芭蕉side
こんにちは芭蕉です
先輩にご指導してもらうことになってから
私は毎日のように光牙先輩にしごかれていました
光牙先輩の指導内容はどれもこれも難易度の高いもので、私は何度もへこたれてしまうこともありました
でも、強くなりたい、そう思い光牙先輩に指導を望んだのは私です
それなのにそれを光牙先輩のせいにしたりやめてしまいたいなんて考えをもつなんて滑稽です
私はそう自分に何度も言い聞かせ光牙先輩の指導のもと修行を行っていきました
その結果…
「今回、お前たちの中でもっとも好成績を収めたのは……芭蕉、お前だ」
「わっ、私ですか?」
先生が言うには私は候補メンバーの中でもトップの成績を収めているとのことでした
「ぐぅ〜、まさか芭蕉に負けるなんて、覚えてらっしゃい!次は抜いてやるんだから!」
総司ちゃんは私が超えるまで1位だったので私に超えられたことが悔しいようでした
「やるじゃない芭蕉ったら、光牙さんとの修行ってすごいのね。私も今度教わってみようかしら?」
千歳ちゃんは私のように光牙先輩にご指導を頼もうかと考えていました
「くぅ〜ん。芭蕉ちゃんずるいです〜、毎日毎日光牙さまに手ほどきを受けてるなんて〜」
「全くじゃ!我を差し置いて邪神様と……許すまじ〜!」
伊吹ちゃんと芦屋ちゃんはなんだか恨めしい目でこっちを見てました
少し怖いです
とまぁ、みんなからも指摘されるほどかつての自分よりははるかに強くなれました
これも全て光牙先輩のおかげです
でも、変化に驚いたのは何も自分のことだけではありませんでした
どういう意味かと言うと私も驚くほどのことがあったからです
初めてそう感じたのは指導を受けて数ヶ月経った日のことでした
「はぁ…はぁ…はぁ…ふぅ…」
私はいつものように光牙先輩から言われた修行プログラムを達成させました
「芭蕉」
「はっ、はい?」
すると光牙先輩から声をかけられ先輩のもとに駆け寄りました
「光牙先輩、なんでしょう?もっ、もしや、まだ至らないところがありましたか?」
きっとミスをしてしまったからおしかりを受けるんだ
そう私が思っていた時、光牙先輩から思わぬ言葉が帰ってきました
「いいや。むしろ逆だ。……お前の頑張りにはいつも感心するよ」
「えっ?」
光牙先輩が私を褒めてくれました
今まで光牙先輩がこんなこと言うのはなかったので私は驚きました
「まだまだいたらぬところはあるが、そこはおいおい伸ばせばいい」
なんだかてれてしまいます~
「そうだ。いつも頑張ってるお前にいいものをやろう、手を出せ」ゴソゴソ
「っ?」スッ
そう言われ私は手をだすと光牙先輩は何かを取り出し、私に渡しました
「先輩、これは?」
それは何かの石でした
しかもそれには紐が付いていました
「これは「念意石」と言う不思議な石で、念じれば一度だけ、念じた相手と意志疎通ができる石だ」
「そ、そんなにすごい石を私に?」
「構わん。お前になら」
「先輩…」
そんなに私のことを信頼してくれてるんですね
嬉しいです
「ふっ。大事に使ってくれ」
「はっ、はい///」ポッ
「さて、今日はここまでにするとしよう。続きはまた今度だ。今日はもう休め」ナデナデ
「はっ、はうぅ~///」
そう言うと光牙先輩は私の頭を撫でて去って行きました
「……」サスサス
私はその場に立ち尽くし、光牙先輩がなでてくれた頭をさすりました
「……えへへ♪」クスリ
光牙先輩にナデナデをされて私はなんだか嬉しさを感じました
それからというもの以前に比べて光牙先輩は前よりも笑みを見せてくれて、以前に比べてとても丸くなったと感じていました
その後も光牙先輩との修行は続き、厳しい時もあるけど、ちゃんとできたらしっかり褒めてくれて、頭をなでてくれて、前よりも光牙先輩といる時間が楽しく感じ
今や私にとって光牙先輩と過ごす時間はとても充実した日々となっていきました
でも、そんな幸せが突然終わりを告げる出来事が起こってしまいました
