閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

799 / 809
番外絵巻 小さな侵入者 3

あれからなんだかんだと紆余曲折を経て光牙達は焔達に事情を説明した

 

 

「…なるほど、つまりこの愛花ちゃんが光牙くんに弟子入りをしに押しかけて来たと?」

 

 

「あぁそうだ」

 

 

「でもそれがどうしてあんなことになるわけよ?盛大に詠お姉ちゃんの胸に顔埋めたりお尻鷲掴みにするなんて〜?」

 

 

「み、未来さんあんまり話しを蒸し返すのはやめてください!ただでさえ恥ずかしいですから///!」

 

 

せっかく落ち着いた詠の心がまた荒れだす

 

 

「あれは完全に不可抗力だ。むしろ俺は巻き込まれた被害者だと思うんだが?」ギロリ

 

 

「そっ、それは…その〜」アセアセ

 

 

ジド目を向けられる詠は右往左往する

 

 

「でも悪い気はしなかったんでしょう?詠ちゃんの柔らかな肌を触れて〜w」

 

 

「うるさいぞ春花。そんなことよりも今重要なのは……こっちの方だな」

 

 

若干頬を赤くしながら逃げるかのように話しの話題を詠の柔肌の事から愛花の事にかえる

 

 

視線の先には隣で自分の服の袖をつまんでいる愛花に向ける

 

 

「しかしまだ小さいと言うのに一人前の忍になりたいとは感心だな。うんうん」

 

 

焔は幼き身でありながら忍を目指そうと言う愛花の心意気に感動した

 

 

「最近は光牙以外はバイトの時以外はいつもダラダラしてばかりで修行に身が入ってないしな」

 

 

「うるさいわね、だいたい焔の修行はスパルタ過ぎるのよ!単細胞に付き合わされるこっちの身にもなってみなさいっての」

 

 

「だ、誰が単細胞だ誰が!?」

 

 

未来の罵倒に焔はムッとなった

 

 

「よし、ならば見せてやる!愛花、私が稽古をつけてやろう!私が手取り足取り忍とはどう言うものか教えてやるぞ!」

 

 

「…ごめんなさい!気持ちは嬉しいんですけど、私は光牙師匠の弟子になりたいんです!」

 

 

「ガーン!?」Σ(゚д゚lll)

 

 

汚名返上とばかりに焔は愛花に自分が稽古をつける事を提案するも愛花に拒否され軽くショックを受けた

 

 

「愛花さんはなんでそんな光牙さんの弟子になりたいんや?」

 

 

「それは……かっこよかったからです!」

 

 

「かっこよかった?」

 

 

「はい…貧民街で始めて師匠の…師匠の勇姿を見て、あんなにかっこよく戦って、矢を撃つ姿も襲いかかってきた相手を返り討ちにする姿も終わった後に見せた笑みも全部、全部カッコよかったんです!」

 

 

愛花は秘めた思いを紅蓮竜隊に語った

 

 

「ずいぶんと評価高すぎじゃないか?こんな詠の胸や尻をわしずかみにするような変態であまつさえロリコンもどきのどこがいいんだ?」

 

 

「おい焔、随分な言いようだな?…久しぶりだな。誰かをここまで狩りたいと思ったのは?」シャキン!

 

 

「じょ、冗談だって、そんな怖い顔するなって」アセアセ

 

 

ボロクソ言う焔に対して光牙はムッとなり、手に持っていた刃弓を構える

 

 

それをみた焔は慌てて謝罪を述べ、なんとかその場は治った

 

 

「んっんん!…さて、ではだいぶ話しがそれてしまったがそろそろ本題といくか」

 

 

ようやく本題に入るにあたり、光牙は愛花に視線を向けた

 

 

「愛花、お前が俺の弟子になりたいと言う気持ちが本物なのはわかった」

 

 

「ほんとですか?じゃあ私を弟子にs「だが、それだけの理由でお前を弟子にとるほど俺は甘くない」っ!」

 

 

気持ちが通じたと舞い上がる愛花は光牙の続けざまに語る言葉に声を失う

 

 

「ど、どうして?」

 

 

「確かにお前の熱意は認める。しかし熱意だけでどうにかなるほど忍の世界と言うのは甘いものではない、それもわからないような半端な覚悟しか持たないのなら弟子にしたとて意味はない、荷物をまとめて今すぐ貧民街に帰るがいい」

