愛花を助けるため、敵アジトに乗り込んだ光牙たち
道中行く手を阻む刺客たちを仲間の助けによって退けた光牙と焔は最上階にやってきた
しかしそこで2人が見たのはマスターたる神威に危害を加えられている愛花の姿だった
すかさず焔が神威に仕掛けたことで愛花の拘束を解くことができた
だが既に愛花は神威に操られ、自身の意思と関係なく光牙たちに牙をむいてきた
助ける方法を模索す中、光の竜が助力を申し出てる
方法を聞いた光牙は愛花にタイマンを仕掛けるのだった
場は緊張に包まれる
光牙の前には操られた愛花が
互いに出方を伺う
最中、緊張からか焔の顔から汗のしずくが床にポチャリと落ちる
「「っ!!」」
次の瞬間、両者が動いた
シュンシュンシュンシュンシュンシュン!
「は、速い!?」
しかもそれは目で追うのがやっとなほどものすごいスピードだった
光と雷、互いに速度の領域内で戦闘を繰り広げる
「ししょー!ごめんなさい!」
雷の威力を込めた拳を愛花が繰り出す
対する光牙はそれを弓で裁く
「はあっ!」
そして負けじと光牙が手を出し愛花の体に触れようとする
だが、それを許すことをせず妨害してくるためなかなか触れられない
「(やはり難しいか…ならば)」
戦闘の最中、光牙は弓の操作ボタンをポチポチする
速度の領域の中で光牙が弓を引き、矢を放つ
当然愛花はこれを弾く、矢は粉々に砕け、粒子となってあたりに散布される…光牙の狙い通りに
これを見て光牙が印を結ぶとが粒子が再び形を成しロープ状になり、愛花を拘束する
「ぐ、うぅぅ!?」
捕縛されたことで速度の領域が終わり、焔たちの視界に愛花が移る
「はあっ!」
続けざまに現れた光牙が愛花の腹部にタッチする
「(頼む!)」
《『上出来じゃ…行くぞ!』》
光牙が愛花に触れたことで光の竜が念を送る
「っ!?」ドックン
「っ…まさか?」
次の瞬間、愛花に気が注ぎ込まれる
さらにそれを神威も感じ取る
気が送られて数秒後、愛花がガクッとうなだれる
「愛花!?」
焔が心配そうに声をかける
「…あれ?か、体が、体が動く。自分の意思で動かせます!」
「何、ほんとか!」
「はい!」
身体の自由が戻って愛花は気持ちを高ぶらせた
「上手く言ったようだな」
「ししょー。ありがとうございます!」
助けてくれたことに愛花は心から礼を言う
「さて……待たせたな。覚悟しろ下郎、今度は貴様の番だ」
圧をかけた眼光で神威を睨みつける
「うふふ、言ってくれるわね?私に勝てるとでも?」
「さぁな、やってみればわかることだ」
互いに受け答えをしながら出方を伺う
だがその時だった
「光牙、ここは私に任せろ!」
「焔?」
先陣を切って焔が神威に仕掛ける
「おらぁぁぁっ!食らいやがれこの下種外道!!」
突進の勢いを乗せ、焔が二爪一刀で神威に仕掛ける
焔が迫りくる中、神威が彼女のほうに手をかざす
「綱龍!」グイッ
「な…うぐっ!?」ピタッ!
「焔!?」
直後、具現化した竜を模した縄が焔を絡めとる
「か、体が…うご、かない!?」
身体の自由が利かないことを焔は訴える
「は、離せ!この!」
「そんなに離してほしいならしてあげる…ほらっ!」
「なっ!うわぁっ!?」
次の瞬間、神威は拘束していた焔を窓のほうに向かって投げ飛ばす
「がはっ!?」
強化ガラスの窓に全身を打ち付けられ、力なく床に落下し、倒れこむ
「焔!」
「焔お姉さん!」
叩きつけられて、倒れた焔に光牙と愛花が身を案じるように声をあげる
「焔を……貴様!」
こぶしをギュッと握りしめながら光牙は目の前に立ちこちらの様子を窺っているマ神威に眼光を向ける
「まぁ怖い顔ね…それにしてもあなたやおまけのこの子ががここに来たということは火歌を退けたということかしら?」
「あぁ、ここに来る邪魔をしてきたからな、倒させてもらった。それに道中で邪魔をしてきた残りの2人も俺たちの仲間が相手をしてくれているはずだ」
「ふ~ん…」
「っ?」
話を聞いた神威が不意に目を閉じる
じっと目を閉じ、集中している様子の彼女が数秒後目を開く
「あらま、どうやら火歌のみならず風邪たちもやられちゃったようね?」
「(こいつ、感知タイプか?)」
風邪と速水がやられたということは経緯は定かではないが詠たちが倒したということを知ることができた
「しかしそっか…やられちゃったんだ。まったく…どいつもこいつも使えない子たちね」
呆れた様子を見せ、部下たちへ悪態をつきながらがっかりしているようだった
「まぁいいわ。最初から私一人いれば十分だったしね」
「やはりな、それがお前の本性だったか、思った通りのペテン師だったな」
山土たちは彼女を救いの神だのなんだのと崇拝していたが
彼女自身はそんな彼らをただ甘い言葉で利用しているに過ぎなかった
今しがた彼女自身の口からそう告げられたのが何よりの証拠だから
「今度は俺が相手だ。覚悟しろ!」
次の瞬間、光牙が勢いよく飛び出し神威に仕掛ける
「ふっ!」
「綱龍!!」
対する神威が先ほど焔に使ったのと同じ技を使い光牙に仕掛ける
「はあっ!!」
ジャキィィィィィン!!
