激化を辿る神威との戦い
光牙たちは彼女に挑むも不意を突かれて拘束されてしまう
2人を拘束した神威は自身の野望を叶えるため術を発動させ、ビルを覆いつくすほどの円陣を出現させる
術が発動したことで竜を宿す者たちから竜が次々と抜き取られ、神威の元に集まっていく
それは光牙も愛花も例外ではなく竜を抜き取られそうになる
しかしこの危機を打開するため焔が起こした行動により事なきを得る
反動で炎上したビルから逃げようとする光牙たちだったが
折ってきた神威が立ちはだかるとともに集めた竜を統合させ、禁断の存在たる闇の竜を顕現させる
闇の竜を自らに宿し、凄まじい力を得た神威には焔も愛花も歯が立たず
さらには光牙もまた彼女によって一撃をもらってしまうのだった
ポタッ…ポタッ…
ビルの屋上のアスファルトに滴るのは真っ赤に染まった腹部からこぼれ落ちる鮮血
神威によって腹部を貫かれた光牙のものだった
「うっ…ぐぅぅ!?」
身体に走る激痛によって光牙は数本後ろに下がると共にその場に跪く
「惜しかったわね。さすがの私も少しヒヤヒヤしたわよ」
「くっ…貴様…」
痛む腹部を押さえながら光牙が神威を睨みつける
「そ、そんな、ししょーの聖剣による一撃を」汗
「まずいぞあれ!?」
2人の様子を見ていた焔と愛花が危惧する
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…ぐぅ…」
「辛そうね…安心しなさい、今すぐ私が楽にしてあげるわ」
そういうと共に追撃を仕掛ける
「た、【タイムストリーム!】」
直前、光牙が時を逆巻く技を発動させる
世界の時間が止まり、そのすぐ後に時間が巻き戻りだす
光牙はこれを使って風穴を開けられる前に時間を巻き戻そうとした
しかしその時だった
〖「……ふっ!!」
「なにっ!?」
「はあっ!」
「ぐぅっ!?」
時間を逆巻いている最中、時間の世界に神威が干渉し、光牙に攻撃を繰り出す
避ける術を持てなかった光牙は彼女の攻撃を受け、さらには術が中断され、世界も元に戻ってしまった
「な…なぜ、だ?」
「忘れたのかしら?闇の竜を生み出す際にあなたの竜の力を使ったのよ。故に時を戻すあなたの力にも干渉できるのは当然じゃない」
「はぁ…はぁ…、ぐぅぅ~…」
神威の言うことはもっともだった
闇の竜を復活させるために神威は6体すべての竜の力を吸収している
故に光の竜の時の干渉も自身を影響の外にすることはさほど難しいことではない
その考えに至らなかったことが今の状況になっていることを光牙は痛感していた
「な、何が起こったんだ今?」
「まさか、ししょーの技が破られて!?」
一瞬の出来事で事態が飲み込めず困惑する焔に愛花が事を察したように説明する
「ともかく今はそんなことよりも光牙が危ない!」
「そうですね。ししょーを助けましょう!」
「あぁ、行くぞ愛花!」
「はい!」
光牙の危機を目にし、2人は再び神威に仕掛ける
「「はっ!」」
「…っ、無駄なことを」
向かってくる2人を一瞥するなり嘲笑したような笑みをこぼす
装甲している間に焔と愛花が神威を挟み撃ちにする
「くらえぇぇぇぇぇ!!」
「やあぁぁぁぁぁぁ!!」
同時に技を繰り出し、攻撃を仕掛ける
「いくらへなちょこな攻撃だとしても、私の身体に無粋に触れるなんて許さないわよ!!」
ゴォォォォォォォ!!
「うっ、うわっ!?」
「きゃあっ!?」
攻撃が当たる直前、神威が闇の竜の力を発動させ、自身を中心に衝撃波を発生させる
あと一歩のところで焔と愛花は衝撃波によって吹き飛ばされる
衝撃波の威力はすさまじく、すぐに動くことができないといった様子だった
すると神威は視線を愛花のほうに向け、彼女に歩み寄る
「まずはあなたから消してあげるわね」
「っ!?」
「よ、よせ!」
「愛花に手を出すな!」
愛花の危機を目の当たりにした光牙と焔が神威を静止する
しかし当然神威は聞く耳を持たず、愛花を仕留めようとする
まずいと2人が思ったその時だった
ビュゥゥゥゥゥン!
「「「っ!?」」」
「ん?」
ビルの下のほうから突然飛び上がってきたのは一台の飛行機
飛行機にはその上に跨る見知った人影が
「未来!」
「未来さん!」
その人物の正体は未来だった
「くらえぇぇぇぇぇ!!」
バババババババババ!!
