瑠莉奈によってとうとう夕焼から夜叉が分裂し
さらに続けざまに分裂した夜叉が瑠莉奈に力を奪われ
その力を吸収した瑠莉奈が妖魔の力を経て、試運転と称して2人に襲い掛かる
彼女たちを救うべく佐介が立ちはだかり、極限魂の姿となりて応戦するもすぐに弱点を感づかれてしまう
この状況が危険だと判断した佐介の指摘を受けた夕焼は夜叉を連れて逃げる
だが、逃げることを良しとしない夜叉と乱戦の中、悶着を起こしてしまう
その際、彼女の拳を受け止めた夕焼は夜叉の記憶を通して過去に里に起きた出来事を知る
夜叉と里の悲しい関係を知ったことで夕焼は傷ついた彼女の心を救ってあげたい思いを抱き
彼女に自身のその想いを告げる
夕焼の言葉とかつてを共にした先代たちの思念を目の当たりした夜叉は彼女の思いを受け入れることにした
一難去ったがまだ肝心なことが残っているため、2人は今一度共に戦うことを誓うのだった
ドドン!ドドドドン!
バキキキキキキン!
「っ~~!?」ザザァァ!
【「ふふふっ!」】
激しい轟音とともに佐介と瑠莉奈の戦闘は続いていた
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
【「…しぶといな。しかし体力のほうがもう限界に近いようだな?そんな状態で大丈夫か?」】
「た、たとえ自分がどんなっ状況であっても負けるわけにはいきませんから」
【「そのしぶとさだけは褒めてやろう。だがそれもここまでだ。お前は負ける。わらわの手によって!」】
勝利を確信したような口ぶりで剣を天に突きあげる
さしもの佐介もヤバいと感じた
その時だった
シュン!
「あっ!」
【「っ!?」】
「ふぅぅぅん!」
【「ちぃっ!!」】
突如として背後から迫りくる影に驚きつつも咄嗟にもう片方の剣でガードした
「っ!」ザザァァ!
「夕焼さん、どうして?」
「…ごめんなさい、でも、やっぱり逃げるなんてできないから」
「っ」
自分の前に後退してきた夕焼に佐介はどうして戻ってきたかを問う
それに対して夕焼は真っ直ぐな意思でそう答えた
【「ふん、誰かと思えば貴様か夕焼、今更貴様一人戻ってきたからとて何も変わりはせんぞ?」】
戻ってきた夕焼に対して瑠莉奈がせせら笑うように言う
「いいえ、違います」
【「っ?」】
「一人じゃ…ねぇよ!!」
【「この感じ夜叉か?」】
唐突に雰囲気が変わり、迫りくる夕焼を見て瑠莉奈は彼女の中にいるのが夜叉だと感じ取った
「おりゃっ!」
【「貴様もまた性懲りもないな?わらわには勝てぬとわかっているだろうに?」】
「んなの…テメェの勝手な押し付けだろうが!」
怒涛の攻めを見せる夕焼(夜叉)の攻撃をはじきながら主張をする
【「ふん、あれだけに組んでいた里の者である夕焼の体に再び入るとがな。滑稽だな」】
「はっ、勘違いすんな!オレはただオレから力を奪いやがったテメェをぶっとばしたいだけだ!」
【「屁理屈を!」】
果敢に攻める夕焼(夜叉)だが、それでも瑠莉奈を押すほどまでは行かなかった
【「ふん!」】
「ちぃっ!」
次なる瑠璃奈の攻撃を寸ででかわすとともに距離を取る
【「いくら悪あがきしても無駄だ。今一度1つとなって戦う力を取り戻したとてお前らではわらわは倒せんわ!」】
「…確かにあなたは強いです」
「っ!」
刹那、佐介は夕焼の口調が変わったことに気づく
「だけど、だからって諦めるつもりはありません」
