戦闘を仕掛けてきた男と光牙の戦いが始まった
土や岩など地属性の技を駆使する男に苦戦を強いられる中
起死回生の一手として光牙は「龍騎の光牙」にへと転身し、形勢を逆転する
しかし、それらが男の逆鱗に触れてしまい、さらなる力を解放し、怪物へとその姿を変えた
その野生的な荒ぶる攻撃によって光牙は窮地に追いやられてしまう、そんな光牙の前に自分の危機を救った焔が現れたのだった
【「ヌゥゥゥゥ!!!」】
化け物と化した男が光牙と先ほど自分を蹴り飛ばした焔をにらみ据える
「焔、なぜおまえが?」
呆気に取られていた光牙がハッと我に返り、焔になぜここにいるのかを尋ねる
「私だけじゃないぜ」
「えっ?」
「私もいるわよ」
その後に続くように光牙の後ろの方に春花が降りたつ
「春花、お前まで」
「たまたま焔ちゃんと一緒にいたら急に妙な気配を感じて来てみれば周囲の人がみんな倒れてたり結界が張られてたりで何かあると踏んでひとまず人々の避難を優先してたの。備えあれば患いなしよ。…まぁ、結果としてはあまりよくはない状況みたいだけどね」
春花のその言葉で光牙は確かに周囲にはプレッシャーで倒れてしまっていたはずの人たちの姿がどこにもなかった
2人が手分けして運んでくれたからだ
結果としてこれ以上の人的被害は避けられそうだった
「それでなんだけど光牙くん、これを」
「これは?」
春花が自身のたわわに実ったその谷間からあるものを取り出し光牙にそれを手渡す
手渡されたそれは何かのボトルだった。容器の中には薄緑色の液体が入っていた
「春花、これはなんだ?」
「私特性の治癒剤よ。試作品だけど効果の方は保証するわ」
「本当だろうか…ともかくすまない」
少々疑いつつも春花が渡した薬の入ったボトルをグイっと飲み干す
すると一瞬体が光った後、先の戦闘で負った傷がみるみる回復していった
「すごいな」
「ありがとう」
「…だが、どうにも全回とまではいかないらしいな。まだ体になまりを感じる」
「ふむふむ、まぁ試作品だったからね、貴重な意見ありがとう。参考にするわね」
試作品の薬の効果の度を聞いて欠かさずメモを取っていた
「んでそろそろ説明いいか?あれはいったいなんなんだ?」
話しの区切りがついたころを見計らって焔が光牙に経緯を尋ねる
ここにきてからというもの驚くことばかりが起こっている
妙な気配を察知して来てみたら
大勢の街の人たちが全員気を失っているわ、光牙が忍結界を張っているわ、その結界が破られたと思ったら傷だらけで、同時に彼をそんな風にまでしたと思われる怪物まで現れたのだ
すぐに理解しようにもそれができるようなことではない状況だった
「しかも敵さんあのの様子…まるで、どことなく暴走した時の光牙くんを思わせるわね」
春花は他の誰よりも光牙が暴走し、獣のごとく狂ったように暴れまわり、あらゆるものを破壊していく姿を見ていた
果ては彼が完全にドラゴンに肉体を乗っ取られたところまで
それを踏まえてみても自分たちと相対するそれは光牙の暴走時の時と同じものを感じられた
「気をつけろ、奴はいうなれば俺の同類だ」
「ということはまさか?」
「あぁ、奴の中にもいるんだ。竜がな」
「「っ」」
光牙の説明に2人は言葉を失う、彼もそうだったが2人もまた今の今まで己の身に竜を宿す人間は一人だけだと思っていたからだ
しかしその考えは目の間にいるそれによって一瞬にして砕け散ったのだ
【「ホウ、チッタ俺ラノ事情ヲ理解シテルッテワケカ?」】
「喋った?」
「あぁ、どうやら奴はマスターというやつから自分の中に封じ込められている竜の力を完全にコントロールする技術を授かったらしい」
「となると気を付けたほうがいいわね。光牙くんが暴走した時と同じような力を持ちながら自我を持っている。厄介な相手になりそうだわ」
自我を持ちながらのあの強力な力をまともに相手にするのは骨が折れることこの上ないことだ
【「例エ何匹集ツマロウト俺ノ敵デハナイ!グオォォォォォォ!!」】
そう言い放つとともに男(竜化)が襲いかかってきた
「そうこうしてる間に奴さんが来た!」
「まったくもう、せっかちなんだから」
「ともかくまずは奴を止めることが先決だ。行くぞ!」
「「おう(えぇ)!」」
迫りくる男(竜化)を迎え撃つべく3人は構える
【「グオォォォォォォ!!!」】
ドゴォォォォン!
