蛇女子学園 医務室
学園長室爆発襲撃事件が起こって暫しの時が流れ、相馬たちは鈴音が意識を取り戻したという報告受けて彼女のいる医務室に来ていた
「すまないな、心配をかけたようで」
「いやいや、鈴音さんが無事だっただけよかったっすよ。でも本当ビックリしたですよ」
自分のせいで迷惑をかけたと謝罪の言葉を述べる鈴音に相馬たちは気にする必要はないと励ましの言葉を送る
「それで先生、いったい何があったんですか?急に爆発が起こったと思ったら先生も、学園長もこの有様になってしまって」
「あぁ、…あの時、私はいつものようにお前たちの授業を始めようとお前たちを呼びに出向く途中だった。だがその時、私から見て反対側の廊下を沙希が歩いていたんだ」
「沙希って誰だっけ?」
『確か2年生の中でもそこそこ優秀な成績を収めていた生徒だと記憶している』
鈴音の言った名前に相馬が小首を傾げると蒼馬が自身の知る限りの情報を教えた
「ボクも少しばかり知ってますが、まさか彼女が先生達を襲うだなんて」
とても信じられないというかのような顔を忌夢は浮かべていた
「学園長室に向かおうとしたのに気づいた私は何のようなのかと尋ねた。…すると紗希はこう言った。『改変の時は来たれり』…とな」
「改変の時は来たれり?」
「どういう意味なんですか?」
「それは私にもわからない」
彼女の言っていたことの意味は聞いたとこですぐにわかるようなものではなかった
「沙希は、どうなった?」
「…先ほどお二人を助けだした救助班から彼女の死亡を確認しました」
「……そうか」
あの状況下だ。当然といえば当然ではある
しかし、幼き生徒の命が失われてしまったことは耐え難きものであった
「このあとボクと紫は彼女の部屋に、相馬たちには聞き込みをしてもらいなにか手がかりがないか当たってみるつもりです」
「そうか……だが、気をつけていけ、これは私の勘なのだが、何か嫌な感じがしてならないんだ。これは何かの始まりなのではないのかと」
布団をぐっと握りしめながらいつなにか起こるかもしれないという不安と焦りが見て取れた
そんな中、ふと相馬は医務室の隣の方に顔を向けた
覗いてみるとそこには今だ目を覚まさない父の元に寄り添う雅緋がいた
「み、雅緋?大丈夫…か?」
恐る恐る相馬が雅緋に声をかけてみた
「……あぁ」
だが、雅緋から帰ってきた返事はとても弱々しいものだった
辛そうに父に寄り添い俯くだけだった
そんな彼女を見てどんな言葉をかければいいのかと相馬は無い知恵を絞っていた
「…まただ」
「えっ?」
「私が不甲斐ないばかりに私の大切な人たちがどんどん傷ついていく、母さんや光牙、そして今回は父さんが……私はまた何もできなかった」
「み、雅緋」
自責の念に囚われた彼女は自分を攻め続けた
「相馬……」フルフル
「……」
「行くぞ」
「…あぁ」
長い付き合いである忌夢のこの反応からして相馬は今の彼女には何を言っても無駄なのだと察し、そっとしておくことにするのだった
そして相馬たちは打ち合せ通りに手分けをして行動を開始した
「紫、そっちは何か見つけたか?」
「…ううん。これといって…なにも…」
沙希の部屋はきちんと整理が行き届いているということ以外其れ程怪しいものはなさげだった
「最期はこの部屋か?…あれ?」
「…どうしたのお姉ちゃん?」
「鍵がかかってるみたいだな。この際だ、仕方がない。……はあっ!」
忌夢は六尺棒を手にすると鍵のかかった部屋の扉を壊した
「…っ?これは?」
「っ?」
部屋に入った忌夢たちが見たのはどこか宗教めいた飾りづけされた部屋だった
その奥の中央には蛇のイニシャルマークが描かれた写真立てが飾られていた
忌夢が恐る恐るそれを手にしてみた
「これはいったい?」
なぜ彼女の部屋にこんなものが?これが事件と何らかの関わりがあるのかと忌夢は考えを張り巡らす
「……っ!」ビクッ
「どうした紫?」
「…今、誰かに…見られてたような?」
気配がしたので振り向いてみたがそこには誰もいなかった
「…気のせい、だったのかな?」
「ともかく、まず一度相馬たちと合流しよう、向こうでもなにか掴めたかもしれないからな」
「…うん。わかった」
こうして忌夢たちは部屋を後にした
だが直後、部屋の中に1人の男性が現れ、不適切な笑みを浮かべるとすうっと砂のように消え去った
忌と紫が彼女の部屋を捜索していた頃、相馬たちは行き詰っていた
聞き込みのほうはあまり上手く行ってはいなかったからだ
「む~、これと言った手がかりがないな?」
『いったい犯人は何が目的なんだ?…っ!?』ビクッ
「そうそう、それだよそれ、いったい何を考えて……ってアオ?」
返事がかえってこないなと様子を伺ってみると蒼馬は険しい表情を浮かべていた
「おいおいどうしたんだなにか『すまんソウ、体を借りるぞ』えっちょ!?」
突然、いきなり蒼馬は強引に相馬から主導権を得ると駆け出した
『お、おいどうしたんだよいきなり?』
「…っ!」
なぜかと問う相馬からの質問に耳を貸さず、蒼馬は走り続ける
そうしてたどり着いたのは蛇女子学園にある大広間の1つだった
あたりを伺っていると
ササササササ!
「っ!?」
どこからともなく現れた蛇女の生徒たちが蒼馬の周囲を取り囲む
『な、なぁ、なんだよこれ?なにがどうなってんだ?』
何がどうしてこうなったのか訳がわからないと相馬はきょどる
「改変の時は来たれり」
「新たな秩序のもとに、我らを導きたまえ…」
『その言葉って!?』
1人の少女が呟いた言葉を聞いた相馬は鈴音の言っていた言葉を思い返し、亡くなった沙希も同じことを呟いていたことを思い出した
「…小細工はやめにして姿を現したらどうだ?いるんだろう?」
「久しぶりだな。蒼馬」
「…九蓋」
すると少女たちの背後からスーツ姿の男が現れ、蒼馬と面識があるようなことを呟いた
蒼馬のほうも彼のことを知っているような口ぶりだった
「ふむ、しばらく見ないうちになかなかの面構えになったものだね?」
「お前から賞賛の言葉をもらうなんて正直反吐がでる思いだ」
そう吐き捨てるとともに蒼馬は一段と九蓋に対する警戒心を強める
「つれないことをいうね」
「っ」
しかし、そんな蒼馬の態度に構わずすぐ傍にまでやってきた
当然、蒼馬も身構える
「そう警戒しないでくれ、私はただ君と話しをしに来たのだから」
「話だと?」
「単刀直入に言わせてもらう。蒼馬、私に下りなさい」
「なんだと?」
九蓋はシンプルにして恐ろしい要求を蒼馬にしてくるのだった