光牙との修行の中の最中、愛花が自身が作ったという指電磁砲を披露した
それを見ていた光牙の表情には困惑の文字が浮かんでいた
まだ年端もいかない愛花がどうやってこれほどの技をしかも数日という短期間で会得したというのかと思うと不可解で仕方がない思いだった
術を披露した日から数日が過ぎた
しかし、この数日間というもの、光牙は不安に苛まれていた
その原因はもちろん愛花のことである
というのもあれ以降、愛花の進化はとどまる事を知らなかったからだ
指電磁砲を発明し、その後、上位の雷遁を次々と会得していった
驚異的な速度で愛花は成長をしているのだ
現在、愛花は新しい術を会得しようと書物を読みあさっていた
その様子を光牙たちはうかがっていた
「愛花ちゃん、最近修行続きじゃないですか。少しお休みになられては?」
「あっ、詠お姉ちゃん。大丈夫ですよ。私全然疲れてませんから、それより今はもっともっと強くなりたいですから♪」
「そ、そうですか…わかりました」
少し心配となった詠が声をかけてみるもいつものような笑みを見せてきた彼女の顔を見て言葉が浮かばず、渋々戻っていった
「…申し訳ございません」
「謝る必要なんてないわよ詠ちゃん」
「そうだよ。詠お姉ちゃんは愛花のためを思って言ったんだし」
奇しくも愛花を説得できず、悄々と戻ってきた自分の不甲斐なさに愕然となっている詠に春花と未来がフォローをいれる
「ふんふふふ~ん、新しい術を覚えましょ~♪一人前になるために~♪」
ご機嫌そうに歌を歌いながら書物を読みあさる
「…愛花」
愛花の成長、それは光牙としてはもちろん喜ばしいことではある。だが、急激な成長はその者に何かしらの負荷をかけてしまうもの、光牙たちは愛花に何もなければいいと願わずにはいられなかった
その夜、一日が終わり、全員がベットに横になり、すやすやと寝息をたてながら寝しずまっていた
当然愛花も自室で安らかな眠りに落ちていた
「むにゃむにゃ…えへへ~もっともっと、頑張って一人前の忍になるぞ~…Zzz」
夢の中でも一人前の忍になることを願いながら気持ちよさそうにしていた
そんな中、修行の疲れもあってかうっかりそのままねてしまったがために首にかけたまま眠りこけていたが、その首飾りの濁りが前よりもさらに濃くなっていることを愛花にはわからなかった
『…う、うん?』
目を覚ました愛花が視界を開く
『あっ、ここは!』
ひらけた視界の先には以前目にしたあの空間だった
また来てしまったのかと思っている矢先、不意に気配に気づいた愛花が振り返るとそこには同じくこの世界で出会った雷の竜が
『あ、あなたはあの時の!』
竜が背後にいたことに愛花が慌てふためいた時だった
『【ギュオオオオォォォォォォォ!!】』
あの時同様に竜が激しい咆哮を上げる
その衝撃に愛花が怯んでしまった
するとその隙を突いてか竜が動きを見せた
巨大かつ長い身体で宙を舞い、愛花に向かって突進してきた
次の瞬間、竜が愛花の体の中に入っていき、完全に入り込んでしまったのだった
時は巡り、夜が明け、次の朝がやってきた
朝の日差しが森を照らし、鳥たちのさえずりが響く
「…う~ん、うぅぅん…はっ!?」
愛花がバっと起き上がり、荒くなっている息で呼吸をする
しばらく汗冷やが止まらなかったが、それもやがて落ち着いてきた
「喉、乾きましたね…」
気を落ち着かせるためと乾いた喉を潤すべく、飲み物をとりに行こうと部屋からでた
「(…なんだろう。妙に違和感が?)」
歩いている中で愛花は変な違和感を覚えた
なぜか上半身に妙な重みが
「(まぁ、いいや…とりあえず、飲み物を)」
考えるのは後にしてまずは喉を潤そうという結論に達し、そのまま進むことに
部屋を出て少しして前方の部屋から出てきた未来の姿が目にとまった
「未来お姉ちゃ…おはようございましゅ~」
