「………ふぅ」コトン
光牙はアジト内の茶の間で詠が入れてくれたお茶を飲んでいた
普段ならそれでまったりとしているのだが、今回はそうもいかない
「…まさか。俺に弟子入りを希望する奴がいるなんてな」
人生何が起きるかわからないとはよく言うがそれをこの年で体感することになるとはと思いつつ頭を抱えながら光牙は少し前の出来事を振り返っていた
◆ 数分前
「光牙師匠、どうか私を師匠の弟子にしてください!」
愛花が光牙に弟子入りを申込み、土下座の体勢のまま切り出した
「…お前が俺の弟子に?」
「はい!」
「あ、愛花ちゃんが光牙さんの弟子に?」
「…」
「……あの時、貧民街で師匠に助けてもらったあと、師匠からは逃げるよう言われました。だけど私、気になってこっそり物陰から師匠の戦うお姿を見ていました。師匠の戦うお姿を見ていて思いました。私も師匠のような人になりたいって、そう思ったんです」
スカートををギュッと握り締め、自分たちを見ているその眼差しにはその純粋なまでの想いがこれでもかというほど感じられた
「……お前、わかっているのか?自分が何を言っているのか?」
「はい、私は師匠の下で"忍"を学びたいんです!」
「…」
愛花はその口でハッキリと自分が忍になりたいということを告げた
その考えに微塵の迷いもない、光牙が彼女から感じ取ったのはそういったものだった
「ダメです!私は反対です!」バン!
「詠お姉ちゃん!?」
しかしそこで詠が異議を唱えた
「愛花ちゃん、よく考えなおしてください、忍になるというのはそんな簡単に行くようなものではないのですよ?危険で険しいものなのですわよ?」
「詠お姉ちゃん。私、知ってるんだよ、千歳お姉ちゃんも忍なんでしょ?前にお姉ちゃん達が会話してるのを聴いてたんだからね」
「そ、それは…」アセアセ
愛花の言うとおり、2人同様に貧民街で育った彼女も忍だ
自分たちが抜忍となっても彼女は今も蛇女子学園で忍学生として生活をしている
「で、ですが、だとしてもこれを聞いたら千歳さんだって絶対に反対するに決まってます!」
過去の生い立ちからか同じ候補メンバーや光牙を除き、同じ貧民街で彼女が心を許しているであろう者は詠の知り得る限り自分たちしかいなく、そして千歳もまた愛花のことを可愛がるような姿を度々目撃しており、彼女が愛花が忍になろうとしてることをしれば止めるに違いないと断言できた
「だから愛花ちゃん、そんな考えはおやめになってください」
「嫌です!私は師匠の下で忍を学ぶんです!」
「な、…愛花ちゃん!?」
「弟子にしてもらうまで私はここを動きません!」
必死に説得しようとした詠の言葉を愛花が即答で蹴る
そうして2人はいがみ合いに発展してしまった
パン!!
「「っ!?」」ビクッ
するとその時、手を叩く音が響き渡り、2人はその音で体をびくつかせた
「少し落ち着け2人とも、とにかく話しの続きは後にしてまずは風呂に入ったらどうだ?」
「あっ」
光牙の私的に愛花は我に返ったように自分の今の身なりに気付く
このアジトを掃除していたことを伺わせるように彼女の衣類や頬には塵芥などがコベリついていた
「弟子にするかどうかは後にして風呂に入ってこい、詠。付き添ってやれ」
「は、はい。わかりました。そ、そういうことですのでわたくしと一緒にお風呂に参りましょう」
「……」プイッ
詠が風呂場に案内していくも愛花はそっぽを向いたままだった
こうして今に至るのだった
◆
シャァァァァァ~!
