ではどうぞ
紫苑side
「キャー!見て紫苑お姉様よ!」
「ホントだわ!お姉様、今日も一段とお美しい~」
「長髪の時も素敵でしたが短髪となったお姉様も素敵~♪」
「あ~、お姉様と愛し合えるならもは生涯に悔いはありませんわ~」
「「「「わかる~♪」」」」
……なぜだ?
なぜだ?なぜ?なぜなんだ?
周囲から聞こえる黄色い声を聞くたびに僕は内心恥ずかしさを堪え続けながら急ぎ足で学館に向かった
なぜ未だにこんなにも回りから黄色い視線で見られているのか僕は理解に苦しんで仕方なかった
数か月前、僕と雪泉たちは佐介君たちと学炎祭で熾烈を極めるほどの戦いを繰り広げた
その学炎祭で僕は佐介くんたち半蔵学院から自分達とは異なるもそこにはしっかりとした芯を持った正義の形を知り、光牙さんや蒼馬くんたちと言った悪の中にも思いやりや優しさを持つ者がいると知り
彼らと巡りあったことで僕は今までの凝り固まった考えやそのせいで犯してしまった過ちを背負って生きるべく長かった髪を切り落とし、今までの自分と決別をした
もちろんそれには決別の意味と新たな自分のスタートという意味がある
だけどそれと同時にこれにはもう一つ意味があった。長い髪を切れば少しでも男としての風格が芽生えるかも知れないという微かな望みもあったからだ
……しかし結果はごらんの有様。さらにはこれが引き金となり学館内で長髪version派と断髪version派とかいう変なファンクラブ派閥まで起こるほどだ
「(違う。僕はこんな事態を起こしたくて髪を切ったんじゃない!)」
男としての威厳を取り戻したいだけなのに…だいたいみんな僕のどこがいいんだろうか?
一度顔を合わせれば挙ってみんな美人美人って…男の僕にそんなこと言ったってちっとも嬉しくないよ
……ストレスでどうにかなりそうだよ
「は~」ショボーン
僕は大きなため息をついた
忍部屋についた頃には僕の精神的ダメージはかなりのものになっていた
「どうして…どうしてこんなことに」
思えば四季やみんなにはめられて女装してこの学校に通うようになってもう3年の月日が経つのか
そんなことを感じながら僕は今までの出来事を思い返す。学館の生徒たちだけに留まらず周囲からは美人だなんだと言われる日々
事あるごとに男性たちからナンパされたり告白されたことは一度や二度ではない
困った子を助けた時にも「ありがとうお姉さん!」っといわれてしまったり
挙句の果てには仲間たちからも僕が男らしくなりたいというと
『な、何を言うのですか紫苑!馬鹿な考えはおやめください!紫苑はいまのままで十分に美しく愛らしいです!私はそんな紫苑を心よりお慕いしておりますよ』
『ならん、そのようなことは決してならんぞ、お前は我らが姫、断じてさs…きゃああぁぁぁぁ!なななな、何をなさるんですか!?…す、すすすすみません!我なんかの顔を見たってなんの得にもなりませんから!紫苑さんの美しさには敵いませんから~!!』アセアセ
『反対じゃ!わしは絶対に反対じゃ!冗談でもそのようなことを言うのは感心出来ませんよ!いいですか!このようなことは二度とーーーー!』
『紫苑ちゃん男になりたいの?…う~ん、みのりむずかしいことはよくわかんないけど、でもそうしたらみんなかなしんじゃうよ?それはダメだと思うよ?』
などということを言ってくるし
……そして一番厄介なのは僕をこの世界に引き込んだ張本人
『…紫苑ちんはあたし達と一緒にいたくないの?家族でいてくれないの?…あたし達を捨ててしまうの?…あたし達と紫苑ちんとの絆はそんなに脆いものだったの?ひどいよ紫苑ちん』
そう、これだよこれ!ものすごーく心に刺さること言ってくるの!
…無理だよ!僕がそんなこと出来るわけないこと知ってるくせに!
というかそれを知っててわざと言ってるとこが余計に腹黒い!?
