霧夜の手伝いを終え、みんなの待つ部屋に帰ろうとした佐介とレイナ
しかし、そんな二人の前に現れたのはいつもとは違う、まるで飢えた獣のごとく襲いかかる仲間たちだった
斑鳩、葛城、菖蒲、チェルシーに襲われた二人
その最中、レイナの思いを受け取り、その場から逃げ出したのだった
そして佐介は暗い校内を走り続けていた
「っ…レイナ、ごめんなさい」ウゥゥ
佐介は校内をかけながら、思いを受け取ったとはいえレイナを1人置き去りにしてしまったことに罪悪感を感じていた
そんな時だった
「っ!?」ドクン
突然、佐介は強烈な眠気に襲われた
『可愛そう…可愛そうな先輩…』
すると頭の中に声が聞こえてきた
『レイナちゃんを置いてきてしまった自分が許せないんですね…さぞ辛いでしょうね』
頭に響く声は佐介に慰めの言葉を送り続ける
『でももう心配いりませんよ。傷ついた先輩の心を私が慰めてあげますから』
「こ…この…声は…』
薄れそうになる意識の中、佐介はこの声の主が誰なのかすぐに理解した
そんな中、予想していれば何とやらと言わんばかりに目の前に現れたのは
『先輩♪』ポワ~ン
『清明ちゃん?』
そう、清明だった
彼女は自分を見るなり嬉しそうな顔をしていたが
普段の彼女ならいつも眠にしてるのに生々とした身振りをしているということ
さらにさっきまで朦朧としていた意識がはっきりとしていることについて佐介は自身が置かれている状況を直ぐ様理解した
『(しまった…「眠遁の術」にかかってしまった)』グヌヌ
清明の一族が使うことが出来る技「眠遁」
対象者を眠らせることはもちろん眠った対象者に夢を見せることができ、相手に催眠術をかけることもできるのである
つまり、生々した姿をしているということは、目の前の彼女は彼女自身が作った夢の世界での彼女ということ
気づかぬ間にか彼女の力で意識を夢の中に閉じ込められているからだ
『清明ちゃん、どうしてこんなことを?』
『どうして?…そんなの決まってます』
するとすぐさま清明が佐介に飛びついて来た
『先輩とずーっと一緒にいたいからですよ♪』
そう言うと清明が佐介の逞しい胸元に頬ずりをする
『さぁ佐介先輩。私と一緒に。この夢の世界で素敵なことを沢山しましょ』
清明が甘い言葉で誘惑してきた
『ごめん清明ちゃん…気持ちは嬉しいけど、今の君とは一緒にいられない』
『えっ…どうして?』
『清明ちゃんやみなさんがおかしくなってしまった原因を突き止める為にもこんなところで道草してる場合じゃないんです!』
佐介は清明にそう言いはなった時だった
ピィィ~!
夢の空間全体に鳴き声が響き、佐介の元に変形した鳥手裏剣が飛んできた
『トリィ!』
ピィィィィ~!
鳥手裏剣が大きな鳴き声をあげた瞬間、夢の空間が音を立てて崩れ始める
『こ、これはもしや!?』
空間が崩れる。それはつまり術をかけた本人か対象者が目を覚まそうとしているという事
それを証明するかのように佐介の身体が光りだす
『先輩まって!』
清明が慌てて駆け寄ろうとするも
「…はっ!」
とき既に遅し、佐介は目を覚ます
ピィ♪
「トリィ。トリィが僕を起こしてくれたんですね」
目の前には鳥手裏剣がおり、鳥手裏剣が自分を起こしてくれたことを悟り
佐介は鳥手裏剣にお礼を言うのだった
そして目覚めた佐介の横には
「せんぱ〜い…むにゃむにゃ…」
あと少しというところで失敗してしまい、目に涙を浮かべる清明が
「ごめんなさい、清明ちゃん」
申し訳なさを感じ、軽く頭を撫で、風邪をひかないようにモーフをかけてあげたあと、その場から離れるのであった
清明の襲撃を乗り越えた佐介が再び走っていると
「っ!?」
またも前方に人影が見え、佐介は足を止める
「先輩、わざわざ私の元に来てくださるなんて…感謝感激です」
「ひっ、土方ちゃん」アセアセ
待ち構えていたのは土方だった
「…先輩…先輩!」
「ぬあっ!?」
抱きついて来た土方を支えきれずその場に倒れこむ
「先輩~♪」
「土方ちゃん、やめてください!今日はみんなどこかおかしいですよ!」
今までのこともそうだが、今の彼女たちは何かがおかしいことを訴える
「…はい、私も…さっきからおかしいんです」
「えっ?」
「もう、先輩のお顔を見れば見る程。先輩が愛おしくて愛おしくて、先輩が欲しくて欲しくて堪らなくるんです!……もう、我慢できません!いただきまーす!」
「土方ちゃん!ごめんなさい!」
ドスッ!