 

 

「……覚悟」

 

 

光牙の言葉の棘が愛花の心をグサリと刺す

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください光牙さん!いくらなんでもそれは言い過g「詠さん…」ひ、日影さん?」

 

 

愛花の思いを知っている詠は愛花を可哀想だと感じ、光牙に異議を申し立てようとするがそんな彼女の肩を背後から日影が掴み、首を横に振りながらそれを阻止する

 

 

「詠ちゃん、落ち着いて、何の理由もなくあんなことを言う光牙くんじゃないわ。…ここは光牙くんに任せましょう」

 

 

「春花さん……」

 

 

なだめられるように落ち着いた詠は不安を抱きつつ光牙と愛花を見ていた

 

 

そんな中、光牙は映いた愛花を眺めていた。しばし様子を見ていても沈黙が続くばかりだった

 

 

「(…少し言いすぎたか?)」

 

 

彼女を諦めさせようと言ったこととは言えいくらなんでもきつかったかと内心光牙は思った

 

 

「…あります」

 

 

「っ?」

 

 

「覚悟はあります!半端な気持ちなんかありません!私は師匠に弟子入りするためにここに来ました。忍となる覚悟は出来ています!」

 

 

しかしそんな光牙の考えを打ち砕くかのように愛花は尚も自分の思いをまっすぐに告げた

 

 

「…わかった。ならばお前が俺の弟子になれるかどうかテストしてやる」

 

 

「テスト?」

 

 

「そうだ。ついてこい」

 

 

光牙はそう言うと愛花を連れてアジトの外へと出て行った

 

 

外に出ると光牙は愛花と対峙するように立つ

 

 

「えっと、師匠?テストとは何をするんですか?」

 

 

「まだ師匠ではない、簡単なことだ。…見ていろ」

 

 

愛花達が視線を向ける中光牙は瞬時に印を結ぶ

 

 

「雷遁・雷球」

 

 

 

ジジジジジジジジジ!!

 

 

 

術が発動し、光牙の右手に雷状のエネルギーが生まれた

 

 

「す、すごい」キラキラ

 

 

光牙の見せた術に愛花は目をキラキラさせた

 

 

「これが雷遁。忍の使う術の一つだ」

 

 

「雷遁…」

 

 

説明をうけ愛花は更にまじまじと術に目を向ける

 

 

「愛花、これよりお前に3日の猶予を与えてやる。その期間でこの術をマスターしろ。その間に俺は一切助言も手助けもしない」

 

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

 

愛花に課したテスト内容に焔たちは驚きの顔を浮かべる

 

 

「わ、私がこれを?」

 

 

「そうだ。この期間の間にお前がこれを習得し、使いこなせたならば俺は喜んでお前の師となろう」

 

 

「……わかりました。私、やってみせます!」

 

 

「ならばせめてもの選別として術の発動のための印は教えてやる。この3日間、お前がどのような結果をもたらすのか、それを俺に見せてみろ」

 

 

こうして光牙に課せられて試練を愛花は受けることになった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその日から愛花の試練は始まった

 

 

「…ふぅ、えっと、丑、辰、申。雷遁・雷球!!」バッ!

 

 

教わった印を結び、術を発動させようとする

 

 

「……あれ?」シーン

 

 

しかし結果は当然失敗に終わった

 

 

「まだまだ!…雷遁・雷球!」

 

 

愛花は再び印を結び術を発動させようとしていた

 

 

その様子を少し離れたところから詠達が見ていた

 

 

「…愛花ちゃん」

 

 

「いや~、あの子よう頑張るな~。もうかれこれ3時間はずっとあの調子やもんな」

 

 

「熱心よね~」

 

 

「どんなにやってもめげず諦めない、私はますますあいつが気に入ったぞ」

 

 

光牙から課されたこのテストを達成せんとする愛花の姿を詠は心配そうに日影たちは感心するかのように愛花の姿を見ていた

 

 

「まったく、光牙くんってば意地悪ね」

 

 

「なんだ突然?」

 

 

「とぼけなくてもわかるわよ。あの術は普通の子には…いえ、そもそも雷の属性のチャクラを持ってなければ到底使えないじゃない」

 

 

「…ふん。光遁を使った術を覚えろというよりははるかにましだろうに」

 

 

