閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第十五章 お前がここに来るとはな…

「ふふふっ、あははははははは!!!」

 

雲雀は狂ったかのように不気味な笑い声をあげる

 

「なっ、なんなのよあんた?」

 

「あははははははは!!!」

 

笑う雲雀、その時だった

 

「ひばり!!」

 

「ひばりちゃん!」

 

そこに降り立ったのは佐介と柳生だった

 

「大丈夫か、ひばり?」

 

「しっかりしてひばりちゃん!」

 

「ひばりは負けてない、負けてないもん!あはははっあはははははは!」

 

雲雀は完全におかしくなってしまっており、佐介たちの声に全く耳を貸してはくれなかった

 

「仕方ない…許せひばり!!」

 

 

ドスッ!

 

 

「っ……」

 

柳生は雲雀に力をこめた一撃を浴びせる

 

その一撃によって雲雀の体から靄が消えるとともに雲雀が元に戻った

 

「……あ、あれ?柳生に佐介くん?ここはどこなの?」

 

「ひばりちゃん。よかった正気に戻ったようだね!」

 

佐介は雲雀が正気に戻ったことに安堵した

 

 

 

 

 

「っち、余計なことを」

 

遠くから見ていた道元は洗脳が解けてしまったことによってその場から急いで立ち去った

 

 

 

 

 

「ひばり、お前は催眠にかけられていたんだ」

 

「催眠?ひばりそんなのかかった覚えないよ?」

 

「…された記憶もないなんて…おそらくは洗脳術をかけた人はそれらを得意とする相当の手だれの仕業でしょう」

 

「今はそれは置いておこう。ともかく今はここから逃げることが優先だ」

 

逃げるよう柳生が提案する

 

だが、その時だった

 

 

シュゥゥゥゥゥゥン!

 

「「「っ!?」」」

 

逃げようとする3人に向かって矢が迫ってきた

 

3人は急いで回避する

 

「この攻撃。まさか!」

 

「なにを世迷言を言っている?この俺の目が黒いうちは侵入者と裏切り者をみすみす逃すわけがなかろうが」

 

そこに光牙が現れた

 

「…光牙くん」

 

「あの時は貴様らの罠と暴走のせいで散々だったが、だがもうそんな幸運はない。さぁ、侵入者を排除するとしよう」

 

「柳生ちゃん。ここは僕が抑えるからひばりちゃんを連れて先に行って!」

 

「佐介…すまない、いくぞひばり!」

 

柳生は佐介の思いを受けてひばりを連れてその場から離れた

 

「させん!」

 

非難する柳生と雲雀に向けて光牙が矢を放つ

 

「っ!!」

 

「っ?」

 

だがその矢を佐介が蹴りで弾いた

 

「あなたの相手は僕のはずです!柳生ちゃんたちには指一本触れさせません!」

 

「っち」

 

光牙は佐介の妨害でみすみす逃してしまったことに舌打ちする

 

「光牙!!」

 

「っ?」

 

そこに焔が駆けつける

 

「光牙、侵入者がきたと聞いたぞ…っ、貴様は!?」

 

焔は佐介の姿を見るやいなや六爪を構える

 

「焔!」

 

「なんだ?」

 

「ここは俺がやる。お前はもう一人と裏切り者の小うさぎを追え」

 

「なんだと?…わかった。任せろ!」

 

戦闘を行おうとするも光牙は焔を止め、先ほど逃がしてしまった柳生と雲雀を追うように指示をだし、焔もそれを聞き入れ柳生たちを追っていった

 

「…光牙くん。僕は今、これほどまで怒りを覚えたことはありません!」

 

「何?」

 

「ひばりちゃんを操り、秘伝忍法書を奪わせるなんて…絶対に許さない!」

 

佐介からいつもの温厚な時のような感じが消えていた。怒りを顕にした声を放っていた

 

「…ほう。お前、そんな風な目も出来たんだな」

 

意外なものを見たと言わんばかりに光牙はそう呟いた

 

おそらく雲雀を操って超秘伝忍法書を盗ませたのは道元だろうと光牙も気づいていた

 

