荒れ狂う男こと山土(竜化)が猛威を振るう中、焔と春花の加勢によって徐々に形成を逆転し始めていった
3人の連携が山土(竜化)を追い詰め、そこへ光牙がとどめとして放った輝迅が炸裂し、山土(竜化)を爆発四散させる
だが、それでも山土を完全に倒すことはできず、さらには怒りに身を任せた山土が
傷ついた体であるにもかかわらず今一度男が竜化を試みようとする
しかしそんな局面の場に突如として乱入者が出現した
風那と名乗る女性は竜化をしようとする山土を制止し、半ば強引に説得しその場を去ろうとする
それを見逃すまいとする光牙たちに風那は不敵な笑みを浮かべながら意味深な言葉を残していった
何のことかわからずにいる光牙たちに突如として電話が入り、その内容を聞いた3人は愕然となるのだった
⦅焔紅蓮竜隊 アジト⦆
「こ、これはどういうことだ?」アセアセ
「詠、おい詠!?しっかりしろ!」
「…み、みなさん。あ、あいか、ちゃんが…っ」
「愛花がどうしたんだ?おい詠!?」
敵を退け、アジトに戻った光牙たちだったが、そこで見たのは傷つきボロボロになった詠がいた
愛花の名を呟くも数秒後には意識を失い、光牙たちは困惑していた
そうして詠が意識を取り戻したのはもう夕暮れも近い時刻だった
「申し訳ございません。わたくしが不甲斐ないばかりに」
「詠、そんなに自分を責めるな」
「そうだよ詠お姉ちゃん。詠お姉ちゃんは悪くないよ」
「ですが…」
2人から慰めの言葉をもらうも自責の念が否めない詠は酷くしょんぼりとしていた
意識を取り戻した詠から事の顛末を聞かされた
詠がいうには自分たちが山土と激戦を繰り広げている最中、自分は愛花とともに久方ぶりに貧民街に里帰りし、見上げとしていくつか物を貰い、帰る途中でいた
だがそんな自分と愛花の前に風を操る女が現れ愛花をよこせと言ってきたのだ
当然そんなことさせまいと戦う意を示す自分と愛花だったが、風を操る女の圧倒的な力になすすべなくやられてしまう
挙句の果てに宣言通りに愛花はその女と後から来たもう2人に連れ去られてしまったのだ
「…わたくしが不甲斐ないせいで愛花ちゃんが」
「詠、こいつらも言っていたようにお前は悪くない」
「ですが」
「お前は立派にすべきことをしようとしたんだ。そんなお前を非難するものは誰もいないさ」
その言葉を聞いた詠が軽く周りを見るとこの場にいる誰もが彼女を誇りこそすれ卑下する者は1人としておらず
皆の優しさに詠は心打たれ、嬉しさと悲しさを孕んだ涙を流していた
「だけど状況は最悪な方に転がってしまったわね」
「せやね、敵の狙いは何にしろ愛花さんは連れてかれてしまったからの~」
「どうするの光牙、探すにしたってあたしたちそいつらが何者かもわかんないんだよ?」
何処にいるのかもわからず、探すにしても有力な手掛かりは何一つとしてない、やみくもに探すのは利口ではないことは皆も分かっている
「そのことなんだが手掛かりが全くないというわけでもなさそうでな」
「どういうこと?」
光牙のその言葉に未来が疑問を抱いていると
すかさず光牙が上着の内側の胸ポケットから紙を取り出す
それは去り際に風那が光牙に行きわたしたものだった
「去り際に奴らがこれを俺に渡したんだ。気が変わったら来るようにと」
「じゃあこれがあれば!」
「あぁ、愛花の元に行けるに違いない」
愛花を助け出す術が見いだせたと一同は喜びあう
「ならさっそく行こう。よ早く愛花を助けなきゃ!」
「未来、逸る気持ちはわかるわ。でもそれは少し無理ね」
「なんで…あっ、そうか」
春花の言葉で未来はハッとなる
今この場にいる者は自分と日影を除き、皆敵との遭遇で少なからずダメージを受け、消耗もしている
それに引き換えこれまでの経緯から襲ってきた敵は4人、内3人はほぼノーダメの状態
光牙たちが戦った相手である山土1人相手にするのにも焔と春花を踏まえた3人で力を合わせてようやく撃退まで追いやってこの様だ
こんな状態で仮に愛花を助けに行こうとしても他の者たちとの戦闘に発展すれば不利になるのはこちらだということは誰の目からも明らかなものである
「ごめん、あたしったら愛花のことを気にしすぎて急ぎ過ぎてしまったわね」
「いや、未來。お前の気持ちももっともなことだ。本当なら俺たちとて気持ちは同じだ…案ずるな。何があろうとも愛花は必ず取り戻して見せる。愛花は俺たちの大切な家族だからな」
紅蓮竜隊は仲間であり、チームであり、そして家族なのである
「光牙…うん!」
「えぇ、そうですわね!」
「せやな」
光牙のその言葉で皆の愛花を取り戻すという意の結束はより強固なものになっていった
「(…愛花、無事でいてくれ)」
愛花を助けだすという志しの元、光牙は敵に連れ去られ、怖い目にあっているかもしれない愛花のことを考え、今一度彼女を助けだすことを胸に誓う光牙だった
一方その頃、ここは人の目から隠されたとある場所
「うっ、うぅん?」
そしてその場所で愛花は目を覚ます
「こ、ここはいったい?」
何も見えない真っ暗な闇の中、愛花は心の底から不安を抱く
「(…師匠、みんな)」
恐怖に駆られ体を丸くしながら光牙や焔たちの名を心でつぶやく
「かわいそうにひどく怯えているわね?」
「っ?」
するとどこからか声が聞こえてきた
「誰?誰ですか!何処にいるんですか!」
声はすれど姿が見えない、愛花は暗い場所で懸命に隙を見せまいと身構える
「おやおや、その年ごろでありながらなかなかの立ち居振る舞い、見事なものですね」
あたりに広がる声が愛花に賞賛の言葉を発した次の瞬間だった
ボッ!
「っ?」ビクッ!
ボボボボボボッ!
今の今まで明かりもなく真っ暗な闇だけしかなかった場所から突如として明かりが灯り、それは瞬く間に周囲に広がり部屋全体を照らすほどであった
「っ?」キョロキョロ
突然の事態に何が起こったのかわからないといった顔を浮かべながら愛花は困惑していった
「うふふ。ごめんなさいね驚かせてしまったようですね?」
「っ?」
愛花は声のするほうに一目散に目を向ける
そこには宮殿に備え付けられているような大きく寝そべることも可能な程の横幅の立派な玉座に座す女性が愛花のほうをじっと見据えていた
「あ、あなたはいったい?」
「あら、私としたことがうっかりしてましたね。では改めて、初めまして愛花さん。私の名前は神威、あなたに幸福と力を与えるものです」
「幸福と力?」
女性、神威から言い渡されたその言葉を聞いた愛花は言っている意味が分からずただただ困惑するしかできないのだった