「ぐっ!?」グラッ
身の危険を感じた佐介は土方に腹パンをした
「せん…ぱい…」ドサッ
気を失った土方がその場に倒れ込んだ
「ごめんなさい土方ちゃん」
そうつぶやいた佐介は再び走り出した
ようやく忍部屋に到着した佐介は戸を開けて中に入る
中には人気が無い様子だった
「みんながおかしくなった原因はいったい?」
「佐介~!」
「っ!?」
ふと、声が聞こえ振り向くとそこに村正が現れた
佐介はほかの子達同様かと警戒心を強める
「違うにゃ!村正は正気にゃ!」
「えっ?」
バッテリーを充電中し終え、戻ってきた時にみんなが変になっていたと告げた
「そうだったんですか」
「結構な数は逃がしたけど、でも」
村正が障子を開けると
「むぐ~!むぐぐ~!」
「佐介く~ん!ひばり、佐介くんとハグハグしたいよ~」ジタバタ
そこには縄で縛られたひばりとこの事件の超本人である風魔がいた
「なんとか二人は押さえ込めたんだにゃ」
「なるほど…っ」ハッ
しかしその時、佐介は気づいた
「ここまで他のみんなとは遭遇したけど、まだ飛鳥ちゃんと柳生ちゃんを見てませんね」
「そうにゃ、まだ二人はどこかにいるはずにゃ!」
まだ発見してない二人はどこかと頭を悩ませていると
「オレならここにいるぞ」
「「っ!?」」
ドア越しに寄りかかる柳生の姿が
「柳生ちゃん!?」
「こうもあっさりと!?」
「村正、オレのひばりを縛り上げあたばかりか、今度はオレの佐介をも奪おうとするとは……万死に値する」ギロ
オレのもの発言を二度も言っている柳生にすくみ上がる二人
「さぁ、ひばりを開放しろ。そして佐介を渡せ」
「二人をどうする気にゃ!」
「お前が知る必要はないさ…」フフフフ
明らかにほかの子達とは一線を超えた雰囲気を放つ柳生
「佐介!村正が時間を稼ぐにゃ!」
「村正ちゃん!?」
「にゃあぁぁ~!」
「ぐっ!離せ!」
村正が飛びかかるとともに柳生を押さえ込む
「今のうちにゃ!」
「村正ちゃん…ありがとうございます!」バッ
柳生を村正が押さえ込んでいる隙に逃げる佐介だった
タタタタタタタタタ!
「はぁっはぁっはぁっはぁっ!」アセアセ
佐介は走った。とにかくみんなの目の届かない場所で身を隠そうと必死に
「っ!!」ガタン! バッ
そしてようやく人気のない教室に入り込み、戸を閉めるとともに物陰に隠れ、じっと息を殺す
「(はぁ…はぁ…レイナ、村正ちゃん。二人のおかげでなんとかここまでこれた)」
身代わりになってくれた二人のことを思うと、佐介の目に涙が溜まっていた
そんな時、しばらくすると
とこ…とこ…
この教室の近くからはっきりと聞こえる足音
とこ…とこ…
その足音はこの教室に近づいてきていた。近づけば近づくほど足音はより大きくはっきりとしたものになっていく
ガラララ…
「(っ!?)」ビクッ
背後から戸が開く音が
とこ…とこ…
教室の中に入るとともに自分を探しているであろうことが足音の感じで伝わる
佐介は見つからないように必死に息を殺し必死にやり過ごそうとする
しばらくすると
とこ…とこ…
足音が段々と近くから遠のいていくような音が
そして少しして音が完全に消えた
「……はぁ~」
やっといなくなったと一安心する
「」ジュルリ
「っ!?」ビクッ
しかしその時、静かな教室に不気味に響き渡る舌を舐めずるような音
その音を聞いた瞬間、恐る恐る後ろを振り向くとそこには
「うふふふ♪佐介くん、み~つけた♪」ニタァ
「っ!?」ヒィッ
怪しげな笑みを浮かべる飛鳥の姿が
「あ、飛鳥ちゃん!?」カタカタカ
「佐介く~ん、もう鬼ごっこは終わりだよ~」
「……っ!!」バッ
恐怖に駆られた佐介は慌てて逃げ出した
しかし、部屋から出た瞬間、佐介は目を疑った
『ふっ、ふっ、ふっ~♪』
「っ!?」ハワァ~!?
教室の外には斑鳩たちや気絶させた土方たちや拘束から解放されたひばりたちもいた
そしてふと佐介が目をそらしてみると
「む、無念だ…にゃ」ガクッ
「村正ちゃん!?」
彼女たちの脇に力つきその場に倒れこむ村正の姿が
「レイナ〜♪」
「ちぇ、チェルシー、お願い正気に戻って〜」
さらに反対方向からは尚もチェルシーに絡まれるレイナの姿が
もはや佐介に味方は誰1人いなかった
「はっ、はわわ…」
「うふふっ、ダメだよ佐介く〜ん。もう逃げ場なんてないんだよ〜」
「ひいっ!?」
徐々にみんなが詰め寄ってくる
『さ〜すけ(く〜ん)(さ〜ん)(兄さま〜)(せんぱ〜い)♪』
ジリジリジリジリと近づいてくる
「ちょっと待って!みなさん落ち着いて!とりあえず話し合いまm」
『だ〜め♪』
「いっ…いっ…」
『ふっふっふっふっふっ〜♪』
いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
佐介の壮絶な断末魔が学院全体に響き渡るのだった
「商品をどう使うはお買いになったお客様の心がけ次第でございます。ではまたいずれ何処かでお会いしましょう」
風魔にアロマキャンドルを売った老婆はそうつぶやくと静かにすぅっと闇の中に消えて行くのだった
今回、特別ゲストとして謎の老婆シリーズの老婆を出しました
今作で出した商品
欲するアロマキャンドル
匂いを嗅いだその物の内に秘める欲する、自分の物にしたいという欲望や願望を使役する
価格1000円
では次回で