この課題は愛花に雷属性がなければ無理難題なものである。仮にそうであった場合、別の属性を習得するには3日など時間が足りないことは誰でもわかることだ

 

 

「これはあいつにとっての大事な試練だ。どちらにしろすべては3日後、あいつが忍となれるかそうでないかはあいつ次第さ」

 

 

「ふふっ」

 

 

「何がおかしい?」

 

 

突然春花がくすりと笑ったことに光牙は尋ねる

 

 

「失礼、光牙くんがなんだか楽しそうな顔をしてたもんだから」

 

 

「俺が?」

 

 

「本当は愛花ちゃんに期待してるんでしょ?たとえるならそうね…佐介くんと出会った時のような顔ね」

 

 

春花のその言葉に光牙は当時の事を振り返る

 

 

佐介と出会い、幾度となく戦いを繰り広げ自分に匹敵する強者と出会えた時。光牙はワクワクを感じた

 

 

今の自分が愛花に向けているのはそんな感じだと春花はそういうのである

 

 

「…ふっ、確かにそうかもしれないな。もしかして俺はあいつに期待してるのかもしれないな」

 

 

光牙もまた自分の気持ちを素直に認めるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな光牙の思いはいざ知らず愛花は術の習得に励んでいた

 

 

「雷遁・雷球!…んんん!!」

 

 

何度も

 

 

「雷球!ふぅぅぅぅぅん!」

 

 

何度も

 

 

「雷球!!ふううううぅぅぅぅん!!」

 

 

1日、2日と続きながらもそれでも愛花は頑張った

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」ゼェ…ゼェ…

 

 

しかしそれでも結果は以前として変わらない

 

 

「…やっぱり私じゃ忍になるのは無理なのかな?」

 

 

とうとう愛花の心に諦めの感情が芽生え始めていた

 

 

「うっ…うぅぅ……やっぱりダメなのかな?」ポロポロ

 

 

これだけやっても成果をあげられない自分の不甲斐なさに愛花は押しつぶされそうになった

 

 

「愛花ちゃん!」

 

 

「っ!?」

 

 

その時、自分を呼ぶ声に視線を向けるとそこには詠がいた

 

 

「詠…お姉ちゃん?」

 

 

「大丈夫、あなたならきっとできますわ。わたくしは信じてます」

 

 

「…でももう約束の日まであと1日しかないのに私、未だに術を出せてないんだよ?もうダメなんだよ」

 

 

詠の励ましも脱力感に支配されかけた愛花には無意味なものだった

 

 

「…愛花ちゃん!」

 

 

「っ!?」

 

 

「あの時、わたくしに言った言葉をあなたは自分自身で否定なさるのですか!?あなたは忍を志そうとするのを止めようとするわたくしに言いました「強い忍になって貧民街のみんなを守る」って、あの言葉にわたくしは感銘を受けました。だからこそわたくしはあなたが忍を目指すことを認め、応援することを決めました。だというのにあなたはあれを全て嘘にするつもりなんですか!わたくしに見せたあの覚悟は全てまやかしだったというのですか!?あなたはそんな弱い子だったのですか!答えなさい愛花ちゃん!そしてもう一度思い返しなさい、あなたが忍とならんとする理由を!」

 

 

「…」

 

 

愛花は詠の一喝を受け自分が何のためにこんなことをしてるのか思い返した

 

 

非力で弱く、いつも誰かに守られてばかりの自分が嫌で今度は自分が誰かを守れるような存在になりたい、その思いを胸に自分は光牙の元に弟子入りを祈願した。すべては自分のため、そして貧民街のみんなのために

 

 

「ありがとう詠お姉ちゃん。私、もう一度頑張ってみるよ!」

 

 

「そのいきですわ愛花さん」

 

 

完全にやる気を取り戻した愛花に詠も嬉しそうだった

 

 

「ふっ、なかなか言うな愛花。忍を目指すのならそうでなくちゃな」

 

 

すると後ろから声が聞こえる

 

 

「あっ、焔さん。それに日影さんたちも?」

 

 

振り返るとそこには焔達がいた

 

 

「みなさんどうして?」

 

 

「頑張ってる愛花さんに影響されてな」

 

 

「雷遁だからあんまり頼りにはならないかもだけどせめて少しでも手伝いをしてあげたくて」

 

 

「こうしてみんなで応援しに来てあげたのよ」

 