直後、未来が飛行機の機関銃の銃口から神威めがけて無数の弾丸を乱射させる
「ふん…はっ!」
神威が片手でダークホールを生成すると弾丸はその中に吸い込まれてしまった
「子供だましね?」
弾丸をすべて飲みこむと神威はそれを解除する
「鬱陶しいハエは消えなさい!」
同時に自分をハチの巣にしようとした未来に報復の気弾を放つ
「うそっ!うわっ!?」ボバァァン!
間一髪のところで飛行機を乗り捨てて地に着地する
気弾の当たった飛行機が爆発四散し、破片があたりに散らばる
「焔さん!」
「っ?」
唖然としていると自分を呼ぶ声にハッとなり、焔が振り返るとそこにはいつの間にかこの場に駆け付けていた詠がいた
「大丈夫ですか!」
「詠」
「わしもおるで」
「日影!」
さらにはその後に日影もやってきた
「光牙くん!」
「は、春花」
さらに光牙の元には春花が駆け付けてくれたことで紅蓮竜隊が一同に会した
「愛花さん!」
「わつ!?」
そんな中、詠が愛花を見るなり勢い良く抱きしめた
「すみません愛花さん、わたくしが不甲斐ないばかりにあなたを」
「よ、詠お姉さん…そんな顔しないでください。大丈夫です、ししょーや詠お姉さんが助けに来てくれたんですから」
「…ありがとうございます」
自責の念に駆られていた詠に愛花が慰めの言葉をささやいた
彼女の言葉で詠はどこか救われた気持ちになれた
「えらい場面に来てしまったみたいやな?なんや空気が張りつめてる感じがするわ」
日影がぼそりと到着した面々が思っているであろう気持ちを代弁した
「あれはいったい何なのですか?」
「詳しく説明している暇はないんだ。ともかく私たちがやらなきゃいけないのは何が何でも奴を倒すことだ」
事態があまり飲み込めていないが、焔の言葉を聞いて途中参加した面々もすべきことを理解した
「よしやるぞみんな、ここからが第二ラウンドだ!」
「はい!」
「ほーい」
「今度こそ!」
息を吹き返した焔に続くように詠、日影、愛花が戦闘態勢に入る
「行くぞ、うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「「「っ!」」」
焔の言葉を合図に詠たちも一斉に飛び出す
「あたしもやってやるわ!」
勢いに乗るように未来も加わる
「ふん、烏合の衆ね…いいわ、全員まとめて蹴散らしてあげる」
そうして焔たち5人が神威とぶつかった
5対1という流れになりながらもマスターはそのハンディをもろともせず
むしろその力を駆使して5人を追い込んでいた
「こうしてはいられない、俺も、ぐぅっ…」
「光牙くん、ダメよ。今動くと余計に傷が」
神威と交戦する焔たちを見て光牙も加わろうとするも春花が手負いの体で無理はしないようにと促す
「…春花、鎮痛剤はあるか?」
「えっ?」
「頼む、こんなところで倒れているわけにはいかない。奴を倒さなければ大変なことになるのは明らかだ。だからなんとしても奴をここで仕留める…うぅ…」
傷ついた体に鞭打つことになるとしてもやらなければならないのだと光牙は春花に思いを伝える
「…はぁ、まったくあなたって人はしょうがないんだから…光牙くん、はいこれ」
光牙の熱意に根負けした春花が傀儡が羽織っている白衣の中から鎮痛剤入りの試験管を取り出しこれを渡す
「恩に着る……ぷはっ!」
薬を受け取った光牙はそれを一気に飲み干した
直後、先程まで感じていた痛みが消えたのを感じた
「…よし!」
効果を実感した光牙は立ち上がる
「っ…はっ!!」
気を落ち着かせるや光牙は身構えるとともに焔たちに加勢するために駆け出した
その時、神威が戦闘の最中に光牙の気配を感じ取り、彼のほうに視線を向ける
「はあぁぁっ!!」
「っ!」
次の瞬間、光牙が聖剣たる手刀を振り下ろし、神威もそれをガードする形で鍔迫り合い状態に発展する
「待たせたな!傷の借りを返させてもらうぞ!」
「ふっ、ふふふ。あなたも懲りないわね!」
「黙れ、貴様は何としてもこの場で倒す!」
「面白いわね。いくら雑魚が他党を組もうとも所詮は無駄な足掻きよ!」
互いに言葉を投げかけたそのすぐ後に神威が渾身の力で光牙を押し飛ばした
「大丈夫光牙くん?」
「問題ない……聞けおまえたち!」
「「「「「っ!」」」」」
光牙が隣にいる春花もを含めた全員に声をかける
「こいつは手強い、だがだからといってこのままこいつを野放しにすれば大変なことになるだろう。紅蓮竜隊の全政略を待ってこいつを倒す!」
「「「「「「っ!!」」」」」」
その指示を聞いた瞬間、紅蓮竜隊全員が一斉に身構える
「あら、全員揃って怖い顔してるわね」
自分を倒すという意思の元に気合いに満ちあふれている光牙たちを見て神威はくすりと綿う
「「「やあぁぁぁぁ!!」」」
「いねや!!」
次の瞬間、紅蓮竜隊が行動を起こす
焔、詠、愛花、日影の4人が先手を斬って仕掛けてきた
対する神威は向かってくる彼女たちの攻撃をかわす、いなすなどをしながら対処していく
「くらえっ!!」
バババババババババ!!
