閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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愛花の日常 

空の下を照らす太陽のポカポカな陽気、爽やかな風も吹き、草原が揺れる

 

 

そんな穏やかな雰囲気を醸し出す場所で紅蓮竜隊の一員にしてマスコット的存在である愛花が気持ちよさそうに横たわっていた

 

 

ふさふさする草のカーペットに横たわり、空に浮かぶ雲をじ~っと眺めていた

 

 

「あっ、あの雲、クジラさんみたい」

 

 

クジラのような形をしている雲を興味深々そうな顔で見つめる

 

 

雲を眺めているうちにふと自分のこれまでを振り返る

 

 

自分の出来ることを求め、偶然であった光牙に憧れ、紆余曲折を経て彼が所属する紅蓮竜隊の一員に加わることができた

 

 

以降、愛花は光牙や焔たちと楽しい毎日を過ごせている幸せに心が躍る思いだった

 

 

「ふぁ~…」Zzz

 

 

草腹の気持ちよさに思わずウトウトし始め、愛花はすぅっ~と寝息を立てて眠ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

『…あれ?』

 

 

うたた寝をしてしまった愛花が目を覚ますとそこは何もない真っ暗な空間だった

 

 

『どこ…ここ?』

 

 

何もない空間に一人いることに気づき、少しずつ不安を抱いていった

 

 

そんな時だった

 

 

不意に前方から光が灯り、明るくなっていくのに気が付いた愛花がそれをまじまじと見る

 

 

すると光が大きさを増すとともに徐々に電気を帯びていく

 

 

さらに電気を帯びた光が少しずつその姿を変えていき

 

 

やがてそれは一匹の竜へと変わる

 

 

『っ…?』アセアセ

 

 

突然の事態に愛花が困惑する

 

 

『【ギュオオオオォォォォォォォ!!!】』

 

 

『~~~っ!?』

 

 

刹那、竜が咆哮を上げ、その衝撃が愛花を襲う

 

 

『っ!?~~きゃあぁぁぁぁぁ!!??』

 

 

とうとうその勢いに押されて愛花は吹き飛ばされてしまった

 

 

「きゃあっ!?…あ、あれ?」

 

 

次に意識を取り戻すとそこは元の場所だった

 

 

「…今のはなんだったの?」

 

 

夢だったのかと小首をかしげながら愛花は考えを巡らせていた

 

 

最中、自分の首飾りについている珠が濁りだしていることにも気づかずに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は昼を回り現在、洞窟内では紅蓮竜隊の面々が食卓を囲み、食事の真っ最中だった

 

 

「うんめ~!う~ん、うまいうまい~!!」

 

 

「本当、最近はどれもこれも美味しくてこまっちゃう!」

 

 

「お二人共、少しお行儀が悪いですわよ?」

 

 

そんな中、一番の盛り上がりを見せているのは焔と未来、台の上に置かれた皿に盛られた料理を目を輝かせながら食す

 

 

「でも本当、美味しいわね。これも愛花ちゃんが来てくれたおかげね」

 

 

「いえいえ、そんなことは」

 

 

賞賛の言葉に愛花は少し照れた

 

 

「謙遜せんでもええんやで、実際、愛花さんが詠さんと一緒に料理を担当してくれてるおかげでわしらは美味い料理にありつけるんやし」

 

 

「うむ、日影の言うとおりだ!」

 

 

「自信を持て愛花、お前は良くしてくれてるさ」

 

 

「師匠…えへへ、ありがとうございます」

 

 

紅蓮竜隊の皆から親しみも愛情も受け、自分の料理を喜んで口にしてくれる。愛花にとってこれほど満ち足りたことはなかった

 

 

そうして食事を終え、各々が自分の時間を過ごしており、光牙もまたコーヒーを口に含みながら至福の一時を満喫していた

 

 

「師匠!」

 

 

「ん?どうした愛花?」

 

 

するとそこに愛花が駆け寄ってきた。何か用かと尋ねる

 

 

「師匠!今日も私に稽古をつけてください!」

 

 

「稽古だと?」

 

 

「はい!」

 

 

光牙の袖をつかみながら稽古をせがむ

 

 

「稽古なら一昨日もつけたと思うが?」

 

 

愛花を弟子にしてからこれまで週に決められた日に稽古をつけようということになり、昨日もそれで稽古をつけてあげたのである

 

 

「無理言ってるのは承知してます。でも今日は師匠にお見せしたいものがあるんです!」

 

 

楽しげな顔で愛花はそう光牙に物申す

 

 

「ほう、そうか……よしわかった。お前がそうしたいのなら稽古をつけてやろう」

 

 

「師匠…ありがとうございます!」

 

 

彼女の純粋な想いにうたれた光牙は稽古をつけることを承諾した

 

