ある日、以前交流会で知り合った湊から電話が入った
内容は湊からの誘いの電話だった
休みの日を利用して遊びに行かないかということだった
雪泉たちからも後押しを受け、参加を決めた
久しぶりに会う湊や、その知り合いとの交流会に期待に胸を膨らませながら(ただし女装して)待ち合わせ場所である駅についた
そこで紫苑を待っていたのは誘い主である湊とほか数人の同じくらいの年の子だった
紫苑side
駅について湊さんと合流したはいいけど、連れの人たちの1人とは親しく話しているが、残りの子たちは僕と同じく親しく話す2人の輪に入るのが気まずいと感じていた
しかしここで湊さんともう1人がハッと我に返った
「すすす、すみません紫苑さん!ボクとしたことがそっちのけで話し込んでしまって!」
「あぁいえそんないいんですよ。だからそこまで誤らなくても」アセアセ
同時に申し訳なさそうな顔を浮かべながらペコペコと頭をこれでもかと下げてくる湊を必死になだめる
よく見ると湊さんと話し込んでいたその子もあとの二人にペコペコと頭を下げており、同じようになだめられていた
そんなこんなで落ち着きを取り戻した僕らはひとまず駅から出て街に向かうことにした
「なるほど、湊さんとは交流会で知り合ったんですか。実は私もそうなんですよ」
「ほうほう、これはまた意外な繋がりですね」
「あはは、そうですね」
街に向かう中、僕は湊産以外の他の方たちとも交流を深めるべくお話をしており、最初の話題相手は先ほど湊さんと親しげに話していた「朝倉 千弘」さんだった
先も千弘が説明してくれたが湊と知り合ったのは千弘の母校である「舞城女学院」に湊が訪れたからであるという
確かに僕の時と似てる気がする
「あぁ、やっぱりそうだったんだ~」
「そうだったんだとは?」
するとそこに割って入るように声をかけてきたのは千弘の誘いで今日の集まりに来たという「聖ルピナス学園」の生徒である「月丘晶子」さんだった
「いえ、最初お2人がすんごく親しそうにしてたの見てて何か親近感沸くなって思ってたんです」
「それ私も思ってました。晶子さんとはともかく千弘さんとはそうでしたからね」
「うふふっ、そうでしたね」
晶子さんに続くように会話に入ってきたのは「深皇女学館」から来たという「塚原いずみ」さん
話しを聞くにどうやら千弘さんとこの子たちは僕や湊さんが知り合う前からすでに友人として交流があったとのことである
さらにいうとこの子たち、全員すごい子なんだってことがわかってしまった
というのも、湊さんは以前から母校である白鈴で寮のみんなのお世話をしていて頼りがいのある人で学園中からも慕われる存在なのだということを風莉さんから聞いていた
でもそんな湊さんに負けないくらい他のみんなもすごい人なのだと分かった
まず晶子さんはというとルピナスで生徒会の中でも結構頼れるようでいろいろな仕事を務めているんだとか、名門校でそんなすごい活躍をするなんてすごい人だなっと関心を寄せられる
次にいずみさんはというと通っている深皇の学園行事の中で最も重要な者とされている大役「
そして最後に千弘さん、この若さで通われている舞城で学生でありながらコック長を務めているらしい、以前からの知り合いだった晶子さんやいずみさん、そして舞城で料理を一緒に作った湊さんが絶賛するほどの腕なんだとか
聞けば聞くほどすごい人たちと知り合いになったのだなって関心を寄せずにはいられなかった
「湊さんもそうですが月丘さんも塚原さんも朝倉さんもとてもすごい方たちばかりなんですね。私、そんな皆さんとお知り合いになれてうれしく思います」
「いえいえそんなこちらこそ!」
「そうですよ。むしろ私たちも紫苑さんみたいな綺麗で素敵な方とお知り合いになれて嬉しいですよ!」
「私もみんなと同意見です」
そういってみんな僕を励まそうとしてくれた
もちろんみんなの気持ちは痛いほどうれしい…でも
「(ごめんなさいみなさん。僕、男です)」
男である僕がこの集まりに混ざっている時点で罪悪感が半端ない思いだった
「紫苑さん?どうかしましたか?」
「あっ、いえいえなんでもありませんよ朝倉さん」アセアセ