続けざまに未来が銃を展開し、掃射を仕掛ける
先の焔たちを相手にしていた神威は避けることがままならないため、止む終えず翼でそれを防いだ
「まだまだ!銃身が壊れるまで撃ち尽くしてやるわ!」
限界まで乱射を行い、神威の動きを封じようとしていた
「プチプチと……うっとおしいわね!」
「未来!避けろ!?」
「っ!?」
神威が反撃の闇の槍を投げつける
攻撃をよう促す焔だが、攻撃に集中していた反動で未来にそれをかわす術はなかった
ドバァァァァン!!
直後、着弾による爆発が巻き起こる
爆煙が晴れた先には力尽きその場に倒れる未来の姿が
「未来…怯むな!攻め込め!未来の頑張りを無碍にするな!」
「分かってる!!」
やられた未来のためにもと全員が今以上に気合いを入れ、攻め込む
「愚かね。鼓舞すればどうとでもなるとでも思っているのかしら!」
神威がそう言い放つとともに動きだす
翼を使って宙を飛びながら素早く焔たちに迫りくる
最中、神威がターゲットに決めたのは詠と日影だった
「ふん!」ガシッ!
「きゃっ!?」
「ぬあっ!?」
「読、日影!?」
あっという間に神威の両手に首を抑えられてしまう
必死にもがき、足掻く2人
「無駄だって言ってるでしょ!」
バリリリリリリリリ!!
「「~~~っ!?!?」」
藻掻く2人に神威が手の先から闇の電撃を放射させ、それによって感電した2人が声も上げることもできず黒焦げにされてしまった
「…ふん」バッ
雷で黒焦げになった詠と日影をまるで汚いものでも見るかのようにポイ捨てした
「よくも未来のみならず詠ちゃんと日影ちゃんをやったわね。おしおきよ!!」
すると神威の頭上から春花が報復の試験管爆弾を投下させる
試験管が割れる度に中に入った液体が空気に触れるとともに大爆発を起こす
「どう?少しは効いたかしら?」
色とりどりの煙が舞う中、春花がその中にいる神威に皮肉を込めて呟く
モクモクと煙が立ち込めている
ビュゥゥゥゥゥン!
「っ!?」
「あっ!?」
「う…がはっ!?」
しかしその直後、煙の中から放たれた光線が春花を貫いた
光線が貫通した春花はその場に倒れる
悔しむ顔を向けながら光線が飛んできた方に視線を向ける
「…とんだ茶番ね」
春花を光線で射貫いたのはもちろん神威だった
先ほどの攻撃によるダメージはほとんどなく、無傷のようだった
「…おのれ、おのれおのれーー!!」
立て続けに仲間をやられ、焔の堪忍袋の緒が切れた
「っ!!」
それは愛花も同じ様で2人そろって神威に向かっていく
「鬱陶しいって言ってるのが分からないのかしら!!」
一瞬身を覆わせるとともにその両翼を勢いよく広げる
次の瞬間、黒き真空波が焔たちに襲い掛かる
「な、なにっ!?」
「っ!?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!?」
急の反撃を前に逃げることもできず、焔も愛花も吹き飛ばされてしまった
「…これで残るはあなただけになってしまったようね?」
「くっ…許さん、許さんぞぉぉぉぉぉ!!」
仲間たちの無念を背負い、光牙は神威に向かっていく
「ふっ、ふふふ。無駄無駄…何もかもがもう無駄なのよ!」
そういうと神威は両手にエネルギーを集約させ、闇の力でできた球体を生み出す
生み出された球体はどんどん大きくなっていく
「くらいなさい!!」
十二分まで大きくなったそれを神威が光牙めがけて飛ばす
「っ!?」
自分めがけて飛んできた球体を前に光牙は足を止める
「負けるか!クラウ…っ!」
光牙も対抗して右手の手刀に力を込める
その間にも球体は押し寄せる
「…ソラス!!」
寸前まで来た球体に向かって光牙が聖剣の手刀を突き出す
「ぐっ、ぐぅぅぅぅぅぅ!!」
必死に踏ん張り、光牙が抵抗を見せる
「よく頑張ったと褒めてあげるわ…でも、これで終わりよ」
すると神威が球体に向けて力を込める
これに好悪するように球体がさらに力を増し、光牙の力では防げなくなっていった
尚も、食らいつこうとする光牙
「消えなさい……はああっ!!」
ギュイーン!!
「~~~~~ーーーーーっ!!??」
しかし現実は残酷であり、神威が再度力を込めた瞬間、球体のエネルギーが暴発し、辺り一面を悪しき輝きが包み込むのだった