そんなわけで僕を男として認知してくれるものはいないのかと思うと新底泣きそうになってしまいそうになる
ダメだ。このままでは溜まり溜まったストレスが引き金となってあの時(暴走)のようなことが起こりかねない
…そうだ。こうなれば誰かに相談してみよう
男らしさをてにするために!
見ていてください黒影さま、僕は立派な男らしい僕になってみせます!
『いや~。俺もそのままでいたほうがいいと思うんだg』
「ん~?」ギロッ
『あっ……なんでもありません』ポン!
そうと決まれば善は急げ、男らしさを際立たせるべく僕は行動を起こしに出かけた
月泉女学館を飛び出した僕はぶらりぶらりと商店街を歩いていた
「…あっ、あれは」
そんな中、僕の目に止まったのは柳生さんだった
佐介くんや雲雀さんとお出かけしてるとこしか見かけたことがないから一人でいるところを見るのはちょっと新鮮な気がした
「そうだ。彼女に相談してみよう」
普段から自分のことを「オレ」と呼んでて尚且つクール系、彼女から何かアドバイスをもらえないかと僕は声を掛けることにした
「柳生さん、こんにちは」
「っ?…お前は紫苑?お前がオレに声をかけてくるとはな。何か用か?」
僕に気づいた柳生さんが何の用なのかを聞いてきた
「あっ、いえその…ちょっと聞きたいことがありまして」
「聞きたいこと?」
「柳生さんから見て僕ってどんな感じに見えるんでしょうか?」
なるべくさりげなく柳生さんに尋ねてみる
「どう見えるかだと?……ふ~む、そうだな。まぁ言ってはなんだが綺麗だと思うぞ」
「そ、そう…ですか?」
「あぁ、容姿も振る舞いも誰もが見惚れてしまうんじゃないかと思うくらいにな」
柳生さんからもそんなことをいわれてしまうとは
「っと、ところでさ、柳生さんは男の人って見ててどんなとこが男らしいと思う?」
「…あぁ、そういえばお前「男」だったな。すっかり忘れていたぞ」
「えぇっ!?」ガビーン
それはさすがにショックだな~
「しかし男らしさというがそもそも女の子であるオレにその質問は間違いではないのか?」
「でもほらそっちにも佐介くんという男がいるじゃない?彼の男らしいとことか何かないの?」
「あいつは男らしいというか、どっちかというとまるで愛くるしい小動物のようなものだ……まぁその愛くるしさがたまらんのだがな」ジュルリ
「柳生さん口からヨダレ出てますよ?」
自分の世界に入っていたようだけど僕の注意に我に帰った様子で慌ててヨダレを拭き取った
「…しかし困ったな~。どうしたら男らしくみられるようになるんだろう?」
「ならこうしてみたらどうだ?いつもと違う立ち振る舞いをしてみるんだ。それこそ男らしい立ち振る舞いを」
「立ち振る舞う…」
「いつもお嬢さまみたいに振舞っているから周囲から女扱いされるんだ。だったら男らしく振る舞えばまわりの印象も変わるんじゃないか?」
…柳生さんの言ってることも一理ある
確かに学館では男としてバレないようにそう振舞っている
でもそのせいで僕はあんな扱いを受けてしまっている。ならば逆転の発想ということか
「ありがとう柳生さん、参考になりました。僕頑張ってみます」
「そうか、まぁ頑張ってみろ」
僕は柳生さんにお礼をしてわかれた
「男らしく振舞う…男らしく振舞う…」
先ほどの柳生さんからヒントをもらった僕はそれをどう活用すべきかを考えながら僕が再び街中を歩いていた
「あれ紫苑じゃねぇか?」
「えっ?あっ、相馬くん」
するとそこへ僕に気づいて歩み寄ってきたのは相馬くんだった
「どうしたそんな難しい顔して…もしかして生理かw?」
「…何か言いました?」ギロリ
「べ~つに~」口笛
まったくこの人は…
でも待てよ?ここであったのも何かの縁かも知れない
同じ男である相馬くんに聞いてみるとしよう
「あ、あの相馬くん」
「なんだ?」
「一つ聞きたいんだけど相馬くんは男らしさってどういうものなんだと思う?」
