すがすがしい晴天の朝の日差しが降り注ぐそんな爽やかな一日が今日という日の開始を宣言しているかのようだった
チュンチュン!
「…ふぁ~」クシクシ
そんな中、小鳥のさえずりが聞こえ、それと同時にふわふわな心地で夢見心地に浸っていた佐介が目覚めた
「うん…んん~~~ぷは~」グヌヌ
目覚めそうそうに体をほぐすべく伸びをし、まだ半眠状態の自分を活性化させる
「さ~てと、今日は朝から霧夜先生が修行をつけるって言ってたし、顔洗って準備でもしようかな」
佐介は学校に行くためにドアを開ける
ガチャ!
「「…えっ?」」
刹那、佐介の目に見慣れない少年が立っていた
「「……っ」」アセアセ
ギィィ…バタン
「(うん、落ち着け僕、慌てるな平常心、平常心!?)」
いったん扉を閉め、困惑する自分に佐介は言い聞かせる
これはきっと夢だ。自分はまだ目が覚めたと思い込んで夢の続きを見ているにすぎないのだと
そうでもなければおかしいと
「(ふぅ~……よし、今度こそ)」
深呼吸で落ち着きを取り戻した佐介は意を決して扉を開く
※この間、わずか5秒である
ガチャ!
「っ…」
「…っ」アセアセ
扉を開けた先に広がっていたのは何も変わらない、さっきと同じ状況
自分の部屋の前で見知らぬ少年が立っていた
沈黙の時が5,6秒続く
「だ、だれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」
「っ!?!?」
これは夢ではなく現実だと理解し、ようやく我に返った佐介は驚いた声を張り上げる
「うぇい、なんだなんだ!?」
「なになに!?」
「何事ですの!?」
「敵襲か!?」
その声を聞いた他のメンバーたちが次々と出てきた
「どうしたの佐介くん!」
「「っ!?」」
あっという間に佐介の部屋に皆が到着した
「いきなり大声を上げたからどうしちゃったのかと…って、ん?」
「「「「っ?」」」」
「あっ、えっと…?」アセアセ
皆の視線が一気に少年に向く
「ねぇ佐介くん、その子は誰?佐介くんの知り合い?」
「ううん、僕も全く知らない人だよ」
佐介に尋ねるも彼が誰なのか知らないという回答が出る
「じゃあこの人は?」
「おい、飛鳥見ろ!あいつ武器を持ってるぞ!」
「えっ!?」
葛城の一声で飛鳥や全員の目が集中する
「あっ!」
確かに少年の右手、正確には右手が変形した風に妙な形をした武器が装備されている
「「「「「っ!」」」」」キリッ
「っ!?」
それを見た瞬間、全員が警戒心を発生させた
「あなた何者ですか?どうしてここに?」
「い、いやその、僕は決して怪しいものではない…ほら!」アセアセ
ガチャ、ガチャチャチャン!
「「「「「「っ!?」」」」」」
少年が右手に視線を向けると武装されていた武器が収納され、替わりに人のものの手が現れた
「わかってもらえたか?僕は怪しいものではない」
佐介たちの警戒心を解こうと少年は自分が無害であることをアピールする
「いや十分に怪しいだろう!?」
「えぇっ!?」
「そんなので油断するほどオレたちは甘くない!」
凡人ならともかく数多くの戦いを行ってきた忍学生たちにとってその程度のアピールはまだまだ甘い
「みんな、気をつけろよ。まだ何か隠してるかもしれねぇ!」
「ちがっ、僕はそんなつもりは!?」
こちらを睨みつけている飛鳥たちに必死に弁解しようとする
「話しは後できっちり聞かせてもらう、だがまずはお前を捕まえる!みんな行くぞ!」
「「「「うん!」」」」
「「「「「確保ぉぉぉぉぉ!!!」」」」」バッ!
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
ドンガラガッシャァァァァン!!