びっくりしたいきなり声を掛けられちゃったから驚いちゃった…でも
なんだか皆さん心配そうな顔を浮かべてらっしゃる
…僕が変なことを考えてしまったばっかりに
情けない
「そうですか、それならよかった…あぁそれと紫苑さん」
「はい?」
「せっかく仲良くなれたんですから湊さんみたいに私のこともどうぞ千弘と呼んでもらって結構ですよ」
誤解が解けたとほっと一息入れると朝倉さんが思い返したように親しみを込めて自分を名で呼んでいいと言ってくれる
「そうね、私のことも晶子と呼んでくれていいですよ」
「私も私も!」
朝倉さんの提案に便乗するような形で月丘さんと塚原さんも懇願する
「皆さん」
思いつめた顔して不安な思いをさせてしまったのは僕だというのになんて心が広いんだと思わずにはいられなかった
「で、では、改めてよろしくお願いしますね千弘さん、晶子さん、いずみさん」
「「「はい!」」」
僕が名で呼ぶと3人とも嬉しそうな顔を浮かべていた
その横で湊さんも微笑ましいそうな顔を浮かべている様子も垣間見えた
こんなにやさしい方たちは僕の知る限り雪泉たちや佐介くんたちを除けばそうはいないだろう
だが、そう思えば思う程に内心に思い浮かべるのは
「(自分を偽ってみんなを騙している僕はどうしようもないクズだな~)」シクシク
慈愛に満ち溢れているこの子たちの好意に付け込んでしまっているようでなんともいたたまれないい思いだった
※だが紫苑は知る由もなかった。この現状を楽しくも危惧しているのが自分だけではないことを
湊side
「(ふぅ、今のところ何とかボクが男だってバレずに済んでるようでいいけど安心はできないな~)」
楽しい交流会だというのに緊張の連続で息が詰まりそうだった
それにしても…
「(千弘さんや紫苑さんはもちろんですが晶子さんもいずみさんもやっぱり素敵な人だな~)」
今、ボクは素敵な美女の方々とご一緒させてもらってるんだな~
この前、兼ねてより千弘さんからお誘いを受けていたけど、千弘さんがボク以外に知り合いを呼ぶって聞いた時は正直焦った
どんな人なのかわからないし、どう話せばいいかもわからなかったから不安だった
そんな時、ボクはふと紫苑さんのことを思い出し誘いをかけたら来てくれるとおっしゃってくださりとても嬉しかった
「(会ってみれば皆さん綺麗なだけじゃなく器量も大きい、特に紫苑さんなんて前にもまして綺麗になってて全身からお嬢様オーラみたいなのを感じちゃいますね。…まったく、この人の爪の垢を煎じて風梨さんたちに飲ませてあげたいです)」
お世辞にもあの方たちは紫苑さんや一般のお嬢様方が持ってるような気品など微塵もありませんからね
「(こんな素敵な方たちと今日一日を共にできる。喜ばしいことです。でもだからといって油断して男とばれないようにしないと……皆さんを騙してる身でこんなことしか考えられないなんてボクは人でなしだな)」
我ながら情けないと思わずにはいられなかった
千弘side
「(当初とは大幅に違ってしまったけど、でも湊さんや晶子さんといずみさんとまたこうして会えてよかった)」
今、諸事情で俺はかあs…学園長からの希望でとある店で乃亜ちゃんと共に働いており、自室店の管理を任されている
そこでの仕事がひと段落したことを機に以前から交流を持っていた晶子さんやいずみさん、それに他の方々をお招きしようと考え、乃亜ちゃん協力の元、連絡を取った
残念ながら瑞希さんも葵さんも母校の用事で来れないと知った時には少しがっかりした
ならばと俺は今回、別件で交流があった湊さんに誘いをかけ承諾してくれた時は本当に嬉しかった
…でも俺は知らなかった。まさか湊さんの知り合いにこんなすごい人がいたなんて
「(紫苑さん、なんて綺麗な人なんだろう)」ドキドキ
この感じ、つきねぇ…うっうん、皐月様に引けを取らないほど気品にあふれているんだもん
抑えているつもりだけどドキドキが止まらないよ
こんな素敵な人たちをこれから店に連れてくわけだけど
「(男であることを隠して皆さんの輪に入っている俺ってほんと最低だな~)」
皆さん、本当に申し訳ない!
