タタタタタタタタタ!
「はぁっはぁっはぁっはぁっ!」アセアセ
走り続けて粗くなる吐息。校内を走る音が学園中に響き渡る
「っ!!」ガタン! バッ
どこか人気のない教室に入り込み、戸を閉めるとともに物陰に隠れ、じっと息を殺す
沈黙が続く中、しばらくすると
とこ…とこ…
この教室の近くからはっきりと聞こえる足音
とこ…とこ…
その足音はこの教室に近づいてきていた。近づけば近づくほど足音はより大きくはっきりとしたものになっていく
ガラララ…
「(っ!?)」ビクッ
背後から戸が開く音が
とこ…とこ…
教室の中に入るとともに自分を探しているであろうことが足音の感じで伝わる
見つからないように必死に息を殺し必死にやり過ごそうとする
しばらくすると
とこ…とこ…
足音が段々と近くから遠のいていくような音が
そして少しして音が完全に消えた
「……はぁ~」
やっといなくなったと一安心する
「」ジュルリ
「っ!?」ビクッ
しかしその時、静かな教室に不気味に響き渡る舌を舐めずるような音
その音を聞いた瞬間、恐る恐る後ろを振り向くとそこには
「うふふふ♪佐介くん、み~つけた♪」ニタァ
「っ!?」ヒィッ
話しは数時間前にさかのぼる…
「では僕とレイナは霧夜先生のお手伝に行ってきますね」
「はい、ではみなさん行ってきますね」
「うんわかった。お手伝頑張ってね二人とも」
「お気をつけて」
学院で一日中修行に勤しみ、時刻は夜になってしまったため、今日は全員が学院で寝泊まりすることになった
そんな中、佐介とレイナは霧夜から頼まれごとをされ、その手伝いに出かけていった
「もう、レイナってば、手伝いなんて佐介にやらせればいいのに、あ~あ、せっかく一緒に遊ぼうと思ったのに」
飛鳥たちが佐介たちを見送るとこを見てレイナと今日はずっと一緒にいようと思っていたチェルシーはがっかりしていた
「ねぇねぇチェルシーちゃん」
「うん?なに、僕に用?」
ふとそんなチェルシーにひばりが声をかけた
「これからみんなでトランプやるんだけどみんなでやろう♪」
「トランプね~……まぁ、レイナがいなくて退屈だし、いいよ」
「うん。じゃあやろ」
ひばりに連れられ、中央に集まる
中央にはすでに葛城、柳生、、風魔、土方、菖蒲、村正がスタンバっていた
「おっ、なんだひばり、チェルシーも連れてきたのか?」
「うん。多ければ多いほど楽しいし」
葛城がひばりがチェルシーを連れてきたことを訪ね、ひばりが答えた
「そうっすよ、数が多いほどゲームは楽しいっすからね♪」
「ゲームは楽しいにゃ~♪」
「はぁ…なんで私まで遊びに付き合わなければならないのかしら、先輩も先輩ですよ。一言かけてくだされば私もお手伝にいったのに」ショボーン
ひばりがチェルシーを連れてきたことを葛城が尋ね、風魔と村正はメンバーが増えたことで盛り上がり
逆に土方は自分が手伝いにいけなかったことに旬としていた
「よ~し、そんじゃ罰ゲーム付きババ抜き始めんぞ~、負けた奴は近くのコンビニでジュースを買ってくること~」
「「「「「「おー!(お~)」」」」」」
葛城の掛け声にひばりたちが元気よく答えた
「じゃあいくぜ!」
『っ!!』キリッ
数分後
「むむむむむむ」グヌヌ
「にっしっし~♪」
ババ抜きで次々と1人、また1人とあがり、最後に残ったのはチェルシーと風魔であり、引く側はチェルシーだった
風魔の持つカードの内、どちらかがjokerのため、迂闊に取れない、それを見越して風魔がチェルシーにカードをちらつかせる
「よし!テンションMac!」チャキン!
意を決しチェルシーが風魔の2枚のうち1枚、カードを引いた
「…」
「ぬふふふ~」
チェルシーが引いた瞬間、風魔が不敵な笑みを浮かべる
そしてチェルシーがカードを確認すると
「……ふっ、あっがり~♪」
「ぬあぁぁぁぁ~」ガタッ
引いたカードは♥のQのカード二枚、これにより風魔の負けが決定した
「じゃ、風魔罰ゲームな♪」
「うっす!風魔、甘んじてジュース買ってくるっす~!」ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!
