閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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月閃女学館、空白の過去 2 

黒影をとの別れという月閃女学館のメンバーにとって最悪の日を迎えてより数日の時が過ぎた

 

 

やはり皆、今だに黒影の死に納得ができず、彼との思い出を思い出しては涙を流しているというありさまだった

 

 

皆、未だショックの影響から立ち直れておらずの状態だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころ、紫苑もまた街に赴いており、雪泉と夜桜のように街中でからまれていた

 

 

「どうしたんですか?威勢ばかり張っていざやってみたらこの程度ですか?」

 

 

「わ、悪かった!俺たちが悪かった!も、もう手は出さねぇからよ!か、勘弁してくれよ!?」

 

 

路地裏で一千やらかした様子だったがただのナンパ男数人が紫苑をどうにかできるはずもなく当然ながら返り討ちにされてぼこぼこにされていた

 

 

男たちは必死に土下座で謝罪する

 

 

「君たちの土下座したところでそんなものに意味などあると思いますか?君たちはいつもそやってか弱い者を無理やり言いなりにしようとしている。君たちの行いは許されるものではない、そう…万死に値する」

 

 

「な、なにを!?」ビクビク

 

 

そう言うとともに紫苑が男たちに向かって腕を突き出す

 

 

「安心していいですよ。命までは取りません…ただ、もう二度とナンパなどできないよう、五体満足にいられない体にするだけですから」

 

 

「「「「「ひぃっ!?」」」」」ビクッ

 

 

紫苑の涼しいが恐ろしいと思える形相にナンパ男たちは恐怖し、中にはそれに耐えきれず失禁する者もいる

 

 

しかしそんな男たちを他所に紫苑は一歩一歩と近づく

 

 

「そこまでにしたらどうかしら紫苑先輩?」

 

 

「…っ」ピクッ

 

 

刹那、後ろからの声で紫苑は動きを止める

 

 

くるりと後ろを向いてみるとその先には2人の女性が立っていた

 

 

「両備、両奈?」

 

 

声の主は当時まだ月閃女学館の生徒であった両備と両奈だった

 

 

「い、今のうちに逃げるぞ!」

 

 

「「「「ひ、ひぃぃぃ!!」」」」

 

 

ナンパ男たちはこの隙を逃さず命からがらというかのようにおびえ切った様子で一心不乱に逃げ帰っていった

 

 

「…なぜ邪魔をしたんです?」

 

 

結果的に紫苑は男たちを取り逃がしてしまい、自分を邪魔した両備と両奈に問いただす

 

 

その顔は明らかに怒っている様子だった

 

 

「そう睨まないでくれませんか紫苑先輩、確かに邪魔をしてしまったことに関しては謝るわ。でもさすがにこれ以上はやりすぎじゃないかと思ってね」

 

 

「でもでも両奈ちゃんだったらむしろされてみたい気がしてならないよ~ん♪」

 

 

「うるさいわよこのバカ犬!あんたは少し黙ってなさいよ!」

 

 

「きゃう~ん♪いい、いいよ両備ちゃん!もっと両奈ちゃんを罵倒して~♪」

 

 

紫苑は自分の前で行われている意味不明なやり取りを見てなければいけないこの現状に少々困惑する

 

 

「まったく、話しを戻すわよ。とにかくあのままじゃあいつら大変な目にあいそうだったからついね」

 

 

「…エゴですね」

 

 

「なんですって?」

 

 

「ああいう輩は自分よりも弱き者たちを陥れ、それを娯楽や快感と称して行っている穢れた者たちです。そのような忌まわしき者たちに私は正義の鉄槌を下そうとしたというにそれをそんな理由で止めるだなどとエゴ以外の何物でもありませんね」

 

 

両備の言い分をエゴだといって紫苑は否定する

 

 

「紫苑先輩って綺麗な顔して言うことは冷たいんですね?」

 

 

「そう思うのならそう思ってくれても結構です。あと綺麗とかは余計です」

 

 

「きゃわん、でもでも~紫苑先輩のその冷たい視線、両奈ちゃんなんだかいいと思うよ~♪」

 

 

「だからあんたは口閉じてなさいっての!?」

 

 

またも話しに割り込んでくる両奈を両備が怒鳴るようにしかりつける

 

 

それを見なければいけない紫苑としてもこのノリは正直苦手だった

 

 

「…ところで君たちは何をしに来たんです?選抜メンバーではない一年生のあなたたちがぼ…うっうん。私の元に来るだなんて、一応言いますがたまたま近くを通りかかったなんて台詞は通じませんよ。彼らに絡まれる前から私のことを尾行していたのは知っていましたから」

 

 

「っ…さすが紫苑先輩ね。両備も両奈も極力気づかれないように細心の注意を払っていたんだけどね?」

 