※しばらくお待ちください
「うっ…うぅぅ…」シクシク
しかし、弁解すらもかなわず、少年は飛鳥たちに取り押さえられ、縄でぐるぐる巻きに拘束されてしまった
「さぁ、これで逃げられないぞ」
「観念して白状するんだな。お前は何者でここに何をしに来たのか?」
拘束された少年に葛城と柳生が尋問を行っていた
「あの人、いったい何者なんでしょう?」
「うん、謎だよね?」
その様子を少し離れた場所から佐介たちは見ていた
事実彼がどこの誰でどうしてここにいるのか根本的なことは何もわかってない
「だから違うんだ。僕は別に怪しいものじゃない!」
佐介たちが話し合いを続けている最中、少年がめげずに異議申し立て、自分が無害だと主張する
「そんなこと言ってはいそうですかって信じられるわけないだろう?」
「本当なんだ!…実際、僕だってよく状況が呑み込めてすらいないんだ。だって僕はついさっきまで仲間たちとともに「ヒュージ」と戦っていたんだから」
「ヒュージ?」
少年の口から聞きなれない名が出てきたことに佐介たちは小首をかしげる
「それでヒュージたちとの交戦の最中だった。いきなり妙な黒い穴が発生したと思ったら僕と仲間たちはそれに吸い込まれてしまって気が付いたら僕はこの場所にいたんだ」
「…っ」
葛城たちに必死に訴える少年の顔を見て佐介は彼が嘘を言ってるようには思えなくなった
「ヒュージだかなんだか訳の分からないこと言ってるけどほんとは逃げるために作り話をしてるんじゃねぇのか?」
「作り話しで済むものか!」
「「「「「「っ!?」」」」」」
それは今の今までおどおどしていた少年が一番強い主張を告げる言葉だった
「奴らのせいでみんながどんなにひどい目にあったか…だからみんないつか人々の笑顔の絶えない世界を取り戻すために命を戦っているんだ!僕だってそんなみんなの未来を守りたいと思って日夜戦っているんだ!作り話しなんかでかたずけるな!」
一心不乱に思いを主張する
その姿はまさに真剣、その瞳には一切の濁りがない、心の底から思っているのであると佐介は感じ取った
「…っ」
「佐介くん?」
佐介は一歩一歩少年に近づく
「っ?」ハッ
少年もまた佐介のその動きに警戒心を強める
「……っ」
シュルル…ボトッ
「えっ?」
だが、佐介が取った行動に少年はおろか他の皆も驚く
佐介が少年を拘束していた縄を解いたからだ
「お、おい佐介何やってんだよ!」
「何をしでかすかわからないんだぞ!?」
葛城と柳生が縄を解いた佐介に物申す
「大丈夫ですよかつ姉、柳生ちゃん。この子は悪い人じゃありません」
「っ?」
「さっきこの子は誰かを思い、自分のことのように必死になって語っていた。それにこの子の目が噓をついているようには見えなかった」
少年のほうをまじまじと見つめ、佐介がそう言い聞かせる
「で、でもよ」
「責任は僕が持ちます。だから…お願いします」ペコッ
「「「「「っ」」」」」アセアセ
まだどこか腑に落ちなさそうなホカノメンバーだったが佐介が頭を下げて懇願するので何とも言えなかった
「すまない、おかげで助かった」
「いえいえ、僕はただ自分の勘を信じたにすぎません」
「それでもだ。信じてくれたこと心から感謝する」
少年は謙遜する佐介にお礼を述べる
「ところで、今までが今までだったので聞きそびれてましたが、君の名前は?」
「僕か?…僕はアムだ。梨璃がつけてくれた名だ」
「アム君ですか、わかりました…でもその梨璃さんというのは?」
「あぁ、梨璃は僕の仲間で」
佐介とアムが会話をしている最中、飛鳥のスマホが鳴る
「あっ、焔ちゃんからだ。もしもし焔ちゃんどうしたの?…うん、うん…えっ?」
電話の中、飛鳥が驚いた顔を浮かべる
どうしたのかと気になっている一同を他所に飛鳥が電話を終える
「飛鳥、どうしたんだ?」
「それが焔ちゃんたちの元にも知らない女の子が現れたって連絡が来たの」
「「「「「「えっ?」」」」」」
飛鳥のその言葉に皆が驚いた様子を見せるのだった