「はっ?男らしさ?……う~ん、そんなこと急にいわれてもな~。今の今まで男として生きてきてるからな~」
それ僕の前でいうこと?いい加減にしないと僕本気で怒るよ(´∀`#)イライラ
「なんでもいいんだ。僕は少しでも男らしく見られたいんだ!男らしくありたいんだ!」
「あっ、じゃあさこう言うのはどうよ?こうワイルドな格好すんの。なんとなくあぁ言った格好ってかっこいいし男らしく見えんじゃん」
「…なるほど、確かに思うかも」
「だろ?だからさお前もそんな風な格好してみたらいいんじゃねぇか?こうそれらしいアイテムなんか付けてさ例えばチェーンとかサングラスとかよ」
ふむふむ、ワイルドか…確かにそうかも
「ありがとう相馬くん参考になったよ。じゃあ僕はこれで」
「おう、頑張れよ~」
「ワイルドに男らしく振舞う…ワイルドに男らしく振舞う…」
僕は道を歩きながら柳生さんと相馬くんからのアドバイスを総合し、どういった感じがそう見えるかを考えた
そんな時だった
ギュィィン…キキィィ
「っ?」
「…誰かと思ったら紫苑じゃないか」
「あっ、光牙さん」
突然後ろから僕を横切り一歩手前のところで一台のバイクが停車し、ヘルメット取るとそれは光牙さんだった
「随分と難しい顔をしていたようだが何かあったのか?」
「えぇ、じつは…」
僕は光牙さんに今までの流れを説明した
「…なるほどな。男らしくみられるためにはどうすべきかと考えて柳生や相馬からアドバイスを受けたと」
「はい」
光牙さんは話しを聴き終えると少し考え込む
「ならいっそのこと格好を変えてみたらどうだ?」
「格好を?」
「あぁ、人は格好印象しだいで見るものの目が変わったりするからな…そうだ。ちょうどいいものがあるぞ」
そう言うと光牙さんはバイクに収納していたものを取り出す
「これをやろう」
「‥これは?」
「俺のお古だ。もう必要なくなったんで処分に困っていたんで、もしよければくれてやるぞ」
光牙さんが渡してきたのは革のジャケットだった。彼が愛用していたがためかどことなくワイルドなイメージがした
その時、僕は今までの出来事を振り返りこれだ!っと確信した
「ありがとうございます光牙さん、これありがたく使わせてもらいます!」
「頑張れよ…じゃあな」
ブルン!ブロロロロロロロロ!!
エンジンを駆けバイクに跨り颯爽と走り去っていった
「よ~し、さっそく準備だ!」
僕は見送りを終えると大急ぎで月閃に戻った
今日こそ僕の男らしいところを雪泉達に見せてやるぞ!
『月閃女学館』
「紫苑ち~ん?紫苑ちんどこ~?」
「四季さんどうかしたんですか?」
「あっ、雪泉ちん、あのさ紫苑ちん見てない?」
四季が紫苑を探していることを雪泉に伝える
「紫苑でしたら今朝から外に出かけておりますよ?」
「えっ?マジで~…ちぇ~」(-ε-)ブーブー
「何かあったのですか?」
がっかりした様子の四季を見て雪泉はどうしたのかを尋ねる
「いやね、さっきシズエたちと行ってた店がちょうどバーゲンセールでね可愛い服いっぱい買ってきたんだ~♪」
「あらあら、これは」
四季がずらっと並べた洋服は確かにどれもこれも可愛らしい物ばかりだった
「…ですがこれらをどうするおつもりで?」
「決まってんじゃん。紫苑ちんに着させるんだよ。どれもこれも紫苑ちんなら似合うこと間違いなし!」
「おお!確かに!いいですね!…あぁ、このお召し物を纏った紫苑、さぞ美しいでしょうね」ワクワク
「でしょでしょ!…だから早く帰ってきてほしいんだけどな~」
着させようにも当の本人がいなければ無意味になってしまうと困った顔を浮かべる
「四季、雪泉」
「あっ、紫苑ちん?帰ってきた…んだ?」
「おかえりなさいませ…紫苑?」
噂をすればなんとやらと2人はぱっと顔を明るくして声のする方を向く、しかしその刹那彼女たちは言葉を失った
