瑠璃奈の襲撃により、否応なく戦いに巻き込まれる形となってしまった佐介と遠野天狗ノ忍集たち
雑兵たちに気を取られている隙に瑠璃奈に夕焼と那智と分断させられてしまい、おやすみ
そこに彼女の右腕ともとれる3人の忍の集団が立ち塞がった
一方、佐介たちから離された夕焼と那智はその結界内で瑠璃奈と戦闘を開始する
だが、瑠璃奈の実力は2人より上で早々に2人を追い込んでしまう
ある程度行った後、瑠璃奈が魔具を使い、夕焼から力を奪い取ろうとする
力を取られる寸前まで来たその最中、佐介が結界を破り現れ、この窮地を救う
作戦が失敗した瑠璃奈は撤退を決め、その際に佐介たちに里の者たちを人質にしていること
取り返したくば夕焼を連れ、3時間内里に来ることを告げて去っていく
どうすべきかと悩んでいるのも束の間、突如夕焼が暴れ出してしまう事態が発生
辛くも押さえ込むことに成功したが。事態はますます悪くなってしまう一方だった…
[遠野の里]
佐介によって計画が狂わされた瑠璃奈は手下と共に遠野の里にて里長の玉座に座したまま佐介と夕焼たちが来るのを今か今かと待っていた
「んん…っ」
「…っ?」
「いらん」
「っ…」ぺこり
里長の玉座に座し、佐介たちを待つ瑠璃奈の元に手下の1人が飲み物を差し出すも瑠璃奈はそれを断る
「瑠璃奈さま、奴らが来るのが待ち遠しいという顔ですね?」
「わかるか?」
「はい、顔にそう描いてありますゆえ」
「….ふっ、そうか」
側近である三忍衆の一人である彼女の指摘に瑠璃奈はクスッと笑みを浮かべた
「しかし、本当に来るんですかいねあいつら?もしかして姐さんの強さに怖気付いて来ないんじゃねえですかい?…まっ、そうだとしてもオイラの楽しみは消えねぇんですがね」
小人男は佐介たちが来たら彼らを自身の手で血祭りに、来なければ里の者たちを血祭りにあげるつもりでいるが故にどっちに転んでも構わないという考えだった
「来るさ、あのお人好しどものことだ。里の奴らを見殺しにすることなどしようはずもない…それになんの因果だろうか、まさか田吾作の言っていた父上を負かした奴にこんな時にお目にかかれるとは思ってもみなかったな」
瑠璃奈は今までの情報を元に佐介についてを考える
「計画を完璧に遂行するために万全を期して用意させた結界をあろうことかあやつ一人に破られるとは思いにもよらなかった」
「あの少年のことでごわすな?…確かにわしらも驚きましたぞ、邪魔をされたとはいえわしらの包囲を掻い潜ったばかりか結界を破壊してしまうとは」
三忍衆も瑠莉奈同様に佐介の予想以上の強さには驚かされていた
「…実に惜しい、どうにかしてあ奴をわらわの配下に加えられぬだろうか?」
「正気ですか瑠莉奈さま?あの男はあなたの父君である兵太夫さまを?」
「そんなものは関係ない、そもそもあのような考えだったからこそ父上は無様に敗北したのだ。弱い者になどわらわには興味がない、ましてそれが父だったとしてもな」
父親とて容赦ない罵倒を瑠璃奈は吐いていた
「失礼します瑠莉奈さま」
するとその最中、一人の忍が彼女たちの前に姿を見せる
「どうした?」
「はっ、実は今しがた里に侵入してきた那智一行を拘束、捕縛いたしました」
「なんと」
「いかがいたしましょうか?」
思惑通りに那智たちが里の者たちを助けるために来たことを斥候の忍から告げられ
斥候の忍がどうするかの指示を乞うた
「構わん、連れてまいれ」
「はっ!」
指示を受けた斥候は早速行動に移った
そして待つこと数分後
部下の忍たちに連行されながらこの場に現れたのは那智、夕焼、九魅、深里の4人だった
「逃げずによく来たな。褒めてやろう」
「瑠璃奈義姉さん」
那智たちが来たことを確認した瑠璃奈が玉座より立ち上がりこちらに歩み寄ってくる
「…見たところ牛丸とあの男がいないようだが?」
「そ、それは…」
出会った当初の面子が2人欠けていることを指摘された那智は困ったような顔を浮かべた
「…まぁいい、わらわが必要としているのは夕焼だ。それ以外の奴らのことはどうでもいいことだ」
話しを続けながら瑠璃奈が那智を横切り、夕焼の元に歩み寄る
「だかな那智よ……っ!」
「っ!?」
「「「っ!?」」」
刹那、突然瑠璃奈がソードリカーランスで夕焼に斬りかかった
「はっ!」
「っ!?」
とっさに後ろに身を引き攻撃をかわすと同時に距離をとる
「そのような手でわらわの目を誤魔化せるとでも?」
「…お見事ですね。速攻で見破るとは」
次の瞬間、ポンと煙が発生し、それが晴れるや夕焼と思われたそれは佐介の姿に変わった
「そのような変装など父上なら騙されたやも知らぬがわらわの前では無意味なことぞ」
ソードリカーランスを佐介に突き付けながら瑠璃奈はそう告げる
「大方、本物の夕焼は牛丸と共にいると言ったところだろうな…さて、小細工は終わった。どうするつもりだ?」
剣先を佐介に向けながら瑠璃奈は那智の方を見据える
「那智さん?」
「那智!」
「やむおえないわ。2人とも!」
「「はい!(おっしゃあ!)」」
那智の言葉を聞いた九魅と深里が彼女と共に暴れだす
「おりゃ!」
「やぁっ!」
「えーい!」
3人が次々と襲いかかってくる雑兵たちを蹴散らしていく
ジュイン!