しかし、今は道元を追ってもいられない、目の前には臨戦態勢をとる佐介がいる

 

そしてなにより光牙は内心あることを思っていた

 

目の前にいる強者と戦いたいと

 

湧き上がる好奇心からかそれとも彼の生まれ持つ闘争本能がそうさせるのかは定かではないが

 

光牙は自分の目の前で構える相手を無視することなど出来なかった

 

「面白くなりそうだ…いいぞ。かかっこい」

 

矢を生成すると光牙もまた構える

 

「行きます!!」

 

佐介はそう言うと素早くパンチを繰り出し、よけた瞬間、佐介の拳が背後にあった岩を砕いた

 

まともに喰らえばやばいとこである

 

「はあぁぁ!!」

 

光牙は隙を逃さず拡散式の矢を放つ

 

「っタタタタタタ!!」ペチペチペチ

 

その攻撃を避けれるところは避け、できない攻撃は弾いて回避する

 

「やるな「はぁぁぁぁ!!」っ!」

 

言葉を発する暇もないほどに一瞬にして佐介の蹴りが自身に迫り来ると光牙は直ぐ様回避行動を取った

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

「たぁぁぁぁ!!」

 

回避とともに光牙は光刃を、佐介は拳をぶつけた

 

力と力がぶつかり合う

 

「天轟拳!」

 

「ふっ、せりゃあぁぁ!!!」

 

「なんの!螺旋脚!!」

 

「甘い、フォトン・トライデント!!」

 

互いに技を駆使して責め合う両者

 

「「はぁ…はぁ…はぁ…」」

 

激しい戦いを繰り広げるほどに二人は息をあらくする

 

「やるな」

 

「あなたこそ…」

 

互いに相手を称える両者。そして光牙が再び構えたその時だった

 

「佐介!」

 

「柳生ちゃん!」

 

焔が追っていたはずの柳生が佐介の元に戻ってきた

 

「柳生ちゃん。怪我してるの?」

 

「大丈夫、擦り傷だ。少々厄介な相手だった」

 

「あの子は?」

 

「うまくまいた。それよりも戻るぞ。ひばりは取り戻せたしな」

 

どうやら二人はここから逃げおうせるつもりだ

 

「待って!あなたたち、ひばりを連れて行ったわね!」

 

「当然だ。ひばりは騙されていただけだからな」

 

「騙されていた?何を言ってるの?」

 

柳生の言葉に春花は疑問を抱く

 

「文句があるなら戦って…と言いたいとこだがお前たちとはまたすぐに会う。その時に思う存分やってやる。いくぞ佐介」

 

「うん。ではこれにて」

 

二人はメンバーたちが動揺する隙にその場から逃げ出すことに成功した

 

「…ちっ」

 

光牙は逃げられたことに若干イラだちを感じた

 

「近いうちに必ず会うとはどういうことなんだ?」

 

焔は先ほどの柳生の言葉が頭に引っかかっていた

 

そんな中、光牙は雲雀を連れ去られ落ち込んでいる春花のほうに歩み寄ると声をかけた

 

「大丈夫か春花」

 

肩にぽんと手をおいて尋ねてみると

 

「大丈夫よ光牙くん…ありがとう。私は大丈夫だから、ひばりが私たちのとこに来た時からこうなるだろうとは思ってたから…」

 

「…春花」

 

いつものように振舞って見せてはいるがその目は潤んでいた

 

やはり雲雀が行ってしまったことがショックなのだろう

 

「それより、さっきあの子が言ってたことだけど」

 

「あぁ、そうだな」

 

どうにもあの言葉の意味が気になっていると

 

「それなら私が説明してやろう」

 

「鈴音…」

 

「「鈴音先生!」」

 

そこに詠たちを連れてきた鈴音が現れた

 

みると鈴音の顔はいつも以上に険しい顔をしていた

 

「鈴音先生はなにか御存知なんですか」

 

「あぁ、単刀直入に言う。……数分前、秘立蛇女子学園が半蔵学院に占拠された」

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

鈴音から語られたその事実に光牙たちは驚きの表情を浮かべたのだった

 

 

 


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