晶子side
「(ここまでは順調ってとこかな?はぁ…毎度のことながら男であることを隠してみんなの中に紛れ込むのって緊張するよな~)」
いつボロが出るか気が気じゃないもん
「(まぁそれはとりあえず今は置いておいて、でも千弘さんから誘いを貰ったおかげでこうしてまたいずみさんとも再会できてうれしいな~。本当は瑞希さんたちとも会えたらよかったんだけど)」
そうすれば舞城を訪れた時のメンバー勢揃いだったのに
「(…にしても)」
オレはすかさず視線を湊さんと紫苑さんに向ける
「(最初会った時は驚いちゃったな。千弘さんから話を聞いて湊さんと知り合いだってことはわかったけど、まさかその湊さんのほうも知りあいを呼んでたなんてな?)」
そのことは千弘さんも知らなかった様子だったし、初対面の状況は何とも言えない空気になった
きっと瑞希さんや葵さんたちにみさきさんや優紀さんに紹介したらこうなるのだろうと思った
「(でも話してみればやっぱりいい人だったな。湊さんは小柄で可愛らしくて小動物みたいで、それでいてどこかしっかりしたような感じで、何となく晶子に似てるかな?)」
湊さんを見てるとなぜかオレは双子の妹で今現在オレが成りすましているルピナスに通っている晶子のことを思い出していた
「(でだ。湊さんもそうだが…)」
オレは早々に視線を移したわけだが…正直に言おう
「(なんなんだよこの美女さんは!?)」
もちろん他のみんなも十分に可愛いし綺麗だ。だが、湊さんの友人としてきてくれた紫苑さんのこのパット見ても感じられるお嬢様感、聖佳さんとは違う性格だけど、それでも引けを取らないほどだ
こんな可憐な少女のような人とお姉さんのような人とお近づきになれるのはうれしい、だが、同時に不安も倍増だ
「(絶対にボロを出さないよう心掛けなきゃな!)」
ただでさえ、見知っているいずみさんや千弘さんと一緒にいるのさえ緊張するのに今回はこの二人も加わってるわけなのだから
オレは心の中で決意を示すのだった
いずみside
「(はぁ~、僕、ここまでずっと緊張しっぱなしだな~。でもだからって気を抜いたらダメだよね。男だってバレたらせっかくの集まりが悲惨なことになっちゃう)」
千弘さんから連絡を受け、タイミングよく予定が空いていた僕は今回の集まりに参加した
本当は瑞希さんや葵さん、それにみさきさんや優紀さんとも一緒になれたらよかったんだけど
でもそれは仕方ないこと、実際瑞希さんは鳳后、葵さんは桜花での行事で忙しくしてるらしく、みさきさんはこの日、リーリエでクラスメイトに音楽の勉強を教えてるらしく、優紀さんは四篠さんの付き添いだとかで忙しいらしい
みんなそれぞれの役目を果たしてるのに僕はこうして交流会を楽しんでいる。なんだか申し訳ない気もする
「(せめて次みんなに会った時に話題にできるような思い出を作っておかなきゃ)」
参加できなかったみんなの分もしっかりしなきゃと僕は心の中で決意する
「(…とは意気込んだものの)」
改たまった様子で僕は視線を向ける
その先には今回の交流会で初めて知り合うことになった湊さんと紫苑さんがいた
湊さんについては以前千弘さんから話を聞いたことはあった
「(聞いてたのよりもずっと可愛らしい、まるで妖精さんみたい)」キュン
愛くるしい湊さんに思わずきゅんとなっちゃう
こんな人に告白ととされたら嬉しさでどうにかしてしまいそう
でも気になるのはもう1人である紫苑さんも同じだ
千弘さんですら知らなかったっていう湊さんのお知り合いの人、ぱっと見るとその清楚な姿はなんだか千影さんや奏さんと近しいものを感じてしまう
「(礼儀正しくて美人で素敵な立ち振る舞い、思わず見惚れてしまいそうだよ)」
こんなに可愛い人と綺麗な人といっぺんにお近づきになれたことはすんごくうれしいんだけど
「(この人たち、もとい晶子さんや千弘さんをも騙して男であることを隠してこの中にいる僕って本当に最低だな~)」
全員side
「「「「「(一人だけ男で申し訳ない)(ありません)」」」」」ボ~ン
それぞれ違ったことを考えつつも根本は皆同じな