閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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光宿し悪忍、光牙の軌跡 2 

母を失った日から数か月が経過した。俺も姉さんも心に大きな喪失感を抱いていた

 

 

だが、それでも挫けてはいられないと言い聞かせて気持ちを偽りながら俺たちは日々を過ごした

 

 

そんな思いのままに俺たちはそれぞれ入学することになった

 

 

姉さんは蛇女に、俺はその兄妹校である秘立男大蛇学園へ

 

 

互いに誇り高い悪忍になろうという誓いの元に

 

 

 

 

 

 

◆秘立男大蛇学園校内

 

 

 

 

 

一人前の強き忍となるための俺は男大蛇学園に入学した

 

 

しかし入学して早々、俺は男大蛇学園がどういう場所なのかということを思い知らされることになる

 

 

とある日、俺たち生徒は学園内にあるグラウンドに集められていた

 

 

全員制服というには名ばかりのむしろそれは軍服と言っても過言ではない服を身につけていた

 

 

<『ではこれよりそれぞれ2人ペアを作るように』>

 

 

教師に言われるがままに集められた俺たちは2人のペアを作らされた

 

 

<『受け取れ』>

 

 

<『……っ』>チャキッ

 

 

組み終わったと同時にそのペアになった人物と向かい合わされ、さらには訓練用の得物を手渡された

 

 

<『これより模擬戦を開始する。相手を倒すか降参させた方が勝者だ』>

 

 

模擬戦の概要を聞かされた俺とペアを組んだ相手はやるしかないことを悟り身構える

 

 

<『では…始め!』>

 

 

<『『――っ!!』』>カキンキンキン!

 

 

試合の合図とともに模擬戦は始まった

 

 

他の場所でも次々と始めだし、グラウンドは騒がしくなっていった

 

 

<『ふん!!』>

 

 

<『ぐあぁぁぁっ!?』>

 

 

俺の一撃によってペアになった男はその場に倒れた

 

 

<『そこまで!』>

 

 

教師の号令によって勝負は俺の勝ちとなった

 

 

<『……っ』>

 

 

この時俺は自分がどんなところに来たのかを思い知らされた

 

 

だがそれでも俺に止まるという選択肢はなかった

 

 

俺は忍になるために立ち止まるわけにはいかないのだから

 

 

 

 

 

 

 

その後も俺は学園から課せられる厳しいカリキュラムをこなしていった

 

 

<『――っ!!』>ジャキン!

 

 

<『ぐあぁぁぁっ!?』>

 

 

<『そこまで!』>

 

 

<『はぁ…はぁ…はぁ…』>

 

 

どんどんとハードになっていく実戦を想定し、本物の得物を使った模擬戦も行った

 

 

当然、相手は負傷したりしたが、俺は自身の目的のために奮闘していった

 

 

実技、学力ともに成績は学園の最上位あたりをキープしていた

 

 

いつしか学園内で俺の存在は無視できない者になり始めていた

 

 

<『お前ら、この生意気な1年坊をやっちまえ!!』>

 

 

<『『『ヒャッハー!!』』』>

 

 

<『はぁ…、またか……――っ!!』>

 

 

 

バキボキドドン!!

 

 

<『づ、づよい…ばげ、ものだ…』>

 

 

<『まだやるか?』>

 

 

<『い、いえ、もうじまぜん』>

 

 

<『ふん』>

 

 

時にはそんな俺の功績を嫉んだ奴が襲ってきたりもしたのでその時は返り討ちにしてやり過ごしていった

 

 

この学園の生徒たちの間では「力を持ったものが絶対」という暗黙のルールがあるのか

 

 

いたるところで自らの力を誇示したり、相手を陥れるなんて行為は日常茶飯事なことで

 

 

実質学園も「学」についてはそこまで重要視しておらず忍としての技量と戦闘能力のほうがより評価されることもそれに拍車をかけていた

 

 

そのため上の学年の奴らも倒している俺はより学生たちや教員たちから一目置かれるようになっていった

 

 

殺伐とした学園生活を俺は強き忍になるという目的のために日々過ごして行った

 

 

<『ふん。またしても相手をみすみす逃がすとはな?』>

 

 

〈『っ?』〉

 

 

不意に俺に語りかける声を聞き、その方へと視線を向ける

 

 

暗い陰か刺している場所から俺を覗き込む者の影が見える

 

 

人影が声をかけた直後にこちらに歩み寄ってきた

 

 

〈『ふふふふっ』〉

 

 

〈『だれかと思ったらやはりお前か"死童"』〉

 

 

俺はそいつのことを知っている

 

 

いや、違うな、この学園でこいつのことを知らない奴がいないんだ

 

 

こいつの名は死童、俺と同じ学年で別の組に所属する男だ

 

 

〈『お前はいつも爪が甘すぎるんだ。舐め腐るような奴らには心底思い知らせてやればいいんだ。俺なら奴ら圧倒的にやる。歯向かうやつには骨の髄までしみ込ませてやればいいのだ暴力と恐怖をな』〉

 

 

そう言って俺のことを叱咤しつつ、狂気的な笑みをこぼしていた

 

 

奴もまたこの学園で注目されている者の1人だ

 

 

だが、こいつに関しては注目のベクトルが違う、奴が注目されているのはその溢れんばかりの冷酷さ、残虐さにあった

 

 

模擬戦では教員が止めに入らなければ相手を殺しかねないほどの暴力を振るうこともあり

 

 

