閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第七章 選抜メンバーの温泉旅行…だそうだ

夜空に輝く美しき月を眺め、極楽にいるかのごとく至福の時間を感じさせてくれる場所「温泉」

 

今、蛇女子学園選抜クラスのメンバーは恒例行事で年に1度行く温泉旅行に来ていた

 

 

「さあ卓球だ!暴れるぞぉぉぉ!」

 

「着いたばかりでいきなり卓球?…少し休んでからにしようよ~」

 

「何を言う!1分1秒でも多く今を楽しむんだ!」

 

ついて早々卓球を始め出す焔に呆れる一同

 

「光牙、私と勝負しろ!今までの恨みここで晴らしてやる!!」

 

焔がラケットを突きつけながら光牙に言い放つ

 

「ふん。くだらないな。俺はそんなお遊びに付き合うつもりはない」

 

そう言うと宿泊部屋に行こうとすると焔はニヤリと笑う

 

「おやおや~光牙ともあろうものが逃げるのか~?」

 

「」ピクッ

 

「そうか~光牙は実戦は上手くても卓球とかは全くダメダメだったのか~。それじゃしょうがないな~」

 

「……貴様」

 

光牙がラケットを手に取って焔を睨みつける

 

「いいだろう、そこまで言うのならこの勝負受けてやる。そして俺に勝負を挑んだことを後悔させてやる」

 

「そう来なくっちゃな!勝負だ!!」

 

焔の挑発に乗せられ勝負を始める光牙に呆れ顔をする4人だった

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、長い長い試合となり1時間は軽くこえてまで続いた結果

 

 

「ばっ、バカな…」

 

「よっしやぁぁ!私の勝ちだ!!!」

 

 

惜しくも焔に勝ちを持って行かれてしまったのだった

 

 

「ギリギリだったわね。わずか1秒で逆転の1点をとるなんて」

 

「光牙もさすがに油断してたわね」

 

「でもえぇ試合だったと思うで」

 

春花たちが二人の試合を賞賛していると突然、詠のお腹がなりだす

 

「あっ。あははは…わたくし、そろそろお腹が空いて来ちゃいました」

 

「もう、詠お姉ちゃんったら」(笑)

 

「よし!飯にするか!!」

 

 

 

 

 

部屋に戻ると 既に食事の用意が出来ていた

 

旅館の豪華な料理のフルコースに焔たちは目を光らせた

 

 

「みっみなさん。食べきれないのなら残してもいいんですのよ!」

 

「持って帰る気満々やね」

 

「よし!全力で食うぞ!」

 

そう言うと各自一斉に食べ始める

 

「うぉぉぉうまいぞぉぉぉ!!!」

 

「あれ?…大変だ詠お姉ちゃんが気絶してる!!」

「おい詠!しっかりしろ!!」

 

「はっ!?わっ、わたくしとしたことが美味しさのあまり気絶してましたわ!?」

 

なんとまぁ可愛らしさ極まる食事会なのだろか

 

「ふぅ…ご馳走様でした」

 

食事を終えた光牙だったが

 

ガシッ

 

「っ!?」ギク

 

「光牙さ~ん?」

 

「……なんだ?」

 

「いつも言ってますわよね?にんじんを残してはダメですって」

 

そう、旅館にもにんじんを使った料理が出ていて光牙はそれを無視してほかの料理を食べていたのだった

 

「…旅館まで来てにんじんを食べる必要などないだろう」

 

「ほら。またそうやって駄々をごねる。ダメですわ好き嫌いは!という訳で!!」

 

箸でにんじんをつまみ光牙の口元に運ぶ

 

「さぁ召し上がれ♪」

 

「I✩YA✩DA!」

 

 

 

 

 

食事を終えたメンバーたちは風呂場に来ていた

 

美しい夜空に海から漂う塩の香り、そして十人くらいなら余裕なほどでかい

 

そしてなにより

 

「どうやら他に客はいないみたいだな?」

 

この広い露天風呂が貸切同然のような感じとはなかなかラッキーである

 

「よし入るとするか!!私が一番だ!!」

 

「ちょっと焔ちゃん。ここの温泉」

 

「あっちゃぁぁぁぁ!!」

 

あまりの熱さに焔が悲鳴をあげる

 

「かなり熱いみたいだけど……手遅れだったわね。みんなも気をつけてね~」

 

「何が?」

 

「日影ちゃんは平気みたいね」

 

思わず苦笑いをする春花だった

 

「あぁぁぁ~気持ちいい~♪」

 

「焔おばさん臭いわよ」

 

「だっ、だれがおばさんだ!?」

 

温泉の温度にも慣れたところで全員が入浴を開始する

 

みんなでわいわいしてると

 

「うわ~ひろ~い」

 

「ほんとだね…ってうわっ!?いったーい。うえ~ん。柳生ちゃ~ん!」

 

入口から声が聞こえてくるとそこに5人の人影が現れたのだった

 

 

 

 

人影が現れる前の同時刻

 

 

「…ふぅ」

 

男湯にて光牙は夜空に浮かぶ月を眺めていた

 

女湯同様に男湯もまた誰もいない貸切同然だった

 

「……我ながら呆れるな」

 

光牙はふと、1人ごとをつぶやく

 

「元々、蛇女に来たのは任務でその過程で選抜メンバーの新たな枠として入った。ただそれだけのはずなのに…」

 

顔から滴る水滴が波紋を作り出す

 

そこに浮かび上がる今までの出来事

 

焔は口うるさく勝負を挑んで来ていろんなことに自分を巻き込もうとしたり

 

詠は笑顔で優しく接する時もあれば自分がにんじんを食わないでいると叱ってきたり

 

日影は無関心なように見えて本当は違う自分なりに自分がどう在るべきかを探していたり

 

未来は世話が焼けるも自分にも分け隔てなく関わろうとしてきたり

 

春花は危険漂う雰囲気で厄介事を自分に擦り付けてきたり

 

迷惑としか思えないそんな彼女たちだけれどもなんだかんだ言って一緒にいたせいか自分も気づかぬうちにそんな他愛ないやり取りが当たり前のように思え、彼女たちといることが当然のようにすら感じてしまう自分がいる

 

なんだか懐かしい…たとえるならそう家族のような存在にすら思えてきそうな心境にあった

 

「この俺があいつらにそんな感情を抱くだと……バカバカしい」

 

自分にはそれよりも優先しなければならいことがあるのだと自分に言い聞かせる

 

『あぁぁぁ~気持ちいい~♪』

 

『焔おばさん臭いわよ』

 

『だっ、だれがおばさんだ!?』

 

ふと、隣の女湯から焔たちのバカ騒ぎが聞こえてくる

 

「…あいつらと来たら相変わらず騒がしいな」

 

焔たちのバカ騒ぎを聞いていると真面目に物事を考えていることが馬鹿らしく思えてきそうだった

 

そんな時だった

 

 

ガララララ

 

 

「うん?」

 

入口から誰かが入ってきた

 

「本当に広いですね…おや?誰かいるんですか?」

 

「っ…」

 

「あっ…」

 

入ってきたのは10代後半ではあるもののその容赦は10代前半の顔立ちをしていて

 

しかし肉体はしっかりとたくましく自分に負けず劣らずがっちりしているところはがっちりしている

 

そしてなによりその肉体が物語るこれまでの修行の数、修羅場の数

 

それが肉体を見ただけで感じ取れる

 

なによりそれは向こうも感じていることだから

 

「(こいつ)」

 

「(この人)」

 

「(ただものじゃない!)」

 

これが後に自分のライバルとなる少年との運命の出会いとなりうるとはこの時の二人には知る由もなかった


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