その出来事とは学園の生徒なら誰もが知っている
蛇女を舞台に繰り広げられたあの半蔵学院との決戦の日です
学園は半蔵学院の強襲に備えて警戒態勢を整えていた
同時に上層部は光牙先輩たち選抜メンバーにも蛇女護衛任務を命じ
光牙先輩もまたそれに伴い、それぞれの持ち場に向かっていった
「光牙先輩!」
「ん?芭蕉か?」
そんな時、私は光牙先輩に声をかけた
「はぁ…はぁ…、まさか、こんな事態になるなんて思いにもよりませんでした」
「…いや、俺はこうなると思っていたさ」
「へっ?」
「半蔵学院の…いや、あいつのことだ。必ず来ると思っていた。それが今日だったというだけのことだ」
そう言うと光牙先輩はこの状況だというのにどこか嬉しそうな顔をしておりました
「さて、俺はいく。またな芭蕉」
「あっ」
光牙先輩が持ち場に行こうとしている
その時、私はなにか妙な胸騒ぎを感じました
今この時。自分の思いを光牙先輩に伝えられるのはここしかないと思った私は光牙先輩に語りかける
「あっ、あの、光牙先輩!」
「ん?なんだ?」
「あの…その…」モジモジ
「?」
頑張って、勇気を出しなさい芭蕉!
先輩に想いをつたえるのよ!
「私、光牙先輩のこt『緊急連絡、緊急連絡。半蔵学院の忍が学園内に侵入してきました』!?」
「来たか…すまない芭蕉。俺は行く!」バッ
「あっ!」
しかし、私は光牙先輩に想いを伝えることができず、光牙先輩は奥の部屋に向かって走って行きました
「芭蕉!」
「っ?」
その時、総司ちゃんたちが私のもとに来ました
「何してるのよ芭蕉、私たちも半蔵学院のやつらを迎え撃ちにいくわよ!」
「むぅ~。あのひばりって子。あんなに春花に可愛がられてたのに裏切るなんて許せない!」プンスカ
「我の実力を半蔵学院のやつらにしらしめてやるぞ」ヌフフ
みんなもやる気十分という感じでした
「はら芭蕉、あんたも来なさい」
「うっうん」
みんなが急いで他のみんなのもとに行こうとかけだし
私もみんなと行こうとした時。ふとあることが脳裏に浮かび、自然と足が止まりました
「どうしたんですか芭蕉ちゃん?」
「「「?」」」
それに気づいた伊吹ちゃんが声をかけ、みんなも私のほうを見た
「ごめん、みんなは他のみんなの応援に行ってて。私、少し用があるから…っ!」バッ
「「「「芭蕉(ちゃん)!?」」」」
みんなの呼ぶ声も聞かず、私は走って行きました
そして場内の抜け道を使って私がついた場所は光牙先輩のいる部屋に通じる通路です
私のいるこの場所を抜けてその先にある階段を登れば光牙先輩のいる部屋にたどり着くことができるのです
「……」
静かに佇みながらひたすら待ち続けました
ある人物が来るのを
…そして、その時はきました
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…!」タタタタタ
前方の方からこちらに向かって走ってくる足音が
「っ!?」
そして足音とともに人影が見え、人影は私に気づくとその足を止めました
「っ、誰ですか?」
人影は私に驚いた表情を向けながら語りかけてきました
「…一つ訪ねます。あなたが「佐介」ですか?」
「えっ?どうして僕の名を?」
「そう、あなたが…」
この人が以前、光牙先輩がおっしゃっていた半蔵学院の凄腕の忍
先輩と互角に渡り合ったという忍ですか
「一応聞きますが、あなたはここに何をしに来たのですか?」
「僕は、僕たちは秘伝忍法書を取り戻しに来たんです。そのためにここにいるんです!」
「なるほど、そういうことですか、しかしどんな理由があろうと私たちの学園を滅茶苦茶にしているあなたたちを許すわけには行きません!」ジャキ
私は武器を構えました
「っ、どいてください!僕たちは秘伝忍法書を取り戻したいだけなんです!」
「ならば私を倒してからにしてください!はぁぁぁぁ!!」
「っ!?」
「はっ!」
シュン!