寝ぼけたままで挨拶をする
「あぁ、おは…っ!?」
その声に反応した未来が返事を返そうとこちらを見た瞬間
未来の顔が一変し、まるで信じられないものをみたと言わんばかりに驚いていた
彼女のその反応をみた愛花がすっかり目を覚ました
「っ、未来お姉ちゃん?どうしたんですか?顔色が悪いみたいですけど?」
「ちょ、だれよあんた!?」
「えっ?」
様子がおかしいと感じた愛花が声をかけてみた直後、未来の口から予想外の言葉が出てきた
「どうやってここに入ってきたのよ!さてはあんたあたしたちを討伐しにきた忍ね!だったら容赦しないわよ!」
警戒心バリバリな未来が即座に傘型銃を身構える
「ちょ、ちょっと本当にどうしたんですか未来お姉ちゃん?私ですよ愛花ですよ?」
「……えっ?あ、愛花?」
「はい、そうです。愛花ですよ」
とにかく落ち着かせるべく、興奮気味の未来をなだめようと説得を試みる
「た、確かによく見れば似てるような?…って、危ない危ない、あたしを油断させるために愛花に扮しようとしたとこでしょうけど、やるならもっとマシな変装をすべきだったわね!あんたの作戦なんてあたしには効かないんだから!」
「作戦?なにを言ってるんですか未来お姉ちゃん?私は本当に愛花ですよ?」
「騙されないんだから!だいたい愛花はあんたみたいな巨乳じゃないっての!嘘つくのも大概にしなさい!」
「きょ、巨乳だなんて、確かに胸が大きくなれたらいいなって思ってはいますけど、私はまだ9歳なんですよ?そう簡単に巨乳になれたら苦労は……えっ?」
未来が言ってることが全く理解できず愛花は困惑するしかできなかった
だが、彼女のおかしな主張を半信半疑で聞き流していた愛花が自身の身体を目にしたことでその理由が判明した
「えっ?えっ、えぇ!?」
愛花が視線を向けると下半身を視界から隠すほどの胸元にぶら下がった巨大な女生特有の2つの山が
困惑する愛花だったが事態はそれだけに留まらなかった
改めて自分の身体を見て調べてみると
いつの間にか愛花の身体はその胸に釣り合うほどであり、未来と男である光牙を除く他の4人に肩を並べられるほど大人の魅力あふれる体型になっていた
「い、いったいなにがどうして?」
「いまさら何しらばっくれてんのよ!みんな、大変だよ、急いで来て!侵入者よ!」
銃を構えたまま未来が大声で叫ぶ
「なに!侵入者だと!どこだどこだ!どこにいる!!」
その未来の声を聴きつけ、次々と他の面々が飛び出してきた
「未来!大丈夫!」
「ご無事ですか!」
「うん、あたしは大丈夫、それより…」ギロ
「ふぇっ?」
他のみんなも現場に駆けつけ、一気に状況は悪くなってしまった
「未来、侵入者ってのはあいつか?」
「そうだよ、みんな気をつけて!」
「…なんだかあの侵入者さんの顔、どことなく愛花さんに似てるような?」
「そうですみなさん!私、愛花なんです!」
他のみんなが彼女の顔をまじまじと見て違和感を覚えているのをチャンスと捉え、再度説得を試みる
「またそうやってあたしだけじゃなくみんなまで拐かそうって魂胆ね!」
「違います!信じてください!」
信じてもらおうと愛花は懸命に訴える
「まだ戯言を言うのならもう容赦は「まて未来」こ、光牙?」
「し、師匠?」
しびれを切らした未来が愛花に向ける銃口の引き金を引こうとした瞬間、その一歩手前で光牙が止めに入る
「なんで止めるのよ光牙!」
「ちょっと落ち着きなさい未来、気持ちはわかるけど向こうは敵意をみせてないし武器も持ってないんだから、少しくらい話しを聞きましょう」
「…は、春花さま立ちがそう言うなら」
「うふっ、ありがと」
春花がなだめたおかげで落ち着きを取り戻した未来が傘型銃を下ろす
「……さて、では聞かせてもらうぞ。お前のこと」
その後、光牙が愛花に話しを切り出し、不穏の空気がアジト内に漂うのだった