場が震撼するほどに状況は壮絶としていた
ゴオオオオォォォォォォ!!
「うあぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
「し、紫苑!これはいったい、どういうことなのでしょう!?」
とめどなく紫苑から溢れ出る闇を見て雪泉は状況を飲み込めずにいた
「ううっ、うあああぁぁぁぁぁぁ!?」
『ふふふっ、そうよ。その調子よ!』
紫苑のこの状況を見ながら夜泉はうっとりとした表情でそれを眺めていた
そうしているうちにも紫苑を覆う闇が広がり続けていく
『っ…』
もう間もなくというような期待を込めた目で夜泉はその時を今か今かと待ちわびる
しかしその時だった
「雪泉ち~ん!!」
「っ?」
『っ?』
壮絶としているこの場に駆け付ける複数の影が
「四季さん、それに皆さんも!」
やってきたのは四季たち同じ月閃女学館の仲間たちだった
「みなさん、どうしてここに?」
「え、えっとそれは~、た、たまたま近くを通りかかったもんで」アセアセ
「(いえん、本当は雪泉が羨ましいからわしらもこっそりつけてたなんて)」アセアセ
本当のことは言うに言えない心境を雪泉以外の月閃メンバーは抱いていた
「そ、そんなことよりこれはどういうことなんだ?」
「正直めっちゃわけわかんない状況なんですけど?紫苑ちんは大変そうだし、なんか雪泉ちんにそっくりな子までいるし!」
「何があったんです雪泉?」
「そ、それが…」
皆の疑問に対し、雪泉が理由を淡々と説明する
そうして答え終えるとこの現状に対して困惑する
自分たちの目の前には禍々しい闇のオーラを放つ紫苑と雪泉に似た零体の女性の姿があったりとで訳が分からずにいた
「私も詳しいことはまったくわかりません。でもそれよりも問題なのは紫苑です。どうにかしないと、このままでは紫苑が!」
「でも、なんとかって言ってもどうしたら?」アセアセ
なんとかしようにも打つ手が思いつかないのではと雪泉たちは頭を悩ませる
「うぅっ…ぐぅぅぅぅ!?」
右往左往する雪泉たちを尻目に紫苑のほうは闇の苦しみにもがき苦しんでいた
『抗う必要なんてないわ。さぁ、心のままに力を解き放ちなさい!』
「ぐぅぅぅぅぅ!?!?」
悪魔のささやきを聞かせ、夜泉が紫苑を誘おうとする
紫苑の心も限界に陥ろうとしていたまさにその時だった
キュピン!
「っ!?」
「「「「「っ!?」」」」」
『こ、これは…まさか!?』
突然の一筋の光に夜泉が驚愕する
するとその直後、紫苑の身体からその一筋の光が飛び出し宙を舞う
次第に光が形を変えていき、人の姿へと変化する
そうして変化が止み、紫苑たちの前に現れたのはどことなく長髪時の紫苑に似た美しい女性だった
『真白!』
一同が驚いている中、夜泉は彼女のことを知っているのか怒りを孕んだ声を上げる
真白と呼ばれる女性は一瞬夜泉のほうを見るとすぐに紫苑に視線を向ける
苦しむ紫苑に向けて優し気な表情を見せながら手から一つの光を放つ
放たれた光は紫苑の身体に入るとその身を覆っていた闇をかき消した
「…苦しく、ない?」
闇が消えたことによって紫苑は苦しみから解放され、楽になった
「紫苑、大丈夫ですか?」
「雪泉、うん。今のところ何ともないみたい」
「…よかった。本当にようございました」
恐る恐る歩み寄りながら容体を尋ねる雪泉は紫苑が体調が元に戻ることができたと聞き安堵する
他の皆も雪泉と同じように喜ばしそうにしていた
『…ちっ、ま~し~ろぉぉ!』グヌヌ
一方でその様子をはたから見ていた夜泉はせっかくあと一歩だったところを阻止されたことで真白、果ては雪泉たちに対して怒りを露わにする
『…菊冦!』
「っ?」
『これで終わりと思わないでね!次こそは必ずかつてのあなたを取り戻して見せる!』
夜泉が紫苑に向けて去り際のセリフを残すと幻影は跡形もなく消えていった
残された紫苑たちは呆気に取られながらすぐに視線を真白のほうに向ける
向けられた視線に気づいた様子で真白が紫苑たちの方に視線を向ける
相変わらず暖かさを感じさせる優しげな笑みを向けている
「あ、あなたは…?」
恐る恐る紫苑が真白に尋ねる
『こうしてあなたと会うのは実に数百年ぶりですね』
「えっ?」
すると喋りだした彼女から漏れた言葉に紫苑はもちろん、雪泉たちも言葉を失う
「会うのが数百年…どう言うことですか?」
言葉の真意を知るために紫苑が再び真白に質問をする
『…っ』しゅ〜
「あっ!?」
「体が消え始めてる!?」
しかし投げかけられた質問に真白は無言を決め込み、さらには彼女の体が徐々に消え始める
「待って、待ってください!まだ聞きたいことが山ほどあるんです!?」
必死に懇願する紫苑だったが、それでも真白の消滅化は収まる気配はなかった
それを見て質問をしても無駄なのだと悟った紫苑はがくりと肩を落とす
『信じていますよ』
「えっ?」
『たとえどんなに強大な壁が立ちはだかろうとも、あなたは決して負けはしないと…自分の中の光に従いなさい…』
意味深な言葉を投げかけるとともに真白は完全に消滅してしまった
「…っ」
紫苑は真白がいなくなった空のほうをじっと眺めていた
「な、なんだかよくわかんないけどさとりあえずはなんとかなったみたいだね」
「そう、ですね。紫苑も雪泉も無事みたいで何よりじゃ」
「駆け付けた時にはひやひやさせられたがな」
「うんうん、でも2人とも無事でよかったよ〜」
戦いがひと段落しだようで皆が安堵の表情を浮かべる
例に漏れず雪泉もひとまず安心したように一息つく
そんな中、ただ1人だけ思い詰めたような顔を浮かべているのは紫苑だった
先の真白の言葉は何を意味してるのか、そのことが頭から全く離れなかった
「おん……紫苑!」
「っ!?」
次の瞬間、紫苑は自分の名を呼ぶ雪泉の呼びかけによってハッと我に返る
「紫苑、どうされたのですか?もしかして先の戦闘でどこかお怪我を?」
「ううん。そうじゃないよ、大丈夫だから」
「そ、そうなんですか。ならいいんですが」
心配をかけまいと紫苑は雪泉にそう言い聞かせる
「ほ、ほらみんなそんな不安そうな顔をしないで、ともかくいったん月閃に戻ろう。いろいろあって疲れちゃったしね」
「紫苑がそういうのでしたら」
「うん。さぁ行こう」
不安そうな雪泉たちに紫苑は必死に言い聞かせ、一先ず拠点に戻ることにするのだった…