閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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今回から紫苑編に突入します


KAGURTrilogy episodeエレメント 1

抜忍…

 

 

それは忍者の世界において、己が属する組織から脱する者たちのことをさす

 

 

脱すること決してするべからずの忍の世にとってはもっとも重い禁忌の一つだ

 

 

鉄の掟を破る者に安息の時は訪れることはない、昼夜問わず追っ手の脅威にさらされるからだ…

 

 

だが、それでもかの者たちはあえてその茨の道とも言える道を歩む

 

 

例え何れ程の過酷克つ苦難が待ち受けようとも己の信じた道を進む者たちなのである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜の商店街。人通りもなく、店はどこも閉店の準備に取り掛かっていた

 

 

「んっしよっと…ふぅ〜」

 

 

骨董屋の店主が品物の整理をしていた。その中には高級そうな壺などがいくつも置かれていた

 

 

整理もだいぶ進み、一息入れてる時だった

 

 

 

コロコロ……

 

 

 

「ん?」

 

 

突然店主が足元の違和感に気づいた

 

 

みるとそれは玉状のものだった

 

 

店主が何かと不思議そうな顔を浮かべていると

 

 

 

プシュ~! モワモワ~

 

 

 

「う、うわっ!?なんだ!?」

 

 

玉からガスが吹き出し周囲に充満する

 

 

「あっ…うが〜」Zzz〜

 

 

吐き出されたのは睡眠ガスだった

 

 

それにより店主は一気に睡魔に襲われ、なすすべなく力尽き眠ってしまった

 

 

やがてガスが消えるとどこからともなく現れたくノ一らしき人物が天井から降りて来た

 

 

店主が睡眠ガスで起きないことを確認するとくノ一は周囲を見渡した

 

 

「これなんていいわね」

 

 

そしてその中でも一番高そうな壺を見つけるとしめしめと言いながら壺を抱えてその場から逃走

 

 

まんまと店から壺を盗み出したのである

 

 

静けさだけが漂う商店街をくノ一は駆け抜ける

 

 

 

シュン!

 

 

 

「ふふっ、今日も大量大量ってね♪…さて、早くみんなと交流しなくちゃ!」

 

 

 

タタタタタタタタタ!

 

 

 

屋根から屋根へと渡りながらくノ一は先を急ぐ

 

 

だが、その時だった

 

 

 

シュン!

 

 

 

「っ!?」

 

 

背後から迫り来る気配にくノ一は気づいた

 

 

「秘伝忍法・黒氷!」

 

 

振り向くと背後から巨大な氷塊が自分めがけて飛んで来た

 

 

「っ!?」

 

 

だが、くノ一は巧みな身のこなしでそれをかわした

 

 

そしてそんな彼女の前に立ちはだかったのは月閃女学館の雪泉だった

 

 

「そこまでですよ。先ほどの一部始終、しかとこの目に見ました。大人しく骨董屋さんから盗んだ品を返しなさい!」

 

 

雪泉が手を突き出し、くノ一に盗んだ壺を返すように申す

 

 

一方、くノ一は雪泉に関わっている暇はないと再び逃げ出そうとする

 

 

「おおっと!逃がさないよ〜!」

 

 

だが、その先に今度は四季が現れ、行く手を阻む

 

 

それでも尚、逃げようとするくノ一だったが

 

 

「ダメだよ〜ここは通行止め〜!」

 

 

「みのりの言う通りじゃ!」

 

 

「観念するがいい」

 

 

「ちぃっ!」

 

 

既に周りを四方八方、囲まれて逃げ場がなくなっていた

 

 

「もう逃げ場はありません、大人しくなさい!」

 

 

雪泉達はくノ一を逃すまいと周囲をガチガチに固める

 

 

もはや逃げ場はないと思われた

 

 

「ここで捕まる訳には行かないのよ!」

 

 

そういうとくノ一は咄嗟にゴーグルをかけると懐から何かを取り出し、それを地面に向けて投げつけた

 

 

 

ピカァァァァァァン!