そして数分後
「みんな~、ジュース買ってきたっすよ~♪」
「あらおかえりなさい」
「お~早かったな~」
ジュースを袋いっぱいに入れた風魔が帰ってきた
カシャッ…ゴクゴクゴク…
「ぷは~、労働のあとのジュースは各別だな~」
「もう、買ってきたのは風魔ちゃんでかつ姉は何もしてないでしょ?」
「細かいこと言うなって」
中央に全員が集まり、風魔が買ってきたジュースを仲良く飲んでいた
「あっ、そうだ~」
「うん?どうしたの風魔ちゃん?」
飛鳥がジュースを飲み干して尚も袋を漁る風魔に尋ねると
風魔が袋からあるものを取り出した
「なんだこりゃ?」
「これ、アロマキャンドルですね?」
出されたものを見て葛城がキョトンとし、それに対して菖蒲がこれがアロマキャンドルだということを尋ねた
「そうっす。これは「欲するアロマキャンドル」っす」
『欲するアロマキャンドル?』
風魔が言ったそのキーワードにその場の全員が小首をかしげた
「えっと、欲するってどういう意味なの?」
「う~ん、じつはウチにもわからないんすよ」
『はあっ?』
なぜそんな単語が出てきたか尋ねると風魔も知らないのだと言い出す
「じつは、ジュースを買った帰りのときのことなんすけど-」
そして風魔はこのアロマキャンドルを買った経緯を説明する
ババ抜きに敗れ、みんなの分のジュースを買い終え、帰る途中の出来事だった
『よ~し、早く帰ってもう一回勝負っす~』
張り切りながら帰り道を歩いていると
『うん?』
ふと風魔の前に老婆が露店を開いていた
さっき通った時にはこんな老婆と露店はなかった
好奇心旺盛な風魔は老婆に声をかけた
『おい~っす、おばあちゃん元気~♪』
『いらっしゃいませ』
『ねえねえ、おばあちゃん。こんなとこで何やってんですか?』
老婆に尋ねた風魔はふと手前にアロマキャンドルが置いてあることに気づき
横には売り物であることを示す立札が、そこには「欲する」アロマキャンドルと書かれていた
『おばあちゃん。なんすかこの欲するって?』
『欲すするという意味でございます』
『だからその意識するの意味が知りたいんすけど?』
『それはお買いになった方だけが解るのでございます』
風魔の質問に老婆はきっぱりとそう言い切る
『ふぅ~む…』
老婆はこのアロマキャンドルがなんなのかは詳しく教えてはくれない、しかし風魔はこのアロマキャンドルに無性に興味がわいた
『ねぇねぇおばあちゃん。このアロマキャンドルって売り物なんすよね?いくらっすか?』
『1000円でございます』
『1000円っすか』
普通の値段よりも高い価格だったが、風魔の心がこのアロマキャンドルの謎を知りたいという思いただ一色だった
『よし!おばあちゃん、これくださいっす』
『お買い上げ、ありがとうございます』
そして風魔は老婆からこのアロマキャンドルを買ったのであった
「それが今、私らの目の前にあるこのアロマキャンドルなんすよ」
そう風魔が説明するとみんなが面食らった顔をしていた
「あれ?どうしたんすかみんな?」
『怪しすぎる!』
「っ!?」
その場にいた全員が同じ言葉を言った
「風魔ちゃんダメだよそんなもの買ったら!」
「どこの誰とも知れず、しかもこれだけしか売られてなかったなんて!」
「どう考えだって怪しさしかない!」
飛鳥と斑鳩と土方が風魔を叱る
「まぁまぁ〜、そんな固いこと言わずに〜」
「てっ、ちょっと!何マッチに火をつけてんだよ!?」
「せっかく買ったんすから試して見なきゃ損っすよ〜、てなわけでえい♪」
怒られてるにも関わらず悪びれる様子もなく、あろうことかマッチに火をつけるとそのまま勢いでキャンドルに火をつけてしまった
飛鳥たちは何が起こるのかと慌てはためくも…特にこれといったことは起こらず
ただ辺りにはアロマのいい香りが漂うだけだった
「うわ〜、すごいいい香り〜♪」
「本当に、心が落ち着くかのような感じがします」
「あぁ、最初はどうなるかと思ったが…悪くないな」
全員がアロマキャンドルの香りに酔いしれていた
しかし、この時飛鳥たちは気づいていなかった。アロマキャンドルが一瞬、光を放ったこと
そしてこの後起きる出来事をまだ誰も知る人はいなかった