俺の時のようにこいつを気に入らないと思った上の学年の奴らがいちゃもんをつけに行った時には

 

 

上級生の奴らの方がズタボロにされ、中にはその時のことがショックで退学をする者までいるほどだった

 

 

<『一緒にするな、俺はただ降りかかる火の粉は払う、それだけのことだ。それでまた挑んで来るというのならまた返り討ちにするだけのことだ』>

 

 

あくまでも俺は俺の目指すもののために突き動くだけ、必要以上の争いなど望むところではない

 

 

<『惜しいな、それほどの技量を持っているのに…まぁいい、お前がそうするというのならそれもまたよし、だが俺は違う。俺はこんなところでくすぶっているような小さな存在になる気はない、ここを手始めに俺はのし上がる。上の上のそのさらに上に!』>

 

 

死童は狂ったような笑みを浮かべながらその目をギラギラさせて自身の夢を語った

 

 

<『夢を見るのはいいが他所でやってくれ、俺には正直興味もない』>

 

 

面倒くさくなる前に俺はそう言い残してその場を去っていった

 

 

俺としてもやつとはあまり関わりたくない、そう思いながら学生寮のほうに進んでいった

 

 

<『ふん、光牙お前もいずれ知ることになるだろう、この俺が裏社会のトップに君臨するその日をな…』>

 

 

この時俺はまだ知る由もなかった。死童という男がどれほど恐ろしい男になっていくのかを…

 

 

 

 

 

そんな学園生活を送っていた俺だが、学園が休みの際は実家に戻っていた

 

 

<『光牙、おかえり。待ってたぞ』>

 

 

<『ただいま姉さん』>

 

 

家に着くなり出迎えてくれたのは姉さんだった

 

 

<『父さんは?』>

 

 

<『会合で遅くなるから私たちだけで行ってきてくれと言っていた』>

 

 

<『…そうか』>

 

 

出来れば家族全員でが良かったがそれは虫のいい話しだ

 

 

俺は気を取り直しつつ、着替えと用意を済ませる

 

 

<『待たせたな』>

 

 

<『対してまってはいない…さぁ、行こう』>

 

 

玄関で待っていた姉さんとともに俺はある場所にへと出かけた

 

 

 

家を出てからしばらくして俺と姉さんは目的地についた

 

 

<『…っ』>スゥ

 

 

<『―っ』>チョロロロロ

 

 

今俺と姉さんがいる場所、そこは母が眠る墓だった

 

 

あの後、母の遺体は父の手配によって丁重に葬られ、この墓に埋葬された

 

 

〈『『……っ』』〉

 

 

俺と姉さんは学園が休みになった日はこうして母が眠るその墓に花と線香を備え、祈りを捧げていた

 

 

〈『母さん、今回は来るのが遅くなってしまってごめん、なかなか姉さんとの都合が合わなかったもんでね。こっちはなんとかやっているよ。だから心配しないでくれ』〉

 

 

母の眠る墓に俺は近況報告を告げていた

 

 

<『『……っ』』>

 

 

しばらくして祈りを終えた俺たちは帰りの支度をする

 

 

<『それじゃ母さん、また来るからね』>

 

 

<『時間が空いた時には必ず』>

 

 

また来ることを約束し、俺たちは墓参りを終えた

 

 

<『光牙、私はもっともっと強くなる。そして誇り高い悪忍として、いつの日か”妖魔”を根絶やしにして見せる』>

 

 

帰り道を進む中、姉さんは自分のこれからを語る

 

 

絶対的な信念を滾らせているのを俺は感じた

 

 

<『流石だな姉さん。だが悠長にしているようでは俺が先に姉さんを超えてしまうかもしれんぞ』>

 

 

<『生意気なことを言ってくれおって、このこの~』>

 

 

<『お、おいおい姉さん、やめろってくすぐったいだろうw?』>

 

 

<『うるさい、生意気なことを言うお前が悪いんだw』>

 

 

互いの目標を確認しあい、他愛ないやり取りをしながら俺たちは姉弟の絆を深めていった

 

 

 

 

 

 

…だが、悲劇というのは再来するものだということを俺はこの後、知ることになる

 

 

 

 

それは俺がまた実家に出戻った時のことだった

 

 

帰ってきた俺に悲報が入る

 

 

姉さんが意識を失ってしまったのだと父から聞かされた

 

 

<『(なんてことだ。また俺が目を離している間に!)』>

 

 

辞退を知ってその場にいられなかった自分の不甲斐なさに怒りを覚えた

 

 

張り裂けそうな気持ちを抑えながら俺は姉が運び込まれた自室に向かった

 

 

〈『姉さん、無事!?』〉

 

 

〈『こ…光牙…』〉

 

 

〈『忌夢、忌夢か!』〉

 

 

部屋にたどり着いた俺を待っていたのは何かショックを受けたような顔を浮かべる忌夢がいた

 

 

〈『……っ』〉

 

 

そしてその横には目が覚めた姉さんの姿があった

 

 

〈『姉さん!よかった。意識が戻ったんだな!』〉

 

 

母の死に心まいっていた俺にとって姉が意識を取り戻したことはとても喜ばしいことだった

 

 

…喜ばしい、はずだった。姉さんからの開口一番の言葉を聞くまでは

 

 

〈『お前は………”誰だ”?』〉

 

 

〈『……えっ?』〉

 

 

姉さんの口から呟かれたその一言によって俺の心は天国から一気に地獄に落ちたのだった

 

 

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