 

「あまり私をなめてもらっては困りますよ。これでもあなたたちよりも経験は豊富ですので」

 

 

「言ってくれるわね?」

 

 

両備たちは紫苑に尾行を気づかれいたことに驚きを感じつつもそれを表に出すまいと平常心を持って会話を続ける

 

 

「まぁ尾行の出来がどうとかは今は言う必要はありませんね。私が知りたいのは君たちのその理由にあるわけですし」

 

 

紫苑は尾行自体に興味はなかった。

 

 

肝心なのは2人がそうしてきた理由にあるわけだから

 

 

「紫苑先輩に対しては隠し事をすること自体意味がないってのはわかってる。だから回りくどいのはなしにして単刀直入に言わせてもらうわ。両備たちは月閃を抜ける。そしてその後に蛇女に転入するの。両備たちの目的を果たすためにもね!」

 

 

「っ!?」

 

 

両備たちは自分の目的を包み隠さず告げた

 

 

「…蛇女、聞いたことがありますね。確か悪忍の養成校でしたね?君たちはそこに行こうとしているということですか?」

 

 

「えぇ、でもそれには向こうが提示した条件をクリアしなければならないの」

 

 

「条件?」

 

 

「それは…選抜メンバーの筆頭の首を取ることなの、故に紫苑先輩、両備たちは今ここであなたを倒させてもらうわ!」

 

 

勢いよく紫苑を指さしながら両備は自分たちの手で倒すことを宣言する

 

 

「私を倒すですか…でもなぜ?」

 

 

「両備たちのことをなめないでくれるかしら?こっちも調べはついてるのよ。確かに選抜メンバーの筆頭は雪泉先輩って言われてるわ。でもそれは表向き、本当の筆頭が紫苑先輩あなただということはすでに明白しているのよ」

 

 

「うんうん、だからね、両奈ちゃんたちは紫苑先輩を倒してその証を手見上げに蛇女に転入するってわけ」

 

 

「…なるほど、そういうことですか」

 

 

2人の説明で紫苑は理解した

 

 

「話しはここまでよ。先輩には悪いけど両備たちの目的を果たすためにも!」

 

 

「紫苑先輩を倒すよ~ん♪」

 

 

そういうと2人は学私服から忍装束にチェンジし、紫苑に襲い掛かる

 

 

「さぁ紫苑先輩!」

 

 

「覚悟して~ん!」

 

 

「はぁ…あまい!」シュン!

 

 

「「っ!?」」ザザァァ!

 

 

刹那、紫苑は迫りくる2人に向かって駆け出すと同時に一瞬で通り過ぎる

 

 

突然の出来事に驚きつつ着地後すぐに紫苑に視線を向けなおす、逆に紫苑のほうは背を向けたままたたずんでいた

 

 

どうしたのかと2人が困惑していると

 

 

 

ビリッ…ビリリリィィィ!!

 

 

 

「なっ!?」

 

 

「ふぇっ!?」

 

 

気付いた時には2人は驚愕の顔を浮かべていた

 

 

いつの間にか服がびりびりに破かれてしまっていたのだ

 

 

両備と両奈はそれと同時に地に伏せてしまった

 

 

「な、なに?どういうことなの両備ちゃん?」

 

 

「そんなの両備がわかるわけないでしょ!…な、何をしたの!?」

 

 

未だ自分たちに起こったことの理解が追い付いていない様子で両備が問いただす

 

 

「至極簡単なことです。君たちでは私に勝つことなどできはしないということです」

 

 

「う、嘘…」

 

 

それはまさに2人を瞬殺したという紫苑からの宣言だった

 

 

自分たちは転身して挑んだというのに紫苑はそれすら行わずに2人を倒したということになる

 

 

圧倒的な力の差を見せつけられてしまったのだ

 

 

「遊びはここまでとしましょう。さて…ではこれよりは君たちの処分についてを語り合いましょうかね」

 

 

「ぐぅ!」

 

 

威圧的な視線で2人を見下ろしながら紫苑は語りだす

 

 

「君たちは身の程をわきまえず筆頭の座を奪おうとした…まぁ、このことに関してあなたちを責めるつもりはありません。ですが悪忍の学校に転入するということに関しては話は別です」

 

 

「「っ!?」」ビクッ

 

 

鋭い視線が2人をがっちりと捉えている

 

 

「どのような理由があるかは知りませんが、善忍であることを捨て悪忍の道を歩もうとするなど万死に値する行為です」

 

 

そう言うと先のナンパ男たちと同じように腕を突き出し、手をぱっと開く

 

 

 

ギュィィィィィ!!

