荷物配達の仕事を終え、アジトに戻ろうとする光牙
しかし、直後にどこからともなく放たれたとてつもないプレッシャーによって場の空気は一気に張り詰める
敵襲の可能性を危惧し、武器を手に警戒を強める
光牙が警戒を強めていると突如、地面が割れ、そこから這い出るように現れる何者かの影があった
そして地面の爆発により砂塵が舞う中、視界が戻った光牙が見た先にはこちらに向かって不敵な笑みをこぼす男がそこにはいた
ピキュン…
『「っ…何じゃと、あの男から感じるのは…もしや?」』
男の様子を精神世界から見ていた光の竜が驚いた様子を見せていた
一方の
「…っ?」
「ニヒヒヒヒ」
突如として目の前に現れて不敵な笑みをこぼす男に光牙は警戒を強める
「(こいついったい何者だ?…もしや抜忍である俺を討伐するために何処かの奴らが送り込んできた刺客か?)」
抜忍である自分を狙うものは多いであろうことは従順承知のことであり
この男もそんな輩の一人なのではないかと考察していく
「…よう」
「っ?」
「ようやく見つけた。探したぜ"兄弟"」
「なにっ?」
その瞬間、光牙は男が自分に放った言葉に驚きの顔を浮かべる
無理もない、見知らぬ者からいきなり兄弟などと呼ばれたのだから
「貴様、いったい何者だ?なぜ俺のことを兄弟と呼ぶ?俺はお前のような奴から兄弟だなどと呼ばれる言われはないが?」
「つれないね~。そう固いこと言わずにさ、俺もお前も同じ穴の狢じゃねぇかよ~?」
「どういう意味だ?」
一方的に訳の分からないことを言うだけの男に光牙はだんだんイラっと来ていた
「そうカリカリするなって…なら見せてやるよ…ふぅぅぅぅん!」
そういうと男が力を込め始める
力が高まり始め、男から凄まじいプレッシャーが放たれる
すると男の体にある変化が起こる
目を凝らしてみると男の尻のあたりから何かが生えてくるのだ
「…あれは?」
光牙の視界に映ったのは男の尻から生えた尻尾だった
だがそれは単なる尻尾ではなかった。爬虫類のような、しかしてそれ以上にゴツゴツとした甲殻に覆われ、先端には結晶のような色鮮やかな鉱石がゴロゴロとついていた
「どうだ?驚いたか~?」
生やした尻尾を見せびらかすように男が不敵な笑みをこぼす
「(奴はいったい何者なんだ?あの尻尾もそうだが何より気になるのは先ほどからやつの全身に漂うあの気だ)」
光牙は心の中で考えていた。男から放たれているあの気、それと似たものを自分は知っている
似たものが何かを示すように光牙が自身のおなかに手を触れる
そう、光牙が感じた男の気に似たものとは自分に封印されている光の竜の放っていた気だった
「(もしややつは?)」
『そう、お前様の想像通りじゃよ』
「(この声、まさか?)」
脳裏に聞こえる長いこと聞くことがなかった見知っている少女の声
「(ドラゴンか?)」
『そうじゃ、わしじゃよ我が主様よ』
光牙の脳裏に話しかけてきたのは今まさに考えの中にいた光の竜本人だった
「(お前から話しかけてくるとはな。どういう風の吹き回しだ?)」
『別に。ただ単に妙なことになっておるようじゃったから声をかけてやったまでのことじゃ』
相変わらずひねくれたような言い回しをするなと光牙は内心思った
「(想像通りということはやはり?)」
『あぁ、どうやらあの男の中にもいるようじゃの、わしの同類がのぉ』
「(…やはりか)」
光の竜のその答えを聞いたことで光牙の疑問は確信に変わった
そして男が言っていた"兄弟"の意味がこれではっきりしたのだ
「なるほど、貴様が言っていた俺がお前と同じ存在だといった意味がわかったぞ」
「へっ、そうかい。まぁ、とどのつまりそういうことさ。俺様の中にもいるんだよ、お前の中にいるのと同じ化物がよ。だが今やそいつはもう俺に力を与えるためだけに存在するエネルギー源と化してるがな」
「なに、エネルギー源だと?どういう意味だ?」
「あるお方が俺に力を貸してくださった。それにより俺は俺の中にいるこの化け物を完全に支配下に置くことができたのさ」
男が誇らしげそうに"あるお方"の力で自分が内に封じられた化け物を支配下においたと公言する
「あのお方によって長い苦しみから解放されそのうえ俺はこの力を手に入れたのさ」
あのお方の助力によって力を得た。そしてその力を使いこなせることへの優越感に溺れたような顔を浮かべながら男は話す
「(奴のいうその人物とは何者なんだ?)」
光牙は男が口にしたあのお方という人物のことが気がかりでしょうがなかった
「さて、説明はここまでとしてそろそろ本題に入らせてもらう。単刀直入に言わせてもらう。俺がここに来たのはなぁ、兄弟、お前をあの方の元にお連れするためさ!」
「なにっ?」
男が語った目的の内容、それは度々話題に出てきたあの方という人物の元に自分を連れていくとのことだった
「…なぜ俺を?」
「あのお方はお前のことも救おうとしてくださろうとしてるのさ」
「なにっ?」
「俺と一緒にこい。そうすればあのお方が力を貸してくださる。そしてお前ももう内に封印されている化け物から支配されるかもしれないという恐怖から解放してくださることだろうさ」
そういって一歩的に手を差し出してきた
「…断る」
「なにっ?」
「お前の言ってることが本当かどうかの確証がない。それに俺にはお前の言うそのお方の力とやらは必要ないんでね」
胡散臭い話しであることはもちろんのこと、すでに自分は力を手にしているゆえに他人の手を借りることは望んではいなかった
「貴様、せっかくのあの方の好意を蹴りやがったな。調子に乗ってんじゃねぇぞ…!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
侮辱の言葉を言い放った光牙に男は怒りの感情をあらわにし、それに好悪するかのように地面が激しく振動し始める
「あの方からはなるべく穏便にといわれていたが、ちょっとお灸をすえてやらなきゃならないみたいだな?」
「だったらやってみろ。相手になってやる」
「ぬかせ!」
挑発に乗ったように男が駆け出し
それを見ていた光牙が弓を手に構え、トリガーを引きながら矢先にエネルギーを集中させる
「はっ!!」
トリガーから引手をはなすと同時に男に向かって矢が飛んでいった
「甘いぜ。ふん!」
迫り来る矢に対して男は片腕を石化させそれを突き出し、殴る形で消し飛ばした
「へっ」
「っ!」
攻撃を消し飛ばしてしてやったりといった顔を男が浮かべる
「そんなへなちょこな技じゃ俺様には効かねぇんだよ!」
「ほう、随分ないいようだな。だったら俺の技が本当にへなちょこかどうかもう一度確かめさせてやる」
「ほざけ!」
光牙が再び弓矢を構え、それに対して突っ込んでいく男だった