私は仕込み筆で攻撃していきました
佐介さんはよけるばかりです
「どうしました!反撃の一つもないんですか!!?」
「っ!?」
これだけの攻撃も見事に避けるなんて、光牙先輩が見込んだ人だけあります
「やめてください!これ以上、無益な争いはしたくない!」
「あなたが言っていることはわかります。私も戦いは好きではありません。でも、私とて守りたいもののために戦う覚悟はある!」
それを教えてくれた光牙先輩のためにも負けられない!
「喰らいなさい!墨字忍法!」
私は佐介さんにむけて『固』の墨字を書く
「っ?」
「はぁぁぁぁ!!」
そして私はそれを念の力で佐介さんに飛ばした
「っ!」
佐介さんは防御の姿勢をとりましたが、それはあやまちですよ
ヒュゥゥゥゥ~ン!
ベチャベチャ!
「っ!?」
技がぶつかるとともに佐介さんの体に墨がベッタリとついた
「まだまだですよ!」
私が再び接近する
「っ、……っ!?」
それを回避しようとしてるようですが、どうやら自分の状況に気づいたようです
「こっ、これは…!?」パキキキキ
そう、私の使った「固」の墨字の能力で通常のものよりも硬質化が速まり、佐介さんの動きを封じたのです
「たぁぁぁぁ!!」
ドスッ!
「ぐふっ、うぁぁぁぁぁ!!!」
ドスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!
おおきく振りかぶった筆がぶつかり、そのまま勢いよく佐介さんを投げ飛ばし
佐介さんは壁に激突していきました
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「タフですね。しかしもうあなたに勝ち目はありません。大人しくやられてください!」
止めをさそうと私は突っ込み筆を振りかぶる
「やあぁぁぁぁ!!!」
「ぐっ……うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」ピキキキキキ…バリィィィン
「なっ!?」
「はぁぁぁぁ!!!!!!」
ドスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!
「……がはっ……」ユラ
「……」
ドサッ
「はぁ…はぁ…はぁ…急がなきゃ」バッ!
そ、そんな…まさか、私の封印術を力で破るなんて
これが先輩がライバルと認めた人の力
私なんかじゃ、敵うわけないか…
「-そこだ-ぞ!」
誰だろう?
「-かりして-しょう!?」
誰かが呼んでるような?
「-く-こぼう!」
あぁ…なんだか意識が遠のいていく…
こうして私は完全に意識を失いました
「……っ、うう~ん?」パチパチ
次に私が目を覚ますとそこは通路ではなく医務室でした
「私、どうして?」
訳がわからずぼうっとしていると
「あっ。芭蕉ちゃんが目を覚ましたみたいですよ!」
「っ?」
私のもとに伊吹ちゃんたちがきました
「目が覚めたのね芭蕉」
「うん。……ここはどこ?」
「ここは蛇女子学園本部が用意した医務室よ」
「どうして本部の医務室に?」
みんなの言っていることがまだ今一わからないです
「蛇女崩壊に伴い、我ら生徒一同は本部に身をよせているのよ」
「へっ、蛇女が崩壊!?」
千歳ちゃんから放たれた一言に私は驚きを隠せませんでした
「信じられないかもしれないけど事実だ。認めたくはないが私たちは半蔵学院に負けたんだ」グヌヌ
あの負けず嫌いな総司ちゃんがそう言うということは間違いは無いようです
「そんな…蛇女が」ショボーン
あまりのことにショックが大きすぎました
そしてその時、脳裏に光牙先輩の顔が浮かびました
「ねっ、ねぇみんな!光牙先輩は?選抜メンバーの人たちはどうしたの?」
負けてみんなここに来たということは当然、選抜メンバーや光牙先輩もいるはずだと思っていましたが
「…光牙たちはここにはいない」
「……へっ?」
総司ちゃんの一言で私は目を点にしていました
「ど、どういうことなの?」
「私たちも選抜メンバーたちと半蔵学院の奴らの激戦に伴いあんたを連れて避難してたから詳しくはわからないけど、あれから選抜メンバーの行方がわからなくなってしまったのよ」
「行方がわからない…?」
「まぁ、少なくとも死亡下って話しは聞いてないんだけど」
千歳ちゃんはさみしげな顔でそう言いました
そんな時でした
「おーい、お主ら~!!」タタタタタ
突然、慌てた様子の芦屋ちゃんが医務室に入ってきました
「どうしたのよそんなに慌てて?」
「はぁ…はぁ…、そ、それがじゃな。今、教員たちのこそこそ話しを立ち聞きしての、邪神様たちが抜忍となったと」
「「「「っ!?」」」」
嘘、光牙先輩たちが抜忍に?