 

 

 

「「「「「きゃっ!?」」」」」

 

 

くノ一が使ったもの、それは閃光玉だった。強力な光が一瞬にして雪泉たちから視界を奪った

 

 

眩しい光によって視界を奪われた雪泉たちはその場に悶え混んでいた

 

 

「今のうちに!」

 

 

怯んでいるうちにくノ一はガバガバになった包囲網を抜け、逃走に成功するのだった

 

 

 

 

 

 

≪現場近くの裏山≫

 

 

 

雪泉たちからまんまと逃げおおせたくノ一は仲間たちのまつ集合場所にたどり着いた

 

 

「あっ!琴羽が戻って来たぞ!」

 

 

「おーい、こっちだよ琴羽!」

 

 

「みんな、遅れてごめーん!」

 

 

仲間たちの元にたどり着いたくノ一こと琴羽は申し訳なさそうな笑みを浮かべながら急いで仲間たちの元に駆けつけた

 

 

「どうよこれ!今回は私の得物が一番かしらね〜?」

 

 

「へん、そんなもんかよ?俺なんてこんなんだぜ〜」

 

 

「2人ともまだまだですねー。今回は僕の勝ちはゆるぎませんよ」

 

 

琴羽を交えて仲間たちはそれぞれ自分たちが盗んで来た物が一番いい物であることを主張する

 

 

「ふふーん、そこまでよみんな。これを見て見なさい!」

 

 

自信満々な顔を浮かべながら先ほど盗んできた壺を見せびらかした

 

 

「うわ〜!すごい!」

 

 

「これはこれは…ふむふむ、なかなかに高価な壺ですね」

 

 

「か〜マジかよ。俺今回は一番稼げたと思ってたのによ〜」

 

 

「えへへ、まだまだね〜♪」

 

 

仲間たちは琴羽の出した壺の高価さを見て負けを確信して悔しそうにするのだった

 

 

「まぁ、ともかく物は手に入れたんだ。早く質屋に渡して金に変えようぜ」

 

 

「うん」

 

 

早速、盗んだ品を質屋に行って金に帰るべく動き出そうとした時だった

 

 

 

カサカサ…シュン!シュタッ!

 

 

 

「うわっ!?な、なんだこいつ!?」

 

 

「な、なんなの…」アセアセ

 

 

「わわわわ、わかりませんがやばそうな雰囲気ですね!?」

 

 

突如、琴羽達の前に仮面をつけた忍が現れた。琴羽以外は普通の人ゆえ仲間達は恐怖に怯え足がすくんでいた

 

 

しかし、それとは別の理由で驚く琴羽の姿があった

 

 

「(そ、そんな…なんで、なんであいつがここに!?)」

 

 

仮面をつけた忍を見た彼女の反応からして以前から知っている様子だった

 

 

さらに琴羽の脳裏に彼女にとっては思い出したくもない光景が蘇る

 

 

「(もしかしてあいつらコイツらに通じていたの!?)」

 

 

このタイミングで最悪なやつと出くわした。琴羽は不覚を取った自分を悔いた

 

 

そんな彼女を視界に捉えていた仮面の忍が一旦視線を全体に戻し、刀を抜き、ジリジリと迫り来る

 

 

「ひっ、ヒヤァァ!!??」

 

 

「こここ、殺される!?」

 

 

男2人が逃げ出そうとした瞬間

 

 

 

ザシュゥゥゥゥゥン!

 

 

 

「「~~……」」ドサッ

 

 

「「っ!?」」

 

 

忍が素早く背後から斬りかかり、それによって2人の命が奪われた

 

 

「友也、啓太……ひやぁぁぁぁぁ!」

 

 

「亜美!」

 

 

「こ、琴羽ちゃん…た、助けて」ガクガクブルブル

 

 

「大丈夫だよ!絶対に私が守るから!」

 

 

2人が殺された瞬間を目の当たりにし、恐怖に怯える亜美を慰めようとする琴羽だったが、仮面の忍が琴羽たちに迫り来る

 

 

「させない!亜美には手を出させない!」

 

 

琴羽は亜美を守るために必死に抵抗を試みる

 

 

「逃げて亜美!早く!」

 

 

「こ、琴羽ちゃん…ぐっ!」

 

 

亜美は琴羽のその言葉を聞き、逃げ出そうとする

 

 

シュタ!