「……」
「…あ、愛花ちゃん?」ゴシゴシ
「っ!」プイッ
風呂場についた詠は愛花の髪を洗ってあげていた
しかし相変わらず詠が声をかけても愛花はそっぽを向き続けた
「…愛花ちゃん、わたくしはあなたが憎くてあのようなことを言ったわけではないのです。あなたはまだ9歳という幼き身、わたくしは貴方の身が心配なだけなんです」
下手に言い分を考えるよりここは素直に自分の想いを伝えたほうがいいと判断した詠は愛花にありのままに想いを告げた
「……詠お姉ちゃんの気持ちは嬉しい、…でも私、今までこんなふうに、誰かみたいになりたいって思ったの始めてで…どうしようもなくて!師匠のように強くなりたい、強い忍なる、そうなれば私も貧民街のみんなを守れる。もう、詠お姉ちゃん達だけに辛いことはさせたくないから!」
「…愛花ちゃん」
愛花が忍を目指す理由、それを聞いた詠は彼女にかつての自分の姿を見た
自分が蛇女子学園に入ったそもそもの理由、ともに過ごした貧民街のみんなの居場所を守りたい、自分がみんなのために強くなるという思いで入学を決意した
今、目の前にいる愛花はさながらあの頃のもう1人の自分なのだと詠はそう感じ取った
「……わかりました。あなたがそこまで言うというのでしたらわたくしはもう止めません。あなたのしたいようになさい」
「詠…お姉ちゃん?」
「ただし、光牙さんがあなたを弟子にするかしないかは別です。光牙さんがあなたを弟子に取らないと決めた時は潔く諦める。約束するというのならわたくしもこれ以上は口出ししません」
「…ありがとう詠お姉ちゃん!」
反対していた詠からも許しを得た愛花は気持ちが高ぶる思いだった
◆ 一方、茶の間で寛いでいる光牙は…
「…っ?」
不意に時計を見てみると時刻は18時をまわっていた
「もうすぐ焔達が帰ってくるか?」
時間からしていつ焔達が帰ってきてもおかしくはなかった
「さて、あいつらにどう説明したらいいかな?」
愛花のことを知ってるのは自分たちだけ、焔たちは愛花がここに自分に弟子入りに来たことを知らない
故にどう説明しようかと考えていた
そんな中だった
「ただいま~!」
「今帰ったで~」
「…見事にフラグだったかな?」
入口の方から声が聞こえ振り向くとそこには途中で合流でもしたのか四人全員が一斉に帰ってきていた
「今帰ったわよ…ってあら?」
「な、なんだこれは?どこもかしこも綺麗になってるじゃないか!?」
「あたしがほっぽっちゃってたゲームカセットとかもみんな整理されてるし!?」
「どないなっとんのやろ?」
当然の反応のように焔達もアジトの変わりように驚く
「戻ったか、ご苦労だったな」
「おい光牙、これはいったいどういうことなんだ?お前がやってくれたのか?」
「そのことを話そうとしていたんだ。実はn「師匠~」ふっ、どうやらちょうどいいとこに来たみたいだな。みんなに説明するぞ。実はな……っ!?」
焔達に説明しようかと愛花を呼び出そうとした瞬間、光牙の顔が一気に青ざめた
なぜなら
「師匠すみませんが替えのタオルがどこにあるか教えてくれませんか?」
「そ、そんなことよりもまず説明しろ!なぜ全裸で歩き回っているんだ!?」アセアセ
光牙の目線の先には全身に水滴をたらしながら全裸姿で立つ愛花の姿があった
「はい、詠お姉ちゃんがうっかりタオルを一つしか持ってこなかったみたいなので師匠に在り処を教えてもらおうかと…って師匠、なんで後ろ向いてるんですか?」
「状況からしてわかるだろうが!?」
慌てて光牙は後ろを振り向き、見ないよう視線を逸らす
しかしその時、後ろを向いた光牙の視線の先には疑惑の目を向けた焔達がいた
「光牙く~ん、これはどういうことかしら~?」うふふ
「いや、こ、これは誤解であってだな」
「なにが誤解なのよ?…まさか光牙にそんな趣味があったなんてちょっとヒクワ~」
「まぁ、光牙さんも男っちゅうことやな」
春花は面白いものを見れたというかのような顔をし、未来は若干虚ろな目を光牙にむけ、日影は無関心そうな感じだった
「だからこれは」
「師匠、そこにいる人たちはどちら様なんですか?誰なんですか?師匠のお知り合いですか?師匠のなんなんですか?ちゃんとこっち向いて話してください」
「(えっ?何これ怖い?)」
ふと後ろから殺気を孕んだような愛花の声に光牙は戦慄した
「こ~う~が~?」ピキピキ
「っ!?」
前方からもとてつもない殺気を感じだった
殺気の主は焔だった
「私はお前がそんなことをする奴じゃないと思っていたのに…なのに!」グヌヌ
「い、嫌だから!「こら~!愛花ちゃん!」今度はなんだ!?」
次から次にというかのように現れたのは慌てて愛花を追ってやってきたバスタオルを巻いた詠だった
「駄目じゃないですか!女の子が他人様に全身を見せびらかすなど!光牙さんもそんなとこで突っ立ってないで!」
「光牙、お前というやつは~!!」
「や、だからお前たち少し落ち着k「こっち向いてむいてください~~!!!」うわっ!?」
「えっ?」
その時、不意に後ろから引っ張られたことにより光牙の体が後ろに倒れていく
しかもその先にはこちらに向かって駆け出し中の詠が、つまり必然的に…
ドンガラガッシャ~ン!
ぶつかりあってしまうのだった
「痛た…まったく、なんてことをしてくr〈むにゅ♪〉…うん?」
床に頭をぶつけてしまった光牙が頭をあげようとした時、顔面に柔らかいものが
「なんだ?」
「あ、あの…こ、光牙さん///!?」
「っ?…っ!?」
詠の声によって光牙は自分の今の状況を即座に理解した
何を隠そう光牙の顔面に当たった柔らかいものは詠のたわわに熟した果実であり
さらに右手は彼女のお尻を触っていた
「し、師匠?」
「……~~っ!?」
愛花の声に導かれ、恐る恐る横を見るともう片方の手である左手は愛花の幼さ感じられる平原にある出っ張りをわしずかみにしていた
「………」アセアセ
その瞬間、光牙は悟ってしまった
「い、い、いっ~っ///」
「……ふっ」
このあと自分に待ち受ける運命に、それを知った瞬間、光牙は覚悟を決めたように軽く笑みを浮かべた
「いやあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ/////////!!!!!!」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォン!!!!!
そしてその刹那、周囲に響き渡る悲鳴とあたりを揺るがすほどの激しい衝撃が起こったのは言うまでもなかった