女性が目を覚ましたことに安堵したのもつかの間
紫苑が名を尋ねようとすると突然泣きながら発狂し
勢いよく抱きしめられたことで紫苑は彼女の豊満なそれに顔を埋められてしまっていた
「お願いよ紫苑、思い出して!貴方に他人のように扱われるなんて私には耐えられないわ―っ!?」
ギャンギャンわめきながら女性が紫苑をさらに強く抱きしめる
「(く、苦しい!?こ、このままでは息が…――っ!?)」ジタバタ
早くしないと窒息死してしまうという危機感から紫苑必死に藻掻く
「~~ぷはっ…すぅ~~~はぁ~~!?」
そしてなんとか豊満なそれから顔を出すことに成功し、これ見よがしに空気を吸う
「(な、なんとか助かった~…さ、さて。ともかくこの状況を何とかしなければ!?)」
呼吸を整え、落ち着きを取り戻した紫苑はこの状況を打開するために策を巡らせていた
「お、落ち着いてください!ほ、ほら誰しもうっかり物忘れしてしまうなんてことがあるじゃないですか?それに暫く会ってなかったから名前を久しぶりに聞きたいからってこともあるものですから!」
なんとか女性を落ち着かせるために必死にそれっぽいことを並べ立てるようにして紫苑が語りかかける
「……っ」
「――っ?」アセアセ
不安を抱きながらも紫苑はピタリと泣き止んだ彼女の顔を覗き込む
「な~ぁんだ。そういうことだったの?そう言うことなら最初から言ってちょうだい、もうまったく私の天使ちゃんは本当にお茶目さんなんだから~♪でもいくらそうだとしてもうっかり忘れるなんてママは悲しいんだからね?」
「は…ははは……す、すみません」
どうやら何とかなった様子であることに紫苑は心の中でホッと胸をなでおろした
「それで私の名前だったわよね?」
「は、はい」
「私は
女性は名乗る。自分の名は
「
名を聞いて紫苑が復唱するように彼女の名を呼ぶ
「…ちがうでしょ?」
「えっ?」
「――っ!」パン!
「むぎゅ!?」
すると突然
「な、なにするんでふか!?」アセアセ
いきなりのことで紫苑は驚きながら
「……さんってなによ?さんって?ママに対してどうしてそんな他人行儀に呼ぶのかしら?ここは呼ぶ時は普通
「ま、ママ!?」
紫苑は自分が初めて女装させられた時に匹敵するくらいほど驚いた
「ほらほら、遠慮しないでママって呼んでみてよ~♪」
「さ、流石に恥ずかしいのでママは勘弁してください”お母さん”!?」
「もういけず~…でもいいわ。またあなたからお母さんって言ってもらえたんだもの♪」
「(ふ~、なんとかなった。助かった~)」
どうにか淡雪も納得してくれたようで紫苑は安心した様子だった
そうして紫苑が淡雪とのやり取りに四苦八苦している頃のこと
「紫苑、遅いですね?」
「確かに、あれからもう暫くは経ちますよ?」
「どこに行っちゃったんだろ~?」
皆、あれ以降部屋を飛び出してから帰ってこない紫苑のことが気掛かりになってしまっていた
「今日はちょっとからかいすぎちゃったかもしれないかな~?」
「仕方がなかったこととはいえ我らも少しは反省すべきということだろうな」
紫苑が帰ってこないことに若干の罪悪感が部屋の空気に漂う気がした
「…私、紫苑を探してきます」
ここで雪泉が我慢の限界を迎えたのか紫苑を探しに出ると言い出した
「待て待て雪泉、どこにいるかもわからないのに1人で探しに行くのは無策と言うものじゃ」
「うんうん、夜桜ちゃんの言う通りだよ雪泉ちゃん」
「で、ですが」アセアセ
それをみんなから止められてしまい、雪泉は困ったような顔を浮かべる
「こういう時こそ”みんな”で一緒に探しに行けばいいんだよ」
「そうですよ雪泉。わしらも気持ちは同じなんですから」
「ともに紫苑を探しに行こう」
「…み、みさなん」
しかし皆から帰ってきたのは協力の申し出であり、それを聞いた雪泉はその気持ちに感銘を覚える
「よーし、そうと決まればみんなで紫苑ちんを探しに行くぞ―っ!」
「「「「おー!!」」」」
四季の号令の下、雪泉たちは紫苑を探しに忍部屋から出ていくのだった
一方その頃、雪泉達が自分を探しに出ている事などつい知らない紫苑はというと
「うふふ♪」ニッコリ
「あ、あの…お母さん?」
「な~に私の天使ちゃん?」
「だから天使ちゃんはやめてください///」
あれから
だが、当の紫苑からしたら”自称母親”である
更には天使ちゃんなどと言われてしまってるが故にこっ恥ずかしくてたまらなかった
「しおーん!」
「「――っ?」」
その最中、自身を呼ぶ声に紫苑とつられる形で
2人の振り返った先には雪泉がいた
「雪泉…っ」フリフリ
雪泉に気付くなり紫苑は先のこともあってか少し複雑な感情ではあったが軽く手を振って呼びかけに答える
「……っ?」ピクッ
紫苑と雪泉の様子を見ていた
「もう探しましたよ紫苑、いくら私たちがほんの少し悪かったとはいえ急に居なくなられてはみんな心配しちゃいますからね」
「ほんの少しって……でもまぁ確かに僕もムキになってしまったかもしれない、悪かったよ」
一部雪泉の発言に思うところはあれど紫苑は心配をさせてしまった事に対して素直に謝罪をする
「…紫苑、あなた彼女とはどういう関係なの?」
すると
「あぁ、彼女は雪泉と言いまして共に幼き頃より”黒影様”という方と一緒に暮らしていたんです」
「――…黒影の、もとにっ!?」
紫苑が雪泉を紹介するも
「ところで紫苑、そちらの方はいったいどちら様でしょうか?」
会話の途中、雪泉は紫苑の隣にいる
「あぁ、えっとねこの人は…――っ!?」ピクッ
突如、その
「そう、そうだったのね…よくも、よくもよくもよくも――っ!!」
「えっ!?えぇっ!?」
「――っ!?」