「うおっと!」
最中、九魅の元に槍の刃先が飛んできた
咄嗟に避けると同時に槍が来た方向に視線を向ける
「随分とやってくれてんじゃないの?やはりあんたはアタシが相手してやらないといけないようだね?」
「へっ、それはこっちのセリフだぜ、今度は絶対負けねぇぞ!」
雪辱を晴らすべく九魅は槍使いに向かっていった
「キヒヒヒヒ、お前らもこりねぇな?負けるとわかっててわざわざ戦いを挑むなんてよ?」
「あら、随分と言ってくれるじゃない?でもね、勝負において絶対なんて言葉はないわ。戦いを勝利に導くのは何も力だけじゃない、知性もまた重要だってこと教えてあげるわ!」
「ほざけ!キャァァァ!!」
深里の方もまた小人男との再戦に身を投じる
「さて、とすれば必然的にわしの相手になるのは?」
「当然、私ということになるでしょうね」
2人が戦闘を開始したとなれば残る那智も当然戦うことになることは当たり前だ
そうして那智の前には大男が立ちふさがる
「こう見えてもわしはあまり殺生は好きではないでごわす」
「あら、でしたら身を引いてくださりませんか?そうしてくれると私としてもとてもうれしいんですけどね?」
「確かに、だが、生憎そうも行かぬのでごわす。瑠莉奈さまのためにも身を引くことは許さないでごわすからな」
「…残念です」
理解し合えると思ってもそうは問屋が卸さないこともある
那智は残念そうな顔を浮かべながら大男と相まみえる
「あいつらも派手にやり始めたようだな?…ではわらわたちも始めるとしよう!」
「ふぅん!」
向こうの様子をチラッと見ていた瑠璃奈もまた負けてはいられないなと佐介との戦闘を開始する
「そらそらそらそら!」
「っ!?」
高速の連続突きを繰り出し、佐介を驚かせる
「ふっ!はあっ!」
「ぬっ!?」
しかしその動きを読んだ佐介が掌底で剣先の起動をずらすという荒業を見せる
それによってできた隙を逃さず、佐介は宙に飛び上がる
「獣波拳!!」
飛び上がると同時に瑠璃奈の背後を取り、獣波拳を放つ
「あまいわ!」
だが、瑠璃奈も負けてはおらず、佐介の繰り出した獣波拳に対してソードリカーランスの右の刃先を突き出す
すると獣波拳のエネルギーが剣先に吸収されていった
「っ!?」
自身の技を吸収されたことに佐介は驚きを見せる
「くらえ!」
直後、吸収を完了させた瑠璃奈がもう片方の剣先を向けるとそこから先ほど彼女に吸収された獣波拳のエネルギーが放たれ、佐介目掛けて飛んで行った
「ぐっ!?ぬぁっ!?」
思わぬカウンターを受けてしまい、佐介は回避に回れず、直撃を受けて後ろに吹き飛ばされた
地面をえぐりながらもなんとか佐介は踏ん張りを見せていた
「ほう、耐えたか。さすが父上を負かしただけはある…ますます惜しいな」
「っ?」
「どうだ?今からでも我が部下になる気はないか?お前ほどの実力者を手にかけるのももったいない、わらわのもとで働くというならそれ相応の地位を約束してやるぞ?」
佐介の実力を評価した瑠璃奈は佐介を勧誘する
「随分と素敵な提案ですね…ですが、お断りします」
「なにっ?」
「僕は守りたいものを守るために忍になりました。だけどあなたに付き従ってしまえば僕は自分の信念を曲げることになる。そのようなことをしたなら僕は忍を名乗る資格はない!」
はっきりと自分の意を告げる
「では、従う気はないと?」
「そういうことになります」
「…そうか、ならもういい、死ね!」
「っ!」
交渉決裂となった瞬間、瑠璃奈は再び佐介に切りかかる
応戦するように佐介も駆け出し、両者は衝突する
しかし先ほどのダメージも合間って押され気味だ
「どうした!こんなものか!あの姿になったらどうだ!」
「っ!?」
「今の貴様では相手にすらならん。あの姿になってわらわと戦え!」
瑠璃奈は極限魂の自分を所望しているようだった
「(確かにこのままでは不利か、それなら!)」バッ!
「っ!?」
佐介は攻撃を避けると同時に距離を取る
そして構えを決める
「来るか?」
構えから佐介が何をしようとしているのかを察した瑠璃奈はワクワクといった思いを抱く
「忍、魂…「佐介さん!」っ?」
「っ?」
極限魂に転身仕掛けた時、不意に声が聞こえてその声のするほうを向く
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
「ゆ、夕焼さん!」
「っ?」
「「「っ!?」」」
声のする方にいたのはこの戦いにおいて最も危ないとして牛丸に監視を任せておいてきたはずの夕焼だった
「夕焼さん、なんで!?」
「…みんなの気持ちはわかります、瑠璃奈さんは私を狙っている。だから私がここにいるのは危ないということも、でもだからって自分一人で何もしないわけにはいかない、里の人たちを助けたいのは私だって同じ気持ちだから!」
「夕焼さん」
自分も里を守りたいという思いを強く主張する
「それで?だったらお前はどうしようというのだ?」
「もちろん戦います。私はあなたを……ぜってぇぶっ倒す!」
「夕焼さん!」
「…面白い、やれるものならやってみろ?」
刀を抜いた夕焼は好戦的な感じになって瑠璃奈に再び刃を向ける
その様子に佐介は慌てた様子を見せ、瑠璃奈は不敵な笑みをこぼすのだった