 

 

 

「「っ!?」」

 

 

紫苑の手からエネルギーが集約する

 

 

「悪の道を歩もうとする君たちには今一度教えを乞う必要があるようですね。故に刻み付けてあげましょう、勧善懲悪という名の絶対なる正義を見に刻み付けるまで!」

 

 

「「っ!?」」

 

 

エネルギーが溜まり、紫苑が2人に制裁をくわえようとした

 

 

 

 

 

 

その時だった

 

 

 

 

 

 

「紫苑!」

 

 

「っ…またか」

 

 

なんだかデジャヴュを感じつつも振り返ると今度はそこに雪泉が立っていた

 

 

「何をなさっているのですか?」アセアセ

 

 

「雪泉、悪いけど後にしてくれないか。今僕はこの子たちに指導をしようとしてるんだから」

 

 

紫苑は再び2人のほうを向き、実行に移そうとする

 

 

「おやめください!」

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

しかしその直前、雪泉がわってはいり、それを阻止した

 

 

「雪泉」

 

 

「何があったかは存じませんが仲間内でこのようなことをするのはよくないと思います!」

 

 

雪泉は2人を庇いながら紫苑に訴える

 

 

「…わかったよ」

 

 

彼女の訴えに根負けしたのか紫苑が手を止めた

 

 

「…助かったわ雪泉先輩」

 

 

「危うく両奈ちゃんたち紫苑先輩にお仕置きを受けるところだったよ。あっでも両奈ちゃん的にはそれもありかも♪」

 

 

「あんたね~?」

 

 

急死に一生を得たと両備が語り、両奈のほうは相変わらずだった

 

 

「両備さん両奈さん。教えてください、なぜ紫苑に戦いを?」

 

 

「…それは」

 

 

「実は…」

 

 

観念したように両備と両奈はこれまでの経緯を語った

 

 

「なるほど、そんなことが」

 

 

「両備たちがいけないことをしようとしてるのは従順承知してるつもり、でもそれでも両備たちはいかなければいけないの、そうでなければ両備たちは前に進めないの!」

 

 

2人は必死に自分の想いを雪泉に伝えた

 

 

「両備さん両奈さん、これを」

 

 

「雪泉?」

 

 

雪泉は2人の言い分を聞いて少し黙り込んでいたがそこから何を思ったのか持っていた扇子を2人に手渡す

 

 

「一つ尋ねますが蛇女は紫苑が筆頭だと知っているのですか?」

 

 

「ううん、両備たちしか知らないはず」

 

 

「ならばなおさら好都合です。それを持っていけば十分なはずです。何しろそれは私がおじい様よりいただいた品ですから」

 

 

確認を取った雪泉は安堵した表情を向けながら持っていた扇子を持っていくように促す

 

 

「雪泉、でもそれでは」

 

 

「あなたの言い分もわかります。ですがここは私の顔を立てさせてください。お願いします」

 

 

納得いかないという顔を浮かべていた紫苑に雪泉はお願い申し立てる

 

 

「…」

 

 

彼女の熱心な願いに再び根負けした紫苑は何も言わず3人から少し距離を取った

 

 

「さぁお行きなさい」

 

 

「…ありがとう、雪泉先輩」

 

 

「お礼を言われるようなことはしてません」

 

 

「ううん、そんなことないよ。両奈ちゃんたちすごーく感謝しているよ」

 

 

両備たちが雪泉の善意に対して深くお礼を言った

 

 

そうして次に会った時は敵であり、仲間ではないと告げ、2人はこの場を去ってしまった

 

 

残された雪泉は少し離れた場所に佇む紫苑の元に

 

 

「…紫苑、やはり怒ってらっしゃるのですか?」

 

 

「怒ってない、といえばうそになる……雪泉、なぜあんなことを?」

 

 

「わかりません。自分でもどうしてあんなことをしたのかは……ですが、彼女たちの気持ちもなんだかわかるような気がして、何か共感するものを感じたような気がするのです」

 

 

「…っ」

 

 

雪泉の率直な意見に紫苑は少々考えさせられた

 

 

「今回は君の顔を立てたが次はこうはいかないからね」

 

 

「あっ…」

 

 

「雪泉、僕らは示さなければならない、黒影様の掲げた正義こそがこの世界において最も必要なのだということを、そしてそのために立ち上がらなければならないんだ。それが僕らを育て、愛を教えてくださった黒へ僕らがしてあげられる唯一のことなんだ」

 

 

「おじい様に私たちがしてあげられること」

 

 

紫苑の言葉に雪泉は何かを感じた

 

 

「みんなで果たすんだ。黒影様の望んだ悪のいない正義だけの世界を」

 

 

「正義だけの世界……そうかもしれないですね。いえ、そうですよね」

 

 

「うん。…さぁいこう、みんなが待ってる」

 

 

「はい」

 

 

雪泉を連れて紫苑は月閃への帰路を歩んでいくのだった

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