 

 

「っ!?」

 

 

「なっ!?」

 

 

しかし、そんな琴羽を追い越し、仮面の忍が亜美に刀を振り上げる

 

 

「やめ、やめて!彼女だけは見逃してあげてお願い!!」

 

 

「っ……琴羽ちゃん」

 

 

「ダメ…ダメ!亜美ー!!」

 

 

 

 

ジャシュン!

 

 

 

 

「……っ」

 

 

必死の訴えも虚しく亜美は忍の斬撃によってその場に倒れ込み、物言わぬ屍とかした

 

 

「うっ……うぁぁぁぁぁ!!」

 

 

大事な友達を殺された琴羽は怒りの限り忍達に攻撃を仕掛ける

 

 

だが、そこはやはり数の暴力に圧倒され、逆に劣勢に追い込まれる

 

 

忍達が刀をちらつかせながらゆっくりと近づく

 

 

《「…ふっ!」》

 

 

目の前まで迫ったと同時に刀を振り上げる

 

 

もはやこれまでかと諦めかけたその時だった

 

 

 

「秘伝忍法・烈風のソナタ!」

 

 

凄まじい風が吹き荒れ、忍達を吹き飛ばした

 

 

なにが起きたのかと琴羽が前を見るといつのまにか自分の前に立ち尽くす1人の人物がいた

 

 

そう、紫苑だった

 

 

「あ、あんた、だれ?」

 

 

「すみませんが今は話をしている場合ではありません。まずはこの状況を打破しなくては」

 

 

そういうと紫苑はすぐに身構えた

 

 

同時に先ほどの仕返しをすべく忍たちが襲いかかる

 

 

紫苑はそれをかわしながら次々と攻撃をヒットさせていく

 

 

「ふっ!はぁっ!」

 

 

戦場をまるで踊るかのように舞う紫苑の姿に琴羽は魅了された

 

 

そんな中、紫苑の攻撃によって忍達はフラフラになっていた

 

 

「喰らいなさい!秘伝忍法・大地の狂詩曲(ラプソディー)!」

 

 

紫苑が両手を地面に突き出した瞬間

 

 

鋭利なトゲのように盛り上がった地面が仮面の忍に向かっていく

 

 

《「っち!」》

 

 

紫苑の繰り出す攻撃を一心不乱に回避するとともにこの状況を危惧した仮面の忍はそそくさと退散していった

 

 

「あっ、待ちなさい!……逃げられてしまいました」

 

 

敵を逃がしてしまったことを悔しむ紫苑だったが、一先彼女の安否を確認することにした

 

 

「危ないとこでしたね。お怪我はありませんか?」

 

 

状態を確認しようと声をかけるも、彼女は紫苑が近いた瞬間、身構える

 

 

「あんた、忍ね?」

 

 

警戒心バリバリな琴羽が紫苑に訪ねてきた

 

 

「はい、僕は紫苑、善忍です!」

 

 

「っ!?」

 

 

その言葉を聞いた瞬間、琴羽は一層警戒を強める

 

 

「雪泉達から話しを聞いて追いかけてきました。さぁ、盗んだ盗品を返しなさい」

 

 

紫苑がそういいながらゆっくりと琴羽に近く

 

 

「……っ!!」

 

 

「うわっ!?」

 

 

だが、一瞬の隙を突いて琴羽が紫苑にタックルした

 

 

不意を突かれた事により、紫苑は地面に倒れた

 

 

「偉そうなこと言わないでよ…善忍なんて上辺だけのセリフ並べてるだけで、みんな一緒!所詮あんたらは善人の皮をかぶった人殺しよ!」

 

 

「っ?」

 

 

琴羽の言葉を聞いた紫苑は理解出来ずにいたが、それに構わず琴羽はその場から逃げ出してしまった

 

 

「待ちなさい!」

 

 

慌てて追いかけようとするももう時既遅し、琴羽は素早くその場から消え去ってしまった

 

 

 

『善忍なんてみんな一緒よ!人殺しよ!』

 

 

 

「善忍が人殺し?…彼女はいったい?」

 

 

彼女が捨て台詞として残していった言葉の意味が分からず紫苑は小首をかしげるのだった

 

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