どうにか山土を退けることに成功した光牙たち
しかしそれに安堵する暇もなく、かかってきた電話により愛花が敵に拉致されてしまったことを知る
愛花を救いたいという逸る気持ちもあったが既に先の戦闘で負傷した身での出陣は無謀なことと割り切り
ことに備えるべくコンディションを整えることを選択した光牙たち
一方その頃、拉致されてしまった愛花は見知らぬ場所にて目を覚まし、そこで自分を出迎えていたのは
高貴な雰囲気を醸し出しながら玉座に座す女性「神威」との遭遇だった
突然の神威の登場、そして彼女が自分に語ったことの真意が読めず愛花は言葉に詰まったような顔を浮かべていた
「理解が及んではない…まぁ、無理もないわね。まだ幼い身ですものね、少し難しく言ってしまったかしらね?」
「あっ、いえそんな…うぅ…」
自分の語ったことの意味が捉えきれず頭がついていってない様子を察した神威がぼそりと呟き
それに対して何か言い分を考える愛花だったが、いかんせん何も思いつけずで不甲斐なさを感じてしまっていた
「うふっ、そう気にすることはないわ。私の説明の仕方が悪かったのもある事ですし、順をもって説明しますね」
神威はそういうとパンパンと手を叩く
すると愛花の後ろの方から数人の人が現れた
「只今参りました。なにか御用でしょうかマスター?」
「えぇ、少しね」
「っ?」
愛花は突然現れた人たちに慌てふためいていた
「(人が集まってきた?)」
急に向こうだけで会話をし、納得している様子を見せる女性に愛花はさらに動揺する
「お嬢さん、えっと名前は何といったかしら?」
「あ、愛花…です」
「そう、愛花さんね。…それでね愛花さん、彼らが誰なのか気になってるわよね?なぜ今ここに呼び寄せたのかを」
「へっ?…えぇ、まぁ」
まるでさとり妖怪かなんかかと言わんばかりに人の心を見透かす彼女に愛花は少し気味の悪さを感じた
「よく聞いて愛花さん、この子たちはいわばあなたの兄弟みたいなものよ」
「えっ?兄弟?」
神威がいきなり彼らが兄弟のようなものだと言ってきたので何が何やらな顔に
「本当はもう2人いるのだけれど今はちょっと遅れてしまっているみたいだから戻ってきたら紹介するわ、さて、ともかく先ずは百聞は一見に如かずね…あなたたち、この子に見せてあげなさい」
「「はい、マスター」」
命令を受けた3人が即行動を開始する
2人が力を高めると一斉にお尻の方から尻尾が生えてきた
「ふぇっ!?」
人から尻尾が生えたことに愛花は驚愕する
「驚いているようね。でもね、心配には及ばないわ愛花ちゃん。その気になればあなたにもできることなのよ」
「わ、私にも?」
「えぇ、だってあなたの中にもいるのよ"竜が"」
「っ!?」
その言葉を聞いた愛花は今までの中で一番驚いた様子を見せる
自分の中に竜がいることを知っているのは自分を除いて紅蓮竜隊のメンバーのみだ
だが何故か彼女は自分の中に竜がいることを言い当てた
ますます怪しさが臭うような気がしてならない感じだった
「か、神威さんは」
「っ?」
「神威さんは私の中に竜がいると知ってるようですが、だとして神威さんは私をどうしようというのですか?」
愛花は先のこともあり少し警戒をしつつ尋ねてみた
「私はね愛花ちゃん、あなたを救いたいと思ってるの」
「救う?」
「えぇ、私には特別な力があってね。竜の力をコントロールする力を持っているの、そこにいる彼らに助力してあげたのも私なの。そうよね?」
そう言って神威は部下たちであるほうを見た
「はい、その通りでございます。マスター!…これまで私たちはこれのせいで皆から忌み嫌われてきました。いつ暴走するかもしれない恐怖に怯える毎日はとてもつらかった」
「しかし我々はマスターに出会て力をコントロールできるようになり、おかげで新たな道を見出せた。あなた様には我々一同感謝してもしきれません」
神威の問いかけに2人は感謝の意を示しながら敬服の意を込め、彼女に向けて跪いた
「うふっ、いい子たちね」
彼らの忠義を見た神威が笑みをこぼす、しかし愛花には彼女の笑みが何か引っかかりを見せる。その顔の下に何かを隠しているようでならなかった
なにより早く光牙達の元に戻りたいと思う気持ちもあった
「それでね愛花ちゃん」
「あっ、はい?」汗
とここで再び神威が話しかけてきたので愛花はハッと我に返り彼女のほうを向く
「ここまでのことであらかた理解はできたと思うからそろそろ本題に入るけど、私の力であなたも彼らと同じようにしてあげるわ」
「…それって?」
「私の力で彼らのようにあなたの中にいる竜を完全に封じ込め、その力を自在に操れるようにしてあげる。そうすればあなたもこの子たちのように自在に力を使いこなせるわ」
「私も…」
神威の言葉を聞いて愛花は封印術を施されているお腹に手を当てる
彼女とてそれができたらと思わない時はなかった
自分の中にいる竜の力をコントロールすることができたならもうみんなに迷惑をかける心配はなくなる
…しかし、だからといって彼女のこの提案を素直に聞き入れるべきかといわれればそうでもない
「(師匠…)」
どうすべきかと愛花は考えを巡らせる
そんな時だった
「マスター」
「っ?」
「あら、風那、戻ったのですね」
「はっ、今しがた」
愛花と神威の会話の最中、割って入るように風那が山土をつれてやってくる
風那はやってくるや跪いて帰還報告を知らせ、山土の方は気まずそうな顔を浮かべていた
「あら、どうしたのかしら?山土、そんなボロボロな格好をして?」
「こ、これは…その」アセアセ
身なりを見た神威が問いかけると山土は言いずらそうに口をご盛らせる
「それは私の方から説明させていただきます」
「いいわ、聞かせてくれる?」
埒が明かないと判断した風那が口をはさみつつ、代わりに神威に事の経緯の説明役を買って出る。神威からの許可を得た風那が説明を始める
「では申し上げます。実を言うとこの山土めがあろうことかマスターの意を無視し、マスターが連れてくるように命じた光牙なる男を殺そうとし竜化までしました」
「…」ムッ
「えっ?」
風那の説明を聞いた瞬間、神威の顔が険しくなり、同時に愛花が驚いた様子を見せるのだった