【「今度は夕焼か?ころころと変わりおってややこしい奴らだな?…それで?だからなんだというのだ?いくらどんなにほざいたところで何が変わる?」】
瑠璃奈はいくら頑張ったとてそれらは無駄なことだと嘲笑する
「変わるんじゃありません」
【「っ?」】
「変えるんです。私と夜叉さんで」
【「戯言を…さっきも言ったが今のお前らに何ができる!」】
自信ありげに主張する夕焼の態度が気に入らない瑠莉奈が罵詈雑言を浴びせる
「今から賞めします。行きましょう夜叉さん!」
【「しゃあねな、やってやる!」】
1つの肉体を通して互いに意思疎通をこなす
【「「はぁぁぁぁぁ!!」」】
そして2人が体の中と外と同時に力を込める
「っ!?」
【「な、なんだ?何が起こっている?」】
最中、佐介と瑠璃奈は夕焼の体から力が湧き上がっていくのを感じる
さらに力が高まると同時に夕焼自身にも変化が起こる
彼女を中心にエネルギーが溢れ出る
溢れ出るエネルギーが彼女の体を包み込んでいくとともに衣服が変化を見せる
衣装が変化するとともに体のラインに模様が入る
そして最後に彼女の背中に二枚の翼が生えた
「…っ!」キュピン
変化が終了し、閉じていた目が開かれる
開かれた瞳はいつもの彼女のものではなく、夜叉の瞳に変わっていた
「っ、なんだ?」
「あれってまさか夕焼さんなの?」
「ゆーちゃん?」
変化した夕焼の姿に他の者たちも戦闘を忘れるほど見入ってしまっていた
「(夕焼さん…)」
一番夕焼の変化に驚愕していたのは那智だった
先代たちですら知らぬ現象を自身の目で目の当たりにしていたのだから
「夕焼さん、その姿は?」
「詳しいことは私にもわかりません…でも1つだけ分かるとしたらこれが私と夜叉さんが作り上げた力ということです!」
夕焼はそう言いながら瑠璃奈に向かって構える
【「何が2人で作り上げた力だ?所詮はそんなものはこけおどしにすぎん、貴様らの力なぞ、わらわの力の前では無意味ぞ!」】
夜叉と一つになった夕焼の姿に驚きを見せる瑠璃奈だったが、そんなものは自分の前では無意味だと言うように夕焼に向かって突進してきた
「行きましょう、夜叉さん…っ!」
これに対し夕焼もまた自身と一つになった夜叉に語りかけるように呟くとそのまま背中に生えた羽で宙に浮かび、瑠璃奈に向かっていく
【「てぇぇぇい!」】
「はぁぁぁぁ!!」
刹那、夕焼の刀と瑠璃奈の剣がぶつかる
激しい鍔迫り合いが繰り広げられる
【「ちぃ!」】
「ふっ!」
さらにそこから凄まじい空中戦に突入し、ものすごい速さで宙のあちこちでぶつかったと思われる衝撃波が確認できた
【「せぇぇぇい!」】
空中戦が激化する中、瑠璃奈が夕焼の頭上の空から剣を突き立て突進してきた
「っ、ふぅぅん!」
【「なっ!?」】
「たぁぁぁっ!」
【「ぐぁぁぁぁ!?」】
だが、これに対して夕焼は二刀で瑠璃奈の突きを受け止めると同時にそのまま起動をずらして彼女に急接近する
間合いに入ると同時に夕焼は驚愕の顔を浮かべる瑠璃奈の顔面に勢いよく蹴りを繰り出す
思わぬ攻撃を受けて瑠璃奈は宙をくるくると回りながら落下する
【「ぐぅ!?」】
しばしの回転の後、どうにか踏ん張りを見せ、体制を立て直す
【「ふぅ……っ!?」】
「っ!」
だが、それも束の間、夕焼が背後をとっていることに気づく
【「……おのれ!」】
即座に身を翻し、斬りかかる瑠璃奈だったが
既に後ろにいたはずの夕焼の姿は消えており空振りに終わる
「はぁぁぁぁ!!」
