連戦をくぐり抜けて紫苑は遺跡の深部へとやってきた
たどり着いた遺跡の深部は当然ながら荒廃しており、ところどころが瓦礫の山だった
紫苑は警戒しつつゆっくりと進んでいった
「……っ!」ピクッ
その最中、紫苑は気配を察知したように瞬時にその方を向く
「やっと来てくれたのね。待ってたわ」
視線の先には玉座らしき椅子に座す夜泉の姿があった
「あなたは覚えていないのだろうけど、この玉座はかつてあなたが座していたのよ」
立ち上がりながら玉座を撫でるように摩りながらその玉座がどういうものなのかを説明する
「今でも鮮明に思い出すわ、この玉座に座り、威風堂々としていたあなたの姿に私はとてもほれぼれしたわ。愛するあなたの傍にいられることを私は何よりも幸せに感じていたわ」
思い出を思い返しながら夜泉はかつての紫苑との思い出を振り替えっていた
そんな彼女の表情はどこか幸福に包まれていた
「でも、残念だわ。今はそんなあなたと……殺し合いをするしかないなんてね!」
「っ!?」
しかし次の瞬間、その幸福そうな顔が一気に険しいものにへと豹変し、直後に夜泉が影のように黒い鞭のようなもので攻撃を仕掛けてきた
紫苑はすかさず回避をとる
「はっ!」バチン!
「うぐっ!?」
「やあっ!」バチン!
「うわっ!?」
だが、しなる鞭の特性を持ったその黒いものによる夜泉の攻撃が容赦なく襲い掛かる
一方その頃、島に上陸した雪泉たちは遺跡の中を探索していた
「はぁ…はぁ…!」
「待ってよ雪泉ちん!」
「そうです。闇雲に探しても見つかるわけではありませんよ!」
早く紫苑の元に向かおうと躍起になる雪泉が先頭を走る
皆が静止を促すも聞いてはくれずに
「…っ!」ピクッ
「どわっ!?とっとっと~…って、ほんとに急に立ち止まられるとびっくりするじゃ~ん」アセアセ
急に立ち止まった雪泉に一同は何事かと小首をかしげる
見るとそこには分かれ道が
「う~ん、どっちかな~?」
「分からぬな。どっちなんだ?」
分かれ道に差し掛かってしまった一同はどっちに進むべきかと頭を悩ませる
そんな中、雪泉は目を瞑り意識を集中していた
「…こっちです!」ピクッ
「「「「えっ?」」」」
目を見開くや雪泉が左の道を指さす
「っ!」バッ
「あっ、雪泉!?」
「い、急いで追いかけよう!」
「「「「っ!」」」」
指さす道へと駆け出してしまった雪泉を慌てて夜桜たちが追いかけるのだった
一方、その頃紫苑はというと
「でや、ふあっ!!」
「ぐっ!?うあっ!?」
あれからも夜泉の猛攻を受けて、体をズタズタにされていた
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
「かつてあなたは真白の口車に乗って私たちを裏切り、光の力を得てこの地に封じ込めた!」
「ぐふっ!?」
「挙句の果てには私たちから力を俊敏さを霊力を奪い取り、自分の物にした!」
夜泉はそういい終えると同時に鞭状の影を消し、代わりに剣状の物に再錬成し、襲い掛かる
「はっ!ふっ!てぇい!!」
「くっ!?くぅっ!?」
鞭術の次は剣状の嵐、隙を生じさせない怒涛の攻撃が紫苑を苦しめる
「でやぁぁぁっ!」
「がはっ!?」
刹那、夜泉が件で紫苑の脇を切り裂く
「はあっ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
痛みに悶える紫苑に追撃の斬撃が繰り出された
一方的な試合展開、夜泉がどれほど強いのかを感じられずにはいられなかった
「どうして闇をそこまで否定するの?それが人間の本質だというのに」
「そんなことない、確かに人は誰だって闇を抱えているかもしれない、でも人には闇を乗り越える意思も力もある。心を強く持てば闇に負けたりはしない!」
「くぅ…!きれいごとを、いうな!!」
「っ!?」
闇を否定する紫苑の言葉に怒りを露わにした夜泉が止めを刺そうとしたまさにその時だった
「【黒氷】!!」
「「っ!?」」
突如、2人の戦いの最中に氷塊が飛んできた
そうして氷塊は夜泉に直撃し、大きく後方に吹き飛ばされる
「今のは?」
「しおーん!」
「っ!?」
飛んできた氷塊を見て紫苑がまさかと思っていたその矢先
自分の名を呼ぶ声に振り替えるとそこにはこちらに向かって駆け寄ってくる雪泉の姿がそこにはあった
「雪泉、どうして!?」
「紫苑、今お助けします!…はぁぁぁぁ!!」
紫苑の問いかけに答えることもなく雪泉は単身夜泉に攻撃を仕掛ける
氷の礫を展開して夜泉を襲う
「小賢しいわね…はっ!」
対する夜泉は剣状の闇を再び鞭状のものに変えるとそれを振るい雪泉の氷を粉々にする
「なっ!?」
「もう手詰まり?つまらないわよ!」
呆気に取られる雪泉に夜泉が鞭を彼女に巻き付ける
「しまっ!?」
「ふぅん!」
「きやぁっ!?」
「雪泉!?」
夜泉が鞭を巻きつけたまま勢いよく引っ張ると雪泉は急降下の勢いも乗った状態で地面に叩きつけられた
「うっ…うぅぅ…」
たった一度の攻撃にもかかわらず、雪泉はもう満身創痍にまで追いやられてしまった
「ふん、雑魚がしゃしゃり出るからよ。もどかしいwくぁ、あんたみたいな雑魚に私の菊冦が奪われていたとおもうとね…‥ちょうどいいから今ここで殺してあげるわ!」
雪泉を仕留めにかかった夜泉が再び鞭をしならせて雪泉を襲う
バチン!
刹那、鞭が当たったと思われる音が聞こえる
しかしいくら経っても痛みがこないので恐る恐る目を開くとそこには雪泉を庇うように前に立つ紫苑がいた
「し、紫苑…っ?」
「…だ、大丈夫雪泉?」
「あっ…あぁ…」アセアセ
苦しそうにもかかわらず絞り出した声は自分を案ずる慈愛の声だった
「見せつけてくれるわね!」バチン!
「うっ!?」
「はあっ!!」バチチチチン!
「ぐぅぅぅ!?」
怒りを孕んだ夜泉の攻撃が容赦なく紫苑を襲う
「し、紫苑…」アセアセ
「…っ」ニコッ
痛めつけられる紫苑を目にした雪泉が恐れと不安の顔を浮かべる
そんな彼女に対し、紫苑は優しく微笑む
するとその直後、三度紫苑の体が光に包まれる
光が晴れ、現れたのは完全なる光の力を取り戻した紫苑の姿だった
「……そう、結局あなたはそっちに行くのね。真白の時も、その女の時も…」
2人の光景を見ていた夜泉が怒りに打ち震えながら声を上げる
「もういいわ、おかげで何もかも吹っ切れたわ…そんなに光に生きるというのなら、今ここで私があなたを、殺す!」
次の瞬間、夜泉の周囲を闇が覆う
張り詰める空気がそれがどれほど危険かを物語る
「ふふふふふふふふっ」
そして闇の中から夜泉の声が不気味に響き渡るのだった…