 

愛花の頑張る姿が焔達の心を動かしたようである

 

 

「愛花さん。あなたにはわたくしたちがついてます。一緒に頑張りましょう」

 

 

「……はい」

 

 

詠達の優しさに愛花は嬉しさとともに涙を流した

 

 

こぼれ落ちた雫が愛花の首飾りにこぼれ落ちた瞬間、中心に取り付けられた石が一瞬光を放った

 

 

そんなことはつい知らず詠たちと一緒に愛花は明日へと迫る最終日に向けてより一層修行に励んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、約束の3日目の日となった

 

 

既にアジトの入口の前では光牙に正面から向き合う愛花とその様子を少し離れた位置で見守る詠達がいた

 

 

「さぁ、約束の日だ」

 

 

「はい」

 

 

「わかっているとは思うが、もしできなかったら」

 

 

「私は忍の道を諦め貧民街に帰ります」

 

 

全てを承知の上で愛花は真剣な眼差しで光牙を見つめた

 

 

「よし、なら示して見せろ」

 

 

「はい…見ててください」

 

 

愛花はそう言うと身構える

 

 

詠達が心配そうに見守り、緊張が走る中、愛花は慎重にかつ冷静にひといきつく

 

 

「……雷遁・雷球」

 

 

術をつぶやくも発動の気配がない

 

 

「(…やはり無理だったか?しかしそれもまた運命か?)」

 

 

光牙が結論を出そうとしたとき

 

 

 

 

 

ジジジ

 

 

 

 

 

「っ?」

 

 

ふと磁波の発生を感じ取った光牙が閉じていた目を見開き再び見てみると

 

 

「……っ!」

 

 

 

ジジジジジジジジジ!!

 

 

 

先ほどよりもハッキリと電磁波のエネルギーを感じ取った時、愛花の手のひらに雷遁のエネルギーが集束していく

 

 

「…ふん!」

 

 

愛花が力んだ瞬間、球体状の雷が生成され、彼女の手にはしっかりと完成した雷球が浮かんでいた

 

 

「どうですか師匠!私、やりましたよ!」

 

 

「……」

 

 

やり遂げたと言わんばかりに満遍な笑みを浮かべる愛花に光牙は面を食らっていた

 

 

「愛花さん。ここが正念場ですよ」

 

 

「はい…師匠、じつはまだ終わってません…はぁ~、こう、こう、こう、こう」

 

 

畳み掛けるように愛花は出来上がった雷球にさらに力を注ぎ込む

 

 

すると雷球に変化が生じ、球体状だった雷球が徐々に形を別のものにへと変化させていく

 

 

やがて、雷球が形を模し、金魚のような魚の姿に変化した

 

 

金魚の姿を得た雷球が愛花の周りを泳ぐかのように回る

 

 

「形状変化まで……っ」チラッ

 

 

『っ…』シラ~汗

 

 

「……ふん」

 

 

光牙は大体の事情を把握したがそれを咎めようとはしなかった。なぜなら光牙はあくまで自分は指示を出さないと言っただけで彼女達が力を貸すことまで禁止にはしていなかった。むしろこうなるだろうことは想定の範囲内だったからだ

 

 

「あ、あの師匠?どうですか?まだダメなのでしょうか?」

 

 

不安そうに尋ねる愛花を光牙は見据えた

 

 

「……ふっ、いや、上出来だ。よくぞ3日以内に此れ程まで術を物にしたな」

 

 

「じゃ、じゃあ?」

 

 

「合格だ。…愛花、お前は今日から俺の弟子だ」

 

 

「…やったぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

光牙から合格をもらい、弟子入りを認められた愛花は嬉しそうにその場で飛び跳ねる

 

 

「良かったですね愛花ちゃん」

 

 

その様子を見ていた詠は嬉しそうにハンカチで涙を拭っていた

 

 

「いいか愛花、俺の弟子になった以上は覚悟しておけよ。俺の指導は甘くないからな」

 

 

「はい。私、どんなことも頑張って成し遂げてみせます!師匠の下で立派な忍になってみせます!」

 

 

「よし、ではこれから修行を始めるぞ、しっかりとついてこい!」

 

 

「はい、師匠!」

 

 

こうして光牙は愛花という幼き門下生を弟子にし、紅蓮竜隊に新たな一員が加わったのだった

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。