影丘に連れて行かれた琴羽は彼の術で生み出された植物兵に連行されていた
「うっ、ぐうぅぅ!?」
「大人しくしていろ。もう少ししたらお前を父親の元に送ってやる」
「やっぱりあんただったのね…どうしてお父さんを殺したのよ!同じ善忍のはずなのに!」
「そんなことはどうでもいい、大人しく物を寄越せ。取ってきたんだろ?」
影丘は植物兵に合図を送り、彼女の体を調べる
「ちょ、ちょっと触んないでよ!」
植物兵が隅々まで調べ尽くす
しかし、物はどこにもない
「ど、どういうことだ!アレはどこだ!?」
「…どこかしらね?」
慌てふためく影丘の顔を見てして琴羽はやったりと言った顔を浮かべる
「ぬぇい!」バシッ
怒った影丘が彼女の頬に平手打ちをした
「貴様…「琴羽さん!」っち、阿道め、役立たずが」
そこに遅れて紫苑がやってきた
「」クイックイッ
影丘は植物兵に命じて紫苑を攻撃させる
「ふっ!だぁぁぁ!はいや!!」
だが、紫苑の怒濤の蹴り技によって植物兵は消え去った
「もうやめてください影丘さん。今すぐ琴羽さんの爆弾を解除してあげてください。あなたが探している物はここにあります」
そう言うと紫苑は琴羽から渡されていたUSBメモリを見せた
「ふっ、紫苑さん。君はなかなかに優秀な忍だと聞いている。仲間たちとともに悪忍の養成校に次々と学炎祭を仕掛け壊滅に落としいれた。実に素晴らしい、だが、まだ少し詰めが甘い…」
「影丘さん。僕らはすでに真実を知っています。だから嘘偽りなく答えてください、どうして琴羽さんのお父さんを殺したんですか?」
「…ふっ、隠し事はできぬということか、いいだろう。教えてあげよう。やつは以前から私が裏で動いていることを嗅ぎまわっていた。そしてあの日……」
観念し他様子で影丘は語りだした。彼がなぜこんなことをしたのかを
『影丘、もうネタは上がっているぞ』
『…なんのことだ?』
『とぼけるな。お前が影で危険な輩と取引をしていることはもう調べはついている。影丘、いくら善忍だろうとこんなこと許されていいはずかないんだ!』
『……』
これが影丘が琴羽の父親を殺す動気となった
「やつは生意気にも私が今までに行ってきた取引の証拠を突き付け自首するように言ってきた。このままでは私がこれまで築いたものが全部なくなってしまうじゃないか…だから消したのよ。私の邪魔をする奴は皆ゴミだ。だから奴も今までの奴らと同じように始末したのだよ」
「…なによそれ」
余りにも身勝手な物言いをする影丘に琴羽は唖然とした
「何てこと」
「君にそんなことが言えるのかな?」
「っ?」
「かつて君は悪忍を憎み、悪を断罪してきたのではないか?この世に蔓延るゴミをその手で一掃してきたのではないかな?」
陰丘の言葉に紫苑は言葉をなくしていく、彼の言っていることもまた事実なのだから
「そこでだ紫苑さん、今一度世界のゴミを排除しないかな?」ポイッ
そう言いながら影丘が紫苑の足元に投げつけたのは彼の巻物だった
「こ、これは僕の、どうして…まさか?」
「そうさ、この女さ、この女が君から剃りとったんだ。自分を助けようとしてくれていた君からね。まったく、とんだゴミ女だよ」
影丘の話しを聞いた紫苑が琴羽の方を向く
「…確かに私はあの時あなたからそれを盗んでしまった。だけど、返すつもりだった!信じて欲しい!」
「耳を貸すな。こんなゴミの戯れ事など、所詮こいつらは一生世界のゴミでしかないんだ。さぁ、紫苑さん、今一度君の正義のためにも世界から腐ったゴミどもを消し去るんだ。まず手始めにこの女からだ。君の手で引導を渡してやりなさい」
紫苑は黙ったまま巻物を手にする
「…忍、転身」
巻物を翳し、忍装束を纏った
「紫苑…」
「さぁ、やってしまえ」
影丘が紫苑に再度、彼女を処刑するよう促す
「……影丘さん、確かにあなたの言うとおり。僕は悪忍が憎くて世界を蝕む害虫だと感じていた」
「そうだろうならb「でもそれは過去の話です!」っ!?」
自分の考えに理解を示したと思い込んでいた影丘は紫苑のその言葉に怯んだ
「僕は学炎祭を通して様々な人達と出会った。時に善忍、時に悪忍、時に抜忍。そんな人達と拳を交える中で彼らにはそれぞれの信念、それぞれの正義があることを知り、人は外見だけではないことを学びました。だからこそ言える。例え一度悪事に身を染めた人でもやり直したいという意思があるのならばやり直すチャンスは平等にある。なにより…!」
「っ!?」
「畜生にまで落ちたあなたが正義を語るな!!」
刹那、紫苑が風の刃を飛ばし、それによって影丘の頬に切り傷ができた
「き、きさま~!!よくも、よくも!」
介入に失敗し、影丘は紫苑を見下すように睨みつけた
っと、その時だった
フォンフォンフォンフォンフォン!バキン!
「ぬあっ!?」
「っ!?」
「…なに?」
いきなりどこからともなく氷の礫が降り注ぎ、影丘を攻撃する
「くっ、誰だ!?」
「どうやら間に合いましたね!」
「その声は!」
聞き覚えのある声がしたと思ったその時、紫苑たちのもとに雪泉が降り立つ
「雪泉!」
「紫苑、無事でしたか?おけがはありませんか?」
「うん、僕は大丈夫だよ」
心配そうに自分を見つめる雪泉に紫苑は優しく語りかける
「どういうことだ?なぜお前がここにいる?お前たちは軟禁状態になっているはず?」
「確かにそうです。ですがどうにも解せぬことが多かったため叢さんたちの協力の元、どうにか私だけ抜け出すことに成功し、今ここにいるのです!」
「叢たちが」
紫苑の身を案ずるのは皆同じ思いであり、軟禁場所が学館だったことが幸し、力を合わせて雪泉を紫苑の元に向かわせることに成功したのである
「まったくどいつもこいつも……だが、所詮雑魚が1人増えたくらい、その程度でいきがるなよ。忍法【植物兵】の術!」
影丘が術を使い、大量の植物兵を生み出す
「紫苑、ここは私が引き受けますあなたは彼女を助けてあげてください」
「…ありがとう雪泉!」
兵士達を雪泉に任せ、紫苑は影丘と相対するのだった
「いきます!秘伝忍法・樹氷扇!!」
雪泉が扇子をひろげ、体を回転させ、自分を中心に冷気の渦を発生させる
その攻撃を食らった雑兵たちが次々と凍っていき、舞いが終わるや氷人形と化していた雑兵たちが一瞬で粉々に砕け散った
だが、敵も怯まない、相馬に向かって突き進む
「心を持たず死をも恐れぬ兵士といったとこでしょうか…ですが私は負けません。夜桜さんを傷つけ、紫苑を陥れようとするあなた方を決して許しません!」
両手の扇子を広げ、次から次に湧き出る敵をも諸共せず雪泉は戦う
夜桜の無念を、そして無実の紫苑を救うという思いが彼女に無限とも言える力を発揮させるのだった