「くっ、馬鹿力め!」
「ここは私に任せて!」
「春花!」
反撃の先発として春花が仕掛ける
「てぇぇい!」
【「グルオォォォ!!」】
ガシィィィィン!
傀儡と男(竜化)の力と力の押し合いが始まる
「ぐっ!?」
【「ドウシタ?ソンナモンカ!」】
しかし、やはりと言わんばかりに男(竜化)のパワーにはかなわない、見る見るうちに圧倒されていく
「今よ焔ちゃん!」
「任せろ!」
【「ッ!」】
「やあぁぁぁぁぁぁ!!」
背後を取った焔が六爪を構え斬りかかる
【「猪口才ナ!」】
グニュニュ…パシュシュシュン!
「っ!?」
【「ヘッ!」】
それに対し、先ほど光牙の時にも使った棘を展開し、焔めがけてそれを飛ばす
このままでは先ほどの光牙と同じ轍を踏むことになりかねなかった
ビュィン!!
「っ!?」
【「なっ!?」】
だが、棘が飛んだと同時にその間を光波が横切り、棘を粉みじんにした
それをしたのはもちろん光牙だった。踏んでしまった轍を今度は自分が阻止したのだ
「畳み込め焔!」
「光牙!…わかった!」
光牙のおかげで障害が消えたことで焔が六爪を振り上げる
【「まだだ!」】
棘でダメならと今度は尻尾で叩き伏せようとする
「あら、よそ見はダメでしょ…っ!」
ギギギギ…カチョ、ボンボンボンボン!
【「なっ!?」】
ボバァァン!
焔に気を取られていたことが仇となり、春花が傀儡を操り、口から機爆弾を発射
顔面目掛けて飛んでいった爆弾が爆発し顔に爆煙が舞う
【「コ、コイツ!」】
「今よ!」
【「ッ!?」】
「どりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
ザシュン!
【「グアッ!?」】
斬りこんだ焔の斬撃が見事背中を切り裂いた
この斬撃のダメージによって男(竜化)がのけぞる
「ここね。やっておしまい!」
ギュィン!ギギギギ!バコォォォォン!
【「グォッ!?」】
「はあっ!」
【「ヌアァァァァッ!?」】
傀儡の拳の一撃で男(竜化)は大きく後方へと追いやられる
【「オ、オノレ…ユ、ユルサン!」】
男(竜化)が怒りを露わにしながらそう言い散らす
「いいえ、あなたはもう積んでるわ」
【「ナニッ?」】
「その通りだ」
【「ッ!?」】
春花が言った言葉の意味がわかならい様子の男だったが背後の光牙を見てそれを察した
弓矢を身構え、その矢先には強力なエネルギーが蓄えられていた
【「キ、キサマ!?」】
「2人が時間を稼いでくれたおかげだ。そしてこれでお前は終わりだ」
【「ヌアッ!?」】
光牙が言い放った直後、エネルギーが完全にたまる
「いけっ!光牙!」
「…秘伝忍法【輝迅】!!」
パシュゥゥゥゥン!!
矢から放たれた輝迅が真っすぐ男(竜化)のほうに飛んでいくのだった