紫苑を救出するべく淡雪《あわゆき》に戦いを挑む雪泉たちだったが
圧倒的な力を振るう淡雪《あわゆき》に全員が成す術もなく敗れてしまった
淡雪《あわゆき》の周囲には彼女にやられてしまった雪泉たちが転がっていた
「まったく、実力差も推し量れずに挑むからこうなるのよ。そんなあなたたちに私の天使ちゃんを渡してたまるものですか」
呆れた様子で淡雪《あわゆき》が雪泉たちに冷たい言葉を投げかける
「ふぅ……さてと、邪魔者達も掃除し終えた事だしそろそろ紫苑を連れて帰りま……っ?」
雪泉たちを倒したことで淡雪《あわゆき》はこれで紫苑を独占できることにウキウキとしていたが
不意に視線を向けた先を見てその喜びが消え去る
「ぐっ!?ぬぅうううううう!!」グググウ!
「――っ!?」
彼女が見たのは動きを封じられていた紫苑が重力の術の影響下にあるにも関わらず強引に立ち上がろうとしている姿だった
「なっ、何をしているの!?やめて、まだ術を解いてないのよ。そんな強引に起きようとすればあなたの身が!?」
「う、うるさい!」
「し、紫苑っ?」アセアセ
このままでは危険だと淡雪《あわゆき》は必死に止めようとするも
紫苑は淡雪《あわゆき》に対し、怒りを孕んだ声を放つ
「――…っ!」ギロリ!
「――っ!?」
強引に立ち上がると共に紫苑は淡雪《あわゆき》に睨みを利かせ
そんな紫苑の顔を見た淡雪《あわゆき》は体に寒いものを感じる
「ゆっ、許さない……雪泉を、みんなを傷付けたお前を!僕は、許さなぁああああい!!」ゴォオオオオ!
怒りに震え、声を上げる紫苑の気迫は凄まじいものだった
ピキッ、ピキキ…バリィイイイン!!
次の瞬間、紫苑の力に耐え切れなくなった重力の術が消し飛んだ
淡雪《あわゆき》もこの事態に困惑していた
「忍、霊子転身!!」
完全に体の自由を取り戻した紫苑はすかさず巻物を手にし、力を解放する
「――っ!!」ブォン!
直前に発生した溢れでるエネルギーの渦を掻き消すようにしてその中から強化形態へと変身を遂げた紫苑がいた
「そっ、その姿はいったい?」アセアセ
自分の知らない姿を目にした淡雪《あわゆき》はとても動揺していた
「この力でお前を倒し、みんなの敵を取る!」
そう言い放つと紫苑は力を高まらせ、即座に身構える
「超・秘伝忍法!【
ビィイイイイイイイ!!
次の瞬間、紫苑は自身の周囲に風、土、火の三つの元素の陣を発生させ、そこから抽出したエネルギーによる光波を放った
「――っ!?」ズザァアア!
淡雪《あわゆき》は咄嗟に防御系統の術を発生させ、直接による着弾を防ぐ
だが、凄まじいエネルギーと衝撃により、防御体制のまま数メートル先まで吹き飛ばされる
紫苑は力のあらん限りを放ち、淡雪《あわゆき》を追い込もうとする
「ぐっ、ぐぅぅ!ふぅううん!!」
ビュゴォオオオオ!!
「なっ!?」
「はぁ…はぁ…ひどい、酷いわ…」
「――っ?」
「私の天使ちゃんがママにこんな痛いことするなんて…」
すると唐突に淡雪《あわゆき》が悲し気な声を上げる
「…お痛が過ぎたようね?少ししつけが必要のようね!」ゴォオオオオ!
「こ、これは!?」
しかしその直後、先ほどまで悲しそうにしていた淡雪《あわゆき》が憤怒の表情を浮かべる
それに好悪するように彼女から漏れ出した力に紫苑は体に震えを感じる
「ふっ、はぁああ!!」ビリリリリリ!!
次の瞬間、淡雪《あわゆき》は手から電撃を放つ
「く、クリア・ウォール!!」ギュィイイン!
紫苑は動揺しつつもすかさず防壁を展開し、それをガードする
「無駄よ。その程度では――っ!」グゴゴゴゴゴゴ!!
淡雪《あわゆき》はすかさず次なる手に出る
自身の周囲に無から鉱石を生成させる
「【金剛弾】!!」
周囲に展開させた鉱石たちを淡雪《あわゆき》が一斉に掃射する
この世で最も硬いとされる金剛石の弾丸が紫苑のクリア・ウォールに激突する度にピキピキとひび割れる音が鳴る
バリィイイイン!!
「――っ!?」
攻撃を受け続けたクリア・ウォールはあっという間に砕け散ってしまった
「くぅっ…――っ!!」ビュゥゥゥン!
だが、盾を失った直後、紫苑は空へと跳躍し、ある程度の高度まで上昇する
紫苑は中へと舞い上がると両手を上にかざす
周囲に溢れている大気を両手で挟み込んで圧縮する
「絶・秘伝忍法【
完成した天然の真空爆弾を紫苑は淡雪《あわゆき》めがけて投げ飛ばした
音速の速度で落下する真空爆弾が勢いよく淡雪《あわゆき》に突っ込んでいった
キュピン!ドドドォォオオオオオン!!
着弾とともに真空爆弾が爆発し、凄まじい衝撃と爆風が周囲に広がっていった
「…っ」
紫苑は爆発が収まるとじっと真下に視線を集中させ、状況の確認を行った
軈て煙も晴れていき、下の様子が明らかになる
「…――あれはっ!?」
その時だった。紫苑はあるものを視界に捉える
煙が消え去ったその場所にはクレーターが出来上がっており、その上に直前に防御壁を張ったと思われる淡雪《あわゆき》が佇んでいた
「そっ、そんな!?」
大技を放ったにも関わらずそれを防いでしまった淡雪《あわゆき》に紫苑は驚愕の表情を浮かべる
ピキキキッ…バリィイイイン!!
「……防御壁が」
だが、淡雪《あわゆき》のほうもノーダメージという訳ではなく
流石に大技の威力によって淡雪《あわゆき》の防御壁も砕け散ってしまった
「――それならっ!」
守りを崩したと知るや紫苑はこれを好機と捉えた
すかさず人差し指を天にかざすと上空に黒雲が発生していく
「降り注げ【
雨を発生させるとともに能力を使い、雨粒を針状の鋭利なものに変化させ、淡雪《あわゆき》めがけて一斉に放つ
「そんなもので私はやれはしないわよ!」
自分に向かって飛んでくる雨に対し、淡雪《あわゆき》はすかさず印を結ぶ
鋭き水滴が淡雪《あわゆき》の目前にまで迫る
「――っ!」ギュィン!
次の瞬間、目前まで水滴が押し寄せた時だった淡雪《あわゆき》がすかさず手を翳す
ゴボボボッ!
「なにっ!?」
刹那、水滴たちが淡雪《あわゆき》の手のひらに吸い込まれていく
降り注ぐ水滴たちを吸収する度にそれが巨大な水玉へと変わっていき、最後の一滴まで吸い込んでしまった
「そっ、そんな!?」
自分の放った攻撃を全て吸収されてしまったことに紫苑は絶句する
「お返しよ――っ!!」
すると淡雪《あわゆき》が吸収した水玉を自身の技に変えて紫苑に向かって放ってきた
「――っ!?」
迫り来る攻撃を前に紫苑は驚愕するのだった