【「なに!?ぐあっ!?」】
「てぇぇぇい!」
【「ぬぁぁぁぁぁ!?」】
生じた隙を見逃すまいというかの如く夕焼が超高速で突進した
さらにそこから怒涛の連続アタックで瑠璃奈を圧倒する
「瑠璃奈さま!?」
「そんな、お嬢が!?」
「ありえん!?」
瑠璃奈が圧倒されている光景にさしもの三忍衆も驚きを隠せない
「ありえなくなんかないわ!」
「夕焼は私たちのリーダーなんだぜ!」
「そして私たちも夕焼さんたちが頑張っている限り!」
「絶対に諦めません!」
夕焼の優勢が活力となったのか他の4人もまた闘志を募らせる
「ほざくな!!」
「お前たちのような青二才に!」
「負けるわけがないでごわす!」
迫りくる4人を迎撃に出る三忍衆が一斉に攻撃を繰り出す
「九魅!」
「わかってら!」
「「たぁぁぁっ!」」
九魅と深里の連携技が槍女と小人男の攻撃をはじき返し
「牛丸さん!」
「はい!」
「「えぇぇぇい!!」」
那智と牛丸が大男の攻撃をはじき返した
これには三忍衆も驚きを隠せない
「決めるぞ!」
「「「おー!」」」
この戦いにケリをつけるべく九魅が勝どきを促し
それによって3人も気合を入れる
「舐めんじゃないよ!はぁぁぁぁぁ!」
槍女が能力で槍を飛ばす
「待ってたぜ!」
「なにっ!?」
ここぞとばかりに九魅が攻撃をかわし
同時に転化した尻尾を操り、槍をぎゅっと掴む
「おらおらおら!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
九魅のスイングによって投げ飛ばした
一方その最中、深里は小人男と交戦していた
「ヒャッ!ヒャヒャ!」
「ふぅ!はっ!」
「くそっ、ちょこまかと!…くらえ!」
攻撃を避けられていくことに腹を立てた小人男が生成した刃で深里を狙う
「その技は見切ってるわ!」
だが、これもまた避けられてしまう
「この、調子にのんじゃねぇ!」
耐え兼ねた小人男が飛びかかる
「ふふっ、作戦通り!」
「なに?」
深里の言葉の意味がわからない様子を見せていた小人男がキョトンとしていると
「うわぁぉぁ!?」
「なっ、どぁぁっ!?」
先ほど九魅によって吹き飛ばされていた槍使いが小人男にぶつかって転倒する
「やるわよ九魅!」
「おう!」
2人の動きを止めたと同時にキメにかかる
「くらえ!私たちの全力ー!」
「な、なんだこの風は!?」
「か、体が…凍って!?」
巻き起こる冷気の風が2人の身動きを封じる
「これで…止めだぁぁ!」
「「うぁぁぁぁぁ!?」」
続け様に繰り出された九魅の一線が2人をノックアウトさせたのだった
「ぬぅ、よくも!!」
仲間をやられたことに怒りに震える大男が魔槌を振り上げる
「牛丸さん!」
「わかりました~!」
コンタクトを取り合うとともに大男の攻撃を避ける
「行きますよ!はぁぁぁぁ!!えぇぇい!」
那智が宙に向かって跳躍と共に体を大きく回転させ
釣竿を振り下ろすとそこから10トンと書かれた重しが落ちてきた
「なっ!?ぐおっ!?」
慌てながら大男がそれを受け止める
「こ、こんなものでわしはやられはしないでごわす!」
10トンという重さをなんとか耐えながら潰されないよう必死に抵抗する
「いまです牛丸さん!」
「わかりました〜!」
しかしそこに牛丸が間合いに入る
「行きますよ〜!やぁぁ〜!」
「ぬぉぉぉ!?」
牛丸がムチの連撃を大男に浴びせる
「これで、トドメです〜!」
ポン!ヒューー!ドーン!