紫苑side
僕は月泉女学館の前で新呼吸を行い緊張をほぐす
いよいよだ。
身だしなみは完璧、準備は万全
今僕は見るからに男らしい格好に身を包んでいる…これならばいける
「(満を辞していざ行かん!)」
意を決して僕は忍部屋に入る
忍部屋に入るとすぐ近くにお目当ての雪泉と四季がなにやら会話をしていた
「(これは好都合)」
男らしくなった僕を見せる絶好のチャンス、そう思いながらトコトコと彼女達のほうへ歩み寄るとともに声をかける
「四季、雪泉」
「あっ、紫苑ちん?帰ってきた…んだ?」
「おかえりなさいませ…紫苑?」
僕の声に気づいた2人が振り向きざまに驚いたような顔を浮かべる
十中八九僕のこの格好のせいだろう
光牙さんからもらった革のジャケット、さらにそこからよりかっこよさを際立たせるための装飾品を身に付けサングラスをかけたまさにダンディーな僕
「…し、紫苑?ど、どうなさったんですかその格好?」アセアセ
「どうだい雪泉?この僕の姿、男らしいだろ~?」
得意げに自分の格好を見せつける
僕の瞳に映るのはいつも僕を可愛いだのなんだのという彼女たちの顔じゃない。明らかに違う顔だ~
はぁ…身体が軽い、こんな清々しい気持ちになったの始めて、もう何も怖くない、僕は男らしくなったんだ
僕の心は最高に有頂点になった
ポチャン
…えっ?
何かが滴る音がしたような?
僕は慌てて振り返ると
「」ガクガクブルブル
な、なんかすっごい震えてる!?しかも目からハイライトが消えてるし!?
「あ、あの~…雪泉?」
「うっ…ううぅ…し、しおんが…しおんがあのような格好を……どうしましょう紫苑がやさぐれてしまいました…」エグエグ
「えぇっ!?ちょ、雪泉!?」
突然大号泣しだしたんですけど!?
ていうかやさぐれたってなに!?
僕はただ単に男らしくあろうと
「…紫苑ちん」
「は、はひっ!?」Σ(・ω・;|||
突然の声に思わず驚く
いつの間にか背後に回られていたのか四季に肩を掴まれていた
「あ、あの…四季、さん?」
「よくない、それはよくないな~。紫苑ちんは頭が可笑しくなっちゃったのかな~?らしくない振る舞いなんてしちゃって…」フフフフ
「えっ?いやだって僕は男であってこれが普通の」アセアセ
ていうかまって、なんか怖い!?
「悪い子だな紫苑ちんは…そんないけない紫苑ちんはお仕置きが必要なようだね…ねぇ雪泉ちん」
「……そうですね。紫苑にはお仕置きが必要なようですね」
ゆ、雪泉までなんか怖い!?
「さぁ、紫苑ちん、行こうか♪」
「ま、まって四季!?」
「紫苑ちんにはもう一度しっかりとした教育が必要みたいだからね~あっ、むらっち達も呼んでおかなきゃ」
「そうですね。私たちで紫苑を元に戻してあげませんとね♪」
ちょっとまって2人ともなんでそんな楽しそうなの!?
「ちょ、ちょっとまって二人共!は、放して!?」
「無駄だよ紫苑ちん」
「そうですよ。さぁ参りましょう紫苑、我々が誘うワンダーランドへ♪」
それ絶対にいっちゃまずい場所だよね!?
「い、いやだ…は、放ちて…放ちて~!!!」
必死にもがくもすべては無に帰すかの如く、僕は2人に連れさらわれてしまうのだった
後に目覚めると僕は今朝までの記憶を失っており、自分が何をしてたか何があったのか思い出せずにいたという有様だった
「……はぁ~」
結局降り出しに戻ってしまった虚しさから街を徘徊し、休憩がてらベンチに座って休んでいた
「男らしくなるにはどうすれば?」
「女らしくなるにはどうすれば?」
「「…えっ?」」
似たり寄ったりの境遇の人は案外身近にいたりするものなのかも知れない……
はい、という感じに見事某魔法少女アニメに出てくる人の迷言を履いて見事フラグ回収w
なれないことをしてしまったがゆえに恐怖を味わう結果となったのは言うまでもない
みんなも慣れないことに挑戦するときは気をつけてね!