しかし先ほど見た技に光牙がかかるわけもなく
矢の刃の斬撃によって縄を粉々に切り裂いた
妨害を無力化した光牙がそのまま突っ込む
「はあっ!!」
ガキィィィィン!!
刹那、鈍い音が室内に響く
室内がしんと静まりかえる
「……っ!?」
だがその最中、光牙は驚いたような顔を浮かべる
なぜなら光牙の刃は彼女を捉えてはおらず、攻撃は阻まれていたのだ
光牙の攻撃を阻んだもの、それは鉱物化した神威の右手だった
「うふっ…はあっ!!」
「ぬあっ!?」
驚きの顔を浮かべている隙を突いて神威が光牙を弾き飛ばす
吹き飛ばされる光牙だったがすぐに受け身を取り、着地する
ボシュゥゥゥゥン!
「…っ!?」
しかしその直後タイミングを見計らったように土の塊が飛んできて光牙に命中する
光牙はそのまま後方の壁際に激突するとともに壁に密着した土によって動きを封じられた
「ししょー!」
これを見た愛花は光牙を助けようとするも敵を前に視線を逸らすという凡ミスを犯してしまう
ボシュゥゥゥゥン!
「きゃあっ!?」
直後、先ほどと同じ土の弾丸の直撃を受け、愛花も光牙同様に壁に叩きつけられ、粘着した土によって拘束されてしまった
「ぐっ、ぬぅぅぅ!?」
「うご、けません…!?」
土塊をなんとかしようにもびくともしない
完全に動きを封じられてしまった
「…どういうことだ?」
動きを封じられながらに光牙は疑問を浮かべていた
これに似た技を使うものに光牙には覚えがあった
自身の身体を石化させるあの技は地竜の力を使っていた山土が使っていたものだった
「貴様がなぜあの男と同じ技を使っている?地の竜を宿していたのはあの男だったはず?」
「さぁ、どういうことかしらね?」
光牙の質問をはぐらかしたように答える神威に腹が立つ思いだった
「奪ったからです」
「っ?」
するとその最中、愛花が光牙が疑問に思っていることの真意を語る
「奪ったとはどういうことだ愛花?」
「私見たんです。あの人が力を奪い取るところを」
「なに?」
愛花から内容を聞かされた光牙は驚きを見せ、神威のほうを見る
「貴様、愛花の言っていることは本当か?」
「えぇ、その子の言うとおりこれは山土が宿していた地竜の力。今は彼から抜き取ったから私の力一部になってるけどね」
光牙の問いに神威は悪びれる様子もなく応える
「ししょー。これがこの人の本性なんです。私や他の方たちを助けたいとか言っておいて本当はそんなこと微塵も思ってないんです!」
神威と呼ばれ山土たちに崇拝されてはいるがその実態は彼らのことをただの道具としか思っていない冷酷な人物なのだと愛花は光牙に告げる
「…やはりとんだペテン師野郎ということか。答えろ、貴様の目的はなんだ?なぜ竜を宿す者たちを集める?」
「ふっ、そんなに知りたいなら見せてあげるわ。少々予定が狂ってしまったけど結果的に欲しかったピースは揃ったもの」
そういうと神威は精神を集中させ始める
突然のことになにをするのかと光牙たちが様子を伺っていた時だった
集中を終えた神威が行動を起こす
「はっ!」
手始めに神威が勢いよく手を床に叩きつけたその直後だった
ギュイイイイイィィィィィイン!!
「「っ!?」」
神威を中心に円が浮かび上がる
さらにはその円はこの部屋に留まらず外にまで拡大する
「な、なんですのこれ?」
「いっ、いったいなにが起きてるの?」
別行動になっていた詠たちもこの異変に気づき、驚いていた
するとその時だった
戦いに敗れ、倒れた火歌たち3人の体に異変が起こる
痙攣したかのように体を震わせながら不気味な動きを見せていたその直後だった
3人の体から何やら靄のようなものが湧き出てくる
発生した靄は一瞬竜の姿を模様すと、引き寄せられるようにビルの最上階へと飛んでいった
「う…ううん…私は、気を失っていたのか…そうだ。状況はどうなっている?」
意識を取り戻した焔が状況を確認する
「な、なんだこれエは!?」
気が付くとあたり一面が不気味に光っている光景が広がっている
困惑する焔にさらに驚愕の光景が目に映る
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ぐ、ぐぅぅぅぅぅ!?」
「はっ!?」
焔の視界に映ったのは見動きを封じられ、悲痛の叫びをあげる光牙と愛花の姿だった…