキャンプファイヤーをやりましょう!」

 

 

突然の佐介たちの申し出に紫苑たちはすぐには理解できなかった

 

 

「せっかくみなさんとこうして仲良くなれたんですから、もっと親睦を深めるため、今日は盛大に盛り上がりましょう!」

 

 

「ほらほら、雪泉ちゃんたちも早く来て手伝って」クイッ

 

 

「あっ、飛鳥さん!?」アタフタ

 

 

少し強引ではあったものの、月閃の選抜メンバーと共にキャンプファイヤーの準備に取り掛かる

 

 

そして準備ができ、火をつけるとキャンプファイヤーが始まり、今まで敵対関係だったみんなが歌えや踊れやで盛り上がり始めた

 

 

今までのわだかまりなどは消え失せ、ただそこには楽しくおしゃべりし、笑顔と喜びの絶えない少年少女達の姿

 

 

それを見て半蔵と黒影も満足そうな顔をしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これでようやく学炎祭も終わったね」

 

 

「うん。長かった…本当に長かったけど、今こうしていると一つ一つがいい経験になったと思えるよ」

 

 

「ふふっ、そうだね♪」

 

 

楽しく踊るみんなの姿を眺めながら佐介と飛鳥は今までのことをさも昔のことのように懐かしむ

 

 

「佐介くん」

 

 

「紫苑さん?」

 

 

そこへ雪泉に支えられながら紫苑が佐介の元にやってくる

 

 

互いに見つめ合い、沈黙する

 

 

また不穏な空気になってしまうのかと飛鳥と雪泉は心配するが

 

 

直後、紫苑が軽く笑みを浮かべ、それにつられて佐介もにっこりとする

 

 

「今回は負けてしまいましたが、次は必ず僕たちが勝ちます」

 

 

「僕たちだって負けません。いつでもお待ちしております」

 

 

互いに再戦を約束するとともに拳と拳を合わせた

 

 

「残念だが、貴様が佐介を倒すことはできないな」

 

 

『っ?』

 

 

するとどこからか知った声が響く、そして声のする方を向いてみると

 

 

「何故なら佐介を倒すのはこの俺なのだからな」

 

 

「光牙くん!」

 

 

「それと、お前もだからな飛鳥!」

 

 

「焔ちゃん!」

 

 

そこには紅蓮竜隊の面々がいた

 

 

「何やら私たちを差し置いて楽しそうなことをしてるじゃないか~?」

 

 

「いやだって焔ちゃんたちが来るなんて思わなかったから」

 

 

「問答無用だ!私たちも混ぜてもらうぞ!」

 

 

焔が代表してそう述べる

 

 

「ちょっとまった~!!」

 

 

『っ?』

 

 

するとまた別の場所から声が聞こえ、見てみた先には

 

 

「キャンプファイヤーをするなら俺たちも参加させてもらうぜ!」バーン!

 

 

『……だれ~?』キョト~ン

 

 

「ガクッ。蛇女の選抜メンバーの蒼馬こと相馬だよ~!!」

 

 

『……うっそ~???』

 

 

「あァァァんまりだァァアァ!!」うあ~ん

 

 

登場とともになぜかジョジョの仗助立ちの体制でアピールしている彼を見て鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔で全員が小首をかしげたことに愕然とし、名を明かすも信じてもらえずおもわず涙目で発狂する相馬だった

 

 

「佐介」

 

 

「あっ、両備ちゃん。来てくれたんですね」

 

 

「べっ、べつに両備は来たくて来たわけじゃないんだからね!ただ相馬のやつが俺らも行こうぜっていうから仕方なく来んだからね!」

 

 

「それでも嬉しいですよ」ニッコリ

 

 

両備は佐介の笑みを見て顔を赤らめるのだった

 

 

「じゃあ、みんな揃ったってことで今日は盛大に親睦を深めましょう!!」

 

 

『おーーー!!!』

 

 

佐介の掛け声に合わせ、全員が声を張り上げる

 

 

最初の時以上にキャンプファイヤーは盛り上がりをみせていた

 

 

「(…そう、善も悪も関係ない。今を純粋に生きていく。それこそが――)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕らが忍である証明なのだから……

 

 

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