澄み渡る青空と地上を照らす太陽がキラキラと輝いている昼下がりの時間帯…
「見てください紫苑、ペンギンさんですよ!すごく愛らしいですね!」
「ふふっ、うん、そうだね雪泉♪」
ここは街の中にあるとある水族館
その水族館に今、紫苑と雪泉が訪れていた
なぜ2人が水族館に来ているのかというと昨日の買い出しの時のことである
たまたまその日は一定の金額のお買い物をすると福引券がもらえるキャンペーンがやっており
福引券をもらった雪泉が何気なくやってみたところ水族館のチケットを手に入れることができたのである
しかしチケットがペアということもあって2枚だけしか手に入らず
さすがに全員で行くのは不可能であり、散々困り果てたがひとまず皆に相談してみた
結果として紫苑以外の5人でじゃんけんをして結果として雪泉が紫苑とのデートを勝ち取った
負けてしまった4人が悔しそうにしていたのはご愛顧である…
ザバァァァン!
「「っ…」」
キュイィッ♪
「すごいですね紫苑、イルカさんたちがあんな風に!」
「うん、本当にすごい、トレーナーさんとの息もぴったりだ」
そんな経緯を経て館内を満喫する2人が次に訪れたのはこの水族館で開催されているイルカショーを楽しんでいた
訪れた客たちが必ずと言っていいほど見るといわれるほど、ここの目玉となっている
納得させるほどの素晴らしい演出に紫苑も雪泉も心奪われそうだった
キュイッ! ザバァァァン!
「きゃっ!?」
「わわっ!?」
ショーの凄さを語り合っていたその矢先、2人のいる客席の目の前に水中から飛び上がったイルカが姿を見せる
舞い上がる水とも相まって幻想的な美しさを醸し出していた
思わず見とれていたその直後、イルカが再びプールにダイブしたことで大きな水しぶきが上がり
付近の席にいる観客たちがそれをもろにかぶってしまった
「うぅ…冷たいですね」ビショビショ
「そうだね…っ///!?」ドキッ
次の瞬間、紫苑は顔を赤らめた
というのも先ほどの水しぶきによって雪泉の着ていた服が濡れてしまい、今日着てきたのであろう下着が透けて見えてしまっていたのだ
思わぬことで下着を見てしまったがゆえに羞恥心からすかさず両手で両目を覆い、視線も彼女に向けないように位置を変えた
「っ?紫苑、どうかしましたか?」
「う、うん、少し待ってて!」
必死に視線を向けないように持ってきていた小カバンからタオルを取り出す
「ゆ、雪泉、これ使って///!」
「えっ?」
「ふ、服が透けてるから///!」
「…っ///!?」
紫苑のその言葉で雪泉はようやく自分の今の現状を理解した
「あ、ありがとうございます///」
「う、ううん。たいしたことじゃないから、あははは///」
少し気恥しそうに顔を赤めながら雪泉が紫苑からタオルを受け取ったのだった
ショーが終わり、会場を後にした2人は休憩がてらフードコートで休んでいた
先のことがあってか若干気まずい雰囲気が2人の間を漂っていた
「(あぁ~、さっきはとんだことに~。不可抗力とはいえ雪泉に申し訳ないよ~///)」アセアセ
凄まじい羞恥心から目も合わせにくく冷や汗をかきつつ両目をぎゅ~っと瞑りながらひたすらに罪悪感に苛まれてしまっていた
「…っ?」
「~~っ///!」
「(別に見てくださっても気にしませんのに…///)」
一方の雪泉にとっては先ほどのことは別に気にしてるわけではなく、むしろ慕っている紫苑が意識してくれていることがうれしかった
「っ…」ニコッ
「っ!?…うっ、うぅぅ…///」
ちらっとこちらに視線をむける紫苑に気づき笑みを見せると再び頬を赤くして縮こまってしまった
「(うふふっ、紫苑とこうして久方ぶりに2人でお出かけするのもやはり悪くないですね)」
いつもは他のみんな、家族と一緒にいることが多いゆえにこうして思い人とゆっくりとした時間を過ごせることが幸せなこおだと雪泉は思っていた
しかし、肝心の紫苑の方はというと先ほどのほほ笑みが効いてしまったのか羞恥心がさらに向上し、メーター的には限界値まで来てしまっており、今にも爆発しかねない程になってしまっていた
「えっとさ、喉乾かない!僕ちょっと売店言って飲み物買ってくるよ!」
「はい、わかりました」
たまりかねて飲み物を買ってくるということを口実にそそくさとその場から逃げることに成功する
数分後…
「お待たせしました~」
「ありがとうございます」
その後、売店でジュースを購入した紫苑は受け取ったジュースの容器を両手で持ちながら
自分の帰りを待っている雪泉の元に戻ろうしようとした時だった
「ちょっとみてよあれ?」
「なんだあいつ?てかボロボロじゃねぇか、大丈夫なのかよ?」
「っ?」
ふと周囲からひそひそと話声が聞こえる
気になった紫苑が振り返ってみるとそこには
向こうのほうからどこかおぼつかない様子の足取りで道を歩いていく男性の姿が
しかもそれはどうもこちらの方に向かっている様子だった
「……」
体も衣服もボロボロになった探検家らしき男性が周囲の目を釘付けにしていた
どうにも男が歩みよってくる道の先には自分がいた
「なんだ?なんなんだ?」
突然の事態に困惑を隠せない紫苑は呆気にとられる
ある程度の距離までいくとようやく男は歩みを止める
いきなりのことで周囲は混乱している
「…」ギロリ
「あなたは何者ですか?僕に何か御用がおありなんですか?」
向こうから特に何の反応もないので埒が明かないと判断し男に話を切り出す
すると、今までずっとうつむいていた男がゆっくりと鎌首を持たれ上げる
見えた男の顔には生気という生気がまるで感じられなかった
肌は男性の平均の肌色にしては明らかに色白になっており、目にはハイライトすらなくまさに死んだ魚のように不気味なものを感じられた
そうして観察を続けていたその時だった
「…見つけたわ」
「えっ?」
今まで沈黙し、一向に開かなかった口を開き、語りかけてきた
しかし、一番に驚いたところはそこではなかった
紫苑が驚いた一番の理由は口を開いた男の声色だった
その声色は明らかに男性のものではなく女性のものだった
「待ちわびていたわ、あなたにもう一度会える日を」
「なにをいっているんだ?君はいったい?」
向こうの言っていることの意味が分からず困惑を隠せなかったが
しかしそんな紫苑をあざ笑うかのように男が不意に手をあげ、その手を水面に突き出す
すると水面に不気味な光りを輝かせる巨大な陣が描かれた
さらにその直後陣を中心に水が渦巻きだし、水柱が発生する
そして次の瞬間、水柱が四散すると同時に現れたのはどこか異様な力を感じさせる人型のモンスターだった
「こ、これは!」
「…ふっ」ニヤッ
思わぬ物事の連続に紫苑は驚愕し、男は不敵な笑みを浮かべるのだった