どうして……どうしてそんなことをしたんですか先輩?
私はひどく落ち込みました
もう、先輩は学園には帰ってこない、会えないのかと思うと私は胸が張り裂ける思いでした
その夜。私は病室のベットの上で座りながら月を見ていました
「先輩…」
そうして月を眺めながら私はそうつぶやいていました
つぶやく度に先輩に会いたいという気持ちは強くなっていきました
「うっ、うう…」ナキ
悲しみで泣きじゃくる私は体育座りでじじくまっていました
その時
キュピーン
「っ?」
突然、何かが光りました
それは以前光牙先輩からもらったあの「念意石」でした
そしてこの石の効力を思い出した私は石に念じました
「(先輩、先輩先輩先輩先輩ぃ!)」
キュピーン
すると念じたとたん石は先ほどよりも強く輝きだしました
「こ、これは…?」
私が驚きの顔をしていました
『まさかこれは…芭蕉、お前か?』
「っ?」
するとその時、光牙先輩の声が脳裏に響きました
「先輩?」
それはまぎれもなく先輩の声でした
石の力は本物だったのですね
『やはり芭蕉、お前だったか。今起きてることを考えると、石に俺のことを念じたようだな』
「先輩、私どうしても先輩に聞きたいことがあるんです!」
『なんだ?一応言っておくが石の効力は5分しかないから手短にな』
なんということでしょう、でもそれでも私は知りたい
「どうして、どうして先輩たちは抜忍になってしまわれたのですか?どうして学園に帰ってきてくださらなかったのですか!?私は…私は…」
私は先輩に今の気持ちを乗せて訪ねました
『すまない。しかしそれには理由があったんだ』
すると光牙先輩は蛇女で起きた今までの出来事を私に教えてくれました
「そんなことが…」
『…すまなかったな。理由はどうあれお前たちを悲しませてしまったな』
光牙先輩は申し訳なさそうにつぶやいていました
すると先ほどよりも声が小さくなり始めてきました
『石の効力が切れて来たようだ。もうあまり時間が無いようだ』
「……先輩、先輩はこれからどうなさるのですか?」
私は最後に光牙先輩に訪ねました
『俺は……俺を受け入れてくれたあいつらとともに俺たちの忍道を突き進む。だから芭蕉、お前もお前の忍道を貫いてくれ』
「私の…忍道を?」
『そうだ。俺は信じてる。お前なら絶対に自分の忍道を見つけることができるはずだ……信じてるぞ芭蕉』ニコ
そう言うと先輩はいつものように優しく語りかけてくれました
「先輩……はい。約束します。絶対に自分の忍道を。だから、遠くからでも……私のこと見守ってくださいね」
『あぁ……やくそく…d』プツン
とうとう石の効力はなくなってしまい、会話はできなくなりました
「…絶対に、果たしてみせますよ…"光牙さま"」ボソッ
私は月に向かってそうつぶやきました
思い出せば思い出すほどそれらの記憶が脳裏に蘇ってきました
「あれから数ヶ月……今頃、何してるのかな光牙さま」
風呂場を照らす月を眺め、私はそう呟きました
『芭蕉〜?いつまで入ってんのよ?早く出てきなさ〜い!』
あっ、千歳ちゃんの声だ
風呂場の時計を見て結構な時間になってました
「はーい」
私は返事をしながら湯船から上がり、バスタオルを巻きながら風呂場を出るのでした