今だに紫に怖がられてしまっている現状がどうにもやるせない気持ちを抱く蒼馬はどうにかできないものかと考えていた
1人椅子に座しながら本を読んでいた。タイトルは「猿でもわかるコミュニケーション術!」なるものだった
「ふ~む」ペラペラ
どうすれば紫の警戒心を解き、仲間として意識してもらえるのかと方法を模索していく
「蒼馬く~ん♪また参考書読んでるの~?」
「ん?…あぁ。まぁな」
するとそこへ様子を見に来た両備と両奈がやってきた
「「猿でもわかるコミュニケーション術」そっか~、これを読んで紫ちゃんと仲良くなろうとしてるんだね。えらいえらい♪」
「あっ、あぁ。ありがとう」
自分を褒める両奈に少し戸惑いつつも感謝を述べる
「相変わらず不器用ね。そんな参考書ばっかり読んでばかりじゃなくて少しは自分で考えて行動したら?」
「こういう参考書もあるんだが?」
BY「気になる異性を落とす必勝法術」
「なになに…ふむふむ。これをこうして、それで」ペラペラ
『…えらく熱心に読んでんじゃねぇか!?』
「きっとあれだよ。両備ちゃん佐介くんを喜ばせる術を見つけようとしてるんだよ」
「ちょ、両奈!何言ってんのよ!べ、別に両備はあんな奴の事なんて全然考えてないんだからね!ただこの雑誌に写ってる女も生意気にでかいものぶら下げてるからちょっと見てみただけよ!」
ツンデレ感を漂わせる両備の言い分ににやっとした顔を浮かべる蒼馬たちにまるで狂犬のような顔を浮かべる両備だった
『なぁアオ、そう難しく考える必要ないんじゃねぇか?…大丈夫だって、こういうのは時間が解決してくれるもんだって』ドヤァ
「俺がここに来た頃からずっとあぁなんだが?」ギロッ
『あっ、いや~ははは……すんません』
から弾みなことを言ってしまったことを相馬は素直に佗びた
そんなこんなで蒼馬の視線が紫に向けられる
紫の方はブツブツと愛用のぬいぐるみであるべべたんと話しをしているようだった
聞き取れる内容は「早く部屋に帰りたい」とか「べべたん、どうしたらいいかな?」とか「光くん…はぁ、帰ってきてくれないかな~…私がいないと光くんは他の子と仲良くしちゃう……そんないけない光くんを救ってあげられるのは私だけ…」などの台詞を吐いていた
一部意味深いな台詞があったような気もするが……
「蒼馬くん、ここは思い切って声をかけてみるべきだよ。蒼馬くんが誠意をもって話せば紫ちゃんもわかってくれるよ!」
「だが急にそんなことを言われても具体的にどうしたら?」
「普通こう言うのって笑顔とか見せて接すれば大抵はうまくいくもんだけど?」
「笑顔……かぁ」
両備の助言に蒼馬は苦虫を噛んだような顔を浮かべる
「そういえば両奈ちゃん蒼馬くんの笑った顔ってあんまり見てない気がする~。せいぜいはにかむくらいだもん」
「あらそうなの?…でも確かにそうね。両備も見たことないかも…逆に相方のほうはしょっちゅうニヤニヤしてて気持ち悪いし」
『おい、地味に失礼じゃないかな両備さんよ~』
何気にディスりを入れてくる両備に相馬が突っ込みを入れる
「じゃあさ、試しに一回両備たちに笑いかけてみなさいよ?」
「それいいね両備ちゃん!…てなわけでどうかな蒼馬くん?」
「笑うか…よし、やってみるか」
2人からアドバイスされた蒼馬は早速行動に移してみることにした
「…じゃあ、行くぞ?」
「いいわよ」
「準備OK~♪」
「ふぅ…」ニッコリ
ゆっくりと深呼吸をし、いざというかのように蒼馬は笑みを見せた
「ひぃっ!?」ガクガクブルブル
「は、はうぅぅ~ん♪」
「…えっ?」
しかし帰ってきたのは予想外の反応だった
「ど、どうした2人とも?」
「いや、どうしたじゃないわよ!?何よその顔!?めっちゃ怖いわよ!?」
「何って…笑っただけなんだが?」
「いい!いいよ蒼馬くんその顔!両奈ちゃん、その顔で見られた瞬間、ビリビリ来ちゃったよ~♪鋭い視線を見せつけられるだけで興奮が収まらない~♪」
なぜこんなことになっているのだと蒼馬は内心穏やかではなかった。笑顔を見せたはずなのに結果はごらんの有様
『ちょい大げさじゃねぇかな?…なぁアオ、試しに俺にも笑いかけてくれよ?』
「あっ、あぁ……」ニッコリ
だらしないなと言いたげな視線を送りながら試しに自分にも笑いかけてみるようにいう相馬に蒼馬は言われたとおり笑みを見せる
『……ぴ』
「ぴ?」
『ぴゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?』ビビリ~ン
「っ!?」
両備たちを小馬鹿にしていた相馬が一番オーバー過ぎなほどのリアクションを見せていた
「…そ、そんなにか?」
『な、何それ!嫌だそれ!怖いんですけど!?』
「……」ションボリ
ただ笑みを浮かべただけだというのに両備と相馬にはビビられ両奈はまるで罵られたかのように喜び身体をくねらせている
「…そんなに、なのか?」プニプニ
両手で両頬を軽く引っ張りながらぶつくさという蒼馬だった
「と、ともかく、笑顔がダメならあとはもう誠意を示すしかないわね」
「え~、両奈ちゃん的にはあの笑顔いいと思うんだけどな~」
「ダメよ!あんなの見せたらあの根暗さらに警戒心強めるわよ」
「あんなのって…」
素で出来たばかりの人の傷をえぐる両備に蒼馬のライフは風前の灯状態だった
「困ったな…言われた通りにしてみたのに帰ってきは反応はあれだし、これでは本末転倒もいいところだ」
「よしよ~し、落ち込まないで蒼馬くん。蒼馬くんの笑顔、両奈ちゃんは大好きだよ~」
「両奈」
「あの鋭い視線と悪意に満ちたような顔。はうぅぅ~ん、思い出しただけでもたまんな~い♪」
「……」
フォローを送ってくれたつもりなのだろうことはわかってはいるもののやはり自分の笑顔は普通の人には受け入れてもらえないのだと諭された感じがしてなんとも苦い思いにされてしまうのだった
なにかほかに手はないか?
蒼馬はあれやこれやと考えるもこれと言ったものが思いつかずじまいだった
そんな時だった
ドガァァァァァァァァン!!!
『「「「「「「っ!?」」」」」」』
突然、どこからともなく爆発音が鳴り響いた
「な、なんだ!?」
「何事よ!?」
「向こうの方から煙が!」
爆発が起こったことで部屋の中は慌ただしくなった
「ともかくまずは状況を確認するのが先決だ。行くぞ!」
『「「「「「おう!」」」」」』
雅緋の後を追うように全員が現場に直行するのだった