 

願いを聞き入れ稽古をつけてくれると言ってくれた光牙に愛花は感謝と敬意を示すのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからまた少しして、光牙と愛花はいつもの修行の場に来ていた

 

 

「さて、では今から修行の稽古をつけるわけだが、先ほどお前は俺にみせたいものがあると言っていたな?」

 

 

「はい、その通りです」

 

 

「お前が俺になにを見せてくれるのか見極めてやろう」

 

 

「師匠、はい。どうか見守っててください!」

 

 

光牙が期待してくれている。その期待を裏切るまいと愛花は意を決して行動に移す

 

 

少し光牙から離れ、大きな岩の前に佇む

 

 

「すぅ~~…はぁ~…」

 

 

緊張をほぐすかのように軽く深呼吸する

 

 

「っ、ふんみゅぅぅぅぅ~~~!!!」

 

 

直後、愛花は全身に力を込める

 

 

しばらくすると愛花のまわりに電気がほとばしり出す

 

 

それは徐々に徐々に力を高めていき、愛花の両腕に集中していく

 

 

「っ!」

 

 

刹那、愛花が前方の岩に向けて右手で指でっぽうの構えを取り、左腕でそれを支えた

 

 

前方にある岩に向けて指先の照準を合わせる

 

 

愛花の指先にすべてのエネルギーが集約された

 

 

「いっけぇぇぇぇ!!」

 

 

 

バキュゥゥゥゥン!

 

 

 

「きゃあっ!?」

 

 

「愛花!」

 

 

そして満を辞して愛花が指電磁砲を放った

 

 

しかし、威力が高すぎたせいで反動で吹き飛んだ

 

 

咄嗟に光牙が駆け出しキャッチしたことで地面に激突という事態は免れた

 

 

 

ヒュゥゥ…ボバァァァァァン!

 

 

 

一方、愛花が放った指電磁砲は一直線に岩にへと飛んでいき、見事粉々に粉砕した

 

 

「大丈夫か愛花?」

 

 

「えへへ、ちょっと強くし過ぎちゃいました」

 

 

様子を見るとどこも怪我は無いようで安心したが、それとともに不信感を抱いた

 

 

その原因はもちろん先ほど放った愛花の技だった

 

 

「師匠、どうでしたか?すごかったですか?」

 

 

信じられない、そんな思いが光牙の中を駆け巡る

 

 

「愛花、今の技はなんだ?」

 

 

「はい、私が作ったオリジナルの忍術、指電磁砲です!」

 

 

「っ!?」

 

 

光牙が徐ろに尋ねると愛花は得意げに答える

 

 

それを聞いた瞬間、光牙は我が耳を疑った

 

 

「…愛花、お前どこでこの術を?」

 

 

「はい。数日前に思いついて師匠たちがお仕事に出かけている時、こっそり練習してまして。えへへ」

 

 

「たった、数日で?」

 

 

「自分でもよくわからないんですけどなんだか最近体の底から力が湧いていく気がするんです。今なら何でもできそうな気がします♪」

 

 

この術、見たところかなりの難易度の高い術であろうことが伺える

 

 

それをこんな数日、ましてまだ年端もいかない9つの少女が作り上げたということである

 

 

本来であれば信じられない話しのことであるが光牙はこの目ではっきりとそれが事実であることを確認した

 

 

こんなもの、驚かずにいられるものではなかった

 

 

「(…ここまでとは)」アセアセ

 

 

光牙は愛花が破壊した岩盤を眺めながらしばらく呆然自失の状態だった

 

 

「しょう…ししょー!」

 

 

「っ!?…な、なんだ?」

 

 

「どうしたんですか師匠、なんだかぼーっとしてましたけど?」

 

 

「な、何でもない」

 

 

呆然自失状態だった光牙が愛花の呼びかけによりハッと我に返り、心配そうな愛花に言い聞かせる

 

 

「それでどうでした愛花の術は!」

 

 

「あっあぁ、なかなかにすごいと思うぞ」

 

 

「本当ですか!えへへ~、師匠に褒められた~♪」

 

 

自分の技を褒められたことに愛花はとても嬉しそうだった

 

 

 

 

 

 

 

 

修行からの帰宅道中、愛花は疲れが溜まったのか眠ってしまい、光牙に背負われてアジトに戻ってきた

 

 

アジトに着くと、詠が愛花を預かり、寝室に連れて帰り、ふとんを駆けると優しくてをぽんぽんとしてあげていた

 

 

その様子を少し離れた場所で光牙と春花が見守っていた

 

 

「(愛花…)」

 

 

光牙は少し不安な顔を浮かべながらすぅすぅと寝息をたてる愛花を眺めるのだった

 

 

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