「ギャイィィィン!?…で、ごわ…す…」チーン
追い討ちをかけるように牛丸の相棒である子牛が巨大化と共に重しに乗っかり
それによって大男はとうとう潰されてしまった
「おーい!那智!牛丸!」
「やりましたね!」
「九魅さんも深里さんもお疲れ様でしたー」
敵を倒して集合した4人が互いを称え合う
「さぁ…残りは…」
自分たちの活躍によって三忍衆は倒された
残るは大将である瑠璃奈、ただ1人だけとなった
「やぁぁぁっ!!」
【「ぐぅ!?」】
三忍衆が敗北したのも束の間、瑠璃奈の方もまた夕焼の戦法によって劣勢に立っていた
【「そんな…そんなバカなことが!?…いくらあの男との戦闘で消耗したからとはいえ、このわらわが押されるなど!?」】
今の子の自分の現状に納得していない瑠莉奈が文句を垂らす
「覚悟してください瑠莉奈さん!これで決めます!」
【「調子に…乗るな!」】
「っ!?」
畳み掛けるように勝負にケリをつけようとした夕焼の一瞬の隙を突いて吸射剣の吸の刃を突き立てることに成功した
【「ふふふっ、馬鹿め、油断したな!貴様のその力、今度こそわらわが根こそぎ奪ってやる!」】
すると吸の刃の先端から夕焼のパワーが吸い取られ始めていく
「ぐっ、うぅぅぅぅ!?」
【「いいぞ、もっと苦しめ!…わらわこそが最強の存在、それ以外の者など存在することさえ許さんわ!」】
苦しむ夕焼を眺めつつ、瑠莉奈がそう言い放つ
力が吸い取られて行く状況はまさに万事休すといったところだった
…だが、その時だった
「っ!」シュン!
「っ!?」
【「なっ!?」】
「砕撃脚、はあぁぁぁぁぁ!!」
シュン!…ピキキ……バリィィィィン!!
【「なにっ!?」】
「……っ!」
「佐介さん!」
突如として現れた佐介のかかと落としが吸の刃を砕いた
【「き、貴様ぁぁぁぁぁ!!」】
「ぐぅぅぅ!?」
「佐介さん!?」
吸の刃を折られた瑠莉奈が夕焼から奪ったエネルギーを射の刃から放ち佐介を吹き飛ばした
「っ~~、夕焼さん今です!」
「っ!?」
この時夕焼は悟った。佐介は身を挺して自分に隙を作ってくれたのだと
「(ありがとうございます。佐介さん!)」
夕焼は心で佐介に礼を述べる
「行きますよ夜叉さん!」
【『「一気に行くぞ!!」』】
「はぁぁぁぁぁ!!!」
【「っ!?」】
佐介の作ってくれた隙を突き、瑠璃奈に連続の斬撃を浴びせる
【「ぐあっ!?」】
「これで…終わりですぅぅぅぅ!!!」
二刀の方とともに回転力を重ねた必殺の一撃「クンネチュブ・イコロ」を繰り出す
その必殺の一撃を避ける隙も得られず、瑠璃奈は直撃を受けた
【「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!?お、おのれ夕焼!?おのれ夜叉ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」】
騒然な悲鳴を上げながら瑠璃奈は敗れ去り、同時に彼女たちの野望はついえた
「か、勝った?勝ったのよね?」
「ったりめぇだろ!」
「ゆーちゃんの勝ちです~♪」
一連のことを見ていた九魅たちは大はしゃぎする
「…ありがとう、佐介さん、夕焼さん。そして…夜叉さん」
夕焼に敗れさり、元の姿に戻って地面に横たわる瑠莉奈を眺め、この危機を救った三人に那智は感謝を込める
「…やりましたね。私たちの勝利ですね。夜叉さん」
【『「…あぁ、そうだな」』】
自分の中にいる夜叉に語りかかる夕焼の言葉に夜叉はそう返答した
「……良かったですね。夕焼さん…はぁ…」
戦いが終わり、夕焼たちの顔に笑顔が戻った様子を見て佐介は安心したように草原に寝